小ネタや更新記録など。妄想の赴くままに・・・
小ネタいってみましょうかね。短いですけど。あ、七夕もすっかり忘れてる。まーいっか(こら)
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ファロット一家+αは、避暑を兼ねて高原リゾートへと旅行にやってきていた。
背の高い木々に囲まれた林の中は涼しく、天井の高いロッジは開放的で、一同大喜びだ。
夜は、ロッジから徒歩5分ほどのところにあるレストランで食事をすることになった。
プリフィックスで、前菜、メインの魚料理、肉料理をそれぞれの好みで選べる。
──事件が起きたのは、メインの魚料理を食べているときだった。
カノンが頼んだのは、皮の赤色が美しい真鯛のソテー。
キニアンが頼んだのは、数種類のハーブが添えられたサーモン。
「あれ、生かな?」
軽く首を傾げて自分の料理を口に運んだキニアンは、緑の瞳を大きく瞠った。
「なにこれ、うまっ」
彼にしてはとても珍しい大きな驚きの声。
大きな声とはいっても、周囲の客に迷惑がかかるほどではない。
生かと思ったサーモンは、ごくごく低温でほんのりと中が温まる程度に焼かれていた。
その絶妙な火加減と、とろけるような食感にいたく感動したキニアンであった。
「美味しいの?」
カノンが興味津々に恋人の手元を覗き込む。
普段からシェラの手料理で美味しいものは食べ慣れているカノンだったが、だからこそ美味しいものには目がない。
「あぁ──ほら、あ」
ひと口大に切ったサーモンを、カノンの口に運んでやる。
「あむ」
ごくごく自然に口を開けたカノンも、直後菫の瞳を瞠ったのだった。
「美味しい!」
「だろ?」
「すごーい!」
「な」
そんな様子で嬉しそうに話しているふたりには、突き刺さるような視線が向けられている。
気づいたキニアンがはっとして顔を上げると、4対の瞳がじっと見つめてきている。
しまった、と思ったキニアンはこう言った。
「──す、すみません! 俺、行儀悪いことを・・・」
──うん、そこじゃねーよ?
キニアンたちを見つめていた4人は無言のまま同じことを思った。
シェラは何だか機嫌良さそうだし、ヴァンツァーは無表情だし、ソナタはニヨニヨしているし、ライアンはすごく笑顔だ。
「ねーねーアリス」
「え、え? なに?」
カノンにツンツン袖を引かれたキニアンは、ペコペコ下げていた頭を上げて恋人を見た。
「お肉も別の頼んだよね? そっちも食べたい」
「え? あ、でもほら行儀が」
「やだ、食べる」
「で、でも」
「食べる!」
「・・・はい」
──いいのか。
これまた外野の4人は同じことを思った。
シェラはうんうん頷いているし、ヴァンツァーは相変わらず無表情──あとで、とても羨ましがっていたのだということが判明する──ソナタはベシベシ夫の脚を叩いていて、そんなライアンはシェラ同様うんうん頷いている。
「なぁ・・・カノン」
「ん?」
「やっぱりさ・・・良くないよ」
「さっき頷いたじゃん」
「そうだけど・・・いや、家ならいいんだけどさ」
──いいのか。
外野の(ry。
自覚はまったくなくイチャラブしているカノンたちを見て、ライアンはぽつりと呟いた。
「いや~、おれ一生アー君に勝てる気しないわ」
「人間やっぱり、開き直りが大事よね」
そんなことを言っている若年夫婦の横で、
「シェラ」
「しない」
「・・・まだ何も言ってない」
「絶対しない」
「じゃあ」
「私は家でもしない」
「・・・・・・」
「あ~、カノンたち可愛いなぁ~」
3組3様な、ファロット一家なのでした。
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きょうの、ファロット一家。
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