小ネタや更新記録など。妄想の赴くままに・・・
ケモミミ一家、続きます。
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「うっわぁ~、みんな可愛いね~」
きゃっきゃ言ってパチン、とソナタと手を合わせるのはライアンだ。
金髪美人な青年の頭には、ぴんっ、と尖った金色の耳。
わんちゃんかな? と思ったソナタだったが、お尻の辺りを覗き込んで思わず吹き出した。
「──ライアン、狐だぁ!!」
ふっかふかの太い尻尾がふぁさり、ふぁさり、と揺れている。
「うーん、何か喜んでいいんだか悪いんだか・・・」
狐って、性格悪そうだよねー、と苦笑する青年に、ソナタはにっこりにこにこと微笑みかけた。
「尻尾、尻尾触っていい?!」
「うん、もちろん」
きゃー、と興奮してふかふかの尻尾に飛びつくソナタ。
少し硬い毛並みだけれど、それがまた独特の弾力で気持ちが良い。
「ソナタちゃんの尻尾は・・・触ったら、お兄ちゃんとパパさんに怒られそうだなぁ」
「えー、いーよ、いーよ。どうせパパなんてシェラに膝枕してもらったまま動く気ないんだし。カノンは・・・」
言って、兄たちに目を向け、ほんのちょっとだけ寂しそうに眉を下げた。
「──こっちのことなんて、全然見てないもの」
目深に帽子を被った少年をじっと見上げる。
見下ろしてくる新緑色の瞳が真ん丸で、僅かに上気した頬が静かな興奮を物語っている。
毛並みの良い銀色の猫になったカノンを視界に入れた途端、キニアンは鼻血を出すのではないかというくらい一気に頭に血が昇ってびっくりした。
とくとくとくとく、とあり得ないくらいの速さで脈打つ心臓に手を当てると、菫色の瞳が見上げてきているのに気付いたのだ。
「・・・なに?」
「帽子、邪魔」
「・・・無理」
「邪魔。取って」
「やだよ・・・」
「取って」
「・・・・・・」
譲る気などまったくない女王様は、耳と尻尾のオプションつきで眩暈がするほど可愛いというのに、性格はいつもの強硬姿勢。
腕組みをして睨むように見上げてくる姿に、キニアンは胃が痛くなるほど悩み──結局、帽子を取った。
あれ、普通の髪だ、と思ったカノンだったが、はは~ん、と気付く。
「髪みたいに見えるけど、垂れてるんだね」
言って、ぴらり、と顔の側面に垂れている耳を持ち上げた。
金に近い薄茶色の耳に触られ、キニアンはびくっ、と肩を揺らした。
「レトリバー」
「・・・よく、知らないけど」
「ゴールデンレトリバー。温厚な大型犬だよ」
「あぁ、そうですか・・・」
「温厚で、賢くて、飼い主に忠実。猟犬だけど、忍耐力が強くて家族や子どもにやさしい楽天的な性格」
「・・・・・・」
なんだか、気恥ずかしくなってきたキニアンだ。
カノンは犬の特徴を口にしているだけなのだけれど、それがまるで自分に向けられる台詞のようで。
「──結構、よく考えられてるんだ」
呟くようなカノンの言葉に、「え?」と疑問を呈したが返事はなかった。
「あっち行こう」
「え、あ」
「尻尾触らせて」
「・・・いいけど・・・」
「ぼくのも触りたい?」
目を細めるようにして見上げてくる悪戯っ子のような瞳に、何だかドギマギしてしまう。
「べ、別に・・・」
「──尻尾振ってる」
「──え?!」
慌てて背後を覗くと、ぶんぶん金茶色の尻尾が大きく左右に振られている。
何て分かりやすい身体構造なのだろうか。
「まぁ、尻尾なくてもアリスは顔見れば分かるけどね」
「・・・・・・」
「シェラのマルチーズも可愛いよ。父さん、猫なのに自分のこと豹だとか言い出すし」
「・・・・・・」
「ずっとシェラに膝枕してもらってるんだよ」
「──え?」
それはちょっと羨ましいな、と思ったキニアンに、カノンは「ほら」と現場を指差した。
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とりあえず。だいたい書くことは書いた。このあと白犬と黒猫カップルを見て、キニアンは何を思うのか・・・。
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