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小ネタや更新記録など。妄想の赴くままに・・・
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だって、動物園からペンギン盗んだ男がいるっていうから(笑)それがまた、知り合いの知り合いが勤めてたりするところだから、詳細は後ほど確認してもらうことにしました(笑)

盗みはしないけど、たとえばさ・・・


**********

「まーったく。信じらんねぇよな」

金茶色の髪と瞳の男が、大仰なため息を吐いて腕組みをする。
小馬鹿にしたその態度に、軽く眉を顰めた。

「・・・何がだ」

態度が悪くなるのも仕方のないことと言えたが、目の前の小柄な男は幼馴染だ。
二十年来の付き合いをしている男に、遠慮など不要に決まっている。

「だってよ、無口で無愛想で無感動、顔と身体だけは極上で性格ド最悪なお前がよ?」
「人を極悪人みたいに・・・」
「だってそうだろう? 学生時代なんて、校内の女どもの視線端から掻っ攫っておいて、『興味ない』のひと言でバッサリ。ヤりたい盛りの高校生がその発言ってのは、変態以外の何者でもないぜ?」
「煩いな・・・」

端麗な美貌を顰め、幼馴染から視線を外して周囲に目を向ける。
藍色の瞳は友人に向けるドライアイスのような冷たさが信じられないくらいにやわらかい。

「そんなお前が、──ちっちゃくて可愛い動物が大好きだってんだから」

世も末だよな、と肩を落とす。
残念すぎて涙が出てくるぜ、と嘆く友人は無視して、美貌の青年はケージの中の仔犬や仔猫、フェレットたちに指先で触れては笑みを浮かべている。
ペットショップを営む友人を持って、本当に幸せだ、と思う。
ぺろぺろと指先を舐めてくる仔犬を連れて帰ろうかな、と思っていると、店の奥から声が聴こえてきた。

「──レティー?」

子どもの声に振り返った青年は、軽く目を瞠った。

「あ、馬鹿、お前出て来んな!」
「何で?」
「ダメ! 特に今は絶対ダメ!!」

きょとん、とした顔で首を傾げているのは、銀の髪に菫色の瞳の、少女のような少年。
素晴らしい美少年だ。
真っ白な肌に細い手足、天使のような美貌。
人間にも、こんな綺麗なのがいるんだな、とちいさくはない驚きを胸に、じっと見つめていると、目が合った。

「・・・レティー、この人だぁれ?」
「・・・オトモダチ」
「お友達? レティーの?」
「そうだよ」
「ふぅん・・・女の人じゃないのに、綺麗なお友達いるんだね」
「煩いよ、お前」

嫌そうな顔をすれば、少年はくすくすと笑った。

「いいから、お前奥に行ってろよ」
「何で?」
「何でも」
「だって、お腹空いた」
「あー、後で飯作ってやるから」
「すぐだよ!」
「はいはい。人参山ほど入れてやるよ」
「──ホント?!」

喜色満面になった途端、ふわり、と髪が揺れた。

「──え・・・?」

藍色の瞳を瞠ると、隣の友人が「あ、馬鹿!」と叫んだ。
わーいわーい、と喜んでいる少年の銀髪が、ふわり、ふわり、と揺れている。

「・・・・・・」

髪じゃない──耳だ。
膨大な脳内の動物図鑑中から、ピンッ、と弾き出された結論。
一瞬、仔犬なのかとも思ったのだが、違う。

「・・・レティー」
「断る」
「あれは・・・」
「やだね」

噛み合わない会話だったが、だからこそ青年は確信する。

「お前、名前は?」
「・・・シェラ」
「種族は?」

言うな、という金茶の青年を無視して、シェラは答えた。
途端に、美貌の青年の唇が持ち上がる。

「──レティー、言い値で買おう」


銀色の少年は、耳の長いうさぎだった。


**********

・・・こわーい・・・変態がいる・・・。
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