小ネタや更新記録など。妄想の赴くままに・・・
分からんけど、子ネタ行ってみよ。
はぁ・・・いつも通り出社できたけど、30分も寝坊しちゃったぜ☆
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「──カノン?」
チェロを車に置いて──無論、セキュリティ面は万全の駐車場だ──昼食に向かった後、カノンとキニアンは街を歩いていた。
あまりこういったデートもしないので、これはこれで新鮮だ、と思いながら歩いていたキニアンだったが、カノンがとある店の前で脚を止めたので一緒に立ち止まった。
宝飾店なのだが、そこのウィンドウに飾ってあるちいさなリングが2連になったネックレスが気になるらしい。
「欲しいの?」
声を掛ければ、こちらがびっくりするくらい大きく肩を揺らして振り返った。
「ち・・・違うよ。こういうの・・・ソナタに似合いそうだな、って・・・」
思っただけ、と言うカノンだったが、ほんの少し瞳が揺れている。
そのネックレスはピンクゴールドとホワイトゴールドのちいさなリングに、これまたちいさなクリスタルが2、3石ずつ嵌められたもので、とても可愛らしい。
確かにソナタも好きそうだとは思うのだが、鈍感だのKYだの言われているキニアンにだって分かる。
「お前にも似合いそうだけどな」
「──え?」
そう言って、キニアンはカノンの手を引いて店の中に入った。
「ちょっ!」
「すみません。ウィンドウのところにあるネックレス、見せて下さい」
「アリス」
「あ、どうも」
「ちょっと」
「後ろ向け」
「でも」
「いいから」
「・・・・・・」
仕方なく、といった感じで背中を向けたカノンの首に、ネックレスを宛がう。
「色白いから、似合うよ」
「・・・・・・」
背後の店員も「お似合いですわ~」とか「素敵ですね~」といったようなことを口にして賞賛しているらしかったが、カノンは俯いた。
「・・・いい」
「何で?」
「いいよ」
「こういうのは自信ないけど、似合うと思うぞ」
「いいの!」
いつもなら「当然でしょ?」くらいのことは言うのに、何か様子が変だ。
「カノン?」
努めて穏やかに訊ねれば、唇を尖らせた女王様がいる。
「・・・だって、何か、やだ・・・買ってくれって、ねだってるみたいだ」
これには呆れてしまったキニアンだ。
だから、とりあえず訊いてみた。
「気に入ったの? 気に入らないの?」
「・・・可愛い」
「じゃあそれでいいじゃん」
あっさりそう言うと、「これ下さい」と店員にネックレスを渡した。
「アリス! ぼくの言うこと聞いてた?」
「聞いてたよ。気に入ったんだろ?」
一応返事はしているものの、キニアンは店員相手に会計を済ませようとしていた。
「プレゼント用に包装して下さい」とか言っている彼氏に、カノンはどこか泣きそうな表情になった。
「いいって言ってるのに!」
「──あのさ」
だいぶ頭上から銀色の頭を見下ろしたキニアンは、軽くため息を吐いて言った。
「お前は、俺相手に遠慮する必要なんてないんだよ」
「・・・・・・」
「お前が喜んだら俺が嬉しいんだから、買わせておけ」
「・・・・・・」
すっかり包装の済んだちいさな手提げを渡されると、キニアンは「行くぞ」とだけ告げて店を出た。
追いかけたカノンは、彼氏のコートの裾を引いて呟いた。
「・・・ありがとう」
その顔が真っ赤だったことは、見ないことにしたキニアンだったのだ。
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うーん。まぁ、キニアンにしては頑張ったかな?
ひたすら可愛いカノンって正義だと思う。
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