小ネタや更新記録など。妄想の赴くままに・・・
ヴァンツァー、誕生日おめでとう。・・・1ヶ月半遅れだけどな(コラ)
心の底から君の幸せを祈っているよ。・・・ガチで今日の今日まで忘れてたけどな(オイ)
心の底から君の幸せを祈っているよ。・・・ガチで今日の今日まで忘れてたけどな(オイ)
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「「──パパはシェラのどこがすき?」」
次女と三女にそう訊ねられ、ヴァンツァーはパチパチと瞬きを返した。
そうして、にっこりと微笑んでこう言った。
「──全部」
本心以外の何ものでもなかったが、子どもたちには不評だった。
「「ひとつだけ!」」
アリアもリチェルカーレも、もちろんシェラのすべてが大好きだ。
けれど、四つ子のきょうだいたちは『一番探し』に興味のあるお年頃らしい。
「アリアはおかしつくってくれるところ!」
「リチェも!」
「ぼくは美味しいご飯作ってくれるところかなぁ」
女の子ふたりと次男坊は、食い気のようだ。
「フーガは?」
ヴァンツァーが訊ねると、三男坊ははにかむように笑った。
「・・・『フーちゃん』って、呼んでくれる声が好き」
やわらかく、穏やかに。
愛情を込めて名前を呼ばれるのが好きだという。
「「パパは?」」
アリアとリチェルカーレの色違いの瞳に見つめられ、ヴァンツァーは少し考えてからこう言った。
「──やさしいところ、かな」
これならいい? という風に視線で訊ねると、子どもたちの瞳が丸くなり、そしてキラキラと輝き出した。
「シェラ、やさしい!」
「シェラ、かわいい!」
「お料理上手!」
「お裁縫も!」
ヴァンツァーに抱きつき、それからそれから、と今度はたくさん『シェラの好きなところ』が飛び出してきた。
尽きることなく出てくる褒め言葉の数々を、ヴァンツァーは「うん、うん」と頷きながら笑顔で受け止めた。
キッチンで料理をしながらそんな家族の言葉を耳に入れ、シェラは思わず苦笑した。
「──私は、お前にやさしくしたことがあったか?」
そうして夕飯を食べ、子どもたちを風呂に入れ、寝かしつけて寝室へ戻ってきた男にこう訊ねたのだ。
訊かれた方はきょとん、とした顔になった。
「自分で言うもの何だが、私は素直じゃないし、そう可愛げがある方でもない」
ましてやこの男には悪態をつくばかりで、やさしいと思われるような態度を取っていただろうか、と。
本当に、自分でもどうかと思うのだが、それが正直な感想だ。
「子どもたちには穏やかに接するように心がけているが、お前には全然そんなことないしなぁ」
うーん、とベッドの中腕組みをして首を捻っているシェラに、ヴァンツァーはくすっと笑った。
この男のそんな表情が決して嫌いではないシェラは、じわり、と熱くなる頬を隠すように明後日の方を向いた。
「お前の一生かけて、俺を幸せにしてくれるんだろう?」
「──え?」
目の前に立った男を、思わず仰ぎ見る。
す、とヴァンツァーはそのままベッドの端に腰掛けた。
「俺に、『幸せにしてくれ』と言ってきた女は何人もいた」
「・・・・・・」
それはかつての仕事で演じた役割の中でのことで、ヴァンツァーは「あぁ、もちろん」と答えた。
「だが、『幸せにしてやる』と言われたのも、同じだけの気持ちを返したいと思ったのも、子どもたちを除けばお前だけだ」
「・・・・・・」
「『大事にしてくれるひとのことは、大事にしたい』、ソナタが言った言葉だ」
「・・・・・・」
「ひとは、与えられた想いを、返したいと考える生き物らしい」
さらり、と大きな手がシェラの髪を撫でた。
「だから、お前はやさしいよ」
ありがとう、と。
ささやき、震える唇を啄む。
「これからも、よろしく」
微笑む男に、シェラは潤んだ瞳を細めて見せた。
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だいぶ遅れたけど、おたおめ!(笑)
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