小ネタや更新記録など。妄想の赴くままに・・・
夏休みまで。あ、いや、その前に5周年が来るとかいうのはあはははは(←笑って誤魔化すな)
現在、鋭意執筆中です。ファロット一家の夏休み。
あー、そうそう。クラブレの新刊読みました。レティーとヴァンツァーの休日のお話。楽しかったです。このふたりが好きな方は、買いじゃないかなー。ヴァンツァーを思い切り笑ってやりました。そして、ヴァンツァー編のとある登場人物の名前と性格に呆然となりました。やっぱりヴァンツァーにはそういう人でないとね。うん。
クラブレは最終巻とのことですが、また天使や怪獣たちで新シリーズを書く予定らしいですね。人の死なない楽しいお話を期待しています。もう、あの子たちは傷ついたり、傷つけたりしなくていいんです。
そんなわけで、小ネタ。
現在、鋭意執筆中です。ファロット一家の夏休み。
あー、そうそう。クラブレの新刊読みました。レティーとヴァンツァーの休日のお話。楽しかったです。このふたりが好きな方は、買いじゃないかなー。ヴァンツァーを思い切り笑ってやりました。そして、ヴァンツァー編のとある登場人物の名前と性格に呆然となりました。やっぱりヴァンツァーにはそういう人でないとね。うん。
クラブレは最終巻とのことですが、また天使や怪獣たちで新シリーズを書く予定らしいですね。人の死なない楽しいお話を期待しています。もう、あの子たちは傷ついたり、傷つけたりしなくていいんです。
そんなわけで、小ネタ。
**********
そう彼氏に訊ねるのは、重いのだそうだ。
シェラとソナタはふたりで出かけてしまった。
彼氏も用事があるとかで、今日はぽっかり時間が空いた休日だ。
勝手知ったるソナタの部屋にあった雑誌にたまたま目を通したらそう書いてあって、しばし呆然となったカノンである。
しょっちゅう、というほどではないが、たまに訊いている自分がいるからだ。
だってそんなのアリスがいけないんだ、と雑誌から顔を上げて眉を顰めた。
無口だし無愛想だし、空気読めないし、ヘタレわんこのくせにかっこつけたがるから、デートのときに手を繋がせるのに、どれだけ苦労したと思っているのだ。
見た目は端整だからそれなりにモテるだろうし、過去に彼女の2、3人いたのだろうが、そんなの根掘り葉掘り訊いたらそれこそ重いだろうし、と思って雑誌に目を落とすと、やはりそう書いてある。
「・・・何だよ、これ」
むぅ、と唇を尖らせる顔も大層可愛らしいカノンだ。
雑誌によれば『私たち付き合ってるんだよね?』と訊くのもNGだそうだ。
不安になったら訊くだろう、と思ってしまうカノンだったが、そもそも彼女を不安にさせるような男がダメダメなのであって、訊ねる方には何の落ち度もないはずだ。
「──『ぼくのこと好き?』って訊くのって、重いの?」
だから、カノンは経験豊富そうな人間を選んで訊ねてみた。
「重い。というか、面倒くさい」
ばっさりと切り捨てるような台詞に、カノンは悲壮感でいっぱいの顔になった。
「──ただし、それが心底惚れている相手でなければ、の話だが」
「え?」
「そう言わせてしまうのは男に問題があるんだから、反省すべきであって憤るべきではないな」
「・・・ほんとに? 父さん、そう思う?」
だよね! と思ったカノンだが、一応確認を取る。
何といっても、この父は女にモテすぎるから、自分を見て目の色を変えない女なら好き、という殺されても文句の言えないような感覚の持ち主なのだから。
「思うというか、実体験として」
「シェラ、訊いてくる?」
「時々な」
「・・・シェラなら、面倒じゃない?」
「可愛いと思ってるよ」
薄く笑みを浮かべる美貌に、カノンは少しほっとした。
「まぁ、それこそシェラ以外の人間にやられたら面倒を通り越して腹が立つだろうが」
「・・・・・・」
「お前は平気だよ」
カノンの考えていることがありありと分かった男は、ちいさく笑ってポン、と頭を叩いてやった。
「お前の彼氏は、シェラ並みの鈍感だが感覚は鋭い」
「・・・矛盾してない?」
「いや。人の好意を受け取ることには免疫がないだけで、心の機微には敏感に反応するんだ」
「免疫って・・・だって、たぶんモテるよ」
ふてくされたような口調になる息子に、ヴァンツァーはまたくすくすと笑った。
「俺は、どうして女が──まぁ、ときに男もだが、この顔を見て騒ぐのか理解出来ない」
「・・・・・・」
「いや、理解は出来るか。共感出来ないんだな」
「・・・男の敵だよね」
「よく言われたよ」
「それで?」
「それだけだ。たぶん、お前の彼氏も同じことを思っているよ」
「・・・よく、分かんないんだけど」
「迷信と同じだ。どうしてそんなものをありがたがるんだ、と思っている。いくら顔が良くても、人として尊敬出来ない人間を好きにはなれないだろう?」
「人となりをよく知りもしないのに、見た目だけで騒がれるのが分からないってこと?」
「まぁ、そういうことかな」
うー、とちいさく唸ったカノンは、ぎゅっと厚い胸板に抱きついてみた。
そうして、そろっと顔を上げた。
「・・・父さんって、性格分かると途端に振られるタイプだよね」
「幸か不幸か、賢明な女は付き合う前に気づくようだが」
「で、振られると面白くなるんでしょ」
「非常に新鮮だからな」
「ぷっ、──最悪」
決してそんなことは思っていない口調で苦笑したカノンは、もう一度むぎゅっと抱きついてみた。
「彼氏にしてやれよ」
「んー、ちょーっと細身なんだもーん」
「あれは体質だよ。そうそう筋肉はつかない」
「だーかーらー、たまにはこうして父さんにぎゅーってしたいの」
「泣かれるぞ」
「どっちかっていうと、ふてくされる」
「愛されてるじゃないか」
「当たり前じゃん」
へへっ、と得意げな笑みを浮かべるカノンに、ヴァンツァーもにっこり笑って言ってやった。
「ちなみに、お前の彼氏は今シェラに相談に乗ってもらっているぞ」
「──はぁ?!」
ガバッと跳ねるようにして飛び起きたカノン。
「だって、シェラはソナタと出かけるって!!」
「ソナタもついていった」
「・・・ぼくに何の断りもなく・・・」
「何でも、『女心』について訊きたいことがあるそうだ」
「・・・・・・」
これには腹立ちを通り越して唖然としてしまったカノンである。
「・・・徹底的に人選を間違ってますけど」
「お前の彼氏はいつもそうだな」
自分のことは棚に上げて真顔で頷く父の言葉に、カノンは深くため息を零して脱力した。
トン、と逞しい胸に頭を預けると、ぼんやりとした様子で呟く。
「・・・そんなのさ、別に訊くことないじゃん」
「俺もそう思うよ。お前は分かりやすい」
「・・・・・・やっぱり、ぼく重いんだよ」
「どちらかと言えば、逆だと思うが」
「──え?」
顔だけを上げたカノンの髪を撫でて、ヴァンツァーは緩く唇を持ち上げた。
「『どうやったら、素直に甘えてくれるんでしょうか』、だそうだ」
「は?」
「彼氏の悩み。『高飛車に上から目線でないと我が儘も言えないのは、俺に包容力がないからでしょうか』と、昨夜かかってきた電話で深刻な顔をして言っていたぞ」
「・・・それってさ、ぼくに言っちゃっていいわけ?」
「どうせお前に隠し事なんて出来ないよ」
「まぁ、そりゃあそうだけど・・・」
「足りないらしい」
「何が?」
一瞬「頭が?」と言いそうになったが、それはぐっと堪えたカノンである。
「甘え方」
「・・・・・・」
「たまには、可愛く甘えてやったらどうだ?」
「・・・だって・・・気づかないもん」
「お前は、しっかりしているように見えるが、本当は引っ張って欲しいタイプだからな」
「・・・・・・」
さすがというか何と言うか、その通りである。
もちろん、人は選ぶが。
「あの彼氏に引っ張ってもらうには、わざとナンパでもされるしかないだろう」
「・・・うん」
「でも、そうやって無駄なことで頑張らなきゃいけないのは、疲れるんだよな」
「・・・・・・うん」
すり、と胸に頭を擦り付けてくる息子を、懐深く迎えてやる。
「そういうときは、こうやって全部預けてしまえばいい」
「・・・重くない?」
「いけないのか?」
「・・・・・・」
「そりゃあ重いさ。人ひとりの全存在を預けられるんだ。覚悟のない男は逃げ出すだろう」
「・・・・・・」
「でも、あの彼氏は平気だよ」
俺なんかより、余程包容力があるからな、とちいさく笑う様子に、カノンもくすっと笑った。
「・・・アリスにぎゅってされるとね、すごく、安心なの」
「うん」
「ヘタレわんこなんだけど・・・空気だって読めないんだけど・・・丸ごと、ぎゅってしてくれるの」
「うん」
「普段は頼まないとしてくれないのに、そういうときは、アリスの方からしてくれるんだよ」
「たぶん、分かってるんだろうな」
「うん・・・普段からそうなら、楽なのになぁ・・・」
「でも、いつもそれだとつまらないんだろう?」
からかうような台詞に、カノンは忍び笑いを漏らして頷いた。
「あ~あ。めんどくさいなー」
「それが嫌じゃないから不思議なんだ」
「──同感」
同じ顔をした、けれど雰囲気はだいぶ異なる親子は額を合わせて笑いあった。
そこに、恋愛相談のはずが、ショッピングの荷物持ちになった長身の青年が居合わせてしまうのは、また別のお話。
**********
朝書くはずだったんだけどなー。妙に忙しかった。いや、何か、うん、頑張る。
そう彼氏に訊ねるのは、重いのだそうだ。
シェラとソナタはふたりで出かけてしまった。
彼氏も用事があるとかで、今日はぽっかり時間が空いた休日だ。
勝手知ったるソナタの部屋にあった雑誌にたまたま目を通したらそう書いてあって、しばし呆然となったカノンである。
しょっちゅう、というほどではないが、たまに訊いている自分がいるからだ。
だってそんなのアリスがいけないんだ、と雑誌から顔を上げて眉を顰めた。
無口だし無愛想だし、空気読めないし、ヘタレわんこのくせにかっこつけたがるから、デートのときに手を繋がせるのに、どれだけ苦労したと思っているのだ。
見た目は端整だからそれなりにモテるだろうし、過去に彼女の2、3人いたのだろうが、そんなの根掘り葉掘り訊いたらそれこそ重いだろうし、と思って雑誌に目を落とすと、やはりそう書いてある。
「・・・何だよ、これ」
むぅ、と唇を尖らせる顔も大層可愛らしいカノンだ。
雑誌によれば『私たち付き合ってるんだよね?』と訊くのもNGだそうだ。
不安になったら訊くだろう、と思ってしまうカノンだったが、そもそも彼女を不安にさせるような男がダメダメなのであって、訊ねる方には何の落ち度もないはずだ。
「──『ぼくのこと好き?』って訊くのって、重いの?」
だから、カノンは経験豊富そうな人間を選んで訊ねてみた。
「重い。というか、面倒くさい」
ばっさりと切り捨てるような台詞に、カノンは悲壮感でいっぱいの顔になった。
「──ただし、それが心底惚れている相手でなければ、の話だが」
「え?」
「そう言わせてしまうのは男に問題があるんだから、反省すべきであって憤るべきではないな」
「・・・ほんとに? 父さん、そう思う?」
だよね! と思ったカノンだが、一応確認を取る。
何といっても、この父は女にモテすぎるから、自分を見て目の色を変えない女なら好き、という殺されても文句の言えないような感覚の持ち主なのだから。
「思うというか、実体験として」
「シェラ、訊いてくる?」
「時々な」
「・・・シェラなら、面倒じゃない?」
「可愛いと思ってるよ」
薄く笑みを浮かべる美貌に、カノンは少しほっとした。
「まぁ、それこそシェラ以外の人間にやられたら面倒を通り越して腹が立つだろうが」
「・・・・・・」
「お前は平気だよ」
カノンの考えていることがありありと分かった男は、ちいさく笑ってポン、と頭を叩いてやった。
「お前の彼氏は、シェラ並みの鈍感だが感覚は鋭い」
「・・・矛盾してない?」
「いや。人の好意を受け取ることには免疫がないだけで、心の機微には敏感に反応するんだ」
「免疫って・・・だって、たぶんモテるよ」
ふてくされたような口調になる息子に、ヴァンツァーはまたくすくすと笑った。
「俺は、どうして女が──まぁ、ときに男もだが、この顔を見て騒ぐのか理解出来ない」
「・・・・・・」
「いや、理解は出来るか。共感出来ないんだな」
「・・・男の敵だよね」
「よく言われたよ」
「それで?」
「それだけだ。たぶん、お前の彼氏も同じことを思っているよ」
「・・・よく、分かんないんだけど」
「迷信と同じだ。どうしてそんなものをありがたがるんだ、と思っている。いくら顔が良くても、人として尊敬出来ない人間を好きにはなれないだろう?」
「人となりをよく知りもしないのに、見た目だけで騒がれるのが分からないってこと?」
「まぁ、そういうことかな」
うー、とちいさく唸ったカノンは、ぎゅっと厚い胸板に抱きついてみた。
そうして、そろっと顔を上げた。
「・・・父さんって、性格分かると途端に振られるタイプだよね」
「幸か不幸か、賢明な女は付き合う前に気づくようだが」
「で、振られると面白くなるんでしょ」
「非常に新鮮だからな」
「ぷっ、──最悪」
決してそんなことは思っていない口調で苦笑したカノンは、もう一度むぎゅっと抱きついてみた。
「彼氏にしてやれよ」
「んー、ちょーっと細身なんだもーん」
「あれは体質だよ。そうそう筋肉はつかない」
「だーかーらー、たまにはこうして父さんにぎゅーってしたいの」
「泣かれるぞ」
「どっちかっていうと、ふてくされる」
「愛されてるじゃないか」
「当たり前じゃん」
へへっ、と得意げな笑みを浮かべるカノンに、ヴァンツァーもにっこり笑って言ってやった。
「ちなみに、お前の彼氏は今シェラに相談に乗ってもらっているぞ」
「──はぁ?!」
ガバッと跳ねるようにして飛び起きたカノン。
「だって、シェラはソナタと出かけるって!!」
「ソナタもついていった」
「・・・ぼくに何の断りもなく・・・」
「何でも、『女心』について訊きたいことがあるそうだ」
「・・・・・・」
これには腹立ちを通り越して唖然としてしまったカノンである。
「・・・徹底的に人選を間違ってますけど」
「お前の彼氏はいつもそうだな」
自分のことは棚に上げて真顔で頷く父の言葉に、カノンは深くため息を零して脱力した。
トン、と逞しい胸に頭を預けると、ぼんやりとした様子で呟く。
「・・・そんなのさ、別に訊くことないじゃん」
「俺もそう思うよ。お前は分かりやすい」
「・・・・・・やっぱり、ぼく重いんだよ」
「どちらかと言えば、逆だと思うが」
「──え?」
顔だけを上げたカノンの髪を撫でて、ヴァンツァーは緩く唇を持ち上げた。
「『どうやったら、素直に甘えてくれるんでしょうか』、だそうだ」
「は?」
「彼氏の悩み。『高飛車に上から目線でないと我が儘も言えないのは、俺に包容力がないからでしょうか』と、昨夜かかってきた電話で深刻な顔をして言っていたぞ」
「・・・それってさ、ぼくに言っちゃっていいわけ?」
「どうせお前に隠し事なんて出来ないよ」
「まぁ、そりゃあそうだけど・・・」
「足りないらしい」
「何が?」
一瞬「頭が?」と言いそうになったが、それはぐっと堪えたカノンである。
「甘え方」
「・・・・・・」
「たまには、可愛く甘えてやったらどうだ?」
「・・・だって・・・気づかないもん」
「お前は、しっかりしているように見えるが、本当は引っ張って欲しいタイプだからな」
「・・・・・・」
さすがというか何と言うか、その通りである。
もちろん、人は選ぶが。
「あの彼氏に引っ張ってもらうには、わざとナンパでもされるしかないだろう」
「・・・うん」
「でも、そうやって無駄なことで頑張らなきゃいけないのは、疲れるんだよな」
「・・・・・・うん」
すり、と胸に頭を擦り付けてくる息子を、懐深く迎えてやる。
「そういうときは、こうやって全部預けてしまえばいい」
「・・・重くない?」
「いけないのか?」
「・・・・・・」
「そりゃあ重いさ。人ひとりの全存在を預けられるんだ。覚悟のない男は逃げ出すだろう」
「・・・・・・」
「でも、あの彼氏は平気だよ」
俺なんかより、余程包容力があるからな、とちいさく笑う様子に、カノンもくすっと笑った。
「・・・アリスにぎゅってされるとね、すごく、安心なの」
「うん」
「ヘタレわんこなんだけど・・・空気だって読めないんだけど・・・丸ごと、ぎゅってしてくれるの」
「うん」
「普段は頼まないとしてくれないのに、そういうときは、アリスの方からしてくれるんだよ」
「たぶん、分かってるんだろうな」
「うん・・・普段からそうなら、楽なのになぁ・・・」
「でも、いつもそれだとつまらないんだろう?」
からかうような台詞に、カノンは忍び笑いを漏らして頷いた。
「あ~あ。めんどくさいなー」
「それが嫌じゃないから不思議なんだ」
「──同感」
同じ顔をした、けれど雰囲気はだいぶ異なる親子は額を合わせて笑いあった。
そこに、恋愛相談のはずが、ショッピングの荷物持ちになった長身の青年が居合わせてしまうのは、また別のお話。
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朝書くはずだったんだけどなー。妙に忙しかった。いや、何か、うん、頑張る。
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