小ネタや更新記録など。妄想の赴くままに・・・
昨日、某大河から『FF4コンプリート送りました~』っていうメールが届きました。メール便で来るらしいので、今日あたりドアノブにかかってるかな。・・・まずい、DDFF全然進んでない(笑)今はラグナ編です。エセジャーナリストの格好で、「行け行け~!!」と言いながらマシンガンだのランチャーだのぶっ放す27歳児・・・声が平田さんなのが、またチャラさに拍車をかけていて、残念ながらまだスコールとの絡みはほとんどありません。1回アシストキャラで出てきたけど、話しかけたら「必要な時だけ呼べ」って言われてしまいました(笑)ツンです。早く前みたいにデレて下さい。
ゲームもしますが、小説も読みます。何度も言いますけど、☆矢です。最近ちょーハマってるサイト様があって、笑えるわ泣けるわ笑えるわ笑えるわ。ロスサガもいいけど、やっぱりラダカノかなぁ。23歳のラダと28歳のカノンという、この歳の差(笑)実はロスも27歳だからサガより年下だったり。うむ、年下ブームじゃ。
最近は通勤だけで疲れてしまうので、少しでも元気をもらおうとずっと読みながら電車に乗ってました。そしたら、何か書きたくなっちゃった。
ヴァンシェラサイトと言いながら最近それらしい話を書いてない上に、☆矢で小ネタ書こうとしてるあたりほぼ需要皆無なんですが、思いついてしまったものだから・・・。
ちょっとシリアス風味かもね。でも、サガはとてもカノンのことを大事に思っていると思うのです。
ゲームもしますが、小説も読みます。何度も言いますけど、☆矢です。最近ちょーハマってるサイト様があって、笑えるわ泣けるわ笑えるわ笑えるわ。ロスサガもいいけど、やっぱりラダカノかなぁ。23歳のラダと28歳のカノンという、この歳の差(笑)実はロスも27歳だからサガより年下だったり。うむ、年下ブームじゃ。
最近は通勤だけで疲れてしまうので、少しでも元気をもらおうとずっと読みながら電車に乗ってました。そしたら、何か書きたくなっちゃった。
ヴァンシェラサイトと言いながら最近それらしい話を書いてない上に、☆矢で小ネタ書こうとしてるあたりほぼ需要皆無なんですが、思いついてしまったものだから・・・。
ちょっとシリアス風味かもね。でも、サガはとてもカノンのことを大事に思っていると思うのです。
**********
わたしたちは、ふたりでありながらひとりだった。
肉体はふたつでありながら、魂はひとつだった。
──もう一度言ってみろ!
誰よりも近く、誰よりも愛した。
母の胎内にいるときから、ずっと。
──貴様それでもアテナの聖闘士か!
美しい母に似て整った容姿をしていたから、幼い頃は天使のようだともてはやされた──いつでも、わたしだけ。
守護星座と同じく双子として生を受けた我らは、不吉な子であった。
父が分からぬ子どもであれば尚更。
だから、母は我らを双子として人前に連れ出すことはなかった。
外に出るときも、いつでもわたしひとりだけ。
母が我らに与える愛情は分け隔てなかったが、弟が陽の目を見ることはなかった。
誰よりも自分に近く、誰よりも大切な弟がそんな扱いを受けることが無性に悔しかった。
鏡に写したように髪の先まで寸分違わぬ双子なのだから、お前がわたしの代わりに、と言っても弟は首を振るばかり。
「俺、大人しくしてるの苦手なんだ。『天使』ってガラでもないしな」
そう、照れくさそうに笑っていた。
弟にとっては、ちいさな我が家が世界のすべてだった。
いつしか、わたしは弟に外の世界を見せることを使命と感じるようになっていた。
夜中、周囲の民家の明かりも消え、皆が寝静まった頃、時々弟の手を引いて外へ連れ出した。
叱られるぞ、と心配そうな顔をしていたが、あれが心配するのはいつもわたしのことばかり。
自分が叱られるのではなく、わたしが咎められることをこそ厭っていた。
だが、弟に思い切り外の空気を吸わせてやれる喜びに比べたら、わたしが叱られることなど何ほどのこともなかった。
月と星明かりだけが支配する静寂の世界。
エーゲ海の水面に揺れる月を見て、弟は目を瞠った。
綺麗だ、と瞳を輝かせていた弟を見て、猛烈な怒りを感じた。
昼間、この同じ海に太陽の光が燦々と降り注ぎ、宝石のように煌くのを弟は知らない。
弟から昼を、太陽を奪ったものが許せなかった。
「ありがとう、サガ」
それでも、あれはそんな風に礼を言って笑うから。
だから、誓った。
「いつか、お前に太陽を贈るよ」
わたしのすべては、そのために。
素直でないところはあるけれど、本当はやさしく、あたたかい心を持ったあれが、堂々と太陽の下を歩けるように。
「サガはやさしくて頭がいいから、医者になって困ってる人を助けてあげろよ!」
そんな風に笑っていた弟。
「カノンは勇敢だから、弱い人を守ってあげるんだ」
わたしも、そんな風に微笑んで・・・。
やがて、7歳の誕生日を目前に、聖域が戦士を探していることを知った。
女神を守る、正義の聖闘士。
聖闘士になれば、大地を砕き、海を割る力が手に入るという。
力があれば、弟を守れると思った。
正義の聖闘士になれば、周囲から賞賛され、尊敬され、たとえ双子だと明かしても弟を非難するものなどないだろう、と。
だから、わたしは聖闘士になろうと決めた。
打ち明けたときは驚いた顔をしていた弟だったが、やがて頷いた。
「サガなら、きっと誰よりも公平で公正な、正義の聖闘士になれる」
厳しい訓練と戦いの毎日が待ち受けていることで母は反対したけれど、わたしの考えは変わらなかった。
訓練生は衣食住を聖域が保証する。
ひとり分でも出費が減れば、母も楽になるだろう、とそう言って。
黄金聖闘士であった師の訓練は、厳しかったが情に溢れたものだった。
このような聖闘士になりたい、とわたしは思うようになった。
我らの宿命の星と同じ、双子座の黄金聖闘士に。
才能と、努力と──譲れない想い。
それがわたしを強くした。
時々家に帰ることを許されたときは、弟に稽古をつけた。
自分の得たものは、当然弟も手にする権利があるのだから。
稽古以外にも、聖域での日々や、師匠のこと、同じ訓練生や聖闘士のことなど、すべて伝えた。
初めて触れる外の世界の情報に、あれは驚きながらも瞳を輝かせていた。
夜のエーゲ海を見たときと同じ、喜びと希望に満ちた瞳。
その瞳のためなら、何でも出来た。
姿形も同じなら、戦闘に関するセンスもまったく同じらしい弟は、瞬く間に力をつけた。
訓練を始めて3年もする頃には訓練生の中では、たったひとりを除いて相手になるものがいなくなった。
正規の聖闘士ですら、青銅や白銀では聖衣を纏っていてもわたしに勝てなかった。
5年経つ頃には、正式に聖闘士に任命された──双子座の黄金聖闘士として。
そのとき一緒に黄金聖闘士に任命されたのが、唯一わたしと渡り合えた男──・・・射手座の、聖闘士だった。
「やったな、サガ」
弟は、そう言って自分のことのように嬉しそうな顔でわたしを叙任式に送り出した。
地上で神の代理人を務められる教皇猊下から、双子座の黄金聖衣を下賜された。
「地上と女神を守るため、その聖衣はお前に力を授けるだろう」
教皇の言葉とおり、身に纏ったとき信じられない力が漲るのを感じた。
黄道十二の星を守護星座とする、太陽の光を浴びた黄金聖衣。
地上を守る力があれば、弟を守ることなど容易い。
まして、弟は黄金聖闘士となったわたしと同じ力を持っている。
守る必要などなく、我らはやっと同じ世界を見ることが出来るようになったのだ、と思った。
聖衣は主人を選ぶという。
だがきっと、弟もこの聖衣を纏うことが出来るはずだ。
わたしたちは、違うところなど何ひとつない双子なのだから。
──だが、双子座の黄金聖衣は弟の身を護ることはなかった。
「きっと、サガのことが気に入ってるんだよ」
あれはそう言って苦笑したが、どこか寂しそうだった。
力はあっても正規の聖闘士としては認められず、師による正式な訓練を受けることさえ出来なかった弟。
弟を守りたかったのに、弟のために聖闘士になろうと思ったのに、宿命の星である双子座の聖衣は弟を拒んだ。
なぜだ、と問いかけても、双子座のマスクは何も応えなかった。
聖闘士の最高位である黄金聖闘士になっても、弟は日陰にいるまま。
ならば、もっと強く、もっと高みに。
聖闘士の中で、並ぶもののない地位に。
そのためならば、何でも出来た。
「サガは神のようだ」
そう、人から言われるようになったのはいつの頃だったか。
弱者を守り、病人を癒し、常に穏やかな笑みを浮かべていたわたしを、人々は神の化身と呼んだ。
聖闘士は、地上と女神を守るための存在。
取りも直さず、それは地上と女神のために死ぬ存在であった。
わたしも、そのことに迷いはなかった。
慈愛に満ちた女神のために、この美しい地上を、母と弟の暮らす地上を守ろうと思った。
──そんな希望に満ちた日々は、長くは続かなかった。
母が病に倒れた。
そして、それを救う術はなかった。
「何でだよ! 何で母さんが・・・っ!!」
泣きじゃくって、わたしの胸を殴りつけてきた弟。
「サガ、お前最強の聖闘士だろう?! 神のような男なんだろう?! だったら、母さんを助けてくれ!!」
喉が嗄れるほどの悲痛な叫びに、わたしは首を振ることしか出来なかった。
「・・・すまない、カノン・・・」
「サガ!」
「すまない・・・わたしは・・・わたしは、神ではない・・・」
すまない、と何度も謝った。
固く、拳を握った。
手のひらに爪が食い込み、血が流れるほど強く。
歯が砕けんばかりに奥歯を噛み、涙が枯れるまで泣いた。
大地を──銀河をも砕く力があっても、母ひとり守れはしなかった。
死を恐れる老人に安らかな永遠の眠りをもたらすことが出来ても、母は病の中苦しんで死んだ。
この力に、この手に、何の意味があろうか・・・。
だが、わたしにはたったひとり、血を分けた愛しい弟がいた。
弟のいる地上を守るため、わたしは戦い、人々を癒し続けた。
黄金聖闘士は次々と代替わりをし、15になる頃にはわたしと射手座の聖闘士が最年長となった。
射手座の聖闘士──アイオロスとわたしは、手を取り合い、まだ幼い黄金聖闘士たちを導きながら、地上の平和のために戦うことを誓った。
アイオロスは仁智勇を兼ね備える、男の中の男だった。
戦場では並ぶもののない勇者として、人々の間では黄金聖闘士にふさわしく太陽のようなあたたかさと深い懐を持つ男として。
我らは良き盟友であり、彼の心の強さ、潔さはただただ眩しかった。
──その頃から、悪魔がわたしにささやき出した。
アイオロスに感じる眩しさ、憧れが、いつから妬みに変わっていったのか。
いや、妬んでなどいなかった。
わたしは『神の化身』として、崇拝にも近い念を人々から抱かれていたのだから。
そこに、人から見れば整ったと映る外見が功を奏していたことは分かっていたが、それもわたしの一部であることに間違いはない。
アイオロスとわたしに対する周囲の評価は、常に等しかった──わたしと、弟が等しい存在であるように、また。
(──アイオロスさえいなくなれば、お前ひとりが最強の称号を手に入れる)
声なき声は、そうわたしの脳を侵食していった。
黙れ! といくら叫んでも、その声が消えることはなかった。
(──何を迷う必要がある? お前は、弟に陽の目を見せてやりたいのだろう?)
射手座の聖闘士の座が開けば、弟にくれてやればいい、と。
だが、聖闘士の任命権は教皇にある。
黄金とはいえ、一介の聖闘士にそんなことは許されない。
(──ならば、教皇になればいい)
思わず、言葉をなくした。
あまりにも突拍子もない内容に──そして、あまりにも魅力的な声に。
その声が頭から離れぬまま、わたしは表面上は常と変わらぬ毎日を過ごした。
──そして、聖域に女神が降誕された。
それと時期を合わせるように、教皇は時期教皇を指名された。
教皇の間に呼ばれたのは、わたしとアイオロス。
教皇はアイオロスを時期教皇に、わたしをその補佐に、と告げた。
仁智勇を兼ね備えるアイオロスが選ばれることは当然であり、否などあろうはずもなかった。
その時、ふと弟の顔が浮かんだ。
アイオロスが教皇になるのならば、弟を射手座の聖闘士にしてもらおうか。
弟の力はわたしと互角、ならば黄金の聖衣を纏うことに支障はないはず。
きっとアイオロスならば分かってくれるだろう。
そう、考えていた。
母が死んでから、弟は以前のような笑顔を見せなくなった。
遣り場のない哀しみと怒りを大地や海にぶつけ、ときに地形を変えるほどのその力は明らかに聖闘士のものであり、聖域でも見過ごせないものとされるようになった。
だから、わたしは弟の元を訪れ、女神の降誕、次期教皇になるアイオロスの話、そしてカノンを黄金聖闘士に据えてくれるよう頼もうと思っていることを告げた。
──・・・アテナを殺せ。
だが、喜ぶと思っていた弟からは、信じられない言葉が返ってきた。
──アテナを殺し、お前が教皇となり、我らで地上を支配しよう。
わたしの頭の中で聴こえるのと、同じ声。
『神の化身』と呼ばれるわたしに悪をささやく、恐ろしい声。
頭の中の声と、弟の声と、内と外からわたしの脳を侵す声が割れ鐘のように響き、息が止まりそうになった。
振り払うように、弟を殴った。
聖衣を纏ったまま、生身の弟を。
常人であれば死んでいる。
だが、さすがは星をも砕く力を持った我が弟。
傷は負ったが、叩きつけられた砂浜から起き上がると、またわたしに悪をささやいてきた。
──お前が教皇となるのだ。
(──教皇になりたかったのだろう?)
──アテナなど・・・生まれたばかりの赤ん坊に何が出来る。
(──神は、お前の母を、弟を救ってくれたのか?)
繰り返される言葉に目を瞑り、己の中の迷いを打ち砕くように拳を、力をふるい続けた。
意識を喪った弟を、神の力を以てせねば出られないと言われるスニオン岬の岩牢に幽閉した。
神に祈り、アテナに赦しを乞え、と。
慈悲深い我らの女神は、数日の後には弟を解放して下さるだろう。
その頃までには、わたしはアイオロスに弟のことを話し、次期射手座の黄金聖闘士に弟を据えてくれるよう頼むつもりだった。
・・・その、つもりだった・・・。
だが、次期教皇になるアイオロスよりも、先に現教皇に話そうと思った。
本来教皇以外入ることを許されない星詠みの地スターヒルに登ったときも、そう思っていた。
頭の中の声はどんどん煩くなっていき、抑えつけるのがやっとだったが、どうしても話さなければならない。
だが、口をついて出たのは。
──なぜ、アイオロスが次期教皇なのですか・・・?
自分で言って愕然としていた。
そんなことではない、そんなことを言いたかったわけではない、と。
頭の中の声が、哄笑するのを聴いた気がした。
教皇になりたくないのか、と言われれば、否定することは出来ない。
だが、それは己のためではなかった・・・決して、天に、我らの女神に誓って、己のためなどではなかった。
「お前の中に、何か別の悪しきものが存在する気がするのだ。何かもうひとり、別のお前が・・・」
教皇の口からその言葉が出たとき、脳裏を占めたのは教皇衣を纏っている自分でも、煩く喚く頭の声でもなかった。
・・・気づいたら、手が、紅く染まっていた。
頭の中の声は、外界の音すべてを消し去るほどに大きくなった。
教皇を殺し、降誕したばかりのアテナを殺そうとし、それを助けて逃げたアイオロスを逆賊として葬った。
それから頭の中の声を気力で抑え、朝靄の中スニオン岬へ迎えに行った弟は、岩牢から忽然と姿を消していた。
アテナに赦されたのだろうか・・・ならば、それでいい。
女神を殺そうとしたわたしはもう、二度と聖闘士には戻れないだろうから。
──だから、どうかお前は・・・お前だけは・・・。
朝日に祈り、聖域の教皇の間へと向かった。
願わくば、いつか黄金の聖衣を纏ったお前の手で・・・。
あれから13年。
成長した女神は青銅の少年たちとともに、聖域へやってきた。
十二宮を守る黄金聖闘士との死闘を経て、少年たちは虫の息で教皇の間へ。
束の間取り戻した自我は、また暗黒に沈んでいった。
やがて光を感じ、目を覚ましたときには信じられないほど頭も、身体も──何より心が軽かった。
もう、あの声に煩わされることはない、と直感した。
そして、アテナ神殿の前で女神を迎えた。
自ら心臓を貫き、赦しを乞うた。
こんなことで赦されるとは思っていない。
己の命で、13年間重ね続けた罪が償えるとは思っていない。
それでも、わたしにはそれしか差し出すものがなかった。
・・・出来ることなら・・・アテナの聖闘士として、地上の愛と平和のために戦いたかった・・・
その言葉に、偽りはなかった。
何より、たったひとり守りたかった最愛の弟・・・アイオロスに逆賊の汚名を着せてしまったことで肩身が狭い思いをしていたアイオリアのように、我が弟が苦しまなくていいように。
どうか、慈悲深き我らの女神よ・・・弟をお救い下さい。
そう祈って、目を閉じた。
脳裏に描くのは、双子座の黄金聖衣を着て双児宮を守る弟の姿。
その姿を肉眼で見ることが出来なかったことだけが、唯一の心残りだった。
**********
サガ兄さんは、野望とか、聖闘士の頂点とか、神の代理人として地上を支配とか、そんなことどうでも良かったんだと思うんです。自分が教皇になれば、カノンに双子座の聖衣を与えてやれる。だから、教皇になりたかったんじゃないかな。そこを、つけ込まれちゃったんじゃないかなぁ、と。
で、サガ兄さんが黒サガだったのは、実はハーデス的なものが入り込んでいたからなんじゃないでしょうか。ハーデスは地上で最も心の清い少年の身体を借りるから、当初はサガの予定だったんじゃねーかと思うわけですよ。当時のサガ15歳だしね。紅顔の美少年です。
その後少年誌の都合で瞬になったりしたんじゃ・・・(笑)いや、分からんけどね。でも、サガ兄さんにアテナの盾の光が当たったとき、瞬のときと同じようにハーデス的な影が出て行ったから・・・髪も黒くなってたし(笑)
だから、サガ兄さんが仮初の命をもらって十二宮にやってきたとき、双児宮を守るカノンを見て涙が止まらなかったんだと思うんだよね。
相変わらずなげー・・・むしろキャプションなげー・・・。
わたしたちは、ふたりでありながらひとりだった。
肉体はふたつでありながら、魂はひとつだった。
──もう一度言ってみろ!
誰よりも近く、誰よりも愛した。
母の胎内にいるときから、ずっと。
──貴様それでもアテナの聖闘士か!
美しい母に似て整った容姿をしていたから、幼い頃は天使のようだともてはやされた──いつでも、わたしだけ。
守護星座と同じく双子として生を受けた我らは、不吉な子であった。
父が分からぬ子どもであれば尚更。
だから、母は我らを双子として人前に連れ出すことはなかった。
外に出るときも、いつでもわたしひとりだけ。
母が我らに与える愛情は分け隔てなかったが、弟が陽の目を見ることはなかった。
誰よりも自分に近く、誰よりも大切な弟がそんな扱いを受けることが無性に悔しかった。
鏡に写したように髪の先まで寸分違わぬ双子なのだから、お前がわたしの代わりに、と言っても弟は首を振るばかり。
「俺、大人しくしてるの苦手なんだ。『天使』ってガラでもないしな」
そう、照れくさそうに笑っていた。
弟にとっては、ちいさな我が家が世界のすべてだった。
いつしか、わたしは弟に外の世界を見せることを使命と感じるようになっていた。
夜中、周囲の民家の明かりも消え、皆が寝静まった頃、時々弟の手を引いて外へ連れ出した。
叱られるぞ、と心配そうな顔をしていたが、あれが心配するのはいつもわたしのことばかり。
自分が叱られるのではなく、わたしが咎められることをこそ厭っていた。
だが、弟に思い切り外の空気を吸わせてやれる喜びに比べたら、わたしが叱られることなど何ほどのこともなかった。
月と星明かりだけが支配する静寂の世界。
エーゲ海の水面に揺れる月を見て、弟は目を瞠った。
綺麗だ、と瞳を輝かせていた弟を見て、猛烈な怒りを感じた。
昼間、この同じ海に太陽の光が燦々と降り注ぎ、宝石のように煌くのを弟は知らない。
弟から昼を、太陽を奪ったものが許せなかった。
「ありがとう、サガ」
それでも、あれはそんな風に礼を言って笑うから。
だから、誓った。
「いつか、お前に太陽を贈るよ」
わたしのすべては、そのために。
素直でないところはあるけれど、本当はやさしく、あたたかい心を持ったあれが、堂々と太陽の下を歩けるように。
「サガはやさしくて頭がいいから、医者になって困ってる人を助けてあげろよ!」
そんな風に笑っていた弟。
「カノンは勇敢だから、弱い人を守ってあげるんだ」
わたしも、そんな風に微笑んで・・・。
やがて、7歳の誕生日を目前に、聖域が戦士を探していることを知った。
女神を守る、正義の聖闘士。
聖闘士になれば、大地を砕き、海を割る力が手に入るという。
力があれば、弟を守れると思った。
正義の聖闘士になれば、周囲から賞賛され、尊敬され、たとえ双子だと明かしても弟を非難するものなどないだろう、と。
だから、わたしは聖闘士になろうと決めた。
打ち明けたときは驚いた顔をしていた弟だったが、やがて頷いた。
「サガなら、きっと誰よりも公平で公正な、正義の聖闘士になれる」
厳しい訓練と戦いの毎日が待ち受けていることで母は反対したけれど、わたしの考えは変わらなかった。
訓練生は衣食住を聖域が保証する。
ひとり分でも出費が減れば、母も楽になるだろう、とそう言って。
黄金聖闘士であった師の訓練は、厳しかったが情に溢れたものだった。
このような聖闘士になりたい、とわたしは思うようになった。
我らの宿命の星と同じ、双子座の黄金聖闘士に。
才能と、努力と──譲れない想い。
それがわたしを強くした。
時々家に帰ることを許されたときは、弟に稽古をつけた。
自分の得たものは、当然弟も手にする権利があるのだから。
稽古以外にも、聖域での日々や、師匠のこと、同じ訓練生や聖闘士のことなど、すべて伝えた。
初めて触れる外の世界の情報に、あれは驚きながらも瞳を輝かせていた。
夜のエーゲ海を見たときと同じ、喜びと希望に満ちた瞳。
その瞳のためなら、何でも出来た。
姿形も同じなら、戦闘に関するセンスもまったく同じらしい弟は、瞬く間に力をつけた。
訓練を始めて3年もする頃には訓練生の中では、たったひとりを除いて相手になるものがいなくなった。
正規の聖闘士ですら、青銅や白銀では聖衣を纏っていてもわたしに勝てなかった。
5年経つ頃には、正式に聖闘士に任命された──双子座の黄金聖闘士として。
そのとき一緒に黄金聖闘士に任命されたのが、唯一わたしと渡り合えた男──・・・射手座の、聖闘士だった。
「やったな、サガ」
弟は、そう言って自分のことのように嬉しそうな顔でわたしを叙任式に送り出した。
地上で神の代理人を務められる教皇猊下から、双子座の黄金聖衣を下賜された。
「地上と女神を守るため、その聖衣はお前に力を授けるだろう」
教皇の言葉とおり、身に纏ったとき信じられない力が漲るのを感じた。
黄道十二の星を守護星座とする、太陽の光を浴びた黄金聖衣。
地上を守る力があれば、弟を守ることなど容易い。
まして、弟は黄金聖闘士となったわたしと同じ力を持っている。
守る必要などなく、我らはやっと同じ世界を見ることが出来るようになったのだ、と思った。
聖衣は主人を選ぶという。
だがきっと、弟もこの聖衣を纏うことが出来るはずだ。
わたしたちは、違うところなど何ひとつない双子なのだから。
──だが、双子座の黄金聖衣は弟の身を護ることはなかった。
「きっと、サガのことが気に入ってるんだよ」
あれはそう言って苦笑したが、どこか寂しそうだった。
力はあっても正規の聖闘士としては認められず、師による正式な訓練を受けることさえ出来なかった弟。
弟を守りたかったのに、弟のために聖闘士になろうと思ったのに、宿命の星である双子座の聖衣は弟を拒んだ。
なぜだ、と問いかけても、双子座のマスクは何も応えなかった。
聖闘士の最高位である黄金聖闘士になっても、弟は日陰にいるまま。
ならば、もっと強く、もっと高みに。
聖闘士の中で、並ぶもののない地位に。
そのためならば、何でも出来た。
「サガは神のようだ」
そう、人から言われるようになったのはいつの頃だったか。
弱者を守り、病人を癒し、常に穏やかな笑みを浮かべていたわたしを、人々は神の化身と呼んだ。
聖闘士は、地上と女神を守るための存在。
取りも直さず、それは地上と女神のために死ぬ存在であった。
わたしも、そのことに迷いはなかった。
慈愛に満ちた女神のために、この美しい地上を、母と弟の暮らす地上を守ろうと思った。
──そんな希望に満ちた日々は、長くは続かなかった。
母が病に倒れた。
そして、それを救う術はなかった。
「何でだよ! 何で母さんが・・・っ!!」
泣きじゃくって、わたしの胸を殴りつけてきた弟。
「サガ、お前最強の聖闘士だろう?! 神のような男なんだろう?! だったら、母さんを助けてくれ!!」
喉が嗄れるほどの悲痛な叫びに、わたしは首を振ることしか出来なかった。
「・・・すまない、カノン・・・」
「サガ!」
「すまない・・・わたしは・・・わたしは、神ではない・・・」
すまない、と何度も謝った。
固く、拳を握った。
手のひらに爪が食い込み、血が流れるほど強く。
歯が砕けんばかりに奥歯を噛み、涙が枯れるまで泣いた。
大地を──銀河をも砕く力があっても、母ひとり守れはしなかった。
死を恐れる老人に安らかな永遠の眠りをもたらすことが出来ても、母は病の中苦しんで死んだ。
この力に、この手に、何の意味があろうか・・・。
だが、わたしにはたったひとり、血を分けた愛しい弟がいた。
弟のいる地上を守るため、わたしは戦い、人々を癒し続けた。
黄金聖闘士は次々と代替わりをし、15になる頃にはわたしと射手座の聖闘士が最年長となった。
射手座の聖闘士──アイオロスとわたしは、手を取り合い、まだ幼い黄金聖闘士たちを導きながら、地上の平和のために戦うことを誓った。
アイオロスは仁智勇を兼ね備える、男の中の男だった。
戦場では並ぶもののない勇者として、人々の間では黄金聖闘士にふさわしく太陽のようなあたたかさと深い懐を持つ男として。
我らは良き盟友であり、彼の心の強さ、潔さはただただ眩しかった。
──その頃から、悪魔がわたしにささやき出した。
アイオロスに感じる眩しさ、憧れが、いつから妬みに変わっていったのか。
いや、妬んでなどいなかった。
わたしは『神の化身』として、崇拝にも近い念を人々から抱かれていたのだから。
そこに、人から見れば整ったと映る外見が功を奏していたことは分かっていたが、それもわたしの一部であることに間違いはない。
アイオロスとわたしに対する周囲の評価は、常に等しかった──わたしと、弟が等しい存在であるように、また。
(──アイオロスさえいなくなれば、お前ひとりが最強の称号を手に入れる)
声なき声は、そうわたしの脳を侵食していった。
黙れ! といくら叫んでも、その声が消えることはなかった。
(──何を迷う必要がある? お前は、弟に陽の目を見せてやりたいのだろう?)
射手座の聖闘士の座が開けば、弟にくれてやればいい、と。
だが、聖闘士の任命権は教皇にある。
黄金とはいえ、一介の聖闘士にそんなことは許されない。
(──ならば、教皇になればいい)
思わず、言葉をなくした。
あまりにも突拍子もない内容に──そして、あまりにも魅力的な声に。
その声が頭から離れぬまま、わたしは表面上は常と変わらぬ毎日を過ごした。
──そして、聖域に女神が降誕された。
それと時期を合わせるように、教皇は時期教皇を指名された。
教皇の間に呼ばれたのは、わたしとアイオロス。
教皇はアイオロスを時期教皇に、わたしをその補佐に、と告げた。
仁智勇を兼ね備えるアイオロスが選ばれることは当然であり、否などあろうはずもなかった。
その時、ふと弟の顔が浮かんだ。
アイオロスが教皇になるのならば、弟を射手座の聖闘士にしてもらおうか。
弟の力はわたしと互角、ならば黄金の聖衣を纏うことに支障はないはず。
きっとアイオロスならば分かってくれるだろう。
そう、考えていた。
母が死んでから、弟は以前のような笑顔を見せなくなった。
遣り場のない哀しみと怒りを大地や海にぶつけ、ときに地形を変えるほどのその力は明らかに聖闘士のものであり、聖域でも見過ごせないものとされるようになった。
だから、わたしは弟の元を訪れ、女神の降誕、次期教皇になるアイオロスの話、そしてカノンを黄金聖闘士に据えてくれるよう頼もうと思っていることを告げた。
──・・・アテナを殺せ。
だが、喜ぶと思っていた弟からは、信じられない言葉が返ってきた。
──アテナを殺し、お前が教皇となり、我らで地上を支配しよう。
わたしの頭の中で聴こえるのと、同じ声。
『神の化身』と呼ばれるわたしに悪をささやく、恐ろしい声。
頭の中の声と、弟の声と、内と外からわたしの脳を侵す声が割れ鐘のように響き、息が止まりそうになった。
振り払うように、弟を殴った。
聖衣を纏ったまま、生身の弟を。
常人であれば死んでいる。
だが、さすがは星をも砕く力を持った我が弟。
傷は負ったが、叩きつけられた砂浜から起き上がると、またわたしに悪をささやいてきた。
──お前が教皇となるのだ。
(──教皇になりたかったのだろう?)
──アテナなど・・・生まれたばかりの赤ん坊に何が出来る。
(──神は、お前の母を、弟を救ってくれたのか?)
繰り返される言葉に目を瞑り、己の中の迷いを打ち砕くように拳を、力をふるい続けた。
意識を喪った弟を、神の力を以てせねば出られないと言われるスニオン岬の岩牢に幽閉した。
神に祈り、アテナに赦しを乞え、と。
慈悲深い我らの女神は、数日の後には弟を解放して下さるだろう。
その頃までには、わたしはアイオロスに弟のことを話し、次期射手座の黄金聖闘士に弟を据えてくれるよう頼むつもりだった。
・・・その、つもりだった・・・。
だが、次期教皇になるアイオロスよりも、先に現教皇に話そうと思った。
本来教皇以外入ることを許されない星詠みの地スターヒルに登ったときも、そう思っていた。
頭の中の声はどんどん煩くなっていき、抑えつけるのがやっとだったが、どうしても話さなければならない。
だが、口をついて出たのは。
──なぜ、アイオロスが次期教皇なのですか・・・?
自分で言って愕然としていた。
そんなことではない、そんなことを言いたかったわけではない、と。
頭の中の声が、哄笑するのを聴いた気がした。
教皇になりたくないのか、と言われれば、否定することは出来ない。
だが、それは己のためではなかった・・・決して、天に、我らの女神に誓って、己のためなどではなかった。
「お前の中に、何か別の悪しきものが存在する気がするのだ。何かもうひとり、別のお前が・・・」
教皇の口からその言葉が出たとき、脳裏を占めたのは教皇衣を纏っている自分でも、煩く喚く頭の声でもなかった。
・・・気づいたら、手が、紅く染まっていた。
頭の中の声は、外界の音すべてを消し去るほどに大きくなった。
教皇を殺し、降誕したばかりのアテナを殺そうとし、それを助けて逃げたアイオロスを逆賊として葬った。
それから頭の中の声を気力で抑え、朝靄の中スニオン岬へ迎えに行った弟は、岩牢から忽然と姿を消していた。
アテナに赦されたのだろうか・・・ならば、それでいい。
女神を殺そうとしたわたしはもう、二度と聖闘士には戻れないだろうから。
──だから、どうかお前は・・・お前だけは・・・。
朝日に祈り、聖域の教皇の間へと向かった。
願わくば、いつか黄金の聖衣を纏ったお前の手で・・・。
あれから13年。
成長した女神は青銅の少年たちとともに、聖域へやってきた。
十二宮を守る黄金聖闘士との死闘を経て、少年たちは虫の息で教皇の間へ。
束の間取り戻した自我は、また暗黒に沈んでいった。
やがて光を感じ、目を覚ましたときには信じられないほど頭も、身体も──何より心が軽かった。
もう、あの声に煩わされることはない、と直感した。
そして、アテナ神殿の前で女神を迎えた。
自ら心臓を貫き、赦しを乞うた。
こんなことで赦されるとは思っていない。
己の命で、13年間重ね続けた罪が償えるとは思っていない。
それでも、わたしにはそれしか差し出すものがなかった。
・・・出来ることなら・・・アテナの聖闘士として、地上の愛と平和のために戦いたかった・・・
その言葉に、偽りはなかった。
何より、たったひとり守りたかった最愛の弟・・・アイオロスに逆賊の汚名を着せてしまったことで肩身が狭い思いをしていたアイオリアのように、我が弟が苦しまなくていいように。
どうか、慈悲深き我らの女神よ・・・弟をお救い下さい。
そう祈って、目を閉じた。
脳裏に描くのは、双子座の黄金聖衣を着て双児宮を守る弟の姿。
その姿を肉眼で見ることが出来なかったことだけが、唯一の心残りだった。
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サガ兄さんは、野望とか、聖闘士の頂点とか、神の代理人として地上を支配とか、そんなことどうでも良かったんだと思うんです。自分が教皇になれば、カノンに双子座の聖衣を与えてやれる。だから、教皇になりたかったんじゃないかな。そこを、つけ込まれちゃったんじゃないかなぁ、と。
で、サガ兄さんが黒サガだったのは、実はハーデス的なものが入り込んでいたからなんじゃないでしょうか。ハーデスは地上で最も心の清い少年の身体を借りるから、当初はサガの予定だったんじゃねーかと思うわけですよ。当時のサガ15歳だしね。紅顔の美少年です。
その後少年誌の都合で瞬になったりしたんじゃ・・・(笑)いや、分からんけどね。でも、サガ兄さんにアテナの盾の光が当たったとき、瞬のときと同じようにハーデス的な影が出て行ったから・・・髪も黒くなってたし(笑)
だから、サガ兄さんが仮初の命をもらって十二宮にやってきたとき、双児宮を守るカノンを見て涙が止まらなかったんだと思うんだよね。
相変わらずなげー・・・むしろキャプションなげー・・・。
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