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小ネタや更新記録など。妄想の赴くままに・・・
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明日、当サイトは14歳になります。13周年はほとんど過去話の掲載で終わりましたが、14周年は移転するだけで終わる説(コラ)
せめて小ネタくらいは、思いついたときにちょこちょこ更新したいな、とは思っています。
おそらく明日も帰りは早くないと思いますので、フライングで申し訳ありませんが、小ネタをば。

ほんのちょっと前に書いたもんだと思っていた『竜と魔法使いシリーズ』ですが、なんと3年前の小ネタだったようで・・・ウソだろ?! と思わず叫びました。つい先日書いたはずなんですよ、これ。一瞬で日が過ぎていく・・・。


**********

竜は早熟だ。
その寿命は千年にも及ぶほどの長命だが、その分出生率が著しく低い。
ほとんどの竜は、一生のうちに1匹か2匹子を成せるかどうか。
兄弟が生まれるというのは非常に珍しい。
そんな竜にあって竜王の一族は多産で知られるが、シェラには兄がひとりきり。
それも、数百年ぶりに生まれた子だった。
竜王の家系だから、子は多い方が良い。
一途な竜に側室を持つという概念はなく、その存続が危ぶまれている。

「母は人間で・・・自分のせいではないかと感じていたようです」

7年の月日が流れ、シェラは美しく成長した。
銀の髪は背を覆うほどに長く、色白の肌の中で菫色の瞳が宝石のように輝いている。
手足はすんなりと長く伸び、わんわん泣きじゃくっていた幼子は傾国の美姫となった。

「分かっています。母に非はありません。父にあるわけでもないのでしょう。子というものは授かりものだと聞きました。母は強いひとです。明るく、豪胆な性格でもあります。けれど、私が生まれるまでは針の筵で暮らしているようだったのではないかと、今なら想像できます」

だから、とシェラは言葉を続ける。

「──子作りをしましょう!」
「──断る」

冷ややかな視線で言い切った男は、昼食後の居間を出て行った。
残された美貌の竜は、悄然とした様子で肩を落としている。

「・・・何がいけないのでしょう」

もう100回は断られている。

「私は、あのひとの好みからかけ離れているのでしょうか」

昔のように泣かなくはなったが、じんわりと涙が浮かぶのは止められない。
美少女──便宜上──がしょんぼりしている様子は、男ならば慰めたくなる風情であるが、シェラの前にいる竜と竜騎士は頭を抱えていた。

「・・・僕たち、子育て方法を間違えたみたい」
「素直に真っ直ぐ育てたつもりだったが」
「率直過ぎだよ」

何やら小声でボソボソ話しているふたりを見て、シェラは首を傾げた。

「リィ? ルウ?」

竜神様、騎士様という呼び方は、一緒に暮らすようになってすぐに改められた。
本人たちが希望したからだ。
シェラの首に嵌められた魔力封じの首輪は外され、竜王宮へ連絡も取った。
王宮へ送り届けると言ったヴァンツァーに、王と王妃は首を振った。
自分たちの手元に置いていたのでは、必要以上に甘やかしてしまう。
シェラが攫われたのも、乞われるままに与えた天馬が原因だった。
王も王妃も、その飛行能力は竜族で1、2を争うほどであったが、不幸なことにふたりとも公務で城にいなかった。
厚かましい願いではあるが、ただただ甘やかして育てるよりも、自給自足の生活を送り、竜騎士になった青年共々鍛えて欲しい──更につけ加えるならば、王宮にいるよりも、竜神とその騎士が張った結界内にいる方が安全というのもあった。

「・・・おふたりも、ヴァンツァーも・・・迷惑ですか?」
「迷惑?」
「おれたちが?」
「だって・・・私はもう成人しました。それなのにおふたりの住処に居座って、ヴァンツァーは・・・頭を撫でる以外、何もしてくれません」

美しいものが好きな竜族の中でも、竜王の一族は美形揃いだ。
幼い頃から蝶よ花よと育てられたシェラも、自分の見た目は悪くないのだろうと自覚していた。

「成人って言っても、きみまだ発情期来てないんでしょう?」
「──発情期、ですか?」
「そう焦ることもないんじゃない? ヴァンツァーはきみを嫌っているわけではないよ」
「むしろ過保護というか・・・自分は保護者だ、っていう自覚が強すぎるというか」
「そこです!」

リィの言葉に、シェラは困惑した顔つきになった。

「裸で迫っても、『腹を壊すぞ』と言ってパジャマを着せられてしまうんです!」
「「・・・・・・」」
「子作りがしたいんだと言っても、先程のようだったり、大きくなったらと言ったり・・・私はもう16です! 身長も伸びましたし、鱗も生え揃いました! 見た目が気に入らないのでなければ、私はどうすれば・・・!」

これには「う~ん」と首を捻ったルウである。

「それは、待つしかないんじゃないかなぁ?」
「待つ・・・?」
「彼の中できみはまだ、ちいさな子どものままなのかも知れない」
「そんな・・・」
「彼の母親は、娼婦だったらしい。年端の行かない子どもや女性に無体を強いるのは、許せないことなんじゃないかな」
「・・・私が、望んでいても・・・?」
「だから、彼の心の整理がつくまで、待ってあげて」

諭されたシェラは、居間を後にした。
ヴァンツァーと寝起きしている部屋へ行くと、そこには先に戻った男の姿があった。

「あの、ヴァンツァー・・・私・・・」

ごめんなさい、と言おうとした途端、カクン、と膝から力が抜けた。

「──シェラ?」

慌てた様子で近寄ってきて、手を貸してくれる。
やさしい人なのだ。

「ヴァン、ツァー・・・」
「シェラ、だいじょ」
「──すき」
「・・・」
「すき・・・」

想いを告げるうち、シェラは鳩尾のあたりが痛いような、むず痒いような感覚になるのを感じて手をあてた。

「あ・・・?」

そこからすぐに、もっと下にもその感覚が移っていった。
全身が、どんどん熱くなっていく。

「なに・・・これ・・・」
「シェラ、お前」
「や・・・ヴァンツァー、こわ・・・」

ほろり、と大粒の涙が零れて、床に落ちる前に石となった。

「怖い・・・こわ・・・ヴァンツァー」
「・・・・・・」

助けを求めて縋りつくと、ほんの少しの躊躇いのあと、きつく抱き返された。

「・・・ヴァンツァー?」

いつも頭を撫でてくれたり、夜眠るときに抱きしめてくれるのとは違う感覚。
息苦しさすら感じるほどの抱擁に、身体の熱はもっとひどくなっていった。

「ヴァンツァー、あつい・・・」
「あぁ」
「こわい・・・」
「・・・大丈夫だ、シェラ」
「こわい・・・ヴァンツァー・・・すき・・・」

言っていることがおかしいという自覚はシェラにもあったが、抱きしめてくれる腕が心地良かったから肩口に頬を擦り寄せて甘えた。

「すき、ヴァンツァー」

涙を湛えた目で見つめられ、ヴァンツァーは白い額に唇を落とした。
初めての行為に、シェラは嬉しくなって「ふふっ」と笑った。
全身に廻る熱はひどくなる一方だったが、この触れ合いは心地良かった。

「もっと・・・もっと、して?」

潤んだ菫色の瞳は宝石よりも美しく、薔薇色に染まった頬はやわらかい。
もう仔竜とは呼べないほどに成長したシェラは、それでも昔と変わらず一心に慕ってくれる。

「ヴァンツァー、もっと」

ささやいてくる唇に己の唇を寄せ、触れ合う──寸前。

「きゃっ」

勢いよく抱き上げられたシェラは、早足で、しかし足音ひとつさせずに歩く男によって寝台に運ばれた。

「ヴァン」
「休んでいろ」
「え」
「少ししたら戻る。休んでいろ」

それだけ言うと、男は部屋から出ていった。


**********

小ネタでおっ始めるわけにはいかなかったので(コラ)続きはWebで。
全然プレ14周年に相応しいネタだとは思えないのですが、まぁ、そこは橘なので大目に見てやってください。

これだけ書くのに6時間以上かかってる・・・。


こんなダメ物書きではありますが、また1年どうぞよろしくお願いいたします。
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