小ネタや更新記録など。妄想の赴くままに・・・
ちっ(コラ)
ほぼカレンダー通りのお休みも終わり、仕事が始まりました。おかげさまで多少ゆっくりは出来ましたが、親戚の家に泊まりに行っていたため家でのんびり、という感じではなかったですね。まぁ、家にいると寝て、起きて、食べて、飲んで、寝て・・・みたいな感じでダメ人間まっしぐらなので、それに比べれば良かったかな、と。
せっかくですから、ほんの少し小ネタでも。
ほぼカレンダー通りのお休みも終わり、仕事が始まりました。おかげさまで多少ゆっくりは出来ましたが、親戚の家に泊まりに行っていたため家でのんびり、という感じではなかったですね。まぁ、家にいると寝て、起きて、食べて、飲んで、寝て・・・みたいな感じでダメ人間まっしぐらなので、それに比べれば良かったかな、と。
せっかくですから、ほんの少し小ネタでも。
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──やねよ~り~た~か~い~こいの~ぼ~り~
その通りに2階建ての家よりも高く掲げられる鯉のぼりを見上げながら、四つ子の子どもたちは大きな目をきらきらさせて歌っている。
大きな黒い鯉のぼりと、それよりもちいさな緋色の鯉のぼりは風をはらみ、まさしく真っ青な空の海を泳いでいるように見えた。
──おもし~ろ~そ~う~に~およい~で~る~
きゃっきゃ言って大喜びしている子どもたちの様子に、シェラもにこにこと笑みを浮かべている。
立派な雛飾りも鎧兜も、リィとルウから双子の誕生時に贈られていたファロット一家であったが、鯉のぼりを用意したのは実は四つ子が生まれてからだったりする。
自分たちの身体の何十倍も大きな鯉のぼりが悠然と泳ぐ様を見るのが、四つ子は大好きだった。
鯉のぼりの背中に乗って一緒にお空で泳ぐんだ! と言い出すくらいには、とてもとても大好きだった。
ところが、鯉のぼりを見ていた四つ子のうち、女の子ふたりが首を傾げた。
「「ねーねーパパ!」」
「ん?」
駆け寄ってきたアリアとリチェルカーレに服の裾を引かれ、ヴァンツァーはしゃがんで目線を合わせた。
「こいのぼり、どうしてシェラがいないの?」
「──え?」
「んと、おおきいおまごさんがパパでしょ?」
「ちいさいのが、こどもでしょ?」
「「──ほら、シェラがいない!」」
大変! とブンブン腕を振って訴える。
「ま、まご・・・ぶふっ!」
何かがツボにハマったらしいシェラは、口許を押さえ、顔を背けて笑っている。
どうやら自分が笑われているらしいことは分かったヴァンツァーだったが、まずは子どもたちの疑問に答えてやることにした。
「黒いのは、『お孫さん』じゃなくて『真鯉』だ」
「まごでしょ?」
「おまごさんでしょ?」
「真鯉。鯉の中でも、黒い鯉のことを真鯉って言うんだよ」
ヴァンツァーの横からひょっこり顔を出したフーガの説明に、アリアとリチェルカーレはほわっ、と色違いの瞳を丸くした。
「こいのおまごさんじゃないんだ!」
「おまごさんがおとうさんって、なんだろっておもってたの!」
「ぼくも孫の鯉だと思ってたよ」
フーちゃんすごいね! と絶賛してくれる妹ふたりとロンドの様子に、フーガは少し照れくさそうにやさしく笑った。
「「でもやっぱりおかあさんがいないね・・・どうして?」」
しょんぼりと眉を下げる妹たちの様子に、フーガは珍しく言葉に詰まった。
さすがに歌の意味までは知らなくて、思わず父に助けを求めた。
「「シェラいえで?」」
「家出は困るなぁ」
くすっと笑ったヴァンツァーは、娘ふたりを腕に抱いて立ち上がった。
はたはたと風に棚引く鯉のぼりを見上げ、ゆっくりと話し始める。
「最初の鯉のぼりは、お母さんどころか真鯉しかいなかったんだ。それも、真鯉はお父さんではなくて、子どものことだった」
「「どうして?」」
「鯉が滝を昇って龍になるという昔話があって、子どもたちが立派になりますように、って願いを込めて鯉のぼりを飾るようになったんだ」
「「りゅう! こいはりゅうになるの?!」」
「お話の中ではね」
すごーい、すごーい! と歓声を上げる娘たちを地面に下ろして、ヴァンツァーは足元にいたフーガとロンド、四人に向けて話を続ける。
「それから、今度は黒い鯉と赤い鯉を一緒に飾るようになった。今度は真鯉が父親で、緋鯉が子どもだ。理由は色々あるが、家を護る父親と、赤ん坊のことだという話がある」
「「あかちゃんだから、あかいんだ!」」
あぁ、と笑みを浮かべて答えるヴァンツァーに、シェラは内心「こいつ神か・・・」と呟いた。
この男の形の良い頭には、一体どれほどの知識が詰まっているというのか。
しかも、諸説ある中から、小難しい理屈だけではなく、子どもたちが興味を持つような話題を選んでいるに違いない。
元々知識欲は旺盛な男であったが、歳を重ねるごとに増える知識量と己の中でそれらを組み合わせる技能には際限がないらしい。
「最近は、家族の数だけ鯉のぼりを掲げる家もあるようだな。うちの鯉のぼりは二匹だが・・・確かに、お前たちの言うとおり、二匹だけでは寂しいかも知れないな」
その言葉に従い、翌年からのファロット家の広大な屋敷の空には、実に十匹もの色とりどりの鯉のぼりが、歌のように楽しそうに泳ぐこととなったのである。
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どうしてパパなヴァンツァーがかっこいいのか、やっと理由が分かりました。『余裕』ですよ。間違いない。『余裕』のある男は、かっこ良く見えるのですよ。ふふっ。
でも、橘はビョーキなので、時々無性にヴァンツァーをあんあん言わせたくなります(コラ)
何か最近、決して女性的ではない男の人が、受けなり彼女なりに喘がせられるシチュが好きで堪らんとです。ふへっ。
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