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「好きなの選んで」

と、シェラにすべてを委ねるかのような物言いをした男は、きらびやかな光を放つ宝飾品たちにも興味がないようであった。
戸惑うシェラに店員がさりげなく声を掛けてくれて少しほっとしたのだが、ここへシェラを連れてきたのはヴァンツァーで、何をしに来たのかも知らされていない。

「・・・ヴァンツァー」

どうしたらいいの？　と不安気な表情で訊ねると、呆れたような、小馬鹿にしたような目で見下された。
もう、見下されるのは身長差があるから仕方ないが、そんな頭の可哀想な子を見るような目に見なくてもいいじゃないか、とシェラはとても落ち込んだ。

「婚約指輪。適当に見繕ってくだ」
「──え、こ、婚約指輪？！」

店員に向けて言葉を発したヴァンツァーを遮るように、シェラの大きな声が店内に響く。

「・・・お前、煩い」

唾棄すべきものでも見るような藍色の瞳に、シェラはまたちいさくなった。

「ご・・・ごめんなさい・・・でも、婚約指輪って」
「必要なものらしいから──そうだろう、カーサ？」
「はい、坊ちゃま」

別に俺は要らないけど、という言葉が隠れていそうな台詞だったが、よく出来た執事はにこにこと微笑みをたたえている。

「他にも買い物行きたいなら、早く選んで」
「そ・・・そんなこと言われても・・・」

とても大事なことなのに、独断で決められるわけがない。
そう言ったシェラにヴァンツァーはどうでも良さそうな顔でこう言った。

「だって、この店にある指輪じゃ魔法使えないんだろう？」
「「──は？」」

シェラと店員の声が被った。
よく教育されているはずの店員までぽかん、とした顔になっているので、シェラの聞き間違いではないらしい。

「今クールのライダーは、指輪替えると違う魔法が使えるんだ」
「・・・・・・」
「でも正直、ライダーが魔法ってないよな。チートもいいところだ。でも魔法、いいなぁ」

この、女の子なら誰もが憧れるであろう宝飾店の商品には一切関心がないようなヴァンツァーだったが、『ライダー』の話をしている彼の瞳はきらきらと、それこそ宝石のように輝いている。
無駄に凄まじい美貌を誇る男性客が何語を話しているのかも分からない、という顔をしている店員に、シェラは「あはは」と渇いた笑いを向けた。

「ゆ、夢見がちな彼で困っちゃう☆」

てへ、と可愛らしい顔を作ってみせたシェラに、店員も若干引きつりそうになる顔にどうにか笑みを浮かべ、「ご婚約者様はピュアでらっしゃるんですね」とか何とか言っていた。

──無理過ぎるだろ、それ・・・。

心の中でシェラは突っ込んだ。
もちろん、ヴァンツァーに対しても心の中で、

──このコミュ障のニートが！！

と激しいツッコミを入れた。

「５時までに帰りたいから、早くして」
「──え？！　聞いてない！！」

何で？！　と問えば、『そんなことも知らないの？』という顔で、

「マギが始まっちゃうだろう？」

と言われた。

──・・・なんぞ、それ・・・。

「坊ちゃま。それならカーサめが録画しておきました」
「でも」
「今日は、坊ちゃまとの約束を守ったお嬢様にお付き合い下さい」
「・・・分かったよ」

明らかにぶすくれた顔をしていたが、そのときのカーサがシェラには大天使様のように見えたのだ。

──おじいちゃん天使、万歳！！

それからシェラは、「何でもいいよ」しか言わないヴァンツァーや自分の指にあれこれ指輪をはめてもらって、小１時間ほど悩みまくった。
けれど、それはとてもウキウキワクワク出来る、素敵な苦悩の時間だった。


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ほら、一歩前進したろ？（←どこが）

指輪買っちゃえば、ハネムーンまであとひと息だろ（笑）
相変わらずヴァンツァーは原形ないけど、でもいいの。一度固定概念を完璧に崩してしまわないと、新たなものは生み出せないのだ！！　・・・たぶん（コラ）

００：２１　初めましてというか、数年前、裏に入れないと問い合わせたきりですみません、何度も、原作と共に読み返して、楽しませていただいてます。
変身からピアノソナタまでの、ジュノーの瞳、夏祭り、を含めた一連と、ある夜の出来事が特に好きです。。。
そのあたりの、ふたりがくっつくまでの道のりが、長くて、長くて、そこがじれもた好きのツボにはまってしまって…
おかげで、いつのまにか、すっかりファンになってしまいました。
今では一家みんな、大好きです☆
カノキニならSea Side Storyが大好きで…カノンの、女王様なのに引き際を心得てたり、ちょっと遠慮が見えたり、そんなのがかわいくてしかたないです。

…さて…今回の５Ｗ１Ｈ、ヴァンツァーがすきなひと（シェラ）といちゃいちゃすればいい！と、図々しくいちゃいちゃを追加したものの、まさかの四つ子！！！
かわいくてかわいくて身悶えます。
かわいい…。
しかしあのですね、ぜひですね、ここはひとつ、第２位の裏を…龍族の成人までのみちのりをぜひ…！
子供たち、本当にかわいいのですが、やっぱり、どうしても、ヴァンシェラが好きで、続きを妄想してしまいます。。。
失礼と思いつつも言うだけならタダ！と突撃してみます、すみません。。。
そんなファンの戯言は置いておいて、今後とも、ご活動楽しみにしております。
（もちろんご無理の無い範囲で…！むしろいつも、どうやってお礼をすればいいかわからないくらい楽しませて頂いていて、ほんと図々しくてすみませ。。。）
時節柄、どうぞくれぐれもご自愛下さいませ。 by nodoka


nodoka様
おはようございます。最近はめっきり涼しくというか肌寒くなって、妄想の季節になりました（コラ）
『じれじれ』は聞いたことありましたが、『じれもた』って初めて聞きました（笑）確かに、あのふたりはじれもたですね。何が『もた』って、意外とヴァンツァーさんが奥手なことがいけないと思うんですよ。「さっさと押し倒せーーー！！」みたいな（笑）
先ほどちょうどアクセス解析の検索フレーズを見ていて『男子は好きな子になぜそっけなく無愛想になるのか』っていうのがあって笑いました。やはり思春期の情操教育がアレだったのがいけないのか・・・誑し込みの専門家でありながら、シェラ相手には小学生男子の心理というのが、まぁ、可愛いと思えなくもないような（笑）
いやー、『変身』とか『ピアノソナタ』とか懐かしい！　あの頃の『両片想い』な感じは私も好きです。ヴァンツァーさん、開き直ったら何かふてぶてしくて・・・なので、反動で最近は『可愛いヴァンツァー』を発掘する作業に取り掛かっています（笑）
カノンも、我ながら可愛い子を生み出したもんだ、と自慢に思っています（コラ）頭の良い子なので、色々先読みし過ぎて動けなくなってしまう、という。そこに超鈍感な──けれど、妙なところで核心をつく──キニアン君のボケと天然誑しが発揮され、ツンになってないツンデレラカノンが出来上がりました。あのふたりほんと並べて置いておきたい（コラ）

さてさて。『５W１H』、そうですよね。サイト的にはヴァンシェラのいちゃいちゃが１位であるべきですよね（笑）誰も予想していない結果になるのが、この試みの怖さというか、面白さというか（笑）シェラは普通に子沢山になってますが、まぁ、子どもたちはみんな可愛いので良しとしています。そして、ヴァンツァーにだけやさしくないシェラが結構好きです（笑）ヴァンツァーさんも、虐げられるの好きだし、需要と供給の一致です（コラ）
おお、龍族の成人！　あのロリコン疑惑の陰陽師との初夜ですね、なるほど（笑）楽しそうですね、それ。あのむっつり陰陽師が、どんな顔してろりきゅんシェラたんをオトナにするのか・・・じゅる・・・（コラ）最近全然裏を書いていないので、カノキニも書く予定ですし、一緒にアップ出来たらいいですねぇ（＾＾）ありがとうございます。


拍手を下さった皆様、ありがとうございます。眠いですが、今日も１日寝ないように頑張ります。え、頑張るところが違う？　むーん・・・じゃあ、妄想頑張ります（コラ）

では、皆様、良い１日を～。