小ネタや更新記録など。妄想の赴くままに・・・
ひーでーなー・・・。原因はいろいろある。でも考えないことにする。どうせ1年後には忘れてるんだから。だったら今を笑って過ごそうぜ(笑)
なんか、久々にヴァンシェラな気分になったので、小ネタ。ん~、これまた久々に、ハッピーではないと思われる。
**********
「ねー、ねー。たとえばパパが醜男だったら、シェラ好きになった?」
始まりは、ソナタのそんな台詞だった。
「──え?」
「パパが今みたいな顔じゃなくても、シェラはパパのこと好き?」
「・・・どうしたの?」
急にそんなこと訊くなんて、と横手のひとり掛けソファに座っている娘に苦笑する。
「学校で『運命の恋人』って、どんななのかなー、って、友達と話してて。シェラたちがそうなんじゃないかって思ったの」
「・・・そんなかっこいいものじゃないよ」
また、困ったような笑みを浮かべる。
──そう。そんなに、いいものじゃない。
「シェラはパパの顔が好きだけど、顔だけが好きなわけじゃないでしょう?」
「・・・どうかな」
「仕事できるから、パパが好き?」
「ん~、尊敬はしてる」
「頭いいから?」
「すごいなぁ、って思うよ」
「子どもっぽいところが可愛いとか?!」
「・・・まぁ、めんどくさいことの方が多いけど」
「じゃあ、パパがぶちゃいくちゃんで、仕事も失敗ばっかりで、物忘れ激しくて、怒ってばっかりでも、好き?」
「待って、待って」
さすがに止めたシェラである。
「それ、ヴァンツァーじゃないよ」
思わず苦笑したが、澄んだ藍色の瞳は疑問でいっぱいだ。
「じゃあ、どういうのがパパなの?」
「え・・・?」
うーん、とこれには唸ってしまった。
そんなこと、考えたこともない。
あの顔で、身体で、性格で、能力で、そういうものを全部ひっくるめて『ヴァンツァー』なのだ。
『あれ』がヴァンツァーなのだから、それをひとつひとつ取り替えていってしまったら、赤の他人になってしまう。
「・・・よく分からないけど・・・顔はともかく、あいつがあの歳であの身体能力を保っているのも、経営者として成功しているもの、大学創立以来の秀才なんて言われていたのも、それはあいつが誰よりも努力を惜しまなかったからだと思うんだ。難しいことを難しく見せない男ではあるけれど、誰が見ても大変なことをしていると思うんだよ」
「うん、そだね」
「だから、あいつを構成しているすべては、あいつが自分の手で勝ち取ってきたもので・・・誰かに与えられたものではないと思うんだ」
「うん」
「だから、──ごめんね。ソナタの言う『もしも』は、ヴァンツァーの身には起こらないよ」
ただのお喋りとはいえ、言葉を否定されれば傷つくかも知れない。
申し訳なさそうな顔になったシェラに、けれどソナタは「そっか」と笑った。
「じゃあ、たとえばパパが不慮の事故とかで身動き取れなくなっちゃったら?」
「──・・・え・・・?」
「そうしたら、シェラはずっとパパの傍にいるの?」
「・・・・・・」
「小説とかドラマだとさ、眠り続けてる恋人の傍で何年も過ごして、数年後に目を覚まして・・・とかあるじゃない? シェラもやっぱりパパが目覚めるの待つ?」
「・・・・・・」
──やめて、と頭の後ろで声がする。
そんなこと言わないで。
そんなこと、考えさせないで。
たとえ『もしも』でも、そんなこと・・・。
目の前がチカチカする。
喉がカラカラで、身体が熱くて──でも、頭は冷水につけたように冷たくて。
異様に早い心音が、耳元で直接拍動を刻む。
手が震えて、胃の中のものが逆流してきそうな感覚に、シェラは口許を押さえた。
「────いらない」
そんなときすぐ耳元で聴こえた声に、シェラはびくっ、と肩を震わせた。
身体に馴染んだ低音が、もう一度呟く。
「いらない」
そうなったら、シェラはいらない。
ほんの少し年上の男は、感情の見えない静かな声でそう紡いだ。
「どうして? シェラがずっと傍にいてくれるんだよ?」
不思議そうに首を傾げるソナタに、ヴァンツァーはちいさく笑った。
そうして、背中から抱き込むようにして、ソファに座るシェラを腕に収める。
「必要ないから」
端的に、それだけ。
口許に笑みすら浮かべての言葉に、シェラは「ほらな」とソナタに返した。
「・・・いらない、って。『運命』なんて、かっこいいものじゃ・・・ない、だろう?」
奥歯を噛み締めて口角を持ち上げる。
引き攣りそうになる目元を、必死でやわらかく見えるように細めた。
けれど、全身は強張って、心臓は脈打っているのか止まっているのか分からなくなった。
そのとき。
「──・・・そんなことをしたら、シェラでなくなるから」
そっと抱きすくめられながらの言葉に、菫色の目が瞠られる。
「俺が好きなのは、どんなに苦しくても、痛くて辛くても、じっと前を見据えて戦ってるシェラなんだ」
「・・・・・・」
「笑っているシェラも可愛いけど、そういうときのシェラは本当に綺麗で、強くて・・・跪きたくなる」
「──女王様?」
おかしそうに笑うソナタに、ヴァンツァーはちょっと首を傾げた。
「そうだとしたら、自分で剣を取って敵陣の真っ只中に切り込んでいく女将軍だな。兵隊に囲まれて安全な場所から戦況を伺うタイプじゃない」
「リィみたいだね」
「飼い主に似たんだろうよ。三つ子の魂百まで、とはよく言ったものだ」
ちょっと嫌そうな口調になったので、ソナタはまた笑った。
「だから、こいつは男の傍で何年もじっと目覚めを待つなんて、似合わないよ」
それが、『いらない』理由。
「・・・勝手なことを」
「シェラ?」
ソナタが名前を呼ぶのを無視し、シェラはヴァンツァーの腕から抜け出すと振り返ってその襟首を掴んだ。
「お前はいつもそうだ。自分の考えばかり押し付ける。私の意見はそこにはないのか?! お前はそれでいいかも知れないが、私の気持ちはどうなる?! どうしてお前は──」
言葉が、続かなかった。
**********
そして、私の気力も続かなかった。
ちなみに、話も続きません。
あー・・・だから、こういう小ネタを拍手に回せと何度言えば分かるんだ・・・。
「ねー、ねー。たとえばパパが醜男だったら、シェラ好きになった?」
始まりは、ソナタのそんな台詞だった。
「──え?」
「パパが今みたいな顔じゃなくても、シェラはパパのこと好き?」
「・・・どうしたの?」
急にそんなこと訊くなんて、と横手のひとり掛けソファに座っている娘に苦笑する。
「学校で『運命の恋人』って、どんななのかなー、って、友達と話してて。シェラたちがそうなんじゃないかって思ったの」
「・・・そんなかっこいいものじゃないよ」
また、困ったような笑みを浮かべる。
──そう。そんなに、いいものじゃない。
「シェラはパパの顔が好きだけど、顔だけが好きなわけじゃないでしょう?」
「・・・どうかな」
「仕事できるから、パパが好き?」
「ん~、尊敬はしてる」
「頭いいから?」
「すごいなぁ、って思うよ」
「子どもっぽいところが可愛いとか?!」
「・・・まぁ、めんどくさいことの方が多いけど」
「じゃあ、パパがぶちゃいくちゃんで、仕事も失敗ばっかりで、物忘れ激しくて、怒ってばっかりでも、好き?」
「待って、待って」
さすがに止めたシェラである。
「それ、ヴァンツァーじゃないよ」
思わず苦笑したが、澄んだ藍色の瞳は疑問でいっぱいだ。
「じゃあ、どういうのがパパなの?」
「え・・・?」
うーん、とこれには唸ってしまった。
そんなこと、考えたこともない。
あの顔で、身体で、性格で、能力で、そういうものを全部ひっくるめて『ヴァンツァー』なのだ。
『あれ』がヴァンツァーなのだから、それをひとつひとつ取り替えていってしまったら、赤の他人になってしまう。
「・・・よく分からないけど・・・顔はともかく、あいつがあの歳であの身体能力を保っているのも、経営者として成功しているもの、大学創立以来の秀才なんて言われていたのも、それはあいつが誰よりも努力を惜しまなかったからだと思うんだ。難しいことを難しく見せない男ではあるけれど、誰が見ても大変なことをしていると思うんだよ」
「うん、そだね」
「だから、あいつを構成しているすべては、あいつが自分の手で勝ち取ってきたもので・・・誰かに与えられたものではないと思うんだ」
「うん」
「だから、──ごめんね。ソナタの言う『もしも』は、ヴァンツァーの身には起こらないよ」
ただのお喋りとはいえ、言葉を否定されれば傷つくかも知れない。
申し訳なさそうな顔になったシェラに、けれどソナタは「そっか」と笑った。
「じゃあ、たとえばパパが不慮の事故とかで身動き取れなくなっちゃったら?」
「──・・・え・・・?」
「そうしたら、シェラはずっとパパの傍にいるの?」
「・・・・・・」
「小説とかドラマだとさ、眠り続けてる恋人の傍で何年も過ごして、数年後に目を覚まして・・・とかあるじゃない? シェラもやっぱりパパが目覚めるの待つ?」
「・・・・・・」
──やめて、と頭の後ろで声がする。
そんなこと言わないで。
そんなこと、考えさせないで。
たとえ『もしも』でも、そんなこと・・・。
目の前がチカチカする。
喉がカラカラで、身体が熱くて──でも、頭は冷水につけたように冷たくて。
異様に早い心音が、耳元で直接拍動を刻む。
手が震えて、胃の中のものが逆流してきそうな感覚に、シェラは口許を押さえた。
「────いらない」
そんなときすぐ耳元で聴こえた声に、シェラはびくっ、と肩を震わせた。
身体に馴染んだ低音が、もう一度呟く。
「いらない」
そうなったら、シェラはいらない。
ほんの少し年上の男は、感情の見えない静かな声でそう紡いだ。
「どうして? シェラがずっと傍にいてくれるんだよ?」
不思議そうに首を傾げるソナタに、ヴァンツァーはちいさく笑った。
そうして、背中から抱き込むようにして、ソファに座るシェラを腕に収める。
「必要ないから」
端的に、それだけ。
口許に笑みすら浮かべての言葉に、シェラは「ほらな」とソナタに返した。
「・・・いらない、って。『運命』なんて、かっこいいものじゃ・・・ない、だろう?」
奥歯を噛み締めて口角を持ち上げる。
引き攣りそうになる目元を、必死でやわらかく見えるように細めた。
けれど、全身は強張って、心臓は脈打っているのか止まっているのか分からなくなった。
そのとき。
「──・・・そんなことをしたら、シェラでなくなるから」
そっと抱きすくめられながらの言葉に、菫色の目が瞠られる。
「俺が好きなのは、どんなに苦しくても、痛くて辛くても、じっと前を見据えて戦ってるシェラなんだ」
「・・・・・・」
「笑っているシェラも可愛いけど、そういうときのシェラは本当に綺麗で、強くて・・・跪きたくなる」
「──女王様?」
おかしそうに笑うソナタに、ヴァンツァーはちょっと首を傾げた。
「そうだとしたら、自分で剣を取って敵陣の真っ只中に切り込んでいく女将軍だな。兵隊に囲まれて安全な場所から戦況を伺うタイプじゃない」
「リィみたいだね」
「飼い主に似たんだろうよ。三つ子の魂百まで、とはよく言ったものだ」
ちょっと嫌そうな口調になったので、ソナタはまた笑った。
「だから、こいつは男の傍で何年もじっと目覚めを待つなんて、似合わないよ」
それが、『いらない』理由。
「・・・勝手なことを」
「シェラ?」
ソナタが名前を呼ぶのを無視し、シェラはヴァンツァーの腕から抜け出すと振り返ってその襟首を掴んだ。
「お前はいつもそうだ。自分の考えばかり押し付ける。私の意見はそこにはないのか?! お前はそれでいいかも知れないが、私の気持ちはどうなる?! どうしてお前は──」
言葉が、続かなかった。
**********
そして、私の気力も続かなかった。
ちなみに、話も続きません。
あー・・・だから、こういう小ネタを拍手に回せと何度言えば分かるんだ・・・。
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