小ネタや更新記録など。妄想の赴くままに・・・
11月22日、言わずと知れた『いい夫婦』の日でございました。スケートよりも、夫婦を書くべきだったかも知れません(笑)でも、さっき思い出したので、仕方ないですね。
とりあえず、嫁をでろでろに甘やかすヴァンツァーを書いてみましょう。目指すところは、『嫁を甘やかしてもかっこいい男』。既に撃沈確定ですが(コラ)
とりあえず、嫁をでろでろに甘やかすヴァンツァーを書いてみましょう。目指すところは、『嫁を甘やかしてもかっこいい男』。既に撃沈確定ですが(コラ)
**********
「これとー、それとー、あ! あとあれも!!」
目に留まる服を片っ端から隣の男に持たせるシェラ。
次にシェラが手に取ったのは、シックな黒のワンピース。
身体の前に服を宛てがって、くるりと振り返る。
「似合う?」
二十歳の子を持つ親にはとても見えない少女のように可憐な美貌の主は、小首を傾げてそう訊ねた。
「あぁ」
対する男も、四十代も半ばを過ぎたとはとても思えない妖艶な美貌と、鍛えられた長身が目を引く。
「こっちは?」
「よく似合う」
「これも?」
「いいんじゃないか」
褒められているというのに、シェラはぷっくりと頬を膨らませた。
「どれもこれもおんなじこと言う」
「似合わなければそう言うさ」
軽く肩をすくめる様子に、シェラはむぅぅ、と唇を尖らせた。
「じゃあ、これ全部買って!」
「いいよ」
あっさりと頷いた男に、シェラはきゅうっと眉を寄せてふるふると首を振った。
「シェラ?」
「・・・違う」
「え?」
「違う、違う! ダメなんだ、頷いちゃ!」
不思議そうな顔で首を捻るヴァンツァーに、シェラは「だって、だって」と言い募った。
「・・・ちゃんと叱ってくれないと、我が儘になっちゃうじゃないか・・・」
本当は、女の子のウィンドウショッピングに付き合うのも、着せ替えごっこも好きじゃないくせに、と。
上目遣いでそんなことを言ってくる様子に、ヴァンツァーはちいさく笑みを零した。
「お前じゃなかったらな」
「・・・・・・」
「お前が可愛くなるのも、綺麗な服を着て嬉しそうな顔をしているのも、見ていて楽しいから別にいい」
「・・・またそうやって甘やかす」
「そんなつもりもないんだが・・・──叱って欲しい?」
薄く微笑んでいるというのに、ほんの少しだけ冷たさを滲ませる藍色の瞳。
ぞくっと背中を震わせたシェラは、俯いて曖昧に首を傾げた。
「なら、これはなしだな」
「──あ・・・」
黒いワンピースを取り上げられ、名残惜しそうに目で追うシェラ。
ヴァンツァーは、持っていた服すべてを近くの店員に渡した。
「こっちにしろ」
「・・・・・・」
代わりにシェラの身体に宛てがわれたのは、鮮やかなオレンジのカジュアルなドレス。
大きく開いたスクエアの襟元には、ボリュームのある銀狐のファーを纏えば防寒にもなり、より華やかな印象を与える。
シェラを鏡の前に立たせ、背後から耳元でささやく。
「──ほら、可愛い」
「・・・・・・」
「肌の色も髪も白いから、お前には濃い色の方が合う。黒もいいが、こちらの方が顔色が明るく見えるだろう?」
どうだ、と訊かれて、シェラはこくり、と頷いた。
「気に入った?」
もう一度頷く。
「じゃあ、着ておいで」
「──え?」
「ディナーはそれで」
「・・・ディナー?」
「フレンチ? イタリアン?」
「・・・イタリアン」
「じゃあ、取っておくから着替えておいで」
「・・・今から、予約取れるのか?」
心配そうな顔になるシェラに、ヴァンツァーは「取れるよ」とだけ言って微笑んだ。
そこに、「俺なら」という言葉が隠れているのを感じて、シェラは素直に頷くとフィッティングルームへ向かった。
「「──何、あの馬鹿っぷる・・・」」
じとーっと、据わった目で呟く双子に、その彼氏たちは苦笑した。
「ぼくたち、ちょー除け者じゃん」
「シェラが可愛いのはいいけど、うっかりパパのことかっこいいとか思いそうになっちゃったじゃない。どうしてくれるのよ」
ぶつぶつ言いながら、ふたりともそれぞれの彼氏にぴったりと寄り添っている。
「・・・ディナーか」
「どしたの、アリス?」
「え、いや・・・俺達どうする?」
「へ?」
「だって、ヴァンツァーたちふたりで行くんだろ?」
そんなわけないじゃん、と思ったカノンだったが、実際父の口から言わせた方がいいだろうと思って声を掛けた。
「父さーん。もちろんぼくたちの席も取ってくれてるんでしょ?」
「フレンチの方が良かったか?」
見当違いの疑問をぶつけてくる男に、キニアンは目を瞠った。
「ま、まさか、ドレスコードとかないですよね・・・?」
ヴァンツァーが選ぶレストランなど、それなりの格の店に決まっている。
最初から決まっていたならジャケットくらい羽織ってきたものを、と。
バリバリの普段着で来ていたため冷や汗を流したキニアンに、ヴァンツァーはにっこりと微笑んだ。
「おいで。見立ててあげる」
「・・・いや、そういうことじゃ」
「じゃあぼくもー」
「わたしもー」
「おれもー」
頭を抱えそうになるキニアンはそっちのけで、他の三人はさっさとヴァンツァーにくっついて行ってしまった。
今までにヴァンツァーに買ってもらった服や靴の数々を思い出して、胃が痛くなってきたキニアン。
「・・・今度は何で返そう・・・」
自分のチェロの演奏くらいではとても足りないだろうから、両親に頼んでどこかのオケを丸ごと呼んでもらおうかな、と。
ちょっと本気で考えたキニアンなのだった。
**********
あれ? 何で落ちが『今日のわんこ』なんだろう・・・? おかしいな・・・。
「これとー、それとー、あ! あとあれも!!」
目に留まる服を片っ端から隣の男に持たせるシェラ。
次にシェラが手に取ったのは、シックな黒のワンピース。
身体の前に服を宛てがって、くるりと振り返る。
「似合う?」
二十歳の子を持つ親にはとても見えない少女のように可憐な美貌の主は、小首を傾げてそう訊ねた。
「あぁ」
対する男も、四十代も半ばを過ぎたとはとても思えない妖艶な美貌と、鍛えられた長身が目を引く。
「こっちは?」
「よく似合う」
「これも?」
「いいんじゃないか」
褒められているというのに、シェラはぷっくりと頬を膨らませた。
「どれもこれもおんなじこと言う」
「似合わなければそう言うさ」
軽く肩をすくめる様子に、シェラはむぅぅ、と唇を尖らせた。
「じゃあ、これ全部買って!」
「いいよ」
あっさりと頷いた男に、シェラはきゅうっと眉を寄せてふるふると首を振った。
「シェラ?」
「・・・違う」
「え?」
「違う、違う! ダメなんだ、頷いちゃ!」
不思議そうな顔で首を捻るヴァンツァーに、シェラは「だって、だって」と言い募った。
「・・・ちゃんと叱ってくれないと、我が儘になっちゃうじゃないか・・・」
本当は、女の子のウィンドウショッピングに付き合うのも、着せ替えごっこも好きじゃないくせに、と。
上目遣いでそんなことを言ってくる様子に、ヴァンツァーはちいさく笑みを零した。
「お前じゃなかったらな」
「・・・・・・」
「お前が可愛くなるのも、綺麗な服を着て嬉しそうな顔をしているのも、見ていて楽しいから別にいい」
「・・・またそうやって甘やかす」
「そんなつもりもないんだが・・・──叱って欲しい?」
薄く微笑んでいるというのに、ほんの少しだけ冷たさを滲ませる藍色の瞳。
ぞくっと背中を震わせたシェラは、俯いて曖昧に首を傾げた。
「なら、これはなしだな」
「──あ・・・」
黒いワンピースを取り上げられ、名残惜しそうに目で追うシェラ。
ヴァンツァーは、持っていた服すべてを近くの店員に渡した。
「こっちにしろ」
「・・・・・・」
代わりにシェラの身体に宛てがわれたのは、鮮やかなオレンジのカジュアルなドレス。
大きく開いたスクエアの襟元には、ボリュームのある銀狐のファーを纏えば防寒にもなり、より華やかな印象を与える。
シェラを鏡の前に立たせ、背後から耳元でささやく。
「──ほら、可愛い」
「・・・・・・」
「肌の色も髪も白いから、お前には濃い色の方が合う。黒もいいが、こちらの方が顔色が明るく見えるだろう?」
どうだ、と訊かれて、シェラはこくり、と頷いた。
「気に入った?」
もう一度頷く。
「じゃあ、着ておいで」
「──え?」
「ディナーはそれで」
「・・・ディナー?」
「フレンチ? イタリアン?」
「・・・イタリアン」
「じゃあ、取っておくから着替えておいで」
「・・・今から、予約取れるのか?」
心配そうな顔になるシェラに、ヴァンツァーは「取れるよ」とだけ言って微笑んだ。
そこに、「俺なら」という言葉が隠れているのを感じて、シェラは素直に頷くとフィッティングルームへ向かった。
「「──何、あの馬鹿っぷる・・・」」
じとーっと、据わった目で呟く双子に、その彼氏たちは苦笑した。
「ぼくたち、ちょー除け者じゃん」
「シェラが可愛いのはいいけど、うっかりパパのことかっこいいとか思いそうになっちゃったじゃない。どうしてくれるのよ」
ぶつぶつ言いながら、ふたりともそれぞれの彼氏にぴったりと寄り添っている。
「・・・ディナーか」
「どしたの、アリス?」
「え、いや・・・俺達どうする?」
「へ?」
「だって、ヴァンツァーたちふたりで行くんだろ?」
そんなわけないじゃん、と思ったカノンだったが、実際父の口から言わせた方がいいだろうと思って声を掛けた。
「父さーん。もちろんぼくたちの席も取ってくれてるんでしょ?」
「フレンチの方が良かったか?」
見当違いの疑問をぶつけてくる男に、キニアンは目を瞠った。
「ま、まさか、ドレスコードとかないですよね・・・?」
ヴァンツァーが選ぶレストランなど、それなりの格の店に決まっている。
最初から決まっていたならジャケットくらい羽織ってきたものを、と。
バリバリの普段着で来ていたため冷や汗を流したキニアンに、ヴァンツァーはにっこりと微笑んだ。
「おいで。見立ててあげる」
「・・・いや、そういうことじゃ」
「じゃあぼくもー」
「わたしもー」
「おれもー」
頭を抱えそうになるキニアンはそっちのけで、他の三人はさっさとヴァンツァーにくっついて行ってしまった。
今までにヴァンツァーに買ってもらった服や靴の数々を思い出して、胃が痛くなってきたキニアン。
「・・・今度は何で返そう・・・」
自分のチェロの演奏くらいではとても足りないだろうから、両親に頼んでどこかのオケを丸ごと呼んでもらおうかな、と。
ちょっと本気で考えたキニアンなのだった。
**********
あれ? 何で落ちが『今日のわんこ』なんだろう・・・? おかしいな・・・。
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