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小ネタや更新記録など。妄想の赴くままに・・・
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がくちゃんからヴィンちゃんへ変更(コラ)赤と黒のコントラストが美しい。
そんな感じでお熱継続中です。

9周年は、ヴァンシェラと四つ子あたりで天使と悪魔かな・・・毎度極悪な記念小説でごめんなさい。

・・・こんなもん書く時間あったら、記念小説書けよな・・・。分かってはいるんだ、分かっては。はぁ。



**********

後に世界的企業・神羅カンパニーとなる神羅製作所の総務部調査課──通称『タークス』は、諜報、勧誘、護衛、暗殺、要人警護といった企業の暗部を司る精鋭部隊である。
死ぬ以外にタークスを抜ける方法はなく、タークスは一生タークスとして生きる。
中には、ジェノバ細胞を埋め込まれ、魔晄によって肉体を強化されたソルジャー並みの戦闘能力を持つものもいる。
純粋な『人間』の範疇で言えば、相当な手練の集まりである。

その中で、『タークス・オブ・タークス』の称号を手にする青年がいた。
ヴィンセント・ヴァレンタイン。
父親は優秀な科学者であったが、彼は自他共に認める機械音痴であった。
それ故か否かは定かではないが、彼は父親と同じ道には進まなかった。
彼の父親はフリーの科学者であったが、科学者というよりは冒険者に近く、ヴィンセントは銃の扱いを父親から教わった。
ヴィンセントの父親は『星の循環』についての研究をしており、やがて神羅が彼の研究に協力を申し出るようになると、その息子にも目をつけた。
細身だが長身、身のこなしは俊敏で、状況判断は冷静そのもの。
モンスターを前にしてもたじろぐどころか身を硬くすることすらなく、構えた銃から発射される弾は、正確に急所を撃ちぬいた。
彼の射撃の腕を絶賛する神羅の社員──後にそれが勧誘活動を行っていたタークスだと分かる──に、ヴィンセントは首を傾げた。

「狙ってるんだから、当たるだろう?」

じっとして動かない的ならともかく、こちらへ突進してきたり、空を飛んだりしている獲物を撃つのがどれだけ大変か。
神羅の養成所に入ったあと、そんなようなことを言ってくる同期たちに、ヴィンセントはやはり不思議そうな顔をした。

「生きていれば動く。だが、敵が移動する方向と速度、こちらの弾道を計算すれば、どの地点でぶつかるか分かる。それだけのことじゃないのか?」

彼曰く『それだけのこと』を、一瞬のうちに判断出来る人間はそういない。
ヴィンセントは機械音痴ではあったが、計算能力や状況判断力は非常に高く、また、幼い頃から父と行っていたサバイバル体験で培った経験値もかなりのものだった。
養成所における彼の成績は、筆記、身体能力測定、模擬実践、実地試験を総合して過去最高──そして、その成績は30年後の未来でも破られることはなかった。

「──非常に興味深い」

そんなヴィンセントの能力に目をつけたのが、神羅カンパニーが抱える科学者のひとりである宝条だった。
とある事件をきっかけに、宝条はヴィンセントのクローンを創り出した。
生きながら『伝説』と呼ばれるタークスの能力を有した戦士を量産出来れば、成功率が決して高いとは言えない『ジェノバ・プロジェクト』に代わる偉業となる。
人道的見地から禁忌とされているが、神羅の技術があれば人間のクローンを創ることなど容易い。
そうして、宝条は平然と──否、己の閃きの素晴らしさに打ち震えながら、禁忌を犯した。
ヴィンセント・ヴァレンタインのクローンは、、オリジナルの能力に、更なる知能と攻撃精度、各種モンスターの身体データを組み込んだ超人的な身体能力を加え、実際に3種類のモンスターとも融合させた生物兵器として創り出された。
しかし、いくら優秀なスナイパーとは言っても、元々は人間。
クローンの肉体はモンスターとの融合を拒否し、崩壊しようとしていた。
けれど、そうはならなかった。
とある女性科学者が、それがクローンであるとは知らず、今にも崩れようとしているヴィンセントに、更に『あるもの』を融合させた。
そうして、暴走しかけたそれを制御するための『核』を、クローンの身体に埋め込んだのであった。

+++++

「・・・ぅ、う、あ・・・っ!」

跳ね起きたヴァレンタインはしばし呼吸を止めて周囲を見回していたが、そこが自分の部屋であることが分かってようやく息を吐き出した。

「夢でも見たのか」

抑揚の薄い声が耳に入り、はっとしてそちらに目を向けた。
月明かりの入り込む窓辺に佇む長身。

「・・・ヴィン、セント・・・」

どこか呆然とした顔で呟いたヴァレンタインを見て、ヴィンセントは眉を寄せた。
音もなくヴァレンタインのいるベッドへと近寄り、その端へと腰を下ろす。
己の分身に手を伸ばし、濡れた頬を撫でてやった。
無口で無愛想ながら、その仕草にはやさしさが感じられた。

「怖い夢でも見たのか?」
「──え・・・?」

言われてヴァレンタインは、自分が涙を流していることに気がついた。

「あ・・・? わたし、は・・・?」
「また私の夢を見たのか」
「・・・・・・」

紅茶色の瞳を揺らすヴァレンタインの頭をそっと抱え、ヴィンセントは軽く息を吐いた。

「不思議なものだな」
「・・・何が?」
「あの実験は、お前が受けたものではない」
「・・・・・・」
「それでも、お前は我が身に起きたようにそれを知っているし、お前の時も止まってしまった」
「・・・・・・」
「おそらくは、私の中のカオス因子がオリジナルの」
「ヴィンセント」

それは、彼自身の名前でもあった。
もう、己で使うことがなくなって久しい名だ。

「ヴィンセント」
「何だ」
「これを口にするのは、非常に気が引けるんだが・・・」
「だから何だ」

ヴィンセントがため息を零したのを、胸に当てた頬が感じ取る。
自然と、ちいさく笑ったヴァレンタインだった。

「お前は・・・やさしいな」
「・・・何だ、藪から棒に」
「いつの時も、お前は人の心を護ろうとする」

脳裏に描くのは、美しく聡明な女性の姿。

「お前はいつだって、どれだけ自分が苦しんだって・・・やさしい嘘を吐くんだ」
「ヴァレンタイン。それは買いかぶりだ」
「鈍感だとはよく言われるが、さすがに自分のことなら分かる」
「・・・・・・」
「だから、口にするのは気が引けると言った」

くすくすと笑う声が、重ねられた唇の奥に消えた。
深くは交わらず、軽く吸い上げるようにして離れる唇。

「・・・私は、ナルシストの気でもあるのかな」

端正な顔に悪戯っぽい笑みを浮かべる青年に、ヴィンセントも口端を吊り上げて見せた。

「それならば、私の方が重症だ」

惹かれ合うようにして、再びふたりの唇が重なり──。

「──随分愉しそうなことをしているな」

聞こえてきた笑みを孕んだ声に、ヴァレンタインは飛び上がりそうになった。

「──セ、セフィロス?!」

どうして、と言いかけてはっとする。

「そうだ、ミッションは」
「もちろん、コンプリートだ」
「そうか・・・」

ヴィンセントとの間に流れていた甘い雰囲気を振り払うためでもないだろうが、ヴァレンタインはベッドから降りてセフィロスの前に立った。
まだヴァレンタインの方が僅かに長身だが、セフィロスは成長期だからすぐに追い越してしまうだろう。

「怪我はなかったか?」
「ケアルも使っていない」
「辛いことはなかったか?」
「あったよ」
「──何があった?!」

息を呑むヴァレンタインに、セフィロスは天使のような笑みを浮かべた。

「3日間も、あなたに会えなかった」
「は・・・? セフィロス?」

背後で、ヴィンセントが大げさなため息を零したのを聞いた気がした。

「あなたに会いたくて最速でミッションを終わらせて来たんだ」
「あ、あぁ・・・それは、ご苦労様・・・」
「だから、ご褒美が欲しい」
「え・・・?」
「セフィロス」

ヴィンセントの咎める声に、セフィロスは「煩い」と返した。

「アンタだけなんて、不公平だろう」

夜の室内でも光を帯びる魔晄色の瞳が、ヴィンセントを軽く睨みつける。
わざとらしく肩をすくめたヴィンセントは無視して、セフィロスはヴァレンタインに目を戻した。

「ご褒美。くれる?」
「えーっと・・・何がいいんだ?」
「ヴィンセントと、しようとしてたこと」
「──なっ?!」

穢れなき天使の笑みを浮かべるセフィロスの言葉に、ヴァレンタインは思わず赤面した。

「なっ、なな、な・・・」
「そろそろ、キスじゃ物足りなくなってきた」

にぃ、と笑みを深めたセフィロスは、トン、と軽くヴァレンタインの胸を押した。
それだけで、細身の長身は簡単にベッドに倒れ込んだ。

「わぷ! セフィロス!」
「大丈夫だ。報告書を出すついでにシャワーは浴びてきたから、血の匂いはしないと思う。それから、ここ1ヶ月休みなしだったから、明日から3日は休暇だ」
「な・・・」

よいしょ、と可愛らしい掛け声をかけてヴァレンタインの太腿の上に乗り上げたセフィロスは、壁にもたれてこちらを見ているヴィンセントに視線を向けた。

「邪魔しないのか?」

この台詞に、ヴィンセントは肩をすくめた。

「無理強いなら止めるが。本人が嫌がっていないんでな」
「なっ──ヴィンセント!!」

真っ赤になって狼狽えるヴァレンタインを見て、セフィロスは目を丸くした。
ヴィンセントは少々意地の悪い笑みを浮かべ、己の半身に告げた。

「私にも、お前の考えていることはよく分かるらしい」


**********

・・・なにこれ。
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