小ネタや更新記録など。妄想の赴くままに・・・
いやー、ついついようつべでロストキャンバスの動画を探してしまいました。とりあえず、端からローカルに落としているんですが、やはりアルバフィカVSミーノスは観ておかないと、という使命感に駆られて観ました。やー、泣いたね。でも、アルバフィカの死に直接泣いたわけじゃないんです。彼を慕う、少女の涙に心が震えました。
以下、シナリオを書き起こすので、いつものことですけど長いです(笑)興味ない方は全力スルーでお願いします。橘のいつものビョーキです。
以下、シナリオを書き起こすので、いつものことですけど長いです(笑)興味ない方は全力スルーでお願いします。橘のいつものビョーキです。
**********
サンクチュアリの傍に、ロドリオ村というのがあって。その村に、アガシャという少女が住んでいます。ある日、教皇へ花を届けようとしていた彼女は、突然の雨に降られます。雨脚の強さに花が散ってしまうのではないか、と危惧しながら先を急いでいました。そこへ、ふわり、と頭の上から外套がかけられました。真っ白な外套の隙間から、黄金に輝く聖衣。顔を上げた彼女の前には、髪の長い魚座の黄金聖闘士・アルバフィカの姿が。礼を言おうと駆け寄る少女に、「わたしに近寄るな」と言うアルバフィカ。
父親にその話をし、「お礼を言おうとしただけなのに」とむくれていた少女ですが、父親は
「あの方は、ご自身のお身体それ自体が、人の害になると思っていらっしゃる」
と諭します。「長年の耐毒の修行のせいで、血が毒に染まっているらしいんだ」、だから、その血が人を傷つけるのを恐れて人を寄せ付けないのだ、と言われ、少女は得心しました。
・・・そうだ、冷たい方が、雨に濡れている自分にわざわざ外套を貸して下さるはずがない。
数日後、マントを返しに行こうとしたアガシャは、直接は受け取ってもらえないかも知れないと言う父親に「いいの」と笑みを浮かべます。
「お強い方なんだ、おやさしい方なんだと・・・少しでも、お伝えしたいな。敬意でも、感謝でも、何か少しでも」
その美しさゆえに人々から慕われることも多いアルバフィカが、自らの体質ゆえに人を避けなければならない寂しさと、それ以上に彼の気高さ、やさしさを感じることが出来た喜びに、彼女は孤高の聖闘士を慕うようになります。
その後冥王ハーデスが復活し、その配下である冥闘士(スペクター)が女神アテナのいるサンクチュアリへと乗り込んできます。そこには、冥界3巨頭のひとりであるミーノスの姿も。配下を引き連れてサンクチュアリを目指すミーノスたちの行く手を阻むように、辺り一面に敷き詰められた紅い薔薇が迎えます。デモン・ローズ(魔宮薔薇)と呼ばれる猛毒の薔薇は、刺に触れることはおろか、その香気を吸い込んだだけでも全身に毒が回り死に至る恐ろしいもの。その薔薇の陣を敷き、サンクチュアリと、そのすぐ傍にあるロドリオ村を護ろうとするアルバフィカ。
薔薇園とともに現れた黄金聖闘士を見て、ミーノスは何と美しい男だ、と感嘆の声を漏らします。魚座の聖闘士は、88の聖闘士の中でも最も美しいと言われるほどの存在。女性のような外見に惑わされ、たかが花ごときで行く手を阻めるものか、と侮るミーノスの部下たち。しかし、その薔薇はただの薔薇ではなく、猛毒の薔薇。スペクターたちはその薔薇の前に倒れますが、ミーノスは突風を起こして薔薇を散らしました。
そして、彼の操る見えない糸、コズミック・マリオネーションによってアルバフィカは捕らえられてしまいました。
その隙に、残った部下をサンクチュアリ攻撃の前哨戦としてロドリオ村破壊に向かわせるミーノス。しかし、アルバフィカは笑みを浮かべます。なぜならば、ミーノスの部下には既に別の薔薇が襲いかかっているからです。アルバフィカの手を離れた瞬間から敵の心臓目がけて突き進む、白薔薇ブラッディ・ローズ。純白のその薔薇は、相手の血を吸い尽くすことで真紅に染まる死の薔薇。
しかし、部下の死にも動じることのないミーノスは、まるで人形を操るようにして指1本でアルバフィカの身体を支配し、「まずはその、ご自慢の美しい顔を潰して差し上げましょう」と、アルバフィカ自身の拳で顔を殴らせます。
「次は、腕にしますか? 足にしますか? それとも、一気に首を引きちぎりましょうか。選びなさい」
と高圧的に告げるミーノスを睨みつけるアルバフィカ。
「・・・あぁ、その反抗的な眼にしましょう」
と呟いて操り糸に力を注ぐと、アルバフィカの指が己の眼に向かっていきます。しかし、アルバフィカは力づくで己の腕を砕くとこう言いました。
「顔でも腕でも足でも好きに潰すがいい。だが、お前だけはここを一歩も通さん!」
言い放ち、流れる己の血を毒の霧へと替え、それを針のようにして相手に襲いかからせます。けれど、クリムゾン・ソーンという名のその技はミーノスの冥衣に備えられた翼によって阻まれてしまい、逆に一気に全身の骨を砕かれて倒れてしまいます。
ミーノスはロドリオ村へと向かい、圧倒的な力で村を破壊していきます。そして、アルバフィカの無事を信じ、サンクチュアリへ助けを呼びに行こうとするアガシャの前に現れました。黄金聖闘士との戦いもお遊び程度だった、と言い放つミーノスに、アガシャは力の限り叫びました。
「アルバフィカ様は負けたりなんかしないわ・・・」
「・・・なに?」
「アテナの聖闘士は、あなたたちなんかに負けたりしないって言ったのよ──ばかぁぁぁぁっ!!」
幼い少女にコケにされたことに激昂したか、アガシャを殺そうと力を揮うミーノスの前に、シオンが現れました。「個人的に貴様のやり方が気に食わん!!」と立ちふさがるシオン様を、コズミック・マリオネーションの糸で操り、その首をへし折ろうとするミーノス。しかし、そこに黒薔薇が。触れるものすべてを砕く、ピラニアン・ローズが、ミーノスの操る糸を切り裂き、シオンの自由を取り戻します。
「すまなかったな、シオン・・・面倒をかけて──わたしはまだ、戦えるよ」
そこには、全身の骨を砕かれたはずのアルバフィカの姿。おびただしい出血により全身を紅く染め、真紅の薔薇をその口に咥えてミーノスの前に立ちはだかります。
「まだ生きているとは驚きました。あのまま死んでいれば、きみは相応に美しく散れたものを」
冷笑するミーノスに、アルバフィカは口許を引きつらせました。
「何度やっても同じなのですよ。力のないものは屈服させられ、弄ばれるのみ」
しかし、とミーノスは言葉を続けます。
「これ以上、美しいきみが血と泥にまみれるのは見るに忍びない──見逃して差し上げます」
弱者に対する慈悲の心とでも言うつもりか、その言葉にアルバフィカの全身からゆらりと立ち上がる小宇宙(コスモ)。
「わたしは、己の血を厭い、人を避け生きてきた。美醜がどうであれ、わたしは同じようにそうやって生きてきたろう・・・美しいという言葉は、貴様がしたように常にわたしの誇りを傷つける」
爆発的に燃え上がる、アルバフィカの小宇宙。
「貴様、一体なにをもってわたしを評した。わたしは力も、小宇宙も、生き様も、まだ貴様の前で出し切ったつもりはない!!」
クリムゾン・ソーンがミーノスを襲いますが、またしても冥衣に阻まれてしまいます。しかし、シオン様は何かがおかしいと気づきます。クリムゾン・ソーンの威力が尋常ではない。まるで全身の血を捨てるかのような勢い。──だからこそ、やがてその威力は衰え、ミーノスは冥衣による防御を解きます。地に膝をつくアルバフィカ。
「次はきみか?」と問うミーノスに、否と返すシオン様。
「既に決着のついているものを相手にする必要はない」
何のことだ、と訝るミーノスの口端から、血が溢れました。何だ、と自身の身体を見下ろすと、その心臓の上に真紅の薔薇。アルバフィカの咥えていたデモン・ローズか、とその薔薇を握りつぶそうとするミーノスに、シオン様は首を振りました。
「それはデモン・ローズではない。人の血を吸って真紅に染まるブラッディ・ローズ」
アルバフィカの猛毒の血に染まった薔薇は、ミーノスの身体に直接毒を送り込みました。アルバフィカの誇りと執念を甘く見過ぎたミーノスの負けだ、と告げるシオン。ミーノスは、最期の力を振り絞って村ごと聖闘士たちを吹き飛ばそうとします。しかし、そこに見えない壁が。
「クリスタル・ウォール・・・この壁は、いかなる技もはね返す。アルバフィカが命をかけて護った村だ。貴様らなどに滅ぼさせはせん」
シオンが創り上げた目に見えぬ壁は、サンクチュアリの第1の宮を護るための鉄壁の防御力を誇るもの。最期の力も及ばず、ミーノスはアルバフィカの毒によって倒されました。
終わったか、と呟くアルバフィカに駆け寄ろうとするシオンとアガシャ。
「わたしの傍に寄るな!!」
叫ぶアルバフィカ。彼の血に触れさせないように、とのこと。涙を流すアガシャの前で、アルバフィカはふと空を見上げました。ひらひらと、降り注ぐ真紅の薔薇。それは、ミーノスによって吹き飛ばされたデモン・ローズ。毒の香気が抜けたその花の乱舞に、アルバフィカは目を細めます。
「わたしは、いつもこの毒薔薇とともにいた・・・だが、今、初めて思う・・・・・・この花を・・・美しいと・・・」
それが、誇り高き孤高の聖闘士アルバフィカの最期でした。
アルバフィカの亡骸を抱えてサンクチュアリへと戻るシオンを、アガシャが追いかけます。そして、涙ながらに訴えました。
「聖戦が続いたら、聖闘士様たちはこれからも死んでいくのでしょうか・・・アルバフィカ様みたいに戦って、傷ついて・・・わたしは、聖闘士様たちがボロボロになるのは見たくないし、アルバフィカ様にも死んで欲しくなかった!!」
やさしい方だったのに、誇り高く、ずっとずっと、お独りで戦っておられた方だったのに、と。
少女の涙に、シオンは静かに答えました。
「・・・我々は、死ぬために戦うわけではない。ただ、己の生涯で為すべきことを・・・地上の愛と正義を護るために生きるだけだ。死ぬためなどでは決してない。全うするために戦うのだ。その先に待っているのが、たまたま死や他の何かだったとしても、我々は戦い続けるだろう。命が燃え尽きる、その瞬間までな」
**********
そんなアルバフィカVSミーノス戦でした。
アガシャ、いい子だなぁ・・・
そして、18歳の少年の言葉とは思えない台詞、さすがシオン様。格が違います。三木眞、ありがとう。
最終巻は最近読んだばかりですが、正直主役のテンマVSハーデス(アローン)よりも、アルバフィカ戦の方が記憶に残っています。きっとそれは、アルバフィカが己の誇りのために戦ったからなのではないかと思っています。聖闘士として強大な力を持っていながら、その性質ゆえに人を避けなければならなかった。また、その容姿があまりに美しかったため、実力を侮られることも多かった。アルバフィカが己の容姿を武器に相手を撹乱させ、不意を突く戦法を取る聖闘士ならばまだしも、彼はあまりにも誇り高く、真っ直ぐ過ぎたのではないでしょうか。
サンクチュアリにて、教皇の間とその背後のアテナ神殿を護るために配置されている十二宮。その最後の砦とも言うべき双魚宮を護る魚座の聖闘士が、実力のない美しさだけが取り柄の男でなどあるはずがないのに。
彼の美しさは、「必ず護る」とアガシャに言ったように、誇りをかけて敵と対峙する戦いの中でこそ輝くものだったのでしょう。平和な世界では、彼の本当の美しさ、心の気高さは、見えづらかったかも知れません。
車田版では星矢たちは地上を救うために戦っていました。LCもそうと言えばそうなのですが、でもテンマの親友であり、人間として生まれ変わったアテナの実兄でもあるアローンがハーデスということで、どうしても『アローンを救う』ということがテーマになってしまっていた気がします。もちろん、大切な人を救いたいという想いは大事なのですが、それがどこか『オトモダチごっこ』のような気がしてしまったのでしょうね。私怨か、みたいな(^^;)
LCはアテナ側も冥王側も、人間くさい戦士たちを描いていたように思います。どこか超然とした戦士たちではなく、生身の人間であることを感じさせる掘り下げ方。黄金聖闘士に関しては、その生き様を見せていただいた気がします。キャラに癖がないので、強烈な個性というのはさして感じないのですが、人物の描き方がとても丁寧なように思います。まー、それでも話の本筋とも言うべきテンマVSハーデスは印象薄いですけどね・・・何度も言いますが、黄金のための話かな、と。
そうそう、やふで☆矢特集してて、人気投票がありました。
黄金聖闘士
1位:サガ
2位:シャカ
3位:カミュ
白銀聖闘士:
1位:シャイナさん
2位:魔鈴さん
3位:アルゴル
青銅聖闘士:
1位:一輝
2位:氷河
3位:紫龍
4位:瞬
5位:星矢
・・・主役はやっぱり空気でした。そして、サガは唯一1万票を超えてました。えー、この投票結果には全面的に賛成です(笑)特に黄金はこの後にアイオリア、ムウと続くのですが、それも納得。ってか、やっぱりサガかっけーって。シャカは電波だけど、強いし。強い男はかっこいいよ。強い女もかっこいいよ(笑)一輝は濃いしな(笑)「笑止!」とか言う15歳ヤだろ(笑)氷河はマザコンだけど、たぶんカミュとの一戦でかなり地位向上してるんじゃねーかと。
さて。また勢いだけで書いています。きっと、LCご存知の方にも、勢いがひどすぎてついて来られないかも知れません。でもこれだけは言っておく。幼稚園の頃から読んでる☆矢を今でも語れるということは、それだけ力のある作品だぜべいべー。☆矢に関しては、整合性とかどうでもいいの、大事なのは勢いと熱さなの(笑)
暑い夏を、熱さで乗り切るぜ、いえい。
サンクチュアリの傍に、ロドリオ村というのがあって。その村に、アガシャという少女が住んでいます。ある日、教皇へ花を届けようとしていた彼女は、突然の雨に降られます。雨脚の強さに花が散ってしまうのではないか、と危惧しながら先を急いでいました。そこへ、ふわり、と頭の上から外套がかけられました。真っ白な外套の隙間から、黄金に輝く聖衣。顔を上げた彼女の前には、髪の長い魚座の黄金聖闘士・アルバフィカの姿が。礼を言おうと駆け寄る少女に、「わたしに近寄るな」と言うアルバフィカ。
父親にその話をし、「お礼を言おうとしただけなのに」とむくれていた少女ですが、父親は
「あの方は、ご自身のお身体それ自体が、人の害になると思っていらっしゃる」
と諭します。「長年の耐毒の修行のせいで、血が毒に染まっているらしいんだ」、だから、その血が人を傷つけるのを恐れて人を寄せ付けないのだ、と言われ、少女は得心しました。
・・・そうだ、冷たい方が、雨に濡れている自分にわざわざ外套を貸して下さるはずがない。
数日後、マントを返しに行こうとしたアガシャは、直接は受け取ってもらえないかも知れないと言う父親に「いいの」と笑みを浮かべます。
「お強い方なんだ、おやさしい方なんだと・・・少しでも、お伝えしたいな。敬意でも、感謝でも、何か少しでも」
その美しさゆえに人々から慕われることも多いアルバフィカが、自らの体質ゆえに人を避けなければならない寂しさと、それ以上に彼の気高さ、やさしさを感じることが出来た喜びに、彼女は孤高の聖闘士を慕うようになります。
その後冥王ハーデスが復活し、その配下である冥闘士(スペクター)が女神アテナのいるサンクチュアリへと乗り込んできます。そこには、冥界3巨頭のひとりであるミーノスの姿も。配下を引き連れてサンクチュアリを目指すミーノスたちの行く手を阻むように、辺り一面に敷き詰められた紅い薔薇が迎えます。デモン・ローズ(魔宮薔薇)と呼ばれる猛毒の薔薇は、刺に触れることはおろか、その香気を吸い込んだだけでも全身に毒が回り死に至る恐ろしいもの。その薔薇の陣を敷き、サンクチュアリと、そのすぐ傍にあるロドリオ村を護ろうとするアルバフィカ。
薔薇園とともに現れた黄金聖闘士を見て、ミーノスは何と美しい男だ、と感嘆の声を漏らします。魚座の聖闘士は、88の聖闘士の中でも最も美しいと言われるほどの存在。女性のような外見に惑わされ、たかが花ごときで行く手を阻めるものか、と侮るミーノスの部下たち。しかし、その薔薇はただの薔薇ではなく、猛毒の薔薇。スペクターたちはその薔薇の前に倒れますが、ミーノスは突風を起こして薔薇を散らしました。
そして、彼の操る見えない糸、コズミック・マリオネーションによってアルバフィカは捕らえられてしまいました。
その隙に、残った部下をサンクチュアリ攻撃の前哨戦としてロドリオ村破壊に向かわせるミーノス。しかし、アルバフィカは笑みを浮かべます。なぜならば、ミーノスの部下には既に別の薔薇が襲いかかっているからです。アルバフィカの手を離れた瞬間から敵の心臓目がけて突き進む、白薔薇ブラッディ・ローズ。純白のその薔薇は、相手の血を吸い尽くすことで真紅に染まる死の薔薇。
しかし、部下の死にも動じることのないミーノスは、まるで人形を操るようにして指1本でアルバフィカの身体を支配し、「まずはその、ご自慢の美しい顔を潰して差し上げましょう」と、アルバフィカ自身の拳で顔を殴らせます。
「次は、腕にしますか? 足にしますか? それとも、一気に首を引きちぎりましょうか。選びなさい」
と高圧的に告げるミーノスを睨みつけるアルバフィカ。
「・・・あぁ、その反抗的な眼にしましょう」
と呟いて操り糸に力を注ぐと、アルバフィカの指が己の眼に向かっていきます。しかし、アルバフィカは力づくで己の腕を砕くとこう言いました。
「顔でも腕でも足でも好きに潰すがいい。だが、お前だけはここを一歩も通さん!」
言い放ち、流れる己の血を毒の霧へと替え、それを針のようにして相手に襲いかからせます。けれど、クリムゾン・ソーンという名のその技はミーノスの冥衣に備えられた翼によって阻まれてしまい、逆に一気に全身の骨を砕かれて倒れてしまいます。
ミーノスはロドリオ村へと向かい、圧倒的な力で村を破壊していきます。そして、アルバフィカの無事を信じ、サンクチュアリへ助けを呼びに行こうとするアガシャの前に現れました。黄金聖闘士との戦いもお遊び程度だった、と言い放つミーノスに、アガシャは力の限り叫びました。
「アルバフィカ様は負けたりなんかしないわ・・・」
「・・・なに?」
「アテナの聖闘士は、あなたたちなんかに負けたりしないって言ったのよ──ばかぁぁぁぁっ!!」
幼い少女にコケにされたことに激昂したか、アガシャを殺そうと力を揮うミーノスの前に、シオンが現れました。「個人的に貴様のやり方が気に食わん!!」と立ちふさがるシオン様を、コズミック・マリオネーションの糸で操り、その首をへし折ろうとするミーノス。しかし、そこに黒薔薇が。触れるものすべてを砕く、ピラニアン・ローズが、ミーノスの操る糸を切り裂き、シオンの自由を取り戻します。
「すまなかったな、シオン・・・面倒をかけて──わたしはまだ、戦えるよ」
そこには、全身の骨を砕かれたはずのアルバフィカの姿。おびただしい出血により全身を紅く染め、真紅の薔薇をその口に咥えてミーノスの前に立ちはだかります。
「まだ生きているとは驚きました。あのまま死んでいれば、きみは相応に美しく散れたものを」
冷笑するミーノスに、アルバフィカは口許を引きつらせました。
「何度やっても同じなのですよ。力のないものは屈服させられ、弄ばれるのみ」
しかし、とミーノスは言葉を続けます。
「これ以上、美しいきみが血と泥にまみれるのは見るに忍びない──見逃して差し上げます」
弱者に対する慈悲の心とでも言うつもりか、その言葉にアルバフィカの全身からゆらりと立ち上がる小宇宙(コスモ)。
「わたしは、己の血を厭い、人を避け生きてきた。美醜がどうであれ、わたしは同じようにそうやって生きてきたろう・・・美しいという言葉は、貴様がしたように常にわたしの誇りを傷つける」
爆発的に燃え上がる、アルバフィカの小宇宙。
「貴様、一体なにをもってわたしを評した。わたしは力も、小宇宙も、生き様も、まだ貴様の前で出し切ったつもりはない!!」
クリムゾン・ソーンがミーノスを襲いますが、またしても冥衣に阻まれてしまいます。しかし、シオン様は何かがおかしいと気づきます。クリムゾン・ソーンの威力が尋常ではない。まるで全身の血を捨てるかのような勢い。──だからこそ、やがてその威力は衰え、ミーノスは冥衣による防御を解きます。地に膝をつくアルバフィカ。
「次はきみか?」と問うミーノスに、否と返すシオン様。
「既に決着のついているものを相手にする必要はない」
何のことだ、と訝るミーノスの口端から、血が溢れました。何だ、と自身の身体を見下ろすと、その心臓の上に真紅の薔薇。アルバフィカの咥えていたデモン・ローズか、とその薔薇を握りつぶそうとするミーノスに、シオン様は首を振りました。
「それはデモン・ローズではない。人の血を吸って真紅に染まるブラッディ・ローズ」
アルバフィカの猛毒の血に染まった薔薇は、ミーノスの身体に直接毒を送り込みました。アルバフィカの誇りと執念を甘く見過ぎたミーノスの負けだ、と告げるシオン。ミーノスは、最期の力を振り絞って村ごと聖闘士たちを吹き飛ばそうとします。しかし、そこに見えない壁が。
「クリスタル・ウォール・・・この壁は、いかなる技もはね返す。アルバフィカが命をかけて護った村だ。貴様らなどに滅ぼさせはせん」
シオンが創り上げた目に見えぬ壁は、サンクチュアリの第1の宮を護るための鉄壁の防御力を誇るもの。最期の力も及ばず、ミーノスはアルバフィカの毒によって倒されました。
終わったか、と呟くアルバフィカに駆け寄ろうとするシオンとアガシャ。
「わたしの傍に寄るな!!」
叫ぶアルバフィカ。彼の血に触れさせないように、とのこと。涙を流すアガシャの前で、アルバフィカはふと空を見上げました。ひらひらと、降り注ぐ真紅の薔薇。それは、ミーノスによって吹き飛ばされたデモン・ローズ。毒の香気が抜けたその花の乱舞に、アルバフィカは目を細めます。
「わたしは、いつもこの毒薔薇とともにいた・・・だが、今、初めて思う・・・・・・この花を・・・美しいと・・・」
それが、誇り高き孤高の聖闘士アルバフィカの最期でした。
アルバフィカの亡骸を抱えてサンクチュアリへと戻るシオンを、アガシャが追いかけます。そして、涙ながらに訴えました。
「聖戦が続いたら、聖闘士様たちはこれからも死んでいくのでしょうか・・・アルバフィカ様みたいに戦って、傷ついて・・・わたしは、聖闘士様たちがボロボロになるのは見たくないし、アルバフィカ様にも死んで欲しくなかった!!」
やさしい方だったのに、誇り高く、ずっとずっと、お独りで戦っておられた方だったのに、と。
少女の涙に、シオンは静かに答えました。
「・・・我々は、死ぬために戦うわけではない。ただ、己の生涯で為すべきことを・・・地上の愛と正義を護るために生きるだけだ。死ぬためなどでは決してない。全うするために戦うのだ。その先に待っているのが、たまたま死や他の何かだったとしても、我々は戦い続けるだろう。命が燃え尽きる、その瞬間までな」
**********
そんなアルバフィカVSミーノス戦でした。
アガシャ、いい子だなぁ・・・
そして、18歳の少年の言葉とは思えない台詞、さすがシオン様。格が違います。三木眞、ありがとう。
最終巻は最近読んだばかりですが、正直主役のテンマVSハーデス(アローン)よりも、アルバフィカ戦の方が記憶に残っています。きっとそれは、アルバフィカが己の誇りのために戦ったからなのではないかと思っています。聖闘士として強大な力を持っていながら、その性質ゆえに人を避けなければならなかった。また、その容姿があまりに美しかったため、実力を侮られることも多かった。アルバフィカが己の容姿を武器に相手を撹乱させ、不意を突く戦法を取る聖闘士ならばまだしも、彼はあまりにも誇り高く、真っ直ぐ過ぎたのではないでしょうか。
サンクチュアリにて、教皇の間とその背後のアテナ神殿を護るために配置されている十二宮。その最後の砦とも言うべき双魚宮を護る魚座の聖闘士が、実力のない美しさだけが取り柄の男でなどあるはずがないのに。
彼の美しさは、「必ず護る」とアガシャに言ったように、誇りをかけて敵と対峙する戦いの中でこそ輝くものだったのでしょう。平和な世界では、彼の本当の美しさ、心の気高さは、見えづらかったかも知れません。
車田版では星矢たちは地上を救うために戦っていました。LCもそうと言えばそうなのですが、でもテンマの親友であり、人間として生まれ変わったアテナの実兄でもあるアローンがハーデスということで、どうしても『アローンを救う』ということがテーマになってしまっていた気がします。もちろん、大切な人を救いたいという想いは大事なのですが、それがどこか『オトモダチごっこ』のような気がしてしまったのでしょうね。私怨か、みたいな(^^;)
LCはアテナ側も冥王側も、人間くさい戦士たちを描いていたように思います。どこか超然とした戦士たちではなく、生身の人間であることを感じさせる掘り下げ方。黄金聖闘士に関しては、その生き様を見せていただいた気がします。キャラに癖がないので、強烈な個性というのはさして感じないのですが、人物の描き方がとても丁寧なように思います。まー、それでも話の本筋とも言うべきテンマVSハーデスは印象薄いですけどね・・・何度も言いますが、黄金のための話かな、と。
そうそう、やふで☆矢特集してて、人気投票がありました。
黄金聖闘士
1位:サガ
2位:シャカ
3位:カミュ
白銀聖闘士:
1位:シャイナさん
2位:魔鈴さん
3位:アルゴル
青銅聖闘士:
1位:一輝
2位:氷河
3位:紫龍
4位:瞬
5位:星矢
・・・主役はやっぱり空気でした。そして、サガは唯一1万票を超えてました。えー、この投票結果には全面的に賛成です(笑)特に黄金はこの後にアイオリア、ムウと続くのですが、それも納得。ってか、やっぱりサガかっけーって。シャカは電波だけど、強いし。強い男はかっこいいよ。強い女もかっこいいよ(笑)一輝は濃いしな(笑)「笑止!」とか言う15歳ヤだろ(笑)氷河はマザコンだけど、たぶんカミュとの一戦でかなり地位向上してるんじゃねーかと。
さて。また勢いだけで書いています。きっと、LCご存知の方にも、勢いがひどすぎてついて来られないかも知れません。でもこれだけは言っておく。幼稚園の頃から読んでる☆矢を今でも語れるということは、それだけ力のある作品だぜべいべー。☆矢に関しては、整合性とかどうでもいいの、大事なのは勢いと熱さなの(笑)
暑い夏を、熱さで乗り切るぜ、いえい。
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