小ネタや更新記録など。妄想の赴くままに・・・
裏ネタだけどな・・・
「──ふざけるな」
低い声を更に低め、ヴァンツァーはむしろ唸るようにそう言った。
きつい藍色の瞳で睨みつけているのは、今回この騒動を引き起こし、あまつさえ楽しんでその規模を拡大しようとしている彼からすればはた迷惑以外の何ものでもない美貌の男。
「心外だな。わたしは真剣そのものだよ」
肩をすくめる男に、ヴァンツァーは嫌悪を隠しもしない。
「なぜ俺が────・・・・・・レティーと寝る必要がある」
後半若干言いづらそうに語調が弱くなったのは、彼が鳥肌を立てて身震いしたからに他ならない。
考えるのも嫌だ、という顔をしているが、前・ファロットの長は涼しい顔で微笑みすら浮かべてみせた。
「出来ないのかい?」
「必要ないだろうが。それらしい会話をさせておけばことは足りる」
「リアリティーがないな。わたしは本物志向なんでね」
「それはあんただけの専売特許じゃない」
「そうか。それならばやってくれるな?」
「だから、必要がない、と言っている」
頑なに頷こうとしないヴァンツァーに、銀髪の男はわざとらしくため息を吐いた。
「お前の頑固なところは、誰に似たんだろうな」
「親の顔など知らん」
「教えて欲しいか?」
「・・・」
話しても無駄、と思ったのか、踵を返すヴァンツァー。
「そうか、分かった。それならばいい」
やっと諦めたのか、と思うような台詞だが、なぜか言葉とは違う感覚を覚えてヴァンツァーは足を止めた。
「お前がその程度の男ならば──シェラを嫁にやるわけにはいかんな」
「・・・なぜ今あれの名前が出てくる」
「父親としては、可愛い息子を三流どころに嫁がせるわけにはいかんからな」
「だから」
「──・・・欲しいんだろう・・・?」
「・・・」
緩く唇を持ち上げた男を前に、ヴァンツァーは視線をきつくしたまま口を閉ざした。
どれくらいそのままの膠着状態が続いたろうか。
「──あ、いた」
ひょっこりと部屋の入り口から顔を覗かせたのは、長い銀髪の天使だった。
ヴァンツァーを認めた彼は、面白がるような表情で彼に告げた。
「ほら、みんな待ってるぞ」
「・・・必要のないシーンを撮影することはあるまい」
「監督が必要だって言ってるんだから、必要なんだろう?」
「・・・お前、本気で言ってるのか?」
「何が?」
可愛らしく首を傾げてはいるが、明らかに菫の瞳が悪戯っぽく輝いている。
レティシアとの絡みなんぞ、自分がやるのでなければいいのだ。
「まったく。しっかりしてくれよ──・・・坊や・・・?」
にやり、と唇を歪めれば、ヴァンツァーの瞳がきらりと光った。
殺気にも似た感覚に、シェラは反射的に身構えた。
「──言ったな」
「・・・え?」
「他の誰でもない。お前が口にしたことだ」
「なに──」
「男に二言はないんだろうな・・・シェラ?」
「・・・」
横をすり抜けていく直前耳元でささやかれ、シェラは肩を震わせた。
ヴァンツァーがその場からいなくなると、喉の奥で笑う気配。
「・・・あの?」
まだ慣れないのか、身を引きながら遠慮気味に話しかけるシェラに、同じ銀髪ながら彼よりずっと精悍な美貌の男は微笑した。
「助かったよ」
「え・・・?」
「お前の言う通り。あの坊やにはもう少ししっかりしてもらいたいところだな」
「はぁ・・・」
「まぁ────こちらの期待を裏切られたことはないが、ね・・・」
「・・・」
「お前も、次のシーンは出番がないのだから、見ているといい」
「・・・」
シェラの横に並び、視線を落として菫の瞳を覗く。
「──きっと、面白いものが見られるよ」
呟いて去っていく男のすぐ後を追うことは出来ず、シェラは距離をおいて足を動かした。
続・・・けばいい。
低い声を更に低め、ヴァンツァーはむしろ唸るようにそう言った。
きつい藍色の瞳で睨みつけているのは、今回この騒動を引き起こし、あまつさえ楽しんでその規模を拡大しようとしている彼からすればはた迷惑以外の何ものでもない美貌の男。
「心外だな。わたしは真剣そのものだよ」
肩をすくめる男に、ヴァンツァーは嫌悪を隠しもしない。
「なぜ俺が────・・・・・・レティーと寝る必要がある」
後半若干言いづらそうに語調が弱くなったのは、彼が鳥肌を立てて身震いしたからに他ならない。
考えるのも嫌だ、という顔をしているが、前・ファロットの長は涼しい顔で微笑みすら浮かべてみせた。
「出来ないのかい?」
「必要ないだろうが。それらしい会話をさせておけばことは足りる」
「リアリティーがないな。わたしは本物志向なんでね」
「それはあんただけの専売特許じゃない」
「そうか。それならばやってくれるな?」
「だから、必要がない、と言っている」
頑なに頷こうとしないヴァンツァーに、銀髪の男はわざとらしくため息を吐いた。
「お前の頑固なところは、誰に似たんだろうな」
「親の顔など知らん」
「教えて欲しいか?」
「・・・」
話しても無駄、と思ったのか、踵を返すヴァンツァー。
「そうか、分かった。それならばいい」
やっと諦めたのか、と思うような台詞だが、なぜか言葉とは違う感覚を覚えてヴァンツァーは足を止めた。
「お前がその程度の男ならば──シェラを嫁にやるわけにはいかんな」
「・・・なぜ今あれの名前が出てくる」
「父親としては、可愛い息子を三流どころに嫁がせるわけにはいかんからな」
「だから」
「──・・・欲しいんだろう・・・?」
「・・・」
緩く唇を持ち上げた男を前に、ヴァンツァーは視線をきつくしたまま口を閉ざした。
どれくらいそのままの膠着状態が続いたろうか。
「──あ、いた」
ひょっこりと部屋の入り口から顔を覗かせたのは、長い銀髪の天使だった。
ヴァンツァーを認めた彼は、面白がるような表情で彼に告げた。
「ほら、みんな待ってるぞ」
「・・・必要のないシーンを撮影することはあるまい」
「監督が必要だって言ってるんだから、必要なんだろう?」
「・・・お前、本気で言ってるのか?」
「何が?」
可愛らしく首を傾げてはいるが、明らかに菫の瞳が悪戯っぽく輝いている。
レティシアとの絡みなんぞ、自分がやるのでなければいいのだ。
「まったく。しっかりしてくれよ──・・・坊や・・・?」
にやり、と唇を歪めれば、ヴァンツァーの瞳がきらりと光った。
殺気にも似た感覚に、シェラは反射的に身構えた。
「──言ったな」
「・・・え?」
「他の誰でもない。お前が口にしたことだ」
「なに──」
「男に二言はないんだろうな・・・シェラ?」
「・・・」
横をすり抜けていく直前耳元でささやかれ、シェラは肩を震わせた。
ヴァンツァーがその場からいなくなると、喉の奥で笑う気配。
「・・・あの?」
まだ慣れないのか、身を引きながら遠慮気味に話しかけるシェラに、同じ銀髪ながら彼よりずっと精悍な美貌の男は微笑した。
「助かったよ」
「え・・・?」
「お前の言う通り。あの坊やにはもう少ししっかりしてもらいたいところだな」
「はぁ・・・」
「まぁ────こちらの期待を裏切られたことはないが、ね・・・」
「・・・」
「お前も、次のシーンは出番がないのだから、見ているといい」
「・・・」
シェラの横に並び、視線を落として菫の瞳を覗く。
「──きっと、面白いものが見られるよ」
呟いて去っていく男のすぐ後を追うことは出来ず、シェラは距離をおいて足を動かした。
続・・・けばいい。
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