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普段、スクリーンや画面を通してしか見ることの出来ない遠い世界の人と、同じ空間で同じ時間を共有する──まさに、夢のような時間を過ごすことが出来るのがライヴの醍醐味だ。
シェラ・ファロットは、友人に連れられてアイドルのライヴ会場へとやって来ていた。
彼自身はファンでも何でもないし、なぜ男の自分が男性アイドルのライヴに参加しなくてはならないのか。

──そう思えたのは、最初の十分だけ。

もちろん生のバックバンドのメンバーは、あとから知ったことだが国内トップレヴェルの演奏者たちだった。
何より、『アイドル』と呼ぶには突出した歌唱力と、圧倒的な表現力──『彼』は、数少ない本物の『アーティスト』だった。
シェラの友人は『彼』がデビューした頃からのファンで、当然ファンクラブにも入っている。
彼女が手に入れたアリーナ最前列のチケットは、ファンからすればいくら払ってでも手に入れたいものだ。
それまで、たかがアイドルのコンサートチケットが闇で数万から数十万で取引されることが信じられなかったシェラだったが、今ならば少しだけ、その気持ちが分かる。

「まさか、シェラがこんなにハマるなんて思わなかった！」

そう言って嬉しそうに山盛りのCDの入った袋を手渡してきたシャーミアンに、シェラは思わず眉を下げた。

「……ハマったってほどじゃあ」
「かっこ良かったでしょう──『ヴァンツァー』！」

『ヴァンツァー』、それが、話題のアーティストの名前だった。
芸名なのか、本名なのか、First name だけを公開している青年は、事務所の公式発表によれば現在二十三歳。
大学生であるシェラたちとはほぼ同年代だ。

「……まぁ、かっこ良かったけど……」
「んもぅ、そんな気のないフリしちゃって！　貸してあげないわよ？！」
「──ぅえっ？！」

声を裏返したシェラに、シャーミアンはにやり、と笑った。

「ほ～ら、認めなさい」
「……………………──好き、です」
「きゃあ～！！」

シェラ、という名前だが、彼はれっきとした男だ。
しかし、その外見は並みの女などメではないほど清楚で可憐だ。
長い銀髪と菫色の瞳、色白の肌と華奢な身体は、まるで天使か精緻なビスクドールのよう。
そんなシェラに「好き」だと言われたら、普通の女の子は今のシャーミアンと同じような反応をするだろう。
だが、シャーミアンが歓声を上げたのは、もちろんシェラが自分の好きなアーティストを「好き」だと言ったからだ。

「シェラも『Family 』に入っちゃいなさいよ」

『Family 』とは『ヴァンツァー』のファン──特に、ファンクラブ会員たちの呼称である。
ライヴ会場全体が一体となったステージは、確かにひとつの家族のようだった。

「……別に、そこまでするほどじゃないけど──あ、でもこれは貸して」

CDの入った袋を、取り上げられないように抱きしめるシェラ。
シャーミアンは、ぷっ、と吹き出した。

「それ終わったら、今度はライヴのDVD貸すわ」

シャーミアンの言葉にシェラは表面上は興味なさそうに頷いただけだったが、その紫水晶のような瞳はきらきらと輝いていた。


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そんな感じです（笑）
本編は、早ければこのクリスマスに書きます。記念小説は平行か来年の５周年記念直前まで書く、とかいうアホなことになるかもしれませんが、ご勘弁いただきたい。だってこれ書かないとモヤッとして何も手につかない・・・。

２２：４１　いつも楽しく拝見してます。この一年ほどは息子にパソコンを取られちゃったので、携帯でお邪魔してたのですが、ようやく自分のパソ（ミニノートですが…）を手に入れたので、ちょっと記念にメッセージを送っちゃおうかな、なんて思ってしまいました。
ファロット一家のお話がほんとに好きです。特にキニアン君は最高です。小ネタでも良いのでキニアン君の見せ場をよろしくお願いします。m(_ _)m by みんみん

みんみん様。
こんばんは～。いつもお世話になっております（＾＾）メッセージ、とても嬉しいです！
ををを・・・キニアンですか。受にダメなくらい惚れている、ヘタレわんこの筆頭ですね（笑）何でしょうか、最近キニアンはモテ期なんでしょうか？　チェロなんて弾いちゃったからでしょうか？（笑）カノンがヤキモチ妬いてくれそうで、イイカンジです（爆）私自身も、ファロット一家は書いていて幸せで、楽しくて、わくわく出来るので、これからも書いていきたいと思っています。キニアンは楽器持たせていればかっこいいので、演奏家になってからの彼とかだと、ちょーかっこいいかも知れないですねぇ。ふふふ～。


拍手を下さった皆様、ありがとうございます。
え～。昨日は福山さんのコンサート、本日はねずみの海と、だいぶ無茶をやらかしてきました（＾＾；）足痛いし、脚重いし大変なんですが、でも、とても楽しかったです。
コンサートもアトラクションも、待ち時間が長い、ということでは共通しています。そんな中で腐女子が寄ればどうなるかといえば、──『ネタで盛り上がる』これに尽きます（笑）昨日今日で、だいぶ長い話が１本（番外編含む）出来上がってしまうくらい、異様に大盛り上がりしたネタです。出来れば、今度のクリスマス～正月記念で書きたいんですが、今の記念小説はたぶんクリスマスまでに終わらないと思うんですよ（笑）そうしたら、記念小説はそれとして、クリスマス小説書いてるかも知れないですけど、あまり気にしないで下さい（コラ）

今日はちょっと限界なので、明日辺り、気力があれば概要をお話したいと思います。友人も大概無茶振りしてきますが、まぁ、私もネタ振ったし、どちらの話も私たちの代表作になるような予感がしなくもないかも知んないので、期待しないで楽しみにしてて下さい（コラ）

では、あでゅー。

１４：０２　やっぱり、「うらいあん」すごいっ！！
ドッキドキです～(*^_^*)
ソナタちゃんがうらやましくなるぐらい(笑)

カノンちゃんの嫉妬も可愛い～★
キニアンは最後に何を弾いたのか、気になります～(>_<)

ネズミの海のハロウィーンに行かれるなら、おススメなのは
「マウスカレード・ダンス」ですよ～(笑)（これは抽選ではないので、絶対見れます）
是非、久遠さんも楽しんできて下さい～♪

「うらいあん」もっと読んでみたい気持ちがいっぱいです(笑)
次も楽しみにしてますね～★ by ゆ～

ゆ～様。
こんばんは～。『うらいあん』お気に召していただけて、何よりです（＾＾）彼は絶対一番かっこいいと思うのですよ。なのに何でうちの受（ひどい違和感・・・『姫』なら分かる/笑）たちはヴァンツァーだのキニアンだの、ヘタレを選ぶのでしょうか・・・。ライアンはまだまだ引き出しいっぱい持ってそうで、書いていても楽しいです（笑）

キニアンが最後に弾いたのは、エルガーの『愛の挨拶』です。ベタ（笑）以前書いた『ファロット一家+α　inねずみー』で、カノンがリクエストしたのですよ。『メ○テレーニアン・ハーバーで愛を叫べないならこれを弾け！』と（笑）キニアンは、チェロを手にしているときには恥ずかしいことでも平気で出来ます。にっこり微笑んで「愛してるよ、カノン」とかも言えちゃいます（爆）ビバ・楽器！！（コラ）

をを！！　『マウスカレード』！！　何といかにも仮装っぽいネーミング（笑）さすがブラヴィッシーモの海です（笑）ふふふ。これは期待が高まりますね～（≧▽≦）
『うらいあん』、またネタが浮かんだら書きます。もし何かネタを思いついたら教えて下さい（＾＾）



拍手を下さった皆様、ありがとうございます。やはり、週に２日だったら仕事頑張れるのですよ（コラ）すごく、限られた時間の中で一生懸命やろう、って気になるのです。さ。リフレッシュ、リフレッシュ。