小ネタや更新記録など。妄想の赴くままに・・・
11月22日、『いい夫婦』の日ですね。去年は、『嫁をでろでろに甘やかしてもかっこいい(?)ヴァンツァー』を書きました。ただの貢ぐ君でしたが(笑)
思いつきで、何か書いてみましょう。
思いつきで、何か書いてみましょう。
**********
「ねぇ、ねぇお兄ちゃん」
あなたのお兄ちゃんじゃありません、と言えていた頃はまだ良かったのだけれど。
義理とはいえ、本当にお兄ちゃんになってしまったカノンは、伸びた髪のおかげで余計に女性にしか見えなくなったライアンにちょっとめんどくさそうな顔を向けた。
だって、ライアンが言ってくることなんて、大抵めんどくさいに決まっているのだ。
「アー君とパパさんと、どっちが宇宙一かっこいい?」
「・・・・・・何でその二択なの」
案の定アホらしいことを訊かれ、カノンは大きなため息を零した。
「お兄ちゃんがアー君のことかっこいいと思ってるのは知ってるけど」
「思ってません」
「パパさんのことも、かっこいいから大好きだし」
「ちょっと、ぼくの言うこと聞いてた? 何そのスルースキル」
天使のような美貌を思い切り顰めたカノンにも、ライアンは悪びれた様子など微塵もない。
にこにこと「さあ、どっち?!」と聞いてくる男に、またもやため息を零すカノン。
「・・・かっこいいって言うなら、ケリーの方が断然かっこいいし」
かなり、『宇宙一』に近いかっこ良さなのではないかと思うわけだ。
女性であれば誰もが振り返る超二枚目の美貌、高い身長、鍛え抜かれた俊敏な肉体を持ち、かつて『キング』とまで呼ばれた最高の船乗りで、大財閥クーアの総帥を務められるほど頭も切れる。
ちょっと怒らせたくない人物ではあるが、基本的に人柄は鷹揚、会話は機知に富み、女性には不自由しなかっただろうに奥さんを深く愛しているという、ちょっと本気で『宇宙一』っぽい男だ。
「何かその特長、パパさんにも当てはまらない?」
「父さん、ほぼ完璧だけど、トータルで残念な人だもん」
何でだかよく分からないけど、あの父を見ていると『残念な人』という印象が強い。
顔は抜群だし、長身だし、身体能力高いし、頭いいし、仕事出来るし、家族にはやさしいし、多弁ではないけれど知識が豊富だから話していても楽しくて勉強になるし。
──しかし。
「・・・『シェラのことが大好き』っていう、美点のはずのところが、『残念』なんだよね・・・」
ちょっと遠い目をしたカノンに、ライアンは軽く首を傾げた。
「ケリーは、ジャスミンのことが大好きでも、ちゃんと独り立ち出来てるんだけど、父さんはシェラにめろめろのでろでろのふにゃふにゃだから。こう、何ものにも揺らぐことのない『オトナの男』みたいな感じがないんだよね」
これには思わず吹き出したライアンであった。
確かに、若干依存気味なところはあるかも知れない。
ライアンなんかは、そこが『可愛い』ところだと思っているのだけれど。
「でも好きなんだ?」
「・・・宇宙一かっこいいのとは、違うでしょ」
でもやっぱり好きなんだね~、と笑顔で言われて、カノンはふいっとそっぽを向いた。
くすくす笑ったライアンは、「じゃあ、アー君は?」と訊ねた。
「はぁ? アリスなんて、もっと全然宇宙一から遠いじゃん」
「お兄ちゃんの口から、アー君のかっこいいところ、聞きたいなー」
「ないよ、別に」
「えー、またまたー。顔かっこいいし、背も高いよ? 音楽の才能あるし」
「どれもこれも、別に宇宙一じゃないじゃん」
ツン、と澄ました顔をしてそんなことを言うカノンだったが、「でも」と前置きをすると、ライアンに向かって『にたり』と音がしそうな笑みを向けたのだった。
「アリス自体は全然宇宙一じゃないけど、──ぼくのことを宇宙一好きだから、まぁ、いいんじゃない?」
これで満足? とでも言いたげな顔をしているカノンに、ライアンは苦笑して、ポケットからボイスレコーダーを取り出した。
「・・・もしかして、気づいてた?」
これ、とレコーダーを見せるライアンに、カノンは「べっつにー」と返事をした。
「何で突然、とは思ったけど。使うんなら、使ってもいいよ」
その代わり、と条件をつけた。
「恥ずかしくて死にそうになってるアリスの様子、最初から最後まで録画してきてね♪」
盗撮可、とにっこり笑う天使を見て、ライアンは心の中で『がんばれ、アー君!』とエールを送ったのだった。
**********
ビデオレターならぬボイスレターを全員分作成する予定のライアンなのでした。
「ねぇ、ねぇお兄ちゃん」
あなたのお兄ちゃんじゃありません、と言えていた頃はまだ良かったのだけれど。
義理とはいえ、本当にお兄ちゃんになってしまったカノンは、伸びた髪のおかげで余計に女性にしか見えなくなったライアンにちょっとめんどくさそうな顔を向けた。
だって、ライアンが言ってくることなんて、大抵めんどくさいに決まっているのだ。
「アー君とパパさんと、どっちが宇宙一かっこいい?」
「・・・・・・何でその二択なの」
案の定アホらしいことを訊かれ、カノンは大きなため息を零した。
「お兄ちゃんがアー君のことかっこいいと思ってるのは知ってるけど」
「思ってません」
「パパさんのことも、かっこいいから大好きだし」
「ちょっと、ぼくの言うこと聞いてた? 何そのスルースキル」
天使のような美貌を思い切り顰めたカノンにも、ライアンは悪びれた様子など微塵もない。
にこにこと「さあ、どっち?!」と聞いてくる男に、またもやため息を零すカノン。
「・・・かっこいいって言うなら、ケリーの方が断然かっこいいし」
かなり、『宇宙一』に近いかっこ良さなのではないかと思うわけだ。
女性であれば誰もが振り返る超二枚目の美貌、高い身長、鍛え抜かれた俊敏な肉体を持ち、かつて『キング』とまで呼ばれた最高の船乗りで、大財閥クーアの総帥を務められるほど頭も切れる。
ちょっと怒らせたくない人物ではあるが、基本的に人柄は鷹揚、会話は機知に富み、女性には不自由しなかっただろうに奥さんを深く愛しているという、ちょっと本気で『宇宙一』っぽい男だ。
「何かその特長、パパさんにも当てはまらない?」
「父さん、ほぼ完璧だけど、トータルで残念な人だもん」
何でだかよく分からないけど、あの父を見ていると『残念な人』という印象が強い。
顔は抜群だし、長身だし、身体能力高いし、頭いいし、仕事出来るし、家族にはやさしいし、多弁ではないけれど知識が豊富だから話していても楽しくて勉強になるし。
──しかし。
「・・・『シェラのことが大好き』っていう、美点のはずのところが、『残念』なんだよね・・・」
ちょっと遠い目をしたカノンに、ライアンは軽く首を傾げた。
「ケリーは、ジャスミンのことが大好きでも、ちゃんと独り立ち出来てるんだけど、父さんはシェラにめろめろのでろでろのふにゃふにゃだから。こう、何ものにも揺らぐことのない『オトナの男』みたいな感じがないんだよね」
これには思わず吹き出したライアンであった。
確かに、若干依存気味なところはあるかも知れない。
ライアンなんかは、そこが『可愛い』ところだと思っているのだけれど。
「でも好きなんだ?」
「・・・宇宙一かっこいいのとは、違うでしょ」
でもやっぱり好きなんだね~、と笑顔で言われて、カノンはふいっとそっぽを向いた。
くすくす笑ったライアンは、「じゃあ、アー君は?」と訊ねた。
「はぁ? アリスなんて、もっと全然宇宙一から遠いじゃん」
「お兄ちゃんの口から、アー君のかっこいいところ、聞きたいなー」
「ないよ、別に」
「えー、またまたー。顔かっこいいし、背も高いよ? 音楽の才能あるし」
「どれもこれも、別に宇宙一じゃないじゃん」
ツン、と澄ました顔をしてそんなことを言うカノンだったが、「でも」と前置きをすると、ライアンに向かって『にたり』と音がしそうな笑みを向けたのだった。
「アリス自体は全然宇宙一じゃないけど、──ぼくのことを宇宙一好きだから、まぁ、いいんじゃない?」
これで満足? とでも言いたげな顔をしているカノンに、ライアンは苦笑して、ポケットからボイスレコーダーを取り出した。
「・・・もしかして、気づいてた?」
これ、とレコーダーを見せるライアンに、カノンは「べっつにー」と返事をした。
「何で突然、とは思ったけど。使うんなら、使ってもいいよ」
その代わり、と条件をつけた。
「恥ずかしくて死にそうになってるアリスの様子、最初から最後まで録画してきてね♪」
盗撮可、とにっこり笑う天使を見て、ライアンは心の中で『がんばれ、アー君!』とエールを送ったのだった。
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ビデオレターならぬボイスレターを全員分作成する予定のライアンなのでした。
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