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小ネタや更新記録など。妄想の赴くままに・・・
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ましたよ。

ヴァンツァー、おたおめ!!(コラ)

当家では4月1日が彼のお誕生日ということになっておりますが、まー、すっかりうっかりしっかり忘れてました。ごめんよ。嫌いになったわけじゃないんだ!!

さ。何も思い浮かびませんが、何か誕生日に相応しいものを。




**********

街中でさえ抜き身の刃のような雰囲気を隠しもせず歩いていた男が、変われば変わるものだ。
四つ子のうち、妹ふたりを腕の中に、兄ふたりを脚の上に乗せて一緒に寝ている男の姿は、その容姿の美しさと窓から差し込む光の加減も相俟って、まるで聖人のようだった。
あの頃はヴァンツァーの眠る姿などもちろん見たことはなかったが──いや、目を閉じているという意味ではたった一度例外はあるが、あまり思い出したくはない──きっと比べればまったくの別人と思えるに違いない。
仕事をしているときの真剣な表情でさえ、あの頃とは異なる──もちろん、『仕事』の内容自体が違うのだが。

「ヴァンツァー。起きろ」

眠る男のすぐ頭上から、静かに声を掛ける。
私もこの男も、気配には敏い。
死線を潜り抜けていた頃と比べるとその感覚は衰えてしまったかも知れないが、家族以外の人間がこの距離に近づけば、確実に目を覚ます。

──家族・・・。

自分にはまったく縁のないものであったが、手にしてみると悪くない──いや、正直に言えば、もう失うことが出来ないかけがえのないものになった。
カノンとソナタはともかく、まだ自分で身を護ることの出来ないこの子たちに何かあったら、と考えるだけで心臓が止まりそうになる。
まさか、男の自分が子どもを産むことになるとは思わなかったが・・・。
最初はさすがにあり得ないことと恐怖もしたが、周囲の支えや理解、何より信じられないほど子煩悩なヴァンツァーのおかげで、私は今、この上もない幸福に包まれて日々を送っている。

「ヴァンツァー」

もう一度声を掛けると、瞼が震え、軽く眉が寄ってからゆっくりと睫毛が持ち上げられた。
その奥から、深く澄んだ青い瞳が現れる。
・・・私は、この瞳が好きだ。
かつてのどんよりと濁った色など想像も出来ないほどの、美しい瞳。
吸い込まれそう、とはこれを言うのだろう。
そして、それ以上に好きなのが──。

「・・・あぁ」
「──っ!」

焦点が合わず彷徨っていた視線が、私の瞳とぴったり合って固定される。
その瞬間、ふわりと表情が解ける。
夢見るようなやわらかいその顔が──結構、好きだったりする。
どう表情を取り繕おうとしても、頬が熱くなるのは避けられない。

──・・・これだから、美形は・・・っ。

ヴァンツァーのせいではないと分かっているが、何だか悔しくて悪態をつきたくなる。

「だいぶ寝ていたか?」
「・・・1時間くらいだろう」
「そうか」

くすっ、と笑う男に、「何だ?」と問い掛けた。

「いや、子どもの体温はすごいな。アリアとリチェルカーレを寝かせたところまでは覚えているんだが、ロンドとフーガがいつ来たのか・・・」

それだけ熟睡していたということなのだろう。

「腑抜けめ」

この男に見惚れてしまった悔しさもあって揶揄したのだが、ヴァンツァーは穏やかに微笑むばかり。

「天使の誘いは断れん」

我が子を天使とか・・・いや、まぁ、天使なんだが。

「寝ているのを起こすのは可哀想だが、借りていくぞ」

起こさなかったら起こさなかったで泣くだろうし。

「何かあるのか?」

首を傾げる男に言ってやった。

「──お前のためのケーキを一緒に作るんだよ」

一瞬目を丸くしたヴァンツァーは、また、やさしく笑った。


**********

ヴァンツァー、おたおめっ!!
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