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小ネタや更新記録など。妄想の赴くままに・・・
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にゃー・・・ということで、目が覚めるかどうかわからんけど、何かに目覚めそうなものを書いてみる。

**********

──宝石が、動いているのだと思った。

「はい、どーぞ」

真っ白くてちいさな身体の前に、ガラスの皿に移した缶詰の餌を置いてやる。
ふんふん、と匂いをかいで、安心だと思ったのかまずは舌を伸ばす。
一瞬動きを止めて、そこからはもう、あっという間に平らげた。
ものすごい速さで餌はなくなっていったわけだが、不思議とガツガツしている印象は受けなかった。

「いい食べっぷりだな」

くすくすと微笑むのは、端正な容貌の青年。
茶色の髪と、若葉色の瞳の青年はかなりの長身で、生まれて数ヶ月の仔猫と比べると巨人のようだ。

「こんなに綺麗なのに、酷いことするなぁ」

そっと額の辺りを撫でてやると、仔猫はぺろぺろと青年の指を舐めた。
くすぐったそうな顔になった青年は、空っぽの皿を手にキッチンへ向かった。
とてとて、とあとをついてくる姿も可愛らしい仔猫に、どうにも頬が緩む。
真っ白い毛並みに、紫水晶のような瞳。
見つけたときは汚れて灰色にも見えた毛並みだったけれど、この瞳に惹かれた。
お決まりの『拾って下さい』と書かれたダンボールの中から、じっと見上げてきた瞳。

「水あげるから、ちょっと待ってて」

なー。

そう返してきた声は、ちいさい身体に似合わず結構強くて、青年はまた少し笑った。
この家は両親の持ち家だったし、その両親も仕事で1年のほとんどを海外で過ごすような状態だから、猫1匹飼ったところで咎められることもない。

「名前、決めなきゃな」

自分が歩くとあとをついてくる仔猫に、何だか親になった気分がした青年だ。
とても綺麗な猫だから、名前もやはり綺麗なのがいい、と思いふと目についたのは彼の相棒とも言える楽器だった。

「──『カノン』で、どうかな?」

訊ねると、『なー?』と首を傾げられてしまったので、ひょいっと抱き上げた。

「『カノン』。パッヘルベルの。綺麗な曲だよ」

好きな曲のひとつでもある。
そう言うと、仔猫はまるで笑うように目を細めて『なー』と鳴いた。
それを了承の合図と受け取り、青年は仔猫を足元に下ろして椅子に座り、相棒を構えた。

「こういう曲」

ゆったりとした曲は、あたたかな春の風が花の香りを運んでくるような、そんな澄んだ音をしている。
きらきらとしたチェロの音色に、仔猫はじーっと青年を見上げてきていた。
気に入ってくれたのかな、と仔猫と視線を合わせた青年は、何だか幸せな気分になった。

──事件が起きたのは、その翌日、いや、翌朝のことだった。



**********

続く・・・のかな。
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