小ネタや更新記録など。妄想の赴くままに・・・
恐ろしく眠いです。今日は早く寝ようかしら・・・無理だな。
さて、公式でヴァンツァーがデレてくれたので、これでうちもおおっぴらにデレさせることが出来るというもの(コラ)あれ以上にデレたらどうなるのか、ちょっと限界に挑戦。『デレ』と『らぶ』は違うのか??? 検証(嘘)
さて、公式でヴァンツァーがデレてくれたので、これでうちもおおっぴらにデレさせることが出来るというもの(コラ)あれ以上にデレたらどうなるのか、ちょっと限界に挑戦。『デレ』と『らぶ』は違うのか??? 検証(嘘)
**********
──もう、かれこれ10分はこうしている。
どうしたものか、とシェラは吹き抜けの高い天井を仰いだ。
ソファよりもあたたかく自分を受け止めている『椅子』は、先ほどから規則正しい呼吸を繰り返している。
端的に言ってしまえば、『寝ている』のだ。
シェラを膝の上に乗せ、背中から軽く抱きしめながら、すーすーと静かな寝息を立てている男。
おそらく熟睡しているのだろう様子に、退いてしまっても気づかれないかな、と思いはするものの、起こしてしまったら気の毒かも知れない、と考える程度には、シェラは相手のことを気遣っていた。
面倒くさい男だなぁ、とは思うし、さして丈夫でもない堪忍袋の緒が切れそうになることなどしょっちゅうだったが、なんだかんだ一緒にいる。
不思議だ。
実に不思議だ。
まったくもって意味が分からない。
行者だった頃から、この男には苛々させられっぱなしなのだ。
何の気配もさせずに人の背後は取るわ、渾身の一撃は軽く止められるわ、コーラルでは偶然というにはあまりにも高い確率で顔を合わせた。
顔を合わせた理由が、この男がこちらを狙ってきてのことならばまだいい。
しかし、本当に偶然顔を合わせるのだ、ご近所さんに会うように。
おかしいではないか。
確かに、この男は自分の命を狙うためにコーラルに乗り込んできて、同じ国の城下町にいるのだから顔を合わせることくらいあるだろう。
しかし、仕事は他にもあるだろうし、ちょっと偶然にしては確率高いんじゃないの? と思ったわけだ。
別に見たくもない顔なのに、何万という人間の住む街で月に2、3度も顔を合わせれば十分すぎるだろう。
そして、顔を合わせるたびに険悪な雰囲気になったのだ──少なくとも、シェラは。
「・・・おい、好ましい要素がひとつもないぞ、これ」
はた、と気づいてシェラは思わず呟いてしまった。
ちょっと待て、冷静に考えよう。
何で自分はこの男と一緒にいるんだ?
いや、もうそれはいい、それは500歩くらい譲っていいことにするが、別に今こうして膝の上に乗ってやってることはないんじゃないか?
だって、こんな場面を子どもたちはともかくその彼氏たちにでも見られたらどうするんだ。
たぶん誰もどうもしないし、何も思わないと思う、というツッコミを入れてくれる親切な人間はこの場にいなかった。
だから、シェラは『どうしよう、どうしよう、やっぱり退いちゃってもいいかな。だってだって、よくよく考えたらこの体勢すごく恥ずかしくないか?!』と悩み出した。
──くすくす。
微かな振動に、シェラははっとした。
「・・・起きたのか」
「起きてた」
「──は?」
「お前が、どういう反応するかな、と思って」
「・・・何だと?」
「こうやって抱きしめて、そのまま俺が寝てしまったら、退くかな、それともそのままここにいてくれるかな、と」
静かな口調でそう言った男は、そのまま腕に力を込めた。
「──・・・いてくれた」
すり、と背中に頭を擦りつける様子が猫のようだ。
同じネコ科でも、昔は黒豹のような男だった。
大型で、面倒くさがりで、けれど誰よりも俊敏で鋭い爪を持った、そんな男だったのだ。
飼われることをよしとせず、けれどそれを甘んじて受け入れるしかない己を厭っていた。
そんな危うさと退廃的な雰囲気を醸し出す、危険な男だったというのに。
──・・・誰だ、この男を『抜身の刃』とか言ったヤツは。
他ならぬシェラ自身なのだが、きっともう覚えてはいないだろう。
人格障害か、というくらい人が違うのだからそれも仕方のないことだ。
「起きたなら、さっさと離せ」
「なぜ?」
「な・・・?」
「理由がない」
「私が離せ、と言っているのが理由だろうが」
「俺には離してやる理由がない」
「・・・・・・お前、馬鹿だろう」
はぁぁ、と大きくため息を吐いたシェラは、わざと背後の男に体重をかけてやった。
文句を言うどころか嬉しそうに抱きしめられて、シェラは嘆息した。
「眠いならベッドで寝ればいいだろうが」
「眠くない」
「嘘吐け。子どもみたいにあったかい手してるくせに」
「お前も一緒だったら寝る」
「この状態でそんな台詞を言えるのが、お前のすごいところだよ」
「ありがとう」
「分かってると思うが、1ミクロンも褒めてないぞ」
「知ってる」
また、すり、と背中に頭が擦りつけられる。
何度目になるか分からないため息を吐いたシェラは、「おい」とこの男に対してだけ取る非常に男前な態度で声を掛けた。
「元行者としての私の矜持が、この体勢は嫌だと言っている」
「だろうな」
「分かっててやってるところ非常に申し訳ないんだが、やめないなら退くぞ」
「・・・それは困る」
む、と眉が寄せられたのが、背を向けていても分かる。
なぜ困るのかシェラにはさっぱり分からなかった。
もう20分近くもこうしているのだから、いい加減飽きるだろうに。
「だったらどうにかしろ」
「・・・・・・」
それからたっぷり30秒ほど考えたらしい男は、こう言った。
「向かい合わ」
「──却下」
「・・・なぜだ」
「ならば問おう。──なぜそれが通ると思った」
「後ろがダメならまえ」
「──お前ほんと馬鹿だろ」
話にならん、と痛む頭を抱えたシェラは、腰を捻ってヴァンツァーに顔を向けると、相手の頬を両手でぐいっと挟んで睨むように見つめた。
「いいか、よく聞け・・・って、なぜ瞳を輝かせる」
「え、だってキス」
「──するか! お前ほんとぶっ飛ばすぞ!」
現在3つ、実年齢ではおそらく6つは年上のはずの男のあまりの馬鹿さ加減に、シェラは何かを呪いたくなった。
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軽くこんな感じ。デレでもらぶでもなく、馬鹿でした。
──もう、かれこれ10分はこうしている。
どうしたものか、とシェラは吹き抜けの高い天井を仰いだ。
ソファよりもあたたかく自分を受け止めている『椅子』は、先ほどから規則正しい呼吸を繰り返している。
端的に言ってしまえば、『寝ている』のだ。
シェラを膝の上に乗せ、背中から軽く抱きしめながら、すーすーと静かな寝息を立てている男。
おそらく熟睡しているのだろう様子に、退いてしまっても気づかれないかな、と思いはするものの、起こしてしまったら気の毒かも知れない、と考える程度には、シェラは相手のことを気遣っていた。
面倒くさい男だなぁ、とは思うし、さして丈夫でもない堪忍袋の緒が切れそうになることなどしょっちゅうだったが、なんだかんだ一緒にいる。
不思議だ。
実に不思議だ。
まったくもって意味が分からない。
行者だった頃から、この男には苛々させられっぱなしなのだ。
何の気配もさせずに人の背後は取るわ、渾身の一撃は軽く止められるわ、コーラルでは偶然というにはあまりにも高い確率で顔を合わせた。
顔を合わせた理由が、この男がこちらを狙ってきてのことならばまだいい。
しかし、本当に偶然顔を合わせるのだ、ご近所さんに会うように。
おかしいではないか。
確かに、この男は自分の命を狙うためにコーラルに乗り込んできて、同じ国の城下町にいるのだから顔を合わせることくらいあるだろう。
しかし、仕事は他にもあるだろうし、ちょっと偶然にしては確率高いんじゃないの? と思ったわけだ。
別に見たくもない顔なのに、何万という人間の住む街で月に2、3度も顔を合わせれば十分すぎるだろう。
そして、顔を合わせるたびに険悪な雰囲気になったのだ──少なくとも、シェラは。
「・・・おい、好ましい要素がひとつもないぞ、これ」
はた、と気づいてシェラは思わず呟いてしまった。
ちょっと待て、冷静に考えよう。
何で自分はこの男と一緒にいるんだ?
いや、もうそれはいい、それは500歩くらい譲っていいことにするが、別に今こうして膝の上に乗ってやってることはないんじゃないか?
だって、こんな場面を子どもたちはともかくその彼氏たちにでも見られたらどうするんだ。
たぶん誰もどうもしないし、何も思わないと思う、というツッコミを入れてくれる親切な人間はこの場にいなかった。
だから、シェラは『どうしよう、どうしよう、やっぱり退いちゃってもいいかな。だってだって、よくよく考えたらこの体勢すごく恥ずかしくないか?!』と悩み出した。
──くすくす。
微かな振動に、シェラははっとした。
「・・・起きたのか」
「起きてた」
「──は?」
「お前が、どういう反応するかな、と思って」
「・・・何だと?」
「こうやって抱きしめて、そのまま俺が寝てしまったら、退くかな、それともそのままここにいてくれるかな、と」
静かな口調でそう言った男は、そのまま腕に力を込めた。
「──・・・いてくれた」
すり、と背中に頭を擦りつける様子が猫のようだ。
同じネコ科でも、昔は黒豹のような男だった。
大型で、面倒くさがりで、けれど誰よりも俊敏で鋭い爪を持った、そんな男だったのだ。
飼われることをよしとせず、けれどそれを甘んじて受け入れるしかない己を厭っていた。
そんな危うさと退廃的な雰囲気を醸し出す、危険な男だったというのに。
──・・・誰だ、この男を『抜身の刃』とか言ったヤツは。
他ならぬシェラ自身なのだが、きっともう覚えてはいないだろう。
人格障害か、というくらい人が違うのだからそれも仕方のないことだ。
「起きたなら、さっさと離せ」
「なぜ?」
「な・・・?」
「理由がない」
「私が離せ、と言っているのが理由だろうが」
「俺には離してやる理由がない」
「・・・・・・お前、馬鹿だろう」
はぁぁ、と大きくため息を吐いたシェラは、わざと背後の男に体重をかけてやった。
文句を言うどころか嬉しそうに抱きしめられて、シェラは嘆息した。
「眠いならベッドで寝ればいいだろうが」
「眠くない」
「嘘吐け。子どもみたいにあったかい手してるくせに」
「お前も一緒だったら寝る」
「この状態でそんな台詞を言えるのが、お前のすごいところだよ」
「ありがとう」
「分かってると思うが、1ミクロンも褒めてないぞ」
「知ってる」
また、すり、と背中に頭が擦りつけられる。
何度目になるか分からないため息を吐いたシェラは、「おい」とこの男に対してだけ取る非常に男前な態度で声を掛けた。
「元行者としての私の矜持が、この体勢は嫌だと言っている」
「だろうな」
「分かっててやってるところ非常に申し訳ないんだが、やめないなら退くぞ」
「・・・それは困る」
む、と眉が寄せられたのが、背を向けていても分かる。
なぜ困るのかシェラにはさっぱり分からなかった。
もう20分近くもこうしているのだから、いい加減飽きるだろうに。
「だったらどうにかしろ」
「・・・・・・」
それからたっぷり30秒ほど考えたらしい男は、こう言った。
「向かい合わ」
「──却下」
「・・・なぜだ」
「ならば問おう。──なぜそれが通ると思った」
「後ろがダメならまえ」
「──お前ほんと馬鹿だろ」
話にならん、と痛む頭を抱えたシェラは、腰を捻ってヴァンツァーに顔を向けると、相手の頬を両手でぐいっと挟んで睨むように見つめた。
「いいか、よく聞け・・・って、なぜ瞳を輝かせる」
「え、だってキス」
「──するか! お前ほんとぶっ飛ばすぞ!」
現在3つ、実年齢ではおそらく6つは年上のはずの男のあまりの馬鹿さ加減に、シェラは何かを呪いたくなった。
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軽くこんな感じ。デレでもらぶでもなく、馬鹿でした。
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