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小ネタや更新記録など。妄想の赴くままに・・・
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上司に連れて行っていただいたダイニングバーがとても素敵だったので。

**********

────夕闇が迫ろうかという時刻。
ガラス張りのドアを開ければ、地下へと続く階段がある。
1階分を降りると、受付用のデスク。
しかしそこは無人で、さらに階下へと促される。
そこからは階段ではなくスロープで、スクリーンに映し出された水流が清涼感を煽る。

地下2階にあるそこは、薄暗い、しかしスワロフスキーのシャンデリアの煌きと静かなジャズが心地良い極上の空間。
客席はカウンターの他、ガラスのパーティションで区切られたテーブル席がある。
そのラウンジフロアーへと向かう床には、降りて来るときに見たのと同様に水の流れる様が映し出され、それぞれの客席脇には熱帯魚の入った水槽。
カウンター席の前にはアルコールの瓶が整然と並べられている。

「──ほぅ・・・お前にしては趣味がいい」

男女ともにきちんと黒いスーツを着こなした従業員。
時折、ギャルソンエプロンを身に着けた女性が客に料理を取り分ける様が目に入る。

「お待ちしておりました」

軽く腰を折るまだ二十代前半と思しき青年が、予約しておいた席へとふたりを誘う。

「こちらがアルコールのメニューでございます。お料理はこちらに・・・コース料理もございますので、ごゆっくりお選び下さい」

礼をして去って行く様子は、きびきびとしていて気持ちがいい。

「ふぅん・・・」

店内を、不躾ではない程度に見回す。
彼らのいるテーブル席とカウンター席の他に、数段階段を上がったところにもダイニングを模したバーフロアーがある。
上の席へ向かう壁は滝になっており、静かな水の流れが涼やかだ。

「いい店だ」

唇を歪めると、人ひとり分空けて座っている男が手にしたメニューから顔も上げずに言葉を紡ぐ。

「アルコールは?」

飲むかどうかは訊いていない。
何を飲むのかを訊ねる響きを孕んでいる。

「──何だ、酔わせる気か」

悪戯っぽく菫の瞳を煌かせ喉の奥で笑えば、いつもは髪の毛ひと筋分も動かない美貌が微かに呆れを示す。

「飲ませないと腹を立てるだろうが」
「当たり前だ。この店は期待出来そうだからな。──お前ひとり、いい思いをさせられるか」

嘆息すると、この店が基調としている水の青よりもずっと深い、藍色の瞳が控えるフロアスタッフに視線を送る。
先ほどの青年だ。
どうやら、各スタッフで受け持ちのテーブルが決まっているらしい。
軽く視線を向けるだけで足りるということは、きちんと教育が行き届いているということだ。
さすがに、格式高い店が並ぶ、この国でもっとも地価の高い場所とされる地域に店を構えているだけのことはる。

「お待たせいたしました」
「ドライ・マティーニ」
「マンハッタン」
「かしこまりました」
「料理は任せる」
「──はい、かしこまりました」

一礼し、足音ひとつ立てずに去るフロアスタッフを、楽しげに菫の瞳が見送る。

「・・・あまり見ていると、用があると思われるぞ」
「ん~? 今の男の子、ちょっと可愛かったな、と」

くすくすと笑うと、さらりと肩から銀髪が零れた。
シャンデリアもかくや、という輝きの清流。
対する男は対照的な黒髪で、趣はまったく違うがどこか似た雰囲気を持つふたりだ。
また、それ以上にふたりはひと目見たら忘れられないほどの美貌の主であった。

「あまりからかうなよ。可哀想だ」
「本気ならいいのか?」

きょとんとして返された台詞に、思わず眉を持ち上げる。
にやり、と少女のような美しい顔が魅惑的な笑みを浮かべる。

「──冗談だ」
「知っている」
「ちょっと本気にしたくせに」
「お前の言葉にいちいち付き合っていたら、身体がもたん」
「それはこっちの台詞だ」

そうこうする間に、ふたりの前にショートカクテルのグラスが置かれた。

「何に乾杯する?」

訊ねる銀髪に、黒髪が答える。


「愚問だな────むろん、世界を手にする第一歩に」


薄く笑みを交わしたふたりは、軽くグラスを掲げると一杯目の勝利の美酒を堪能した──。




**********

あああああああああ、本当に素敵でしたー!!
本部長、ごめんなさい・・・見縊ってました・・・(コラ)
・・・だって、あんな素敵なところへ連れて行っていただけるなんて、思っていなかったんですもの・・・。
てっきり新橋辺りの居酒屋かと(笑)

「──俺ね、居酒屋って嫌いなの」

あーもー、申し訳ございません!! 私が未熟でした!!

──謝罪はこれくらいでいいか(オイ)

いや、それにしても、本当に素敵なところへ連れて行っていただきました。さすが銀座。
素晴らしい雰囲気と、教育の行き届いたスタッフ、素材の味を活かした美味しいお料理に、美味しいお酒。──あんなに果汁の濃いカシスオレンジを飲んだのは初めてです(笑)カクテル3杯飲んでも、平気だもんなぁ。雰囲気って大事。

また行きたいとは思いつつ、ちょーっと個人的に行くにはお財布事情が・・・でも、まぁ、本部長が言っていましたが、居酒屋だって5千円くらいかかってしまうんだから、あの煩い中で声張り上げて会話するくらいなら、多少金額を上乗せしても、ああいう静かな場所で飲みたいです。はい。

今度はどんな理由作って、素敵なお店に連れて行って下さるのかしら~。有名な洋菓子店のドライフルーツケーキまでプレゼントして下さって・・・あああ、資格って、取っておくものだわぁ~(←間違ってるから)

んふ。素敵な時間をありがとうございました~。
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