小ネタや更新記録など。妄想の赴くままに・・・
本気で、気分転換しないと仕事にならん・・・
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流れてくるエンドロールに、双子は「ほぅ」と息を吐いた。
ソファではなく床に座り、じっと画面を食い入るように見つめていたからか、肩からすっと力が抜ける。
その微かな呼気が耳に入ったのか、「どうした?」と声を掛ける美貌の男。
「おじいちゃま・・・」
「グランパ・・・」
振り返った双子の孫たちが泣きそうに眉を下げていて、サリエラ・ファロットはソファの上から手を伸ばし、銀と黒の髪を撫でてやった。
仔猫が甘えるようにされるがままになっていた双子だが、再度悲しげな表情の理由を訊ねられて顔を見合わせた。
「・・・何て言うか・・・ね?」
ソナタが口を開けば、
「・・・うん、残念な感じ・・・」
カノンが頷く。
僅かに首を傾げたサリエラだ。
流れるエンドロールとエンディング曲を歌うルウの声よりも、孫たちのこの表情が気になる。
「残念? 映画が終わったことがか?」
かなり長い映画だったが、じっと集中して画面を見ていた双子だ。
ハッピーエンドとはいえ、終わってしまったことが悲しいのかも知れない。
しかし、サリエラの思惑とは裏腹に、双子はふるふると首を振った。
「違うの・・・」
「映画は・・・お話は、すごく良かったの・・・」
だったら何なのだろう? とまたもや内心首を捻ったサリエラに、双子は盛大なため息を吐いた。
そうして、口を揃えたのである。
「「──どうして、シェラのことが好きだと自覚した途端、ヘタレるんだろう・・・・・・」」
これ以上嘆かわしいことなどない、と言い切る悲痛な表情。
思わず目を丸くした大好きな祖父に、カノンとソナタはきゅっと抱きついた。
「ねぇー、おじいちゃまー。どうして最後までパパのカッコ良さが保たなかったのー?」
ソナタがうるうると藍色の瞳に涙を浮かべて訴える。
「おかしいよー。途中までは、父さんとは思えないくらい余裕のある超絶美形のクールな男だったんだよー?」
それがどうして、どういうわけで、いつの間に『ぼくシェラ大好き♪』な駄犬に成り下がってしまったのか、と本気で心底嘆くカノン。
「私、あのパパだったら、シェラのことを好きでもカッコ良いままでいられると思ったのにー」
「ぼく、あの父さんだったら抱かれてもいいと思ったのにー」
ううう、と泣き崩れる双子に挟まれ、さすがのファロット伯爵も困惑顔だ。
タイミング良くドアの開いた気配に振り返り、現れた人物にSOSの視線を送る。
きょとん、としていたシェラだったが、心得たように三人の下へと向かった。
「カノン、ソナタ。どうしたの?」
大好きな、大好きなシェラの声に、がばりっ、と顔を上げる双子。
本当にその宝石のような瞳が涙に濡れていて、シェラも驚いた。
「~~~~~、シェラーーーーー!」
「シェラーーーーー!」
飛びついてきた双子をどうにか受け止めたシェラは、涙の理由を聞き、思わず苦笑した。
赤くなった頬を撫でてやると、ゴロゴロとそこに頬を擦りつける双子。
「今のヴァンツァーは、嫌い?」
訊ねられて、押し黙る。
そうして、随分長い沈黙の後で、双子は口を開いた。
「「・・・シェラは、今、幸せですか・・・」」
何だかぶっきらぼうなその口調──実際、唇も尖っている──に、シェラはくすくすと笑みを返した。
「うん。幸せだよ」
カノンもソナタもいるしね、と言えば、顔を見合わせた双子はこれまた特大のため息を漏らした。
「じゃあいいです」
「シェラが幸せなら、それでいいです」
「えぇ? カノンとソナタは?」
「「──シェラが幸せなら、それだけで幸せです」」
若干不満が感じられるものの、双子が心からそう思っていることは間違いなく。
「うん。たぶんね──」
言葉を切ったシェラの話をしっかり聞こうと、耳を澄ます。
「ヴァンツァーも、そう思ってると思うんだ」
にっこり笑った天使の美貌に、双子は脱力した。
──何だかんだ言って、シェラは夫のことを心から愛しているのだ。
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平和、平和。さ、仕事だ。
流れてくるエンドロールに、双子は「ほぅ」と息を吐いた。
ソファではなく床に座り、じっと画面を食い入るように見つめていたからか、肩からすっと力が抜ける。
その微かな呼気が耳に入ったのか、「どうした?」と声を掛ける美貌の男。
「おじいちゃま・・・」
「グランパ・・・」
振り返った双子の孫たちが泣きそうに眉を下げていて、サリエラ・ファロットはソファの上から手を伸ばし、銀と黒の髪を撫でてやった。
仔猫が甘えるようにされるがままになっていた双子だが、再度悲しげな表情の理由を訊ねられて顔を見合わせた。
「・・・何て言うか・・・ね?」
ソナタが口を開けば、
「・・・うん、残念な感じ・・・」
カノンが頷く。
僅かに首を傾げたサリエラだ。
流れるエンドロールとエンディング曲を歌うルウの声よりも、孫たちのこの表情が気になる。
「残念? 映画が終わったことがか?」
かなり長い映画だったが、じっと集中して画面を見ていた双子だ。
ハッピーエンドとはいえ、終わってしまったことが悲しいのかも知れない。
しかし、サリエラの思惑とは裏腹に、双子はふるふると首を振った。
「違うの・・・」
「映画は・・・お話は、すごく良かったの・・・」
だったら何なのだろう? とまたもや内心首を捻ったサリエラに、双子は盛大なため息を吐いた。
そうして、口を揃えたのである。
「「──どうして、シェラのことが好きだと自覚した途端、ヘタレるんだろう・・・・・・」」
これ以上嘆かわしいことなどない、と言い切る悲痛な表情。
思わず目を丸くした大好きな祖父に、カノンとソナタはきゅっと抱きついた。
「ねぇー、おじいちゃまー。どうして最後までパパのカッコ良さが保たなかったのー?」
ソナタがうるうると藍色の瞳に涙を浮かべて訴える。
「おかしいよー。途中までは、父さんとは思えないくらい余裕のある超絶美形のクールな男だったんだよー?」
それがどうして、どういうわけで、いつの間に『ぼくシェラ大好き♪』な駄犬に成り下がってしまったのか、と本気で心底嘆くカノン。
「私、あのパパだったら、シェラのことを好きでもカッコ良いままでいられると思ったのにー」
「ぼく、あの父さんだったら抱かれてもいいと思ったのにー」
ううう、と泣き崩れる双子に挟まれ、さすがのファロット伯爵も困惑顔だ。
タイミング良くドアの開いた気配に振り返り、現れた人物にSOSの視線を送る。
きょとん、としていたシェラだったが、心得たように三人の下へと向かった。
「カノン、ソナタ。どうしたの?」
大好きな、大好きなシェラの声に、がばりっ、と顔を上げる双子。
本当にその宝石のような瞳が涙に濡れていて、シェラも驚いた。
「~~~~~、シェラーーーーー!」
「シェラーーーーー!」
飛びついてきた双子をどうにか受け止めたシェラは、涙の理由を聞き、思わず苦笑した。
赤くなった頬を撫でてやると、ゴロゴロとそこに頬を擦りつける双子。
「今のヴァンツァーは、嫌い?」
訊ねられて、押し黙る。
そうして、随分長い沈黙の後で、双子は口を開いた。
「「・・・シェラは、今、幸せですか・・・」」
何だかぶっきらぼうなその口調──実際、唇も尖っている──に、シェラはくすくすと笑みを返した。
「うん。幸せだよ」
カノンもソナタもいるしね、と言えば、顔を見合わせた双子はこれまた特大のため息を漏らした。
「じゃあいいです」
「シェラが幸せなら、それでいいです」
「えぇ? カノンとソナタは?」
「「──シェラが幸せなら、それだけで幸せです」」
若干不満が感じられるものの、双子が心からそう思っていることは間違いなく。
「うん。たぶんね──」
言葉を切ったシェラの話をしっかり聞こうと、耳を澄ます。
「ヴァンツァーも、そう思ってると思うんだ」
にっこり笑った天使の美貌に、双子は脱力した。
──何だかんだ言って、シェラは夫のことを心から愛しているのだ。
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平和、平和。さ、仕事だ。
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