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小ネタや更新記録など。妄想の赴くままに・・・
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なんとなく。


**********

「今度の土曜、暇か?」

長身美形、とことん目立つ容姿をしているくせに自分の外見にあまり興味のないアリス・キニアンは、木曜の休み時間にカノンの教室へとやってきた。
そして、廊下からカノンを呼び出し、そう訊ねたのだ。

「忙しい」

返ってきたのはそのひと言。
別に、カノンは不機嫌なわけではない。
キニアンの前だと3割増深夜料金で不機嫌だと専らの噂な銀色の天使だったが、週末は本当に用事があるのだ。

「そうか。分かった」

しかし、髪の毛ひと筋ほども表情を動かさず頷いた少年に、「ちょっと待て」と思ったのだった。

「それだけ?」
「え?」
「ぼく、今度の土曜は用事があるって言ったんだよ」
「分かってるよ」
「だからそうじゃなくてさ」
「何だよ」

普通に話しているときでも、天使の皮を被っていないカノンの物言いは若干きつくなる──もちろん、それはキニアンに対してのみだったが。
キニアンは、無愛想でつっけんどんな物言いが標準装備だ。
だから、このふたりの会話はデフォルトで喧嘩腰に見える。

「アリス、ぼくに用事があったんじゃないの?」
「だから誘ったんだろう?」

イラッ、とし始めたカノンだが、キニアンが本当に不思議そうな顔をして返事をしているものだから、余計に腹が立ってきた。

「その用事って何?」
「いいよ、別に。忙しいんだろう?」
「忙しいよ。シェラとソナタとデートなんだから」
「あぁ、それは楽しみだな」

これも、本気で頷いているのが分かるのだ。
それはカノンにとってシェラとソナタという存在が如何に大きな存在か理解しているからなのだが、むかっ、とくるものはむかっ、とくるのだ。
形の良い眉をきゅっと寄せて、カノンは腰に手を当てた。

「あのさ。アリスの用事って、デートのお誘いとかじゃないわけ?」
「・・・あー、まぁ、そうなるのか?」
「何で疑問形なの?」
「何怒ってるんだ?」
「怒ってないよ」
「怒ってるだろうが」
「怒ってないってば!」

食って掛かるような物言いに、びっくりしたクラスメイトたちであった。
あの、常に天使の微笑を浮かべているカノンが仔犬のように大木にじゃれついているように見えるのだから。
しかも、このふたりのすごいところは、『付き合っている』ということを公表こそしていないが、その言動からバレバレなのに気にもしていないところである。
女子からはあたたかく見守る視線と異様なまでの熱視線が、男子からはキニアンに対する怒りと羨望とが送られている。

「ぼくは温厚で人畜無害なの! キニアンなんかに怒るわけないでしょう?!」
「・・・どこから突っ込んでいいのか分からないんだが・・・とりあえず、休み時間終わるから、教室戻るわ」

そうして、何事もなかったかのように教室へと戻って行ったのである。

「・・・・・・むかつく」

可愛らしい唇から漏れる呪詛のような言葉と、天使のような少年の背中から立ち上る妖気に、クラスメイトたちはこのふたりが別れるかどうか、1週間分の学食でのランチを賭けたりするイケナイ高校生に変貌したのであった。


・・・続く、はず

**********

頼むよ、ミスタ・KY・・・あんたかっこつけのくせに鈍感も大概にしないと、おかーさんカノンを嫁に出せないわよ・・・・・・
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