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小ネタや更新記録など。妄想の赴くままに・・・
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雷ばりばり言ってて、びくびくしながら帰ってきたら家の電気真っ暗で・・・オンボロ家屋だから幽霊屋敷みたいな中にこれまたびくびくしながら入って、携帯の明かりだけを頼りにブレーカー上げて・・・・・・

こぁいよ~~~~~~!!・・・(((TT△TT)))・・・

そんな感じで小ネタです。
これも、スゲー長いので、そのうちファロット一家に移しますかね・・・いつになるかわからないけど。


**********

「待ってろ」と言ったきり黙々と使ったものを片付けているキニアンに、カノンは「何で」と声をかけた。

「送ってく」

すべてのボールを籠に入れ終え、倉庫へと運んでいくキニアンに、カノンは目を真ん丸にした。

「い、いいよ!」

慌てて後を追うが、キニアンはボールを所定の場所にしまうと倉庫の扉を閉めた。
自動的に、倉庫には鍵がかかる。
この体育館もそうだが、扉が閉まると鍵がかかるのである。

「送ってく」
「いいったら! ひとりで帰れるよ、女の子じゃないんだし!」

その辺の女の子よりよほど可愛い顔をしている見た目は天使な女王様に、キニアンは常と変わらぬ無表情で返した。

「俺が送っていきたいんだよ。──たまには俺の我が儘にも付き合え」
「・・・・・・」

言うだけ言うと、キニアンは体育館後方にある主電源盤へと向かった。

「消すぞ」と言うなりすべての明かりが消えた。
月の明るい晩だから、電気が消えても足元くらいは見える。
眼の良いカノンにとっては、何の支障もなく動き回れるほどに明るい晩だった。

「ついて来い」
「・・・何で今日はそんなに偉そうなわけ」
「女王様には負けますよ」
「・・・むかつく」

そう言いながらも、カノンは大人しくキニアンのあとをついていった。

「着替えてくるから、5分だけ待ってろ」
「・・・・・・」

むすっ、とした顔をしているカノンに向かって、キニアンはゆるり、と唇を持ち上げた。

「──ひとりで待ってられるか?」

言いながら銀色の頭を撫でると、「当たり前でしょう?!」と怒鳴られた。

「早く行っちゃえ!!」

噛み付くような勢いに、キニアンはちいさく笑ってもう一度ぽん、とカノンの頭を叩くと部室へと入って行った。
撫でられた頭を押さえているカノンは、むぅっ、と唇を尖らせていたけれど、その表情はどこか嬉しそうだった。



たった5分でどうやってシャワーまで浴びたのか聞かせて欲しいところだが、キニアンはTシャツにジーンズという出で立ちで部室から出てきた。

「お待たせ」
「ちょー待った」
「はいはい、ごめんなさい」
「・・・むかっ」

並んで駐車スペースのある寮の方へと向かう。
エア・カーへ向かうのかと思ったら、キニアンは寮の方へと向かった。

「──アリス?」
「あと1分くれ」
「・・・・・・」

あとをついていくと、キニアンは寮の入り口にいる寮監に外出の旨を告げた。

「2-Aのアリス・キニアンですけど。友達送ってくるんで、ちょっと出て来ます」

色白でぽっちゃりとした丸顔の女性寮監は、紫のセルフレームの奥の瞳を丸くした。

「あら。今から出ると、食堂しまっちゃうわよ?」
「あぁ・・・いいです。適当に食べますから」
「そう?」
「はい」

聞いていたカノンは飛び上がりそうになった。

「やっぱりいいよ! ぼくひとりで帰る!」
「馬鹿言うな。お前の家、ここからどれだけあると思ってるんだ」
「バ、バスあるもん!」
「だったら俺が車で送った方が早いだろうが」
「・・・・・・」

睨み合いを始めそうになったふたりに、寮監は朗らかな笑みを浮かべた。

「カノンちゃん」
「──え? ・・・ぼくの名前・・・」
「知ってるわよー。あなた有名だもの。──『双子の天使のお兄ちゃん』でしょ?」

校内だけでなく、寮にまでその名前は行き届いているらしい。

「彼氏がかっこつけたがってるんだから、送らせてやればいいのよ」
「──なっ、俺は別に」
「高校生男子なんて、所詮は見栄と豆粒みたいなプライドが服着て歩いているようなもんなんだから」
「・・まめっ・・・」

眉を顰めたキニアンが文句を言う前に、寮監はにっこりと笑った。

「消灯までには戻ってらっしゃいね」
「・・・はい」

ぺこり、と頭を下げてカノンを促そうとした長身の少年に、寮監は声を投げた。

「送り狼になっちゃダメよ~」
「──なっ、なりませんよ!!」

頭を金槌で殴られたような衝撃を受けたキニアンは、真っ赤な顔で反論した。
ったく、とぶつぶつ言うキニアンに促されたカノンは、一瞬寮監に視線を送った。
ひらひらと手を振ってくるその寮監の胸のネームプレートには、『T』の文字があった。


エア・カーの車中は、いつものようにふたりとも無言だ。
家まで距離があるとはいえ、時速数百キロ出るエア・カーであればものの数分で着く。
無事にファロット邸まで女王様を送り届けた端正な容貌の騎士は、真面目な性格なので出迎えてくれたシェラに頭を下げた。

「・・・すみません。こんなに遅くまで」

それを見て、シェラはくすくすと笑った。

「別にアー君が悪いわけじゃないでしょう? カノンが、アー君の練習終わるまで待ってる、って言ったんだし」
「え・・・?」
「──シェラ!!」

何で言うの?! と顔を真っ赤にしている愛息子に聖母の微笑を向けたシェラは、「それより」と言った。

「この時間じゃ、食堂終わってるでしょう」
「あ、はい。帰りに何か買って帰ろうかと」
「だーめ。うちで食べて行きなさい」
「──え?」
「買うと栄養偏るんだから。それに、申し訳ないけど私たちは食べ終わっちゃってるから、カノンの夕飯に付き合ってあげて」
「・・・あ、でも・・・」
「遠慮ならしないでね。料理が趣味なの、知ってるでしょう?」

人に食べてもらうのが嬉しいのだ、と微笑まれては、頷かないわけにはいかない。
そんなわけで、キニアンはファロット家で夕飯を食べることとなったのである。
食事の間もむっつりしているカノンに、若干傷ついているキニアンであった。
さっきはあんなに可愛かったのに・・・と思わないでもない。

そして、空腹が満たされたところで、時計を確認して「やばっ」と呟いた。

「シェラさん、すみません。俺、消灯までに戻らないと」
「あ、そうか。ごめんね、引き止めて」
「いえ。すごく美味しかったです。ごちそうさまです」

にっこり微笑んだキニアンを見送りに立つシェラ。
カノン、とシェラに呼ばれたから、ぶすっとした顔の天使は渋々席を立った。

「それじゃあ。本当に、美味しかったです」
「ありがとう。またいつでも来てね」
「・・・来るな」

呟くカノンに、シェラは「こら」と嗜める口調になった。

「ごめんね・・・」

眉を下げるシェラに、キニアンは首を振った。

「カノン」
「・・・なに」
「あー・・・待っててくれるのは嬉しいんだけど」
「別に待ってない」
「・・・あー、えーと・・・今日は、放課後も顔見られて嬉しかったんだけど」
「当然」
「・・・・・・」

なかなか手強い女王様に、キニアンとシェラは顔を見合わせて苦笑した。
キニアンは、先ほどしてやったように、ポン、と銀色の頭を叩いた。

「うん。でも、これからは、出来れば1本連絡くれよ。遅くまで残ってると、心配だからさ」
「・・・・・・」

ジロリ、と睨んだカノンである。

「携帯鞄の中じゃん。ぼく、メール入れたもん。部活終わる時間にも、連絡したもん。でも、返事ないから体育館行ったんだもん」
「・・・・・・」

これには冷や汗を流したキニアンだ。
それでは、カノンは何度も連絡を入れたのに、返事ひとつもらえない状態のまま、ずっと待っていたことになる。

──この、寂しがりやの女王様が、だ。

「──っ、悪いっ」
「いいよ、別に」
「ホントごめん!」
「いいってば」

顔を顰めていたカノンだったが、ふっと息を吐いた。

「・・・頑張ってるアリス見るの、嫌いじゃないから」

苦笑に近い微笑を浮かべた天使に、キニアンはしばし無言になった。
シェラは微笑ましくふたりを見つめている。

「・・・シェラさん」
「はい?」
「3秒だけ、後ろ向いてて下さい」
「──はぁい」

心得たシェラがくる、っと後ろを向いた隙に、キニアンは素早くカノンにキスをした。

「──ちょっ!! アリス!!」

真っ赤になって怒鳴りつけてくるカノンに、キニアンは珍しくあはは、と声を上げて笑った。

「じゃ、シェラさん。また来ます」
「来るな!!」
「いつでもどうぞ。──今度は、泊まりにおいで」

部屋いっぱいあるし、と言うシェラに、キニアンは「あー・・・」と情けない顔になった。

「・・・もうちょっと、修行してから来ます」
「だから来るなっ!!」

蹴散らすようにしてキニアンを追い出すカノン。
礼儀正しく頭を下げて出て行く好青年に、シェラはにこやかに手を振った。
そして、キニアンの運転してきたエア・カーが行ってしまうと、真っ赤になっているカノンを見て微笑んだのだった。


**********

・・・おまい、どんだけ長い話を日記に載せてんだこんちくしょー・・・良かった。雷落ちなくて・・・二度と書く気起きないところだゼ☆
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