小ネタや更新記録など。妄想の赴くままに・・・
辞書攻撃ごときで突破されるサーバなんてあったんだ・・・逆にすごい。
ということで、無能な政府に敬意を表して。
ということで、無能な政府に敬意を表して。
**********
『──絶望を贈ろうか』
突如室内に響いた声に、うたた寝をしていたシェラはガバッと起き上がった。
「にゃっ?!」
キョロキョロと周りを見渡せば、声の発信源はどうやら首相補佐官の席らしい。
『絶望を贈ろうか。絶望を贈ろうか。絶望を贈ろうか。絶望を・・・・・・』
どんな意味だかよく分からないが、ひたすら同じ言葉を繰り返している。
音は、補佐官のパソコンから聴こえていた。
「アースティンさ~~~~~ん! 何か鳴ってますよ~~~~~!!」
室内に補佐官の姿はなかったけれど、とりあえず大きな声で呼んでみた。
ドアは解放してあるため、近くにいれば聴こえるだろう。
眠い目を擦りながら補佐官の席へ向かい、画面を覗き込むシェラ。
「──およ?」
菫色の瞳を、ぱちぱちと瞬かせる。
画面には、打ち上げ花火らしき映像。
何だろう、これ? とシェラが首を傾げていると、「おや」という声が耳に届いた。
「あー、捕まっちゃったんですねぇ」
あらあら、まぁまぁ、と微笑みを浮かべながら近づいてきた首相補佐官に、シェラはこれが何かを訊いてみた。
「トラップの一種です」
「トラップって・・・サイバーテロ用の?」
「えぇ。この映像が流れているということは、国交省の管轄ですね──あぁ、国土地理院ですか」
ひたすら『絶望云々』を繰り返しているのとは別の端末を操作し、不正アクセスの履歴を調べる。
「アスティンさん。私、この声どこかで聴いたことがあるような・・・」
「ふふ。あなたも、よくご存知の方ですよ?」
「私も? えー・・・誰だろ・・・この地獄の底から聴こえて来そうな、でも半端ない美声・・・──あ!!」
「分かりました?」
「はい! あはは、ヤだな、ほんとに絶望贈りそうじゃないですか!」
「たぶん、ハッカーは本当に絶望してると思いますよ」
接触を開始したが最後、迎撃用プログラムが作動し、犯人の所在地を割り出す。
たとえ何台の端末を経由して偽装工作を施そうと振り切ることは不可能。
『正常に不正アクセス出来ている』と思い込ませるためのプログラムであり、犯人がパスワードを『正常に』解析している間に、迎撃プログラムによる犯行現場および端末の解析も済んでいる。
そして、犯人が最後の扉を突破したときには、
『オメデトウゴザイマス! アナタノ居場所ハ、無事ニ特定サレマシタ。アト1分デ警官ガ到着シマス!! キャー、逃ゲテ、チョー逃ゲテ!!』
と、犯行現場の地図とともに表示されるのである。
「え、じゃあ、犯人が『チョロいぜ、こんなセキュリティ』とか思ってハッキングしてるのって」
「全部、迎撃用プログラムです。大事なサーバを、外部からアクセス出来る場所に置いておくわけないじゃないですか。ねぇ?」
お馬鹿さん♪ とにっこり微笑む青年に、シェラは瞳をきらきらさせた。
「私もアクセスしてみてもいいですか?!」
はいっ! と元気良く手を挙げるシェラは、「馬鹿か」という声とともに後頭部をパコンと叩かれた。
「にゃっ」
振り返ると、そこには長身美形ながら、愛想という愛想を母親の胎内に置いてきたに違いない男が立っていた。
「あ、『絶望』さん」
「──ぷっ」
シェラの呟きに、アスティンは思わず吹き出した。
「これ、長官の声ですよね? ずるーい、いつ録音したんですか?」
「録音?」
首を傾げる官房長官は、首相補佐官の机の上から絶望を贈っている端末を見て眉をそびやかした。
「アスティン」
「いい出来でしょう? 会見のときとかの長官の発言から1字1字抜き取ってなめらかに繋げるの、結構苦労したんです」
「・・・せんでいい、そんな苦労」
「え、これ編集なんですか?!」
「すごいでしょう?」
「すごーい! 楽しそう!!」
「・・・シェラ」
IQ200を越える天才でありながら、24時間のうち4分の3は寝ているという秘書官。
何にでも子どものように興味を示す彼は、官房長官にとって有事以外はただの頭痛の種だ。
「え、だって長官の声でボーカロイド作れるってことですよね?!」
「あぁ、いいですね、それ。やってみましょうか」
「わぁ! 何か、絶対似合わない曲とか歌わせたい!!」
「甘いラブソングとか?」
「『アン○ンマンマーチ』とか!!」
「あはははは。やりましょう」
「わぁ、楽しみ~」
「・・・お前ら・・・仕事しろ」
額に青筋を浮かべた長官に、補佐官と秘書官は口を揃えた。
「「──政府要人の好感度アップも大事なお仕事です!」」
曇りなき眼で見つめられた長官は、「バラ撒く気かよ」と頭を抱えた。
**********
中の人ネタ。
あ、もちろんネットワークに関しては嘘っぱちなことしか書いていません。
蛇足ですが、IDやパス関係は全部シェラが記憶していて、紙媒体ですら残っていないんじゃないかな。何十台あるか分からないサーバの、ランダムな英数20文字くらいで構成されたIDとパスを全部記憶しているシェラたん。たぶん、官房長官も覚えている。そんなシェラがテロリストに狙われるハードボイルド映画はいつ公開されますか?
『──絶望を贈ろうか』
突如室内に響いた声に、うたた寝をしていたシェラはガバッと起き上がった。
「にゃっ?!」
キョロキョロと周りを見渡せば、声の発信源はどうやら首相補佐官の席らしい。
『絶望を贈ろうか。絶望を贈ろうか。絶望を贈ろうか。絶望を・・・・・・』
どんな意味だかよく分からないが、ひたすら同じ言葉を繰り返している。
音は、補佐官のパソコンから聴こえていた。
「アースティンさ~~~~~ん! 何か鳴ってますよ~~~~~!!」
室内に補佐官の姿はなかったけれど、とりあえず大きな声で呼んでみた。
ドアは解放してあるため、近くにいれば聴こえるだろう。
眠い目を擦りながら補佐官の席へ向かい、画面を覗き込むシェラ。
「──およ?」
菫色の瞳を、ぱちぱちと瞬かせる。
画面には、打ち上げ花火らしき映像。
何だろう、これ? とシェラが首を傾げていると、「おや」という声が耳に届いた。
「あー、捕まっちゃったんですねぇ」
あらあら、まぁまぁ、と微笑みを浮かべながら近づいてきた首相補佐官に、シェラはこれが何かを訊いてみた。
「トラップの一種です」
「トラップって・・・サイバーテロ用の?」
「えぇ。この映像が流れているということは、国交省の管轄ですね──あぁ、国土地理院ですか」
ひたすら『絶望云々』を繰り返しているのとは別の端末を操作し、不正アクセスの履歴を調べる。
「アスティンさん。私、この声どこかで聴いたことがあるような・・・」
「ふふ。あなたも、よくご存知の方ですよ?」
「私も? えー・・・誰だろ・・・この地獄の底から聴こえて来そうな、でも半端ない美声・・・──あ!!」
「分かりました?」
「はい! あはは、ヤだな、ほんとに絶望贈りそうじゃないですか!」
「たぶん、ハッカーは本当に絶望してると思いますよ」
接触を開始したが最後、迎撃用プログラムが作動し、犯人の所在地を割り出す。
たとえ何台の端末を経由して偽装工作を施そうと振り切ることは不可能。
『正常に不正アクセス出来ている』と思い込ませるためのプログラムであり、犯人がパスワードを『正常に』解析している間に、迎撃プログラムによる犯行現場および端末の解析も済んでいる。
そして、犯人が最後の扉を突破したときには、
『オメデトウゴザイマス! アナタノ居場所ハ、無事ニ特定サレマシタ。アト1分デ警官ガ到着シマス!! キャー、逃ゲテ、チョー逃ゲテ!!』
と、犯行現場の地図とともに表示されるのである。
「え、じゃあ、犯人が『チョロいぜ、こんなセキュリティ』とか思ってハッキングしてるのって」
「全部、迎撃用プログラムです。大事なサーバを、外部からアクセス出来る場所に置いておくわけないじゃないですか。ねぇ?」
お馬鹿さん♪ とにっこり微笑む青年に、シェラは瞳をきらきらさせた。
「私もアクセスしてみてもいいですか?!」
はいっ! と元気良く手を挙げるシェラは、「馬鹿か」という声とともに後頭部をパコンと叩かれた。
「にゃっ」
振り返ると、そこには長身美形ながら、愛想という愛想を母親の胎内に置いてきたに違いない男が立っていた。
「あ、『絶望』さん」
「──ぷっ」
シェラの呟きに、アスティンは思わず吹き出した。
「これ、長官の声ですよね? ずるーい、いつ録音したんですか?」
「録音?」
首を傾げる官房長官は、首相補佐官の机の上から絶望を贈っている端末を見て眉をそびやかした。
「アスティン」
「いい出来でしょう? 会見のときとかの長官の発言から1字1字抜き取ってなめらかに繋げるの、結構苦労したんです」
「・・・せんでいい、そんな苦労」
「え、これ編集なんですか?!」
「すごいでしょう?」
「すごーい! 楽しそう!!」
「・・・シェラ」
IQ200を越える天才でありながら、24時間のうち4分の3は寝ているという秘書官。
何にでも子どものように興味を示す彼は、官房長官にとって有事以外はただの頭痛の種だ。
「え、だって長官の声でボーカロイド作れるってことですよね?!」
「あぁ、いいですね、それ。やってみましょうか」
「わぁ! 何か、絶対似合わない曲とか歌わせたい!!」
「甘いラブソングとか?」
「『アン○ンマンマーチ』とか!!」
「あはははは。やりましょう」
「わぁ、楽しみ~」
「・・・お前ら・・・仕事しろ」
額に青筋を浮かべた長官に、補佐官と秘書官は口を揃えた。
「「──政府要人の好感度アップも大事なお仕事です!」」
曇りなき眼で見つめられた長官は、「バラ撒く気かよ」と頭を抱えた。
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中の人ネタ。
あ、もちろんネットワークに関しては嘘っぱちなことしか書いていません。
蛇足ですが、IDやパス関係は全部シェラが記憶していて、紙媒体ですら残っていないんじゃないかな。何十台あるか分からないサーバの、ランダムな英数20文字くらいで構成されたIDとパスを全部記憶しているシェラたん。たぶん、官房長官も覚えている。そんなシェラがテロリストに狙われるハードボイルド映画はいつ公開されますか?
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