小ネタや更新記録など。妄想の赴くままに・・・
私のことです(コラ)午前中から同僚が外出で、お昼ごはんお腹いっぱい食べたら眠くなってきたので、眠気覚ましに一発。ごはん食べてたら思い浮かんだ、ちっちゃい天使とおっきい天使とわんこのお話。
**********
「──アリスのばかっ!」
聴こえてきた大きな声に、ちいさな銀色の天使たちは顔を見合わせた。
そして、こてん、と首を傾げると、手にしていたお人形さんを床に置いて、声のする方へとてとて向かったのだった。
よいしょ、とドアを開けると、その向こうでは大好きなお兄ちゃんと、これまた大好きな大きいお兄ちゃんが、何やら言い争っているようだった。
大きいお兄ちゃんはコートを手にしているが、お兄ちゃんは腰に手を当ててぷりぷり怒っている。
「何で言ってくれないの?! ぼく聞いてないんですけど!」
「悪かったって。忘れてたんだよ」
「忘れてたって何?! それ、忘れるようなこと?!」
「だから、悪かったって」
呆れたような、困ったような大きいお兄ちゃんの声に、お兄ちゃんが余計に怖い顔をになるのを見て目をぱちくりさせる天使たち。
色違いの瞳は、とても不思議そうにふたりの様子を見上げている。
「アリスもうぼくのこと好きじゃなくなっちゃったんだ!」
「──はぁ?」
何の話だ、と言いたげな大きいお兄ちゃんに、更に罵りの言葉をぶつけようと口を開きかけ──。
「──あ、あーちゃん、りっちゃん?!」
服の裾を引かれたカノンは仰天して足元を見た。
「「あいっ」」
名前を呼ばれた天使ふたりは、元気にお返事をしてこくん、と頷いた。
しまった、という顔になったカノンは、それまでの勢いはどこへ行ってしまったのか、おろおろし、とても申し訳なさそうな顔になって妹たちの前にしゃがみ込んだ。
「ご、ごめんね・・・怖かったよね?」
この言葉に、天使たちは首を傾げた。
違う方向へ傾げたのでコツン、と頭がぶつかった。
顔を見合わせた天使たちは、今度は同じ方へ首を傾げたのであった。
「・・・あーちゃん? りっちゃん?」
「「こわくないよ」」
「──え?」
「こわくないよ」
「おにいちゃま、こわくないよ」
声を揃える妹たちに、目を丸くするカノン。
この妹たちは、人の悪意や怒りに敏感で、ちょっとしたことで泣きだしてしまったりもする。
少なくともこの子たちの前では心穏やかにいなくては、と心掛けていたカノンだったのだけれど。
「・・・でも、お兄ちゃん、怖いお顔してたでしょう・・・?」
ちびたちは気にして本人にはいいのか、とちょっとだけ思った『大きいお兄ちゃん』ことキニアンだったが、実はあまり腹を立ててはいなかった。
何せ、よくあることなのだ。
いちいち腹を立てていては身がもたない。
「んーん、こわくないよ」
「こわいおかおだったけど、こわくないよ」
「「ね~」」と顔を見合わせる天使たち。
「おにいちゃま、ふしぎ」
「ふしぎ」
きみたちの方がよっぽど不思議だよ、とは、カノンもキニアンも思ったのだが、首を傾げるに留めた。
すると、天使たちはこう声を揃えたのだ。
「「こわいおかおなのに、あーちゃんのことだいすきってゆってるの!」」
だからふしぎ、ね~、とまた顔を見合わせる天使たち。
「──なっ!」
対するカノンは首まで真っ赤になってしまった。
「ぼ、ぼくは!」
「──ぷっ」
否定しようとしたらちいさく吹き出す声が聴こえたので、思わずそちらを睨みつけた。
「アリス!」
「俺もちびたちに同感、かな」
「なっ」
よいしょ、と自分もしゃがみ込んだキニアンは、むっとしているカノンの顔を引き寄せ、ちゅっ、とちいさくキスをした。
「はい、仲直り」
「~~~~~っ!!」
余計に赤くなったカノンをおかしそうに見つめたキニアンは、今度はにっこり笑ってちいさな天使たちの頭を撫でた。
「仲良しだよな?」
「「──あいっ!」」
とても嬉しそうに笑って飛びついてくる天使たちを抱きとめ、カノンに視線を向ける。
悔しくて恥ずかしくて仕方ない、といった顔の恋人の頭も、よしよし、と撫でてやったのだった。
【おまけ】
「何でカノン怒ったわけ?」
ちびちゃんたちが「おにいちゃまがぷんぷんなの!」とか「でも、あーちゃんのこと、すきすき~なの!」とかいうのを小耳に挟んだソナタは、向かいに座っている兄に訊ねた。
「だってアリス酷いんだよ?! 食事行くのにお店の予約入れてたくせに、ぼくに言っておいてくれなかったんだから!」
「ふむふむ。──で?」
カフェオレ片手に、シェラお手製のクッキーに舌鼓を打つソナタ。
意識の3分の2はクッキーにある。
「で、って。それだけ」
「──はい?」
「だって酷いでしょう? 外食するなら、それなりの格好して行きたいし!」
「・・・・・・うん、そだね」
「シャワー浴びたり」
「・・・ご飯食べに行くんだよね?」
「一応! 必要なの!」
「あぁ、そうなのね?」
「用意するものだってあるし!」
「・・・身体ひとつでいいんじゃないの?」
「色々あるの!」
「そ、そうなんだ・・・」
よく分からん、と貼り付けたような笑みを浮かべたソナタ。
夫から、自分と一緒に外出するときは、ハンカチとリップだけ持っていればいいんだよ、と言い聞かせられていたソナタにはなかなか理解に窮する考えだった。
「予約の時間まであんまりないからすぐ出るとか言うんだもん!」
ほんと酷い! と憤慨している双子の兄。
「せっかくなら、お洒落して行きたかったのに・・・」
「いいじゃない。別に変な格好してなかったんでしょう?」
「ソナタまでアリスとおんなじこと言う!」
「へ?」
「着替えたいって言ったぼくのことチラッと見て、『可愛いからそれでいいよ』って!」
「・・・・・・」
「絶対思ってないよ、そんなこと!」
いや、絶対思ってたと思う、とはなぜか口に出せなかったソナタだった。
そしてその後延々、愚痴なんだか惚気なんだか分からない話を聞かされたのだった。
**********
更にその後やってきたシェラにも同じ話をしたとか。
おお、キニアン成長してるじゃないか、とんでもなく高みまで!(笑)
きっと、昼の演奏会終わった日の夜とかで、演奏会から帰ってきた足でそのまま出かけようとして怒られたに違いない。
はぁ、仕事がんばろう。
「──アリスのばかっ!」
聴こえてきた大きな声に、ちいさな銀色の天使たちは顔を見合わせた。
そして、こてん、と首を傾げると、手にしていたお人形さんを床に置いて、声のする方へとてとて向かったのだった。
よいしょ、とドアを開けると、その向こうでは大好きなお兄ちゃんと、これまた大好きな大きいお兄ちゃんが、何やら言い争っているようだった。
大きいお兄ちゃんはコートを手にしているが、お兄ちゃんは腰に手を当ててぷりぷり怒っている。
「何で言ってくれないの?! ぼく聞いてないんですけど!」
「悪かったって。忘れてたんだよ」
「忘れてたって何?! それ、忘れるようなこと?!」
「だから、悪かったって」
呆れたような、困ったような大きいお兄ちゃんの声に、お兄ちゃんが余計に怖い顔をになるのを見て目をぱちくりさせる天使たち。
色違いの瞳は、とても不思議そうにふたりの様子を見上げている。
「アリスもうぼくのこと好きじゃなくなっちゃったんだ!」
「──はぁ?」
何の話だ、と言いたげな大きいお兄ちゃんに、更に罵りの言葉をぶつけようと口を開きかけ──。
「──あ、あーちゃん、りっちゃん?!」
服の裾を引かれたカノンは仰天して足元を見た。
「「あいっ」」
名前を呼ばれた天使ふたりは、元気にお返事をしてこくん、と頷いた。
しまった、という顔になったカノンは、それまでの勢いはどこへ行ってしまったのか、おろおろし、とても申し訳なさそうな顔になって妹たちの前にしゃがみ込んだ。
「ご、ごめんね・・・怖かったよね?」
この言葉に、天使たちは首を傾げた。
違う方向へ傾げたのでコツン、と頭がぶつかった。
顔を見合わせた天使たちは、今度は同じ方へ首を傾げたのであった。
「・・・あーちゃん? りっちゃん?」
「「こわくないよ」」
「──え?」
「こわくないよ」
「おにいちゃま、こわくないよ」
声を揃える妹たちに、目を丸くするカノン。
この妹たちは、人の悪意や怒りに敏感で、ちょっとしたことで泣きだしてしまったりもする。
少なくともこの子たちの前では心穏やかにいなくては、と心掛けていたカノンだったのだけれど。
「・・・でも、お兄ちゃん、怖いお顔してたでしょう・・・?」
ちびたちは気にして本人にはいいのか、とちょっとだけ思った『大きいお兄ちゃん』ことキニアンだったが、実はあまり腹を立ててはいなかった。
何せ、よくあることなのだ。
いちいち腹を立てていては身がもたない。
「んーん、こわくないよ」
「こわいおかおだったけど、こわくないよ」
「「ね~」」と顔を見合わせる天使たち。
「おにいちゃま、ふしぎ」
「ふしぎ」
きみたちの方がよっぽど不思議だよ、とは、カノンもキニアンも思ったのだが、首を傾げるに留めた。
すると、天使たちはこう声を揃えたのだ。
「「こわいおかおなのに、あーちゃんのことだいすきってゆってるの!」」
だからふしぎ、ね~、とまた顔を見合わせる天使たち。
「──なっ!」
対するカノンは首まで真っ赤になってしまった。
「ぼ、ぼくは!」
「──ぷっ」
否定しようとしたらちいさく吹き出す声が聴こえたので、思わずそちらを睨みつけた。
「アリス!」
「俺もちびたちに同感、かな」
「なっ」
よいしょ、と自分もしゃがみ込んだキニアンは、むっとしているカノンの顔を引き寄せ、ちゅっ、とちいさくキスをした。
「はい、仲直り」
「~~~~~っ!!」
余計に赤くなったカノンをおかしそうに見つめたキニアンは、今度はにっこり笑ってちいさな天使たちの頭を撫でた。
「仲良しだよな?」
「「──あいっ!」」
とても嬉しそうに笑って飛びついてくる天使たちを抱きとめ、カノンに視線を向ける。
悔しくて恥ずかしくて仕方ない、といった顔の恋人の頭も、よしよし、と撫でてやったのだった。
【おまけ】
「何でカノン怒ったわけ?」
ちびちゃんたちが「おにいちゃまがぷんぷんなの!」とか「でも、あーちゃんのこと、すきすき~なの!」とかいうのを小耳に挟んだソナタは、向かいに座っている兄に訊ねた。
「だってアリス酷いんだよ?! 食事行くのにお店の予約入れてたくせに、ぼくに言っておいてくれなかったんだから!」
「ふむふむ。──で?」
カフェオレ片手に、シェラお手製のクッキーに舌鼓を打つソナタ。
意識の3分の2はクッキーにある。
「で、って。それだけ」
「──はい?」
「だって酷いでしょう? 外食するなら、それなりの格好して行きたいし!」
「・・・・・・うん、そだね」
「シャワー浴びたり」
「・・・ご飯食べに行くんだよね?」
「一応! 必要なの!」
「あぁ、そうなのね?」
「用意するものだってあるし!」
「・・・身体ひとつでいいんじゃないの?」
「色々あるの!」
「そ、そうなんだ・・・」
よく分からん、と貼り付けたような笑みを浮かべたソナタ。
夫から、自分と一緒に外出するときは、ハンカチとリップだけ持っていればいいんだよ、と言い聞かせられていたソナタにはなかなか理解に窮する考えだった。
「予約の時間まであんまりないからすぐ出るとか言うんだもん!」
ほんと酷い! と憤慨している双子の兄。
「せっかくなら、お洒落して行きたかったのに・・・」
「いいじゃない。別に変な格好してなかったんでしょう?」
「ソナタまでアリスとおんなじこと言う!」
「へ?」
「着替えたいって言ったぼくのことチラッと見て、『可愛いからそれでいいよ』って!」
「・・・・・・」
「絶対思ってないよ、そんなこと!」
いや、絶対思ってたと思う、とはなぜか口に出せなかったソナタだった。
そしてその後延々、愚痴なんだか惚気なんだか分からない話を聞かされたのだった。
**********
更にその後やってきたシェラにも同じ話をしたとか。
おお、キニアン成長してるじゃないか、とんでもなく高みまで!(笑)
きっと、昼の演奏会終わった日の夜とかで、演奏会から帰ってきた足でそのまま出かけようとして怒られたに違いない。
はぁ、仕事がんばろう。
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