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小ネタや更新記録など。妄想の赴くままに・・・
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ました。いやー、あの居酒屋は何を食べても美味しかった!! 鶏サシとか最高だから!! 生の鶏肉なんて、食べたことないよ。お店の雰囲気も良くて、値段も安くて、また行きたくなりました。

って、映画も見たんでした(^^;)『キラー・ヴァージン・ロード』。舞台俳優が脚本を書いているだけあり、映画というよりも舞台でしたね。でも、ホロッ、と来る場面もあり、笑いもあり。最初の30分は「やべー・・・寝る・・・」とか思ってたんですけど、割と楽しめました。

そして、キタムラカズキさんは、どうしてあんなに卑猥なのか・・・(コラ)いや、ただのペンションのオーナーだったんですけど、彼の顔は卑猥だと思うのですよ。あの眉とか唇とか。なっかなか『妖艶』という言葉が似合う男はいないのですが、彼はまさしく私が思い描く『妖艶』さの典型ですね。弧を描く唇がエロすぎ。橘は好みが煩いので、あと『妖艶』な芸能人といったらスギモトアヤ様です(笑)大好きです。


さて。そんな1日を過ごしたというのに、なぜか書きたくなるのはカノキニ・・・なぜだろう・・・? ふと思いついただけなので、ほんのちょっとですが・・・


**********

天才の子として生まれたからといって、その子が非凡な才能の持ち主であるとは限らない。
むしろ、気紛れな音楽の女神によって親から子へとその才が受け継がれることは意外と少ない。

──けれど、例外というものはいつでも存在する。

天才は天才を知る。
アルフレッドは、我が子が自らをも凌ぐ可能性のある才能の持ち主であることに気づいていた。
100年にひとりと呼び声の高いヴァイオリニストである母親の血も濃く受け継いでいるのだろう。
だから、幼少期より厳しく稽古をつけた。
彼の音を世に出さずに埋もれさせるのは、自らを生み出した音楽の女神に対する冒涜であると知っていたからだ。
だが、あろうことか女神の寵愛を受けた息子は、「バスケがしたい」と言い出したのだ。
言われてしばらく、何のことか分からなかった。
繰り返された言葉を理解したときは、眩暈とともに強烈な怒りを感じた。
世の中には己の才能に限界を感じ、死すら選ぶ音楽家も少なくないというのに。
頑なな息子に味方した妻は、コロコロと鈴が転がるような声で笑って言った。

「あの子が本当に神様に愛された子なら、必ず戻ってくるわ」

そうでないなら、いつかは消える程度の才能よ。
我が子に掛けるには辛辣なようでいて的を射た言葉に、アルフレッドは渋々頷いた。
中学と高校の間だけ、という約束を守り、息子は音楽の世界へと帰ってきた。
生真面目な性格をしているので練習を怠るようなことはなかったようだが、それでも圧倒的に弾き込みが足りていない。
それは、才能云々でどうにか出来るものではなかった。

──ただ、才能があるからこそ、音大へ進学し、『巨匠』と呼ばれるアルフレッド自らがまた稽古をつけるようになってからの進化は目覚しかった。

もともと真っ直ぐな性格をしている息子の音には、テクニックに頼る厭味さや下手な歪みがなかった。
才能があると過信するもの特有の、聴き手に不快感を与えるような押し付けがましさがまったくない。
『情緒ある精密機械』と呼ばれた父アルフレッドの技巧と、100年にひとりと言われる母マリアの感性、そして、本人の努力と──恋人の存在。


「可愛い弟子の晴れ舞台に、いつまでそんな仏頂面をしているつもり?」

第1幕が終わった休憩時間。
明るくなった客席で隣を見遣った美女は、あからさまにため息を零した。

「ふんっ。こんな辺境の、ちいさなホール」
「あら。デビューして3年と経たないのに声をかけてもらえるなんて、出来すぎだと思うけど」
「わたしにプロデュースを任せておけば」
「だめよ。あなたなんかに任せたら、あの子忙しすぎて三行半叩きつけられちゃうもの」
「・・・その肝心の彼の姿がないようだが」
「そりゃあ、超がつくほどのエリートですもの。仕事が忙しくてこんな辺境まで来てる時間ないわよ」
「・・・・・・毎回、毎回。ベルトランでもティラ・ボーンでも、用意された席は空いたままだぞ」
「だから、忙しいのよ」

分からない人ね、と眉を顰める少女のような可憐さを誇る夫人に、端正な容貌をしたロマンスグレーの男はむっつりと押し黙って腕組みをした。
あー、やだやだ、心の狭い男って、と内心で舌を出したマリアは、「失礼」と声をかけられて顔を上げた。
そうして、少女のような美貌に極上の笑みを浮かべる。

「──あら」
「お久し振りです。相変わらず、お綺麗ですね」
「ふふ。あなたはますます美人になったんじゃない?」
「そうですか? 何も言われませんけど」

苦笑する青年に、マリアは呆れたようにため息を吐いた。

「今度、よく言ってきかせるわ。『綺麗だね』と『愛してる』が言えない男なんて、捨てられても文句言えないもの」
「あぁ、それは確かに──こんばんは、マエストロ」
「……あぁ」
「いやぁねぇ、この人ったら。あなたがそんな無愛想だから、あの子まであんな可愛げのない子になっちゃったんじゃないの!」

妻になじられても「ふんっ」と鼻を鳴らして横を向いている男に、「構いません」と青年は首を振った。
そうして、自分のために用意された座席に置かれた白薔薇の花束を抱え、微笑んでみせる。

「マエストロもアリスも、──『音』は正直ですから」

確かに、と返す夫人は、周囲がざわついていることに気づいて眉を上げた。

「あらあら。美人な天使様の登場に、皆さんびっくりしてるわ」
「というより、この席に人が座ることが、でしょうけど」
「毎回噂になってるみたいね。『白薔薇の君』は誰なのか、って」
「気が利かないくせに、こういうベタな演出が好きなんですよね」
「ホント、昔からかっこつけることだけは一人前なんだから。そのくせ、花束がなくなってないときはものすごく落ち込むみたいだけど」
「──まぁ、たぶん、今日この会場にいる皆さんは、面白いものが聴けると思いますよ」

苦笑する青年に、少女のような夫人は首を傾げた。

「面白いもの?」

えぇ、と青年が返したとき、第2幕開幕5分前のベルが鳴る。

「アレンジしたのか、と思うくらい、全部長調になりますからね」

まったく意識していないというのだから音楽家としてどうなんだ、と呆れてしまう。

「まぁ、それもぼくがここにいることに気づけば、の話ですけど」

唇を持ち上げる青年に、マリアは聖母の微笑を浮かべた。

「分かるわよ。どんなに暗くても、あなたは目立つもの」

それに、青年も笑みを返した。
前髪を上げて額を露にし、白いスーツに身を包んだ色白の青年。
銀幕スターでもなかなかお目にかかれない美貌の青年が白薔薇を抱える姿は、画になりすぎて逆に恐ろしさすら感じる。
開幕の本ベルが鳴り、青年は菫の瞳をきらり、と光らせた。

「たしか、3部構成ですよね?──アンコールまでに気づかなかったら、別れることにします」
「あら、やさしいのね。第2幕が終わるまでにしたらいいのに」

と言うマリアに、アルフレッドが「賭けるようなことか」と呆れ顔になる。


──第2幕開始早々のハ短調がこの日の観客の間で話題になったのは、また別の話。


**********

あれ、意外と長かったな・・・。
うん。まぁ、この子たちはこんな感じですよ。はい。
ちなみに、カノンはケリーたちに送ってもらいました(笑)おじいちゃん、おばあちゃん、可愛い孫のために頑張りました(違)
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