小ネタや更新記録など。妄想の赴くままに・・・
いやいや、そんな場合じゃねーし(笑)でもさ、1日加湿器つけっぱなしの部屋で、湿度65~70%あって、それでも朝起きたら喉痛いっておかしいよね(笑)
あと2日か・・・いけるかな。
あと2日か・・・いけるかな。
**********
パンパンッ、と鋭く手が鳴らされる。
レッスン終了の合図に、シェラは腕を下ろし、深く息を吐き出した。
動き自体はそんなに激しいものではないのに、全身汗だくだ。
顎を伝う汗を拭ったところで、ラティーナに声をかけられた。
「お疲れ様」
「バレリーナさんって、こんな風に頭わちゃー! ってなりそうなことしてるんですね」
この言い方には、思わず笑ってしまったラティーナだ。
「わちゃー、ってなる?」
「なります、なります。指先に神経集中すると足元が疎かになるし、足元に集中すると頭がふらふらするし」
「そうね。慣れてしまえば、勝手に身体が動くようになるのだけれど」
「私は不器用だから、先は長そうです・・・」
へらっ、と笑うシェラに、ラティーナは訊ねてみた。
「でも、『やめる』とは言わないのね?」
「やめる? どうしてですか?」
きょとん、とした様子のシェラに、何だか嬉しくなったラティーナだ。
「だって、決して簡単なことではないわ。毎日踊っているバレリーナにとっても、髪の毛の先まで集中するというのは大変なことよ?」
「でも、出来るようになれば、先生みたいな綺麗な動きに近づけるんでしょう? だったら頑張れます! 先生見てると、天使様見てるみたいなんです!!」
きゃっきゃ言って頬を染める様子に、ラティーナはぷっ、と吹き出した。
「ヴァンツァーと同じことを言ってる」
「──え?」
「あの子も、初めてわたしの舞台を見にきたときにそう言ってくれたの」
「えええ、ヴァンツァーが褒めるんですか?!」
「以前は、よく笑う子だったのよ?」
「・・・・・・」
誰だその偽物、と顔に書いているシェラに、ラティーナは片目を瞑ってみせた。
「今度、昔の写真持ってきてあげるわ」
「──是非!!」
からかうネタが出来た、と思っているのか、シェラはほくほく顔だ。
「・・・あなたは、ヴァンツァーを信頼しているのね」
「え?」
「ヴァンツァーの言いつけを守って、自分で言うのもなんだけど厳しいレッスンにもついてきて」
「んー・・・」
これには難しい顔をして首を捻ったシェラであった。
「信頼・・・信頼・・・そういう難しいことじゃなくて、たぶん、私は知っているだけなんだと思います」
「知っている?」
「はい。私は、ヴァンツァーがスケート大好きなこと、知ってるんです。ヴァンツァーのスケーティング見てると、大好きだから、誰よりも強く、誰よりも高く、誰よりも綺麗に氷の上で舞うんだ、っていうのが分かるんですよね。性格最悪だけど、でも、ヴァンツァーのスケーティング見てて嫌な気分になったこと、一度もないんですよ。いつでもわくわくさせてくれるんです。それって、本当に楽しくスケートしてないと出来ないことだから」
「・・・・・・」
「憧れなんです。あんな風に高く跳びたい、あんな風に綺麗に滑りたい、って。ものすごい面倒くさがりなのに、スケートに関しては妥協しないんですよ。いつまで練習してても付き合ってくれるの。だから、そんなヴァンツァーが勧めることには絶対無駄なことなんてないし、スケートに関しては、ヴァンツァーは私の希望や期待に応えてくれる、って知ってるだけです」
内緒ですよ? とにこにこ笑ってそんなことを言ってくる少女に、ラティーナは何と返していいのか分からなくなった。
けれど、これだけは言っておかなくては、と口を開いた。
「・・・ありがとう」
「──へ?」
「あの子は幸せね。あなたみたいな素敵なお弟子さんがいて」
「そうかなぁ? いっつもぶすっとしてるけど・・・」
「あら。『照れてる』んでしょう?」
悪戯っぽいラティーナの表情に、シェラは破顔した。
「先生にバレエを習うようになってから、重心がブレなくなったってヴァンツァー言ってました。私も、ひと蹴りでスケートがすごく伸びるようになったな、って。無駄な力入れなくても、スイィィィーって」
「それは良かったわ」
「それに、今まで調子の悪かったジャンプもだんだん良くなってきたんです。軸さえしっかりしてれば跳べるんだ、って実感してます」
「あなたはもともとすごく姿勢が良くて、バランスの取れた身体をしているわ。あとは、自分のことをもっと良く知ってあげるだけ」
「・・・知ってあげる?」
「そう。自分の身体に、その声に、耳を澄ませてあげるの。どんなに柔軟性が高い身体でも、無理な動きをすれば悲鳴をあげるわ。それでは、美しい動作にはならない。だから、自分の筋肉や関節の動きをよく知って、それを一番綺麗に見せるんだ、って意識を持てば、もっともっと綺麗になるわ」
「──はい!!」
満面の笑みで頷いたシェラに、ラティーナはひとつ頷いた。
**********
あー。くそ可愛い(コラ)
パンパンッ、と鋭く手が鳴らされる。
レッスン終了の合図に、シェラは腕を下ろし、深く息を吐き出した。
動き自体はそんなに激しいものではないのに、全身汗だくだ。
顎を伝う汗を拭ったところで、ラティーナに声をかけられた。
「お疲れ様」
「バレリーナさんって、こんな風に頭わちゃー! ってなりそうなことしてるんですね」
この言い方には、思わず笑ってしまったラティーナだ。
「わちゃー、ってなる?」
「なります、なります。指先に神経集中すると足元が疎かになるし、足元に集中すると頭がふらふらするし」
「そうね。慣れてしまえば、勝手に身体が動くようになるのだけれど」
「私は不器用だから、先は長そうです・・・」
へらっ、と笑うシェラに、ラティーナは訊ねてみた。
「でも、『やめる』とは言わないのね?」
「やめる? どうしてですか?」
きょとん、とした様子のシェラに、何だか嬉しくなったラティーナだ。
「だって、決して簡単なことではないわ。毎日踊っているバレリーナにとっても、髪の毛の先まで集中するというのは大変なことよ?」
「でも、出来るようになれば、先生みたいな綺麗な動きに近づけるんでしょう? だったら頑張れます! 先生見てると、天使様見てるみたいなんです!!」
きゃっきゃ言って頬を染める様子に、ラティーナはぷっ、と吹き出した。
「ヴァンツァーと同じことを言ってる」
「──え?」
「あの子も、初めてわたしの舞台を見にきたときにそう言ってくれたの」
「えええ、ヴァンツァーが褒めるんですか?!」
「以前は、よく笑う子だったのよ?」
「・・・・・・」
誰だその偽物、と顔に書いているシェラに、ラティーナは片目を瞑ってみせた。
「今度、昔の写真持ってきてあげるわ」
「──是非!!」
からかうネタが出来た、と思っているのか、シェラはほくほく顔だ。
「・・・あなたは、ヴァンツァーを信頼しているのね」
「え?」
「ヴァンツァーの言いつけを守って、自分で言うのもなんだけど厳しいレッスンにもついてきて」
「んー・・・」
これには難しい顔をして首を捻ったシェラであった。
「信頼・・・信頼・・・そういう難しいことじゃなくて、たぶん、私は知っているだけなんだと思います」
「知っている?」
「はい。私は、ヴァンツァーがスケート大好きなこと、知ってるんです。ヴァンツァーのスケーティング見てると、大好きだから、誰よりも強く、誰よりも高く、誰よりも綺麗に氷の上で舞うんだ、っていうのが分かるんですよね。性格最悪だけど、でも、ヴァンツァーのスケーティング見てて嫌な気分になったこと、一度もないんですよ。いつでもわくわくさせてくれるんです。それって、本当に楽しくスケートしてないと出来ないことだから」
「・・・・・・」
「憧れなんです。あんな風に高く跳びたい、あんな風に綺麗に滑りたい、って。ものすごい面倒くさがりなのに、スケートに関しては妥協しないんですよ。いつまで練習してても付き合ってくれるの。だから、そんなヴァンツァーが勧めることには絶対無駄なことなんてないし、スケートに関しては、ヴァンツァーは私の希望や期待に応えてくれる、って知ってるだけです」
内緒ですよ? とにこにこ笑ってそんなことを言ってくる少女に、ラティーナは何と返していいのか分からなくなった。
けれど、これだけは言っておかなくては、と口を開いた。
「・・・ありがとう」
「──へ?」
「あの子は幸せね。あなたみたいな素敵なお弟子さんがいて」
「そうかなぁ? いっつもぶすっとしてるけど・・・」
「あら。『照れてる』んでしょう?」
悪戯っぽいラティーナの表情に、シェラは破顔した。
「先生にバレエを習うようになってから、重心がブレなくなったってヴァンツァー言ってました。私も、ひと蹴りでスケートがすごく伸びるようになったな、って。無駄な力入れなくても、スイィィィーって」
「それは良かったわ」
「それに、今まで調子の悪かったジャンプもだんだん良くなってきたんです。軸さえしっかりしてれば跳べるんだ、って実感してます」
「あなたはもともとすごく姿勢が良くて、バランスの取れた身体をしているわ。あとは、自分のことをもっと良く知ってあげるだけ」
「・・・知ってあげる?」
「そう。自分の身体に、その声に、耳を澄ませてあげるの。どんなに柔軟性が高い身体でも、無理な動きをすれば悲鳴をあげるわ。それでは、美しい動作にはならない。だから、自分の筋肉や関節の動きをよく知って、それを一番綺麗に見せるんだ、って意識を持てば、もっともっと綺麗になるわ」
「──はい!!」
満面の笑みで頷いたシェラに、ラティーナはひとつ頷いた。
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あー。くそ可愛い(コラ)
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