小ネタや更新記録など。妄想の赴くままに・・・
小ネタ。ヴァンシェラしか出ないけど、子どもがいる設定なのでカテゴリはファロット一家で。
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「ファストファッションの隣にハイジュエラーっていうのが、どうも理解できん・・・」
休日で歩行者天国となった大通りは、多くの人で賑わっている。
百貨店、高級ブランド、老舗店が立ち並ぶ華やかなエリアに相応しく、抜群に美しい容姿をした銀色の天使の隣には、かつて「娼婦も裸足で逃げ出す」と言われた妖艶な美貌の男。
六人いる子どもたちもだいぶ育ってきたというのに、ふたりとも30代と言っても通るくらいに若々しい。
真っ直ぐ歩くのも大変なくらい人が多く歩いているのに、その大部分が彼らふたりを振り返り、ときに立ち止まってぽかん、としている。
「間口は広がる」
「──え?」
「ここ数年、観光客の増加が著しい。この街へ買い物に来るのは基本的に富裕層だが、安価な衣料品店やディスカウントストアが出来た辺りから、購買層が拡がった。お前が言うハイジュエラーも、ジュエリーだけを扱っているわけではない。ビル一棟をブランドカラーでラッピングすることで目も引くし、カフェを併設することで少しリッチなランチかディナーくらいの価格でラグジュアリーな体験ができる。ジュエリーには手が届かなくても、テーブルウェアやインテリアの類なら旅行の記念に買って行こうか、と思う客もいるだろう。結果、いかにも高級店が並ぶ界隈に店舗を出しているときにはドアをくぐりもしなかった客層が増えているはずだ」
「・・・・・・」
じーっと見上げてくる菫色の瞳に、ヴァンツァーは瞬きを返した。
「何だ?」
「すんごい真面目な答えが返ってきて驚いた」
たぶん褒められていないのだろうと思ったヴァンツァーは、外ではあまり浮かべることのない満面の笑みを浮かべた。
「──二棟とも買ってやろうか?」
中身もセットで、と言外に告げる夫に、シェラは一瞬眉を顰めたあと、ぱっと瞳を輝かせた。
「──ビルは要らないから、あの店でコーディネートしてくれ! 上から下まで!!」
シェラが指さしたのは、ビル丸ごとファストファッションの店だ。
品質は悪くない──悪くないが、彼らが仕事で扱っている衣服とは比較にならない。
案の定、嫌そうな顔になった男だったが、手を引けばついてくることをシェラはよく知っていた。
「さあ! 選べ!」
なぜか偉そうに片手を腰に、片手を店の中に差し出すシェラには何を言っても無駄だと、長い付き合いでよく知っている。
ショートカットよりも少し伸びたボブウルフの銀髪をポンポン叩き、ヴァンツァーは大きく開かれた入口から店内へ足を踏み入れた。
彼自身がスーパーモデルのように完璧な容姿なので、店内の老若男女すべてが唖然とした顔でその動きを追っている。
「迷わずウィメンズフロアに行くのはどうかと思う」
「上はともかく、男物のパンツだとお前の腰は細すぎる」
「ダボッと履くのも可愛い」
「ラインが汚い」
却下だ、と切り捨てたヴァンツァーは、デニムやストレッチパンツ、キュロットなどに軽く触れてはため息を溢した。
腕を組むフリで、シェラは「多少の手触りの悪さは我慢してやる」と耳打ちした。
分かっているなら引っ張り込むな、と言いたくなったヴァンツァーだが、手にしたものをシェラの腰に充てがった。
「──スウェット?」
思わず目をパチパチさせたシェラだ。
もっと『キチンと感』のあるものを選ぶと思っていた。
センタープレスされているので、生地の質感を無視すればシルエットは悪くない。
「次」
そしてヴァンツァーは、次のフロアへと移動した。
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こんな感じで、お買い物が続くよ。
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