小ネタや更新記録など。妄想の赴くままに・・・
久々に、ヲタってみますか。ハネムーンはどこだ・・・。
**********
「あーーー、避けて!!」
ゲーム機の液晶に向かって叫ぶシェラを見て、横にいた年長者たちが忍び笑いを漏らした。
この家の次男坊も、まさにそんな感じで機械と会話をするからだ。
『ぬるゲーマー』ではないヴァンツァーだったけれど、このシミュレーションRPGは運の要素もかなり強くなることがある。
もちろんユニットは育てれば強くなり、安定感も出てくるが、技の命中率や回避能力、必殺性能はパーセンテージで表示され、予測し切れないこともある。
相手の命中率が10程度でも当たってしまうことはあるし、逆に80以上あっても回避出来ることがある。
必殺も、40を超えていたって発生しないこともあれば、5以下で発生することもある。
敵のジョブタイプや武器の相性などを考慮していても、100%安全に勝つことはかなり難しい。
前半の章やノーマルモードならまだしも、ハードモードではあらかじめ育てるユニットを決めておかないと、後半苦戦を強いられる。
「ううう・・・『きずぐすり』を使うべきか、このくらいならまだイケるか・・・」
RPG初心者のシェラは、画面を睨みつけながらブツブツ言っている。
ストーリーの序盤では、敵の攻撃もさして強くはないが、HPが20行かない味方ユニットがほとんどで、回復が遅れると命取りになりかねない。
しかし、初期段階では収入源が乏しく、アイテムを売っている『道具屋』のない章も多いため、回復に使えるアイテムは限られている。
『盗賊』というジョブのユニットが味方になればまた別だが、手に入る金銭は限られており、無尽蔵に武器やアイテムを買うことは出来ない。
『シスター』や『トルバドール』など、回復用の杖を使えるユニットがいれば良いが、魔法系ユニットの特徴である打たれ弱さから敵に狙われやすく、あまり無茶をすると序盤とはいえ倒されてしまうこともある。
『修道士』の上級職である『司祭』や、『魔道士』の上級職である『賢者』、『シャーマン』の上級職である『ドルイド』であれば杖が使える上に能力も高いが、後半の章で特定のアイテムを使ってユニットをクラスチェンジさせないと、上級職にはなれない。
序盤の回復は、言葉通り死活問題であった。
「・・・お義兄様」
大丈夫でしょうか・・・と不安そうに揺れる菫色の瞳で見つめられたケリーは、アドバイスしたくてうずうずしていたのをおくびにも出さず、余裕の微笑を浮かべて頷いてみせた。
「そう神経質にならなくても大丈夫だ。反撃でこっちがやられちまうならともかく、回復を1ターン遅らせて敵を仕留められるなら、仕留めちまった方が安全だ」
「攻撃は最大の防御なり、ですか?」
「ま、そういうこったな」
自信ありげなケリーの言葉に、シェラはこっくりと頷いた。
「頑張ります」
そうして、どうにか3章をクリアしたのであった。
経験者にとってもさして苦労する章でもないが、勝手の分からない初心者にとっては武器の相性やユニットの弱点など、頭を悩ませる要素が出始める頃である。
「──わぁ! ここまで行きました!!」
「良かったな」
「ありがとうございます、お義兄様!!」
嬉しそうな顔で笑うシェラ。
──と、そこへ。
リビングのドアを開けて入ってきた次男坊。
そこにいた人間が一斉に自分に目を向けてきたので、「なに?」と言ってちょっと顔を顰めた。
「お前さんこそ」
「夕飯。カーサが呼びに来た」
「なんだ、もうそんな時間か」
時計を見てようやく気づいたといった感じの、リビングにいた面々。
「すみません・・・私が色々訊いていたから」
「いや、お嬢さんは素直に聞いてくれるからな」
「それ、俺への当て付け?」
聞き咎めたヴァンツァーに、ケリーは苦笑して首を振った。
「そんなにお節介なつもりもないんだが、俺はどうもつい口を出したくなっちまうらしくてな」
「お兄ちゃん大好きなヴァンツァーが、ゲームの攻略法をささやかれた時だけは激怒していたからね」
くすくすと笑う父親に、ヴァンツァーは若干顔を顰めた。
おそらく、激怒したかどうかではなく、『お兄ちゃん子』という部分が気に入らなかったに違いない。
「ヴァンツァー、ヴァンツァー」
「・・・何だよ」
きらきらとした瞳で話し掛けてきたシェラに、ヴァンツァーは面倒くさそうな表情を向けた。
「あのね、3章まで終わったんだよ!」
「ふぅん」
「とりあえずここまで出来たら、ゲーム機一緒に買いに行ってくれるんでしょう?」
「まぁ」
「あと2章も頑張るから!」
きらきらきら~、と。
子どものような瞳で見上げてくるシェラに、ヴァンツァーは訊いてみた。
「それ、楽しい?」
「──え?」
「それ。『炎の紋章』。楽しい?」
言われてシェラは首を傾げた。
「ん~。まだ勝手が分からなくて難しいけど、ケントさんがかっこいい!」
『ケント』というのは、件のゲームに出てくるソシアルナイトの名前だ。
「何か、全力で女の子を護る男の人って、かっこいいよね!」
きらきらきら~、と。
またもや眩しい笑顔を浮かべるシェラ。
「ふぅん。騎士系が好み?」
「あぁ、でも、セインはちょっと軽いから・・・」
「セインの方が『力』はあるよ」
「そうだっけ? でも、軽いのはなぁ」
「『体格』は変わらなかったと思うけど」
この会話を聞いていた年長者3人はこっそり顔を見合わせて思った。
──絶対、会話が噛み合ってない・・・。
シェラは、『ケント』の性格的なものや、気質、つまりはキャラクターの話をしている。
それに対してヴァンツァーは、あくまでのユニットのパラメーターの話をしている。
ヴァンツァーの言う好みかどうかというのも、ようは使いやすいかどうか、という話だ。
そして、シェラの言う『軽い』というのは、『セイン』が女好きなことを差しており、キャラクターの『軽薄さ』を言うものであって、『力』や『体格』の話ではない。
こっそりとため息を吐いた3人だったが、まぁ、会話が増えるのはいいことだ、と納得することにした。
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進まないなぁ(笑)とりあえず、久々の更新なのでこのくらいで。
「あーーー、避けて!!」
ゲーム機の液晶に向かって叫ぶシェラを見て、横にいた年長者たちが忍び笑いを漏らした。
この家の次男坊も、まさにそんな感じで機械と会話をするからだ。
『ぬるゲーマー』ではないヴァンツァーだったけれど、このシミュレーションRPGは運の要素もかなり強くなることがある。
もちろんユニットは育てれば強くなり、安定感も出てくるが、技の命中率や回避能力、必殺性能はパーセンテージで表示され、予測し切れないこともある。
相手の命中率が10程度でも当たってしまうことはあるし、逆に80以上あっても回避出来ることがある。
必殺も、40を超えていたって発生しないこともあれば、5以下で発生することもある。
敵のジョブタイプや武器の相性などを考慮していても、100%安全に勝つことはかなり難しい。
前半の章やノーマルモードならまだしも、ハードモードではあらかじめ育てるユニットを決めておかないと、後半苦戦を強いられる。
「ううう・・・『きずぐすり』を使うべきか、このくらいならまだイケるか・・・」
RPG初心者のシェラは、画面を睨みつけながらブツブツ言っている。
ストーリーの序盤では、敵の攻撃もさして強くはないが、HPが20行かない味方ユニットがほとんどで、回復が遅れると命取りになりかねない。
しかし、初期段階では収入源が乏しく、アイテムを売っている『道具屋』のない章も多いため、回復に使えるアイテムは限られている。
『盗賊』というジョブのユニットが味方になればまた別だが、手に入る金銭は限られており、無尽蔵に武器やアイテムを買うことは出来ない。
『シスター』や『トルバドール』など、回復用の杖を使えるユニットがいれば良いが、魔法系ユニットの特徴である打たれ弱さから敵に狙われやすく、あまり無茶をすると序盤とはいえ倒されてしまうこともある。
『修道士』の上級職である『司祭』や、『魔道士』の上級職である『賢者』、『シャーマン』の上級職である『ドルイド』であれば杖が使える上に能力も高いが、後半の章で特定のアイテムを使ってユニットをクラスチェンジさせないと、上級職にはなれない。
序盤の回復は、言葉通り死活問題であった。
「・・・お義兄様」
大丈夫でしょうか・・・と不安そうに揺れる菫色の瞳で見つめられたケリーは、アドバイスしたくてうずうずしていたのをおくびにも出さず、余裕の微笑を浮かべて頷いてみせた。
「そう神経質にならなくても大丈夫だ。反撃でこっちがやられちまうならともかく、回復を1ターン遅らせて敵を仕留められるなら、仕留めちまった方が安全だ」
「攻撃は最大の防御なり、ですか?」
「ま、そういうこったな」
自信ありげなケリーの言葉に、シェラはこっくりと頷いた。
「頑張ります」
そうして、どうにか3章をクリアしたのであった。
経験者にとってもさして苦労する章でもないが、勝手の分からない初心者にとっては武器の相性やユニットの弱点など、頭を悩ませる要素が出始める頃である。
「──わぁ! ここまで行きました!!」
「良かったな」
「ありがとうございます、お義兄様!!」
嬉しそうな顔で笑うシェラ。
──と、そこへ。
リビングのドアを開けて入ってきた次男坊。
そこにいた人間が一斉に自分に目を向けてきたので、「なに?」と言ってちょっと顔を顰めた。
「お前さんこそ」
「夕飯。カーサが呼びに来た」
「なんだ、もうそんな時間か」
時計を見てようやく気づいたといった感じの、リビングにいた面々。
「すみません・・・私が色々訊いていたから」
「いや、お嬢さんは素直に聞いてくれるからな」
「それ、俺への当て付け?」
聞き咎めたヴァンツァーに、ケリーは苦笑して首を振った。
「そんなにお節介なつもりもないんだが、俺はどうもつい口を出したくなっちまうらしくてな」
「お兄ちゃん大好きなヴァンツァーが、ゲームの攻略法をささやかれた時だけは激怒していたからね」
くすくすと笑う父親に、ヴァンツァーは若干顔を顰めた。
おそらく、激怒したかどうかではなく、『お兄ちゃん子』という部分が気に入らなかったに違いない。
「ヴァンツァー、ヴァンツァー」
「・・・何だよ」
きらきらとした瞳で話し掛けてきたシェラに、ヴァンツァーは面倒くさそうな表情を向けた。
「あのね、3章まで終わったんだよ!」
「ふぅん」
「とりあえずここまで出来たら、ゲーム機一緒に買いに行ってくれるんでしょう?」
「まぁ」
「あと2章も頑張るから!」
きらきらきら~、と。
子どものような瞳で見上げてくるシェラに、ヴァンツァーは訊いてみた。
「それ、楽しい?」
「──え?」
「それ。『炎の紋章』。楽しい?」
言われてシェラは首を傾げた。
「ん~。まだ勝手が分からなくて難しいけど、ケントさんがかっこいい!」
『ケント』というのは、件のゲームに出てくるソシアルナイトの名前だ。
「何か、全力で女の子を護る男の人って、かっこいいよね!」
きらきらきら~、と。
またもや眩しい笑顔を浮かべるシェラ。
「ふぅん。騎士系が好み?」
「あぁ、でも、セインはちょっと軽いから・・・」
「セインの方が『力』はあるよ」
「そうだっけ? でも、軽いのはなぁ」
「『体格』は変わらなかったと思うけど」
この会話を聞いていた年長者3人はこっそり顔を見合わせて思った。
──絶対、会話が噛み合ってない・・・。
シェラは、『ケント』の性格的なものや、気質、つまりはキャラクターの話をしている。
それに対してヴァンツァーは、あくまでのユニットのパラメーターの話をしている。
ヴァンツァーの言う好みかどうかというのも、ようは使いやすいかどうか、という話だ。
そして、シェラの言う『軽い』というのは、『セイン』が女好きなことを差しており、キャラクターの『軽薄さ』を言うものであって、『力』や『体格』の話ではない。
こっそりとため息を吐いた3人だったが、まぁ、会話が増えるのはいいことだ、と納得することにした。
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進まないなぁ(笑)とりあえず、久々の更新なのでこのくらいで。
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