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小ネタや更新記録など。妄想の赴くままに・・・
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落ち着くまで自分の頭の中を放っておこうかと思います(コラ)



**********

もともとの造作が整っているだけに、青白い顔でベッドに横たわる青年が息をしていない人形のように見えて、セフィロスは思わず眉を寄せた。

「・・・【ケアルガ】」

ヴィンセントから受け取った『かいふく』のマテリアで使える、最上位の回復魔法を唱える。
祈るように魔法を詠唱したセフィロスは、固唾を呑んで青年を見つめた。
やがて、ゆっくりと瞼が持ち上がり、赤みががった茶色の瞳が現れたのを見て、細く息を吐き出した。

「ヴァル・・・ヴァレンタイン」

大丈夫? と、労るようにそっと頬に手を這わせる。
目覚めたばかりの青年はまだ覚醒しきっていない目で、ぼんやりとセフィロスの顔を見ていたが、やがてはっとして起き上がろうとした。

「──セフィ」
「まだ起きちゃダメだ」

細い見た目のわりにがっしりとしたヴァレンタインの肩を押さえ、セフィロスは少々咎める口調になった。
身体の痛みが綺麗さっぱり消えていることに気づいたヴァレンタインは、戸惑ったようにセフィロスを見つめた。

「・・・きみが、治してくれたのか?」
「無事で良かった」

セフィロスの繊細な美貌にやさしい微笑みが乗ると、崇高な宗教画のような雰囲気すら漂わせる。
見るものすべてを虜にするような笑みを浮かべた少年は、もう一度ヴァレンタインの頬をそっと撫でた。

「セフィロス、きみは」
「うん?」
「・・・例の、組織のアジトに」
「あぁ、もう心配しなくていい──殲滅した」

美しい笑みを浮かべたまま物騒なことを口にする少年に、ヴァレンタインは顔を顰めた。
彼らに下されたミッションは、あの組織の壊滅。
『制圧』しろと言われなかったということは、首謀者の生死は問わないということだ。

「・・・やはり、私は反対だ」
「──ヴァル?」
「きみのような年齢の子どもが、戦いに身を投じるなど・・・」

ぎゅっと眉根を寄せる青年に、セフィロスは翡翠にも似た魔晄色の瞳を丸くした。

「ヴァル・・・もしかして、オレの心配をしているのか?」
「──当たり前だ!」
「オレは軍人だ」
「きみの意思ではないだろう!」
「おい、落ち着け」

それまで黙っていたヴィンセントは、ベッドサイドにいるセフィロスの手を掴んで言い募ろうとするヴァレンタインの頭をベッドに押さえつけた。

「ヴィンセント、相手は怪我人だぞ」
「お前の魔法で全快している」

咎める口調のセフィロスに、ヴィンセントは相変わらず淡々と返した。

「ヴァレンタイン。本人の言うように、セフィロスは軍人だ。戦闘能力にだけ関して言えば、私やお前よりも上だ」
「『だけ』は余計だ」

ちょっと拗ねたように唇を尖らせる様は、歳相応の少年に見える。

「本人が望まない部分はあるにしろ、命令を遂行する義務がある」
「だが」
「あなたが嫌がるなら、辞めてもいい」
「──セフィロス?」

ヴァレンタインは目を瞠り、ヴィンセントは眉を顰めた。

「おい。あまりこいつを甘やかすな」
「いいじゃないか。──その代わり、あなたもタークスを辞めるんだ」

セフィロスのこの言葉には、ヴィンセントも瞠目した。

「『英雄』であるオレと、『タークス・オブ・タークス』と呼ばれるあなたが一緒に辞めたら、プレジデントが発狂するかな。──あぁ、傭兵になるのもいいな。元・英雄と元・タークスが組めば、荒稼ぎ出来そうだ」

くすくすとおかしそうに笑う様は眼福そのものだったが、ヴァレンタインは言葉を発することが出来ないでいた。
仕方なさそうに、ヴィンセントが口を開く。

「セフィロス。タークスは辞職することが出来ない。タークスになったものは、一生タークスとして生きる。出来るのは、『殉職』だけだ」

ゆえに、『元・タークス』などというものは存在しない。

「何ごとにも前例はある。何なら逃げてもいい」

軽く肩をすくめた少年は、ベッドの端に腰掛けて、ヴァレンタインの紅茶色の瞳を覗いた。

「追われる身になったらオレが護ろう。世界中、旅して回るのもいいんじゃないか?」

それでどう? とでも言わんばかりの自信に満ちた表情をしばらくぽかん、と見つめていたヴァレンタインだったが、何と返していいのか分からなかったのだろう、助けを求めるようにヴィンセントに視線を投げた。
頼られたヴィンセントは、喜ぶどころか思い切り顔を顰めた。
「私に振るな」と言いたいのだろう。
仕方なく、ヴァレンタインは自分の言葉で返した。

「セフィロス・・・それは、あまり穏便ではない」
「そうか? でも、それであなたの心の安寧は保たれるんだろう?」
「──っ!」

息を呑んだヴァレンタインだった。
少年の言葉は、すべてヴァレンタインのため──そこに、『セフィロス』という個人の感情など存在しないことに戦慄を覚えた。

「セフィロス、そうじゃない。私は」
「無駄だ、ヴァレンタイン」

焦ったように起き上がってセフィロスの肩を掴んだヴァレンタインの言葉は、淡々とした声に遮られた。

「確かにセフィロスには『戦いたい』という意思はないが、逆に『戦いたくない』という気持ちも存在しない」
「それは神羅が!」

ヴァレンタインは、セフィロスがどうやって生まれたのかを知っている。
倫理の欠片もない、実験の産物だ。
生真面目なヴァレンタインには、それがどうしても赦せなかった──たとえ、実験の片棒を担いでいたのが、かつて彼が愛した女性だったとしても。

「お前の言うように、こいつに対する情操教育はかなり省かれた」
「だから」
「──だが、少なくともこいつには、『護りたい』という意思は存在する」
「・・・・・・」

セフィロスが『英雄』と呼ばれるのは、何も神羅の広告戦略からだけ来るものではない。
負傷した仲間の兵士や、戦場で逃げ惑う人々、モンスターの襲撃に遭った地域の人間。
そういった弱きものたちを自ら最前線に立って護ろうとするセフィロスの姿を見て、人々が自然と彼を『英雄』と認めるに至ったのだ。

「今現在、その最上位にいるのがお前だ」
「・・・私は」
「お前が神羅を抜けたいと言えば、セフィロスは無条件で頷く。障害になると思えば、プレジデントの抹殺くらい、軽くやるだろう」
「素直に頷けば、そこまではしない」

嫌がれば殺るということだ。
また、プレジデント・神羅が、自軍が誇る精鋭中の精鋭である『英雄』と『伝説のタークス』を手放すとは思えない。

「こいつの手を取ったのはお前だ。その責任は果たせ」

突き放すようなヴィンセントの言葉に、ヴァレンタインは瞳を揺らした。

「ヴィンセント。あまりヴァルをいじめるな」
「いじめるつもりなら、下手な忠告などしない」

彼なりの愛情表現のつもりだとでも言うのだろうか。
セフィロスは肩をすくめ、戸惑った表情のヴァレンタインに苦笑を向けた。

「オレはどちらでもいい。あなたがオレを心配してくれるように、オレもあなたには出来るだけ平穏に過ごしてもらいたいと思っている」
「セフィロス・・・」
「ただ、たぶんそれには、1体でも多くのモンスターを倒して、早く平和な世の中にするのが一番近道だとは思う」
「・・・・・・」
「オレは確かに戦うことは好きじゃない。けど、戦う力はある。それなら、この力を有効に使うべきだ」

どちらが大人だか分からない様子でヴァレンタインを説得しようとするセフィロスを見て、ヴィンセントは口をはさむことをやめた。

「・・・私は・・・」

どんな答えを出すにせよ、ヴィンセントが選ぶのも、結局はセフィロスと同じものなのだから。


**********

まとまらん・・・無駄に長い・・・。
結末が来い!!(コラ)
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