小ネタや更新記録など。妄想の赴くままに・・・
でも書いてみる。
**********
その日、アリス・キニアンは寮の自室から電話をかけた。
「ちょっと、話があるんだけど。今度の土曜日、時間あるか?」
『大丈夫だよ』
「そうか。じゃあ・・・」
待ち合わせ場所を決めると、電話を切った。
そして、土曜日。
午前10時。
サンタ・モンテ駅前通りは、若者たちで溢れている。
この辺りに若者が好みそうな遊興施設は少ないが、この駅を経由して大きな街へと出かける若者が多いのだ。
待ち合わせ5分前に着いたキニアンは、いつものことながら膨大な数の視線に晒されていた。
その大部分が女性のそれである。
それは彼の長身と美貌のせいなのだが、本人はよほど鈍感なのか、慣れてしまったのか──おそらく両方だろうが──まったく気にしていない。
「──待った?」
キニアンひとりでも目立っていたというのに、その声の主が現場に現れると、駅前はほとんど騒然となった。
「いや。ついさっき着いたところだ」
「そう」
「あぁ。呼び出して悪いな──ライアン」
大丈夫だよ、とにっこり笑うのは、180センチを超える長身に金髪と褐色の肌が眩しい美女──にしか見えないがれっきとした男であるライオネル・ハーマイン。
ソナタの彼氏である。
「どこか入る?」
「そうだな。その辺のカフェでも」
「おっけー」
ふたりが並んで歩くと、その道に沿って人が避ける。
長身の大型カップル──に見える──には、好奇と賞賛の視線が突き刺さる。
曰く、
「何あれ! ちょーレヴェル高くない?!」
「彼氏かっこいい!! めちゃくちゃ背ぇ高いよ!!」
「あのちょっと冷たそうな眼とかいいよね!!」
「ってか、彼女のレヴェル高すぎじゃない?! モデルさんかなぁ?」
「うわー、あの子、自分より背ぇ低い男でも大丈夫かな?!」
「いやいや、お前の顔じゃ無理だろ」
「意外とこういう顔の方がウケるんだって」
「だったらあの彼氏連れてねぇだろ」
「そっか・・・」
「何でもいいけど、どうして連邦大学惑星って、撮影機器持込禁止なんだろう!!」
「「「「「あー悔しい!!!!」」」」」
『悔しい』のは『彼氏がかっこいい』とか『彼女が美人』だからとかではなく、『シャッターチャンスを逃した』かららしい。
もちろん、その会話はキニアンたちの耳にも入っている。
「・・・何か、すごい勝手なこと言われてるな」
「あはは。おれ、女扱いもう慣れた。好きにして、って感じ」
「・・・大人だな」
「別に目の前で服脱いで見せてもいいんだけど」
「──余計人目引くからやめてくれ」
「うん。でなきゃ捕まるからね」
にこにこ笑っているライアンとは逆に、キニアンの顔色は冴えない。
「でもさ、これ、おれじゃなくてお兄ちゃんだったら、もっと騒がれてる気がする」
「──カノン?」
「うん。『駅前通りに天使が現れた!』って新聞に載るかも」
「・・・載るかよ」
「アー君、自分の恋人を過小評価しちゃいけないなぁ」
「してないよ。さすがに新聞には載らないだろう、って話」
ため息を吐いたキニアンは、ライアンが示した手近なカフェへと脚を踏み入れた。
**********
続くかどうか知らん。
何か、このふたりが街を歩いているのを書きたかったのだ。
その日、アリス・キニアンは寮の自室から電話をかけた。
「ちょっと、話があるんだけど。今度の土曜日、時間あるか?」
『大丈夫だよ』
「そうか。じゃあ・・・」
待ち合わせ場所を決めると、電話を切った。
そして、土曜日。
午前10時。
サンタ・モンテ駅前通りは、若者たちで溢れている。
この辺りに若者が好みそうな遊興施設は少ないが、この駅を経由して大きな街へと出かける若者が多いのだ。
待ち合わせ5分前に着いたキニアンは、いつものことながら膨大な数の視線に晒されていた。
その大部分が女性のそれである。
それは彼の長身と美貌のせいなのだが、本人はよほど鈍感なのか、慣れてしまったのか──おそらく両方だろうが──まったく気にしていない。
「──待った?」
キニアンひとりでも目立っていたというのに、その声の主が現場に現れると、駅前はほとんど騒然となった。
「いや。ついさっき着いたところだ」
「そう」
「あぁ。呼び出して悪いな──ライアン」
大丈夫だよ、とにっこり笑うのは、180センチを超える長身に金髪と褐色の肌が眩しい美女──にしか見えないがれっきとした男であるライオネル・ハーマイン。
ソナタの彼氏である。
「どこか入る?」
「そうだな。その辺のカフェでも」
「おっけー」
ふたりが並んで歩くと、その道に沿って人が避ける。
長身の大型カップル──に見える──には、好奇と賞賛の視線が突き刺さる。
曰く、
「何あれ! ちょーレヴェル高くない?!」
「彼氏かっこいい!! めちゃくちゃ背ぇ高いよ!!」
「あのちょっと冷たそうな眼とかいいよね!!」
「ってか、彼女のレヴェル高すぎじゃない?! モデルさんかなぁ?」
「うわー、あの子、自分より背ぇ低い男でも大丈夫かな?!」
「いやいや、お前の顔じゃ無理だろ」
「意外とこういう顔の方がウケるんだって」
「だったらあの彼氏連れてねぇだろ」
「そっか・・・」
「何でもいいけど、どうして連邦大学惑星って、撮影機器持込禁止なんだろう!!」
「「「「「あー悔しい!!!!」」」」」
『悔しい』のは『彼氏がかっこいい』とか『彼女が美人』だからとかではなく、『シャッターチャンスを逃した』かららしい。
もちろん、その会話はキニアンたちの耳にも入っている。
「・・・何か、すごい勝手なこと言われてるな」
「あはは。おれ、女扱いもう慣れた。好きにして、って感じ」
「・・・大人だな」
「別に目の前で服脱いで見せてもいいんだけど」
「──余計人目引くからやめてくれ」
「うん。でなきゃ捕まるからね」
にこにこ笑っているライアンとは逆に、キニアンの顔色は冴えない。
「でもさ、これ、おれじゃなくてお兄ちゃんだったら、もっと騒がれてる気がする」
「──カノン?」
「うん。『駅前通りに天使が現れた!』って新聞に載るかも」
「・・・載るかよ」
「アー君、自分の恋人を過小評価しちゃいけないなぁ」
「してないよ。さすがに新聞には載らないだろう、って話」
ため息を吐いたキニアンは、ライアンが示した手近なカフェへと脚を踏み入れた。
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続くかどうか知らん。
何か、このふたりが街を歩いているのを書きたかったのだ。
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