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小ネタや更新記録など。妄想の赴くままに・・・
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かっこいいヴァンツァー、書けるんだからね!


**********

「ロッドはあるか?」

宵闇の中、5人の相手を前にして隣の男に問われる。

「あるが」
「貸せ」

簡潔な言葉に、眉宇を顰めた。

「なぜ?」

理由はいくつかある。

「そいつらの狙いは私のようだが?」

ひとつはそれ。
「その女を置いていけ」という陳腐な台詞を投げてきた男たちの手には、アクションロッドやナイフ。
5人の武装した人間に迫られたら、普通は恐怖を感じるのだろうが。

「ならば私が相手をするのが筋だろう」
「まぁ、それでも構わんが」

こちらに視線ひとつ向けず、軽い嘆息が漏らされる。

「俺を排除しようとしているのに他人に任せるのは、何となく気分が悪い」

それは分からないでもない。
しかし、それにしても、だ。

「ロッドが必要か?」

それがふたつ目。
たった5人、それも訓練を受けた暗殺者や軍人でもないのに、この男に得物が必要だとはとても思えない。
私にすら必要ない。
体術でも十分だし、相手の得物を奪ってもいい。

「あまり痕跡を残したくない」
「痕跡?」
「無手で相手の服や身体に指紋や体細胞が残るのを避けたい」
「正当防衛だろう?」
「見るものがいればな」
「は?」
「さっさと無力化して帰る」

何となく、察せられた。

「・・・課題か」
「まだレポートがいくつか残っている」

真面目というか、もう一種の病気だと思うほどに単位を取り漁っている男は、驚異的な頭脳と集中力で学園創立以来の秀才の名を恣にしている。

「・・・まぁ、いいが」

ポシェットから手のひらより少し大きい程度に収納されたロッドを取り出し、一歩前にいる男に渡した。
ざわり、と数歩先にいる男たちが構える。
空気を通して緊張感が伝わるが、無論、私の前にいる男にそんなものはない。

「お前が抜かれたら、私が無手で戦うことになるな」

ふと思う。
そうすれば、この男の言う『痕跡』が残る可能性がある。
私の言葉に目の前の、恐ろしく整った顔の男は、目を丸くして軽く首を傾げた。
どこか可愛らしさすら感じる仕草に眉が寄る。

「・・・何だ」
「まぁ、いい」

呟いた男は、カシャン、と軽い音をさせてロッドを伸ばした。
それからは、何というか・・・。

「帰るぞ」

縮められたロッドが手元に返ってくる。
強いか強くないかで言えば、化け物みたいに強い男だ。
私よりも速く、私よりも力強く、──私よりも技巧が高い。
倒れ伏す男たちのように無様に負けるとは思わないが、勝つイメージはまったく湧かない。

「連邦大学惑星は、安全な星と聞いていたがな」

私たちにとってはどうということはないが、これが力のない少女や女性を対象にしたものであったならば。

「声が掛けられるだけ、安全だろう」

背後から忍び寄り、有無を言わさず昏倒させて連れ去る。
本気でやるならその方が確実だ。

「知能が低く、自分の力を誇示したい小物は湧いて出る」
「能ある鷹は爪を隠す、か」
「隠すわけではないと、俺は思うがな。本当に優秀なものにとって、それは『当たり前』なだけだ」

はた、と気づいた。

「・・・悪かった」
「何が」
「決して侮辱したつもりはない」
「だから何がだ」

立ち止まった私に合わせて歩みを止めた男の顔が見られない。

「その・・・別に、お前が負けると思ったわけではないんだ」

先程の、怪訝そうな表情。
それはそうだろう──突破されるわけがない。
万を超える訓練された軍人相手の戦場ですら、返り血ひとつ浴びず淡々と剣を振るう男だ。

「お前は、守りやすい」
「──は?」

私の謝罪に対する返答でも何でもなく、そんな言葉が返ってきた。

「下手に騒がず、動かず、余計なことをしない」
「・・・」

これは、逆に馬鹿にされているのだろうか?

「定点を守備するのは、さほど大変なことではない」

それが、この男にとっての『当たり前』。


**********

どう終わらせたらいいか分からなくなったので、この辺で。

な? 戦ってるヴァンツァー、かっこええやろ?
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