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小ネタや更新記録など。妄想の赴くままに・・・
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どうせなら5、6も休みにしちまえばいいのに、使えねぇな日本の企業は・・・と思ったのは内緒の話。やる気はないのに仕事はあるので、とりあえずやっつけてきました。HP関係のお仕事をグループ内からですけどちょこちょこいただいているので、来週もやっぱりそれなりに仕事はありそうです。やってることが売り上げに繋がると、嬉しいよね。
今年度はおかげ様でそれなりの業績を収められそうなので、夏のボーナスも大丈夫でしょう。だいたい、毎月赤字なんだから、ボーナス出なかったらどこで補填すんだっつーの(笑)とりあえず、奨学金やら何やらの借金がなくなるまでは、貯金なんて夢のまた夢ですね。宝くじは買わないと当たらないし、買っても当たらないし(笑)

そんな景気がいいんだか悪いんだか分からない話は置いといて。そういえば橘、今年は初詣行ってません。いや、去年は元旦の夜中から初詣なんて行っちゃったから熱出したに違いない、と思って。この週末になれば空いてるでしょうから、近くの神社にでも行ってみますかね。橘から煩悩抜いたら何も残らんっちゅーねん。

ま、ファロット一家でなごみましょうよ、ね。

**********

キニアンが奏でるのは、ヴィヴァルディの『四季』より『春』。
新春に相応しい、華やかで明るい音色が響く。
のヴァイオリンによって演奏されるそれに、回答者たちは珍妙な顔つきになった。

「はい、では『A』と『B』のどちらがグァルネリの音でしょうか!」

はい答えて! と満面の笑みを浮かべている痩身の男に、まず「これは・・・」と呟いたのはライアンだった。

「いやー・・・そうか・・・」

何とも歯切れの悪い様子に、カノンも眉根を寄せた。

「・・・何で楽器だけ借りて、もうちょっと普通の演奏家連れて来なかったのかな」

次いでヴァンツァーが、笑みも苦笑もない真顔のままこう言った。

「──さっぱり分からん」

えーーーー! と盛大に不満を口にしたのは、シェラとソナタだった。

「間違ったら、お菓子なくなっちゃうんでしょ?」
「せっかく紅茶淹れ直したところだったのに!」

気にしているのはそこらしい。
そして、一番驚いた顔をしているのは演奏をした本業はチェリストの青年だった。

「え? 分からない? こんなに違うのに?」

回答者3人は、余程「お前の耳がおかしいんだよ」と言ってやろうかと思ってやめた。

「え? 本当に? ・・・ヴァンツァー、分かりますよね・・・?」
「分からん」
「え?!」

はっきりきっぱり言い切られ、本気で驚いて若葉色の目を真ん丸にするキニアン。

「分からん、というより、音に優劣のつけようがない」

このヴァンツァーの言葉には、こくこくと頷いたカノンとライアンであった。

「いやー、アー君巧いからさー。音は違うんだよ? 違う音なのは分かるんだけど、どっちもいいんだよなぁ。」
「この誑しがっ!」

カノンに睨まれたキニアンは、可哀想なくらい狼狽している。

「え、だ、だって、今日の【ファントム】は煩いくらいお喋りで・・・」

必死に理解を得ようとするのだが、その台詞が既に意味不明だ。

「・・・楽器と会話出来るのは、ここではアリスだけだよ」
「『楽器は友達、怖くないよ』ってね」

どこかのサッカー少年の言葉を真似た台詞を口にするライアンに、ソナタが「誰うまっ!」と笑っている。
えー、えー、と困った顔になった青年に、レティシアが助け舟らしきものを出した。

「坊ちゃん」
「は、はい!」
「【ファントム】の持ち主が、一番得意な曲は?」
「え? んー・・・パガニーニ、ですかねぇ」
「じゃあ、それ弾いてみな」
「え?」
「特別だ、特別。3問目にして全員不正解じゃ、つまんねーからよ」
「はぁ・・・」

まぁいいか、と『A』のヴァイオリンを構え直すキニアン。
演奏するのは、パガニーニの『カプリース』。
超絶技巧で知られるパガニーニの楽曲は、スタートですら既にクライマックスかのような音の飛び方をする。
チェロとヴァイオリンではまた勝手が違うだろうが、突然指定された曲ですら涼しい顔をして弾いている青年。
どちらかと言えば、聴いている周囲の方こそ耳が攣りそうな思いをしているに違いない。
『A』と『B』それぞれで数小節演奏して、さぁ、今度はどうでしょう? と。
回答者たちの様子が気になるキニアンであった。

「ぼく、分かっちゃったかも♪」

ほくほくした顔でカノンが呟けば、

「おーれもっ」

とライアンも便乗する。
そして、それぞれが手元の札を上げたのである。

「はい、残すはヴァッツひとりだけ」
「悪いが分からん」

即座に、ある意味自信満々に答えた男に、今度はカノンとライアンも仰天した。

「えーーーー! 今のは何となく分かったよ?!」
「アー君も、さっき『今日の【ファントム】はお喋りだ』って言ってたし」
「わたしも分かったー」
「ふん。音楽鑑賞が趣味じゃなかったのか?」

どうしちゃったのさ父さん、と心配する青年と、またまた盛り上げようと思って冗談ばっかり、と笑う青年。
真っ直ぐに手を上げている黒髪の天使と、腕組みをして鼻で笑っている聖母。

「ちなみに、お嬢ちゃんは分かったのかい?」
「お前じゃないがな、レティシア」
「あん?」
「──私に音楽が分かるような感性があるわけないだろうが」
「ぷっ! お前ら、どんだけ似たもの夫婦なんだよ!!」

腹を抱えて笑うレティシアに、シェラは心底嫌そうな顔を向けた。

「まぁ、強いて言うなら・・・こっち、かな」

本当に、彼にしては珍しく自信なさげにヴァンツァーが上げた札は、『A』。

「はい、パーティション下ろしまーす」

回答者を隔てていた仕切りが下がると、カノンとライアンはヴァンツァーの札に注目した。

「「──あ、一緒だ」」

そう、今回は全員が『A』の札を上げていた。

「はい、それじゃあ正解は──なんだよ、ちくしょー『A』!!」

やったー! と喜ぶカノンとライアンとは反対に、ヴァンツァーは「ふぅん」という顔をしている。

「アル」
「は、はい!」

下手な演奏聴かせて、怒られるのかな、と身を固くした青年に。

「──素晴らしい演奏だった」

ヴァンツァーはそう言って微笑み、惜しみない拍手を贈った。

「──は・・・はいっ!! ありがとうございます!!」

喜色満面になって尻尾を振っている青年は、いつになく嬉しそうな顔をしている。

「で、ヴァッツ。何で『A』だと思ったわけよ? せっかくお前の間違える姿が見られると思ったのによ」
「ずっと言っているように、音に優劣はつけられん。新しい楽器だと低音が鳴らなかったり、高音域が割れたりするが、今回の演奏ではそういった違いは見られなかった。どちらも、伸びのある華やかな音だ」
「で?」
「明らかな違いではないが、『A』は時々人間の声のように聴こえた」
「はい?」
「ヴァイオリンは人の声に近い楽器と言われるが、本当に人間が歌っているのかと錯覚した瞬間があった」

だから『A』にした、と。
そう告げる男に、カノンも頷いている。

「ぼくもそれ思った。『お喋り』って、そういうことなんだ、って分かった気がするもん」
「本当に、音自体はどっちもいいんだよね」
「アリスが誑しだからだよ。楽器なら何でも誑しちゃうんだから」
「あー、少女を大人の女性に変えてしまう、みたいな」

ライアンのちょっと艶っぽい内容の台詞に、キニアンは「なっ!」と顔を青ざめさせた。
そんなことを言ったら、カノンの機嫌が悪くなるに決まっているのだから。

「ふふ。次の問題がどんなのか知らないけど、絶対間違えないでよね」

にっこりと微笑む天使に、キニアンは「ほらな」と胃が痛くなる思いをしたのだった。


**********

むー、なかなか引っかからないなぁ・・・

感性だけで生きているキニアンとは真逆に、計算だけで生きているヴァンツァーのお話でした。ヴァンツァーはデザイナーでもあるけど、たとえば色味とか、そういうのを感じて選んでいるわけではないと思うんだ。配色のバランスとか、濃淡、色味の割合などなど、全部計算して論理的に考えてると思うんですよ。だから、音も『感じる』のではなく、まさしく『聴き分け』る。

さ、次は何にしようかなー。
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