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小ネタや更新記録など。妄想の赴くままに・・・
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フィギュアネタ再開(←もういいよ)


**********

──出会いは、こんな感じだった。


北の森の奥深く、人が脚を踏み入れることの出来ない魔の領域があります。
上司である智天使から命を受けた大天使ウィアー君は、気乗りしないながらもこの場所へとやってきました。
何でも、魔王と人間から彼へ嫁いだ王子との仲が悪いらしく、このままでは人間界と魔界の一大戦争が起こってしまうかも知れないというのです。

「・・・ぼくの使命、使命」

そう自分に言い聞かせて、ウィアー君は魔の森へ入りました。
昼間だというのに鬱蒼と茂った木々のせいか森は薄暗く、肌寒さにぶるりと身体が震えます。
不安そうな表情になるのも当然のこと、ウィアー君はほとんど天界から出たことがないのです。
見知らぬ場所、見知らぬ生き物、そしてこれから会わなければならない、恐ろしい魔物。
すべてが彼を不安にさせています。

「・・・ちゃんと使命を果たして帰らないと、湯ばぁば──違った、タラソワ様に、怒られちゃうからね」

よし、と気合を入れなおして脚を進めていくと、しばらくして開けた場所に出ました。
その景色に、ウィアー君はもともと大きな瞳を真ん丸にしました。
紙のように白かった顔色も、頬に朱が差し薔薇色に染まっています。

「・・・きれーい」

そう、そこは非常に美しい場所でした。
透明度の高い湖の湖面は、木漏れ日に反射してきらきらと光っています。
その畔にはちいさな花々が咲き、蝶が舞っています。
天界のような、美しい場所でした。
少し休憩しよう、と湖畔に腰を下ろして水に脚を浸けました。
ひんやりとしていて気持ちが良くて、ここまでの道中の疲れを忘れるようでした。
上を見上げれば、太陽の光が差し込んでいてウィアー君は思わず手を伸ばしました。

「──離れろ!」

そのとき、大きな声が聴こえてきてびっくりして顔を下ろしたら、目の前には巨大な水の魔物がいました。
恐怖で声も出なくなったウィアー君、当然のように動けません。
そんな彼に向かって、魔物は大きく口を開けて襲い掛かってきます。

「──っ!」

──もうダメだ、ここで死んじゃうんだ。

そう思って目を閉じたウィアー君でしたが、強い力に引っ張られたと思ったものの、いつまで待っても覚悟していた痛みや衝撃は訪れません。
代わりに、何だか身体の周りがあたたかくて、おずおずと目を開けました。

「魔の森であんなに無防備にするヤツが──」
「──・・・・・・」

苛立った声のする方を見上げると、非常に端正な容貌が目を丸くして自分を見下ろしてきていました。
光に反射する、きらきらとした金色の髪です。
綺麗な人だなぁ、と思っているウィアー君に、青年は瞬きを繰り返してから言いました。

「・・・名前は」
「ウィアー・・・ジョニー・ウィアー」
「見ない顔だな」
「あ・・・ぼく、天界から仕事で」
「──天界? お前、天使か」
「はい。位としては、大天使です」
「下っ端だな」
「・・・・・・」

この言葉には、さすがのウィアー君もむっとしました。

「まぁいい。仕事とは何だ」
「あ、はい。魔王と、その奥様の仲が良くないらしいので、間を取り持って来い、と」
「・・・・・・」

考え込んでいる様子の青年に、ウィアー君は小首を傾げました。
そういえばずっと彼の腕に抱かれていたことに気づき、慌てて離れようとしましたが、表情は無に近いのにものすごい力です。

「・・・えぇっと・・・」

少し困った顔になったウィアー君に、青年は告げました。

「──ちょうどいい」
「はい?」
「俺が、その魔王だ」
「──え?!」

これには仰天してしまった大天使様です。
だって、『魔王』なんていうから、もっと恐ろしい外見をした人だと思っていたのです。
こんなに整った顔をしている人だとは思いませんでした。
しかし、どうやら先ほどの魔物も一撃で倒してしまったようですし、力強い腕や瞳は確かに魔王っぽいです。

「俺たちの仲を取り持つんだったな」
「・・・はい」
「なら、俺たちと一緒にいた方がいいということだな」
「・・・そうですね」
「──よし」

魔王様、にっこりと微笑みました。
その笑顔が何だか子どものようで可愛らしくて、ウィアー君はぽーっと見惚れてしまいました。

「せいぜい、俺たちが仲良くなるよう頑張れ」
「・・・はぁ・・・──きゃっ」

突然抱き上げられた大天使様、びっくりして魔王様にしがみつきました。
そしてそのまま、ほくほく顔の魔王様にお持ち帰られた大天使様なのでした。


**********

いや、だって、ウィアー君プルシェンコのこと尊敬してるし(笑)
たぶんこんな感じでお持ち帰って、城にいるジュベールがウィアー君見て瞳をきらりと光らせるのです。
そして、夫婦間で冷戦が始まり、天界へはいつまで経っても帰れない大天使様なのです。間違いない。

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