小ネタや更新記録など。妄想の赴くままに・・・
大事ですよね。
そんなわけで、甘くもなんともない記念小説の鬱憤を晴らすように、カノキニ(笑)
そんなわけで、甘くもなんともない記念小説の鬱憤を晴らすように、カノキニ(笑)
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「ただいま」
1週間ぶりの我が家。
あまりこの惑星から離れての仕事は請けないようにしているのだが、今回は条件が良かった。
金銭的な面もさることながら、オケのメンバーが素晴らしかった。
あのメンバーに参加させてもらえるということは、とても名誉なこと。
だから、迷った末に参加を決めた。
意外と軽く女王様からのお許しをもらえたときは若干拍子抜けしたが、あのオケに参加できる興奮はちいさくなかった。
「カノン?」
出迎えてもらえるとは思っていなかったが、1週間ぶりなのだからもう少し会いたそうにしてくれてもいいのにな、と思うのは、自分の我が儘だろうか。
まだ20時前だから、眠ってしまっているということはないだろう。
リビングへ行くと、ソファから覗く銀色の頭。
「カノン、ただいま」
ソファ越しに後ろからきゅっと抱きしめれば「あー・・・うん・・・おかえり」という気のない返事。
手元には何だか分厚い書籍があって、それに目を通すことに夢中らしい。
ちょっとむっとして、開かれたページの上に手を置いた。
「──何すんの」
案の定、綺麗な顔を顰めて振り返る女王様。
「ただいま」
「おかえり、って言った」
「キスがまだだろう?」
言って唇を啄ばむと、大人しく受け止めてはくれたものの、唇が離れたところでこう言われた。
「ぼくが帰ってきたときは、言わないとしないくせに」
「そうだったか?」
「そうだよ」
何なの、と文句を言いながらも、顔は怒っていない。
そういうところが、可愛いなぁ、と思う。
「お風呂も沸いてるし、ご飯も冷蔵庫にあるから、好きにして」
「用意して待っててくれたのか?」
「アリスなんかついでだよ。ぼくがお風呂に入りたくて、お腹空いたからご飯も作ったの」
「ひとりで食べたのか?」
「食べた」
「俺、帰る時間言ってなかったっけ?」
「だから、お腹空いたの! 食べないならいいよ」
「食べるけどさ」
少し考える顔つきになったキニアンは、珍しくにっこり笑って提案した。
「一緒に食べよう」
「・・・人の話聴いてた?」
「お前は座ってるだけでいいよ。紅茶、淹れようか」
「何でぼくが」
「顔見てたいから」
「・・・・・・」
即答された言葉に、微かに白い頬が染まる。
やっぱり、可愛いなぁ、と思う。
「・・・楽しかった?」
「え?」
「コンサート。尊敬する人たちと、共演出来たんでしょう?」
「あぁ、うん。その話も、あとでするよ」
「・・・あっそ」
素っ気ない返事だけれど、カノンはソファから腰を上げた。
もう、本当に、こういうところがたまらなく可愛いと思う。
「ホントは、お前にも聴いて欲しかったんだけど・・・」
「そういう台詞は、まともに短調で演奏出来るようになってから言ってよね」
「じゃあ、今度は長調だけでプログラム組むよ」
「そういう問題じゃないでしょう」
馬鹿だなぁ、という瞳で見つめられているのだが、それすらも愛しくて仕方ないのだから、もう病気なのだろう。
病気ついでに、キニアンは言ってみた。
「──あとで、一緒に風呂入ろうか」
返ってきたのは、「馬っ鹿じゃないの?!」という台詞と、真っ赤になった可愛い顔だった。
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こういう展開は、記念小説では皆無です(笑)
あー。高校生カップルは平和だ。もうちょっと不穏な展開にしようと思ったんですけどね。カノンちゃんってば寂しがりだから。でも、書いているうちに平和になりました。だって飢えてるんだもん(笑)
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