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小ネタや更新記録など。妄想の赴くままに・・・
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頭痛を誘発しますなぁ・・・

祝日もあり、今日もお休みでしたが、小説書けていません。ちょっと充電中です。この前の披露宴その1が、あまりにノリノリ過ぎて(笑)
明日は法事なので1日お外です。おばのおばとかかしら。確か、23回忌だったと思います。よく考えたら黒い靴を持っていなかった・・・というか、引っ越すときに捨ててしまったので、パンプス買ってきました。そういえば、法事のときは、いつも雨です。

それとは関係ありませんが、ちょっと和みたかったので、ちびっ子ネタでも書いてみようかな。カノンとソナタの幼少期でも良いのですが、何となくちいさいのをたくさん書きたい気分なので(笑)拍手でちょこっとネタが出てきた四つ子ちゃんにでも癒してもらいましょうかね。

**********

残暑も厳しかった夏が終わり、金木犀の香りがしたと思ったら急に朝晩冷え込むようになった、ある秋の日のこと。

「んー?」
「んんー?」

庭にしゃがみ込んで右に左に首を傾げている銀髪の幼子がふたり。
同じ銀髪でも、ひとりは真っ直ぐ、もうひとりはふわふわとした癖がある。
瞳の色はふたりとも青と菫のオッドアイ。
向かい合うとちょうど同じ色の瞳が見つめ合う形になる。
額がくっつくほどに頭を近づけて地面を見ている大層可愛らしい顔立ちの少女たちは、ファロット家の末の妹である、アリアとリチェルカーレだ。

「──りっちゃん? アーちゃん?」

どうかしたの? と、声を掛けるのは、こちらも天使のような顔立ちの少年。
通りすがった少年は、ぱちぱち、と青い瞳を瞬かせ、少女たちと同じようにしゃがみ込んだ。
銀髪の少女と並ぶととても目立つ黒髪は、ふわふわしていてやわらかそうだ。
色彩は異なるが、少年と少女たちは同じ日に生まれた兄妹である。

「んー」
「むー」

困ったような顔をしている妹たちに、黒髪の少年は首を傾げた。

「でないの」
「でないの」
「出ない?」

こくん、と頷く妹ふたり。

「何が出ないの?」
「「めがでないの」」

声を揃える妹に、少年はまたまた首を傾げた。

「芽? 何か植えたの?」

こくん、と頷く銀色の頭。

「いつ植えたの?」
「「なつやすみ」」

幼稚園のお休みのことを言っているのだろう。
それにしても、だいぶ前のことだ。

「お水はあげた?」

訊けば、妹ふたりは揃って首を傾げた。
少年は、にっこりと笑った。

「きっと、お水をあげれば芽が出るよ!」

ほわぁぁぁ、と色違いの瞳を輝かせた妹たちと一緒に、少年はじょうろを探しに行った。


+++++


「──じょうろ?」
「そう。フーちゃん、知ってる」
「あぁ、物置にあると思うけど?」
「やった!」
「「やった!」」

ぱちん、と手を叩き、満面の笑みを浮かべる少年と少女に、『フーちゃん』と呼ばれた少年は首を傾げた。
さらり、と肩で切り揃えられた黒髪が揺れる。

「ロン、どうかしたの?」
「アーちゃんとりっちゃんが植えた実が、芽を出さないんだって」
「実?」
「夏休みに植えたのに、まだ出ないっていうから」

お水をたくさんあげれば出るかなぁと思って、と微笑む少年・ロンドに、フーちゃん──フーガは微笑した。

「じゃあ、ぼくも手伝うよ」
「いいの?」
「うん」

本当は、夏に植えたのにまだ芽が出ないのでは、もしかすると枯れてしまっているのかも知れない、と思ったフーガだったのだけれど。
きらきらとした瞳で駆け寄ってきた兄と妹たち──彼らは四つ子である──の笑顔が曇るのは見たくなかった。

「「「おおきくなぁれ、おおきくなぁれ!」」」

声を揃える兄と妹に笑みを零しつつ、フーガは実を植えたという辺りにじょうろで水を撒いた。
綺麗好きな母のおかげで、母屋の周辺だけでも十分に広い庭は雑草1本生えていない。
芽が出れば、すぐに気づくだろう。

「これくらいかな。──で、何を植えたの?」

訊ねるフーガに、ロンドは首を傾げた。

「そういえば、ぼくも聞いてなかった。りっちゃん、アーちゃん、何を植えたの?」

じーっと地面を見つめていた少女ふたりは、顔を上げて声を揃えた。

「「──アイスのみ!」」

・・・・・・・・・・・・・・・・。

フーガは思わず目を瞠った。
何かと思えば、『アイスの実』とは。
それは、芽も出ないはずである。

「──わぁ、すごいね!!」

呆然としていたら歓喜の声が聴こえてきて、驚いて横を見た。

「おおきくなったら、アイスがいっぱい出来るんだね!」
「「うん!」」

楽しみだねぇ、ときゃっきゃ言って喜んでいる兄と妹たちに、フーガは頭を抱えそうになった。
そして彼は、「じょうろをしまってくるから」と言って地面を見つめている3人と別れると、母屋へ向かったのである。

「──え、アイスの実?」

菫色の瞳を丸くするシェラに、こくんと頷く。

「ロンドも、アリアも、リチェルカーレも、すごく楽しみにしてるんだ・・・」

だから、どうにかならないかな、と。
聡明な息子の困った顔に、シェラもつられて眉を下げた。

「面白そうな話をしているな」

背後から聴こえてきた声に振り返るフーガ。

「父さん」
「枝いっぱいのアイスがなると思って、植えたんだって?」
「うん・・・」

冷凍庫いっぱいのアイスを買ってやることなど造作もかったが、子どもの発想というのは面白いな、と思ったヴァンツァーだ。

「お前は、『それは無理だ』とは言わなかったんだな?」
「だって、すごく楽しみにしてるんだ。でも、魔法でも使わなきゃそんなの無理だし・・・」

本当のことを言ったら、泣くかも知れない。
そんなのは絶対に嫌だ、と思ったから、フーガはここへやってきたのだ。

「うちの子たちは、本気で天使だな。可愛すぎて鼻血が出る」

大真面目な顔をして呟くシェラに、ヴァンツァーはくすっと笑った。

「じゃあ、可愛い天使たちとやさしいフーガのために、俺が魔法を使おうか」
「──父さん・・・?」

大きく瞠られた菫の瞳に、ヴァンツァーはひとつ頷くと黒髪を撫でてやった。


+++++


「うわぁぁぁぁぁぁぁ!」
「すごぉぉぉぉぉい!」
「すごぉぉぉぉぉい!」

あの日から毎日毎日水やりをしていた四つ子たち。
まだかな、まだかな、と期待に満ちた目で地面を見つめる3人とは違い、フーガはちょっと不安だった。
当然、芽が出るわけもなく数日が過ぎ、次の週末のこと。
日課になっている朝の水やりのために庭に駆け出していった兄と妹の後を追ったフーガは、それを見たとき寝惚けた頭が見せた幻覚なのではないかと思った。

「──・・・すごい」

思わず呟く彼の目には、彼らの背丈より少し大きい透明な樹が映っている。
朝日にきらきらと輝く氷の樹。
その枝のあちこちに、カップや袋詰めのアイスがなっているのだ。
おやつのお菓子はほとんどシェラの手作りだったけれど、ときどき市販のものを買うこともある。
たまたま購入した『アイスの実』を、植物と同じような実だと思ったアリアとリチェルカーレがひと粒植えたのが事の発端らしい。

「わぁ、すごいね」

背後から聴こえてきたやさしい声に、四つ子は揃って振り向いた。

「「シェラ~~~」」
「アイスだよ~~~」
「アイスのみだよ~~~」
「うん。たくさんなってるね」

ふふっ、と微笑んで、飛びついてくる少女ふたりを受け止める。

「「アリアとリチェがうえたの!」」
「そうなんだ」
「「ロンちゃんとフーちゃんと、おみずあげたの!」」
「そっか。たくさんなって、良かったね」
「「うん!!」」

とても内気で、普段はあまり喋らないアリアとリチェルカーレがこんなに嬉しそうにしているところは滅多に見ない。
フーガはほっとして胸を撫で下ろした。

「すごいね、フーちゃん」
「ロン・・・」
「たくさん食べられるね」

にっこりと微笑む様子に、フーガもちいさく笑みを零して頷いた。
そして、氷の樹に駆け寄るロンドを見送ると、最後にやってきた父にぎゅっと抱きついたのだ。

「どうした?」
「・・・ありがとう」
「礼を言うのは、俺の方かな」
「え・・・?」

顔を上げるフーガを、ヴァンツァーは抱き上げた。

「お前が『無理だ』と言っていたら、あの子たちのあの笑顔はなかったからな」
「・・・・・・」
「お前のやさしさが、あの子たちを笑顔にしたんだ」
「でも・・・」
「ほら。シェラも嬉しそうに笑っている」
「・・・・・・」
「ありがとう、フーガ」

そう言って頭を撫でられると、フーガは父の首に抱きついた。
ぽんぽん、と背中を叩かれ、すごくすごく嬉しくて頬が緩むのに、何だか勝手に涙も出てきた。

「「「フーちゃ~~~ん!」」」

大きな声で呼ばれたフーガは、ごしごしと目を擦ると父の腕から下ろしてもらった。
そして、兄と妹たちに駆け寄ると、今日のおやつはどのアイスを食べるかの相談をしたのだった。


**********

あー・・・パパなヴァンツァーはやっぱり鉄板ですね。

ときどき、ちんまいのをたくさん書きたくなります。3ボケ1ツッコミ態勢。でも、フーガは心の中で突っ込むし、シェラとソナタは天然でヴァンツァーは頭いいのか馬鹿なのか分からず、頼みのカノンも家族にはてんで甘いので、基本ファロット一家はボケしかいません(笑)
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