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小ネタや更新記録など。妄想の赴くままに・・・
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かれ~は~(ハイ、ハイ)ひだりき~き~

そんなテンションで。


**********

「うー・・・」

難しい顔をして唸っているカノンに、キニアンは「どうした?」と声をかけた。
休日デートな本日、ふたりは映画を見たあと食事をしようと街を歩いていた。
車道側を歩いていたキニアンは、右側にいる頭半分ほど背の低い恋人を見下ろした。

「んーと、・・・我が儘、言ってもいい?」
「・・・・・・」

思わず固まったキニアンである。
この女王様がわざわざ『我が儘』だと切り出すのだから、何かとんでもないことに違いない。
困ったように眉を下げて上目遣いに見上げてくる顔はめちゃくちゃ可愛いのだが、それとは別の原因で心臓が煽っている。

「・・・な、何だ?」

ごくり、と喉を鳴らした彼に、カノンは「あのね」と切り出した。

「ぼく、左側歩きたいの」
「──へ?」
「左利きだから、左側に人がいると、疲れちゃうの」
「え、お前左利きなの?」
「うん」
「そっか・・・」

そう返したものの、困ってしまったキニアンである。
今現在、自分の左は車道で、そちらを歩かせるのは出来れば避けたい。
数瞬思いを巡らせ、こう言ってみた。

「・・・道、渡ってもいいなら、いいけど」
「え?」
「反対側の道。あっちでなら、場所変わるよ」
「別に、ぼく車道側でもいいけど。たいして車来ないし」
「俺が嫌なんだよ」
「かっこつけ」
「・・・煩いな」

唇を尖らせた長身の恋人に、カノンはくすくす笑った。

「じゃあ、手ぇ繋いでくれるならあっちでもいいよ」
「──は?!」

素っ頓狂な声を上げるキニアンに、カノンはにっこりと天使の微笑を向けた。

「手。繋いでくれないなら、あっちやだ。こっちで左側歩く」
「やだって、お前・・・」
「ぼくが車道側歩くのと、手を繋ぐのと、どっちがいい?」
「どっちって・・・」

悩んでいたキニアンだったが、とりあえず訊いてみた。

「・・・手、繋いだら・・・お前、嬉しいの?」
「え?」
「だから、嬉しいの?」
「うん。手繋ぐの好き」
「・・・そうかよ」

きらきらとした笑顔を向けられては、折れるしかないではないか。

こうして、ふたりはわざわざ道を渡って、仲良く手を繋いで歩いたのである。


**********

ほら。子ネタなら書けるんだよ。動けよ、ヴァンツァー・・・
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