小ネタや更新記録など。妄想の赴くままに・・・
せっかく書いた小ネタが、サーバのアクセス過多で保存前に飛んだ・・・たまにあるし、仕事でもやってるからしょうがないことがあるのは分かるけど、落とすんじゃねーよ・・・。と思うのは、自由ということで。無料のブログに文句言っても、金払って安全買ってるわけじゃないから仕方ないんだけどね。金払ってこれだったらブチ切れるけどな(笑)
もう1回書けるかなぁ・・・今日は早く寝ようと思ってたのに・・・。
もう1回書けるかなぁ・・・今日は早く寝ようと思ってたのに・・・。
**********
部活帰りに拉致られたキニアンは、ファロット邸のリビングで珈琲を振舞われていた。
彼が到着した頃には既にライアンも来ており、シェラとソナタと団欒の時を過ごしていたらしい。
「あ、アー君おかえり」
にっこりと微笑んだシェラに出迎えられたキニアンは、思わず緑の目を瞠った。
「え・・・?」
「おかえりなさい」
「・・・ただいま」
そう返してみて、自分がその言葉を久々に口にしたことに気づいた。
何だか、胸があたたかくなった気がする。
広いリビングは暖房だけの効果というわけではなく、とてもあたたかい。
「お兄ちゃんからチョコもらってると思うけど、おれからもあげるね」
そう言ってライアンが差し出してきた包みを思わず受け取ってしまい、キニアンは『どうすんだよ、これ』という顔になった。
ちらっと隣の女王様を見れば、こちらもライアンから包みを渡されている。
特別不機嫌そうではないし、ライアンには「ありがとう」と言っていた。
じっと包みを見下ろしたキニアンだったが、
「これすごいんだよー!」
というソナタの声に顔を上げた。
「開けてみて」とせっつく少女に、カノンの顔色を伺いつつも包みを開けるキニアン。
「──ぅ、わ・・・すげー・・・」
大学では彫刻を専攻しているライアンだったから、手先が器用なことは分かっている。
それでも、思わず感嘆のため息を零した。
それもそのはず、ライアンからもらった箱の中には、ちいさいとはいえチョコで出来た胸像が入っていたのだ。
「マーライオンみたいだよね!」
大興奮のソナタは、自分の分も見せてくれた。
カノンもさすがに目を瞠っている。
「これ、彫ったのか?」
「あはは、まさか。さすがにチョコは溶けちゃうからね。型を作ったんだよ」
「型?! それって、めちゃくちゃ手間かかるんじゃ・・・」
「んー、でも楽しかったし。みんな喜んでくれたから」
シェラとヴァンツァーの分もあるようで、どれも本人そっくりだ。
「型があるからまたいくらでも作れるし、チョコじゃなくて人形焼とか作っても楽しいかもね」
「あー、それいい! シェラ、今度作って」
「ふふ。楽しそうだね」
料理や手芸は大の苦手なソナタは、専ら食べるのが仕事だ。
「・・・そっか・・・ヴァレンタインって、男があげてもいいんだな」
「ぼくも男ですけど」
「え? あ、いや、そういうことじゃなくて」
「ぼくのはライアンのみたいにすごくないですけど、何か」
「いや、そうじゃなくてさ・・・」
大弱りのキニアンだ。
どうするかな、と困り果てた少年は、とりあえずもう一度「ありがとうな」と呟いてカノンからもらった包みを開けた。
「──プレッツェル?」
細長い箱の中には、こんがりとキツネ色に焼きあがった棒状のプレッツェル。
しかし、ココアパウダーを混ぜたようでもなく、普通のプレッツェルだ。
「はい、あーん」
プレッツェルを摘んだカノンは、それをキニアンの口に銜えさせた。
カリッ、と小気味良い音をさせて齧ったキニアンは、直後目を丸くした。
「あ・・・中、チョコだ」
しかも、あまり甘くない。
これは普通に食べられる。
「美味い」
「当たり前じゃん」
ぼくが作ったんだから、と得意気な顔をするカノンに、キニアンはしみじみと言った。
「俺、料理は全然しないから分からないけど、これ、作るの大変だったんじゃないか? チョコ入れる隙間作って焼き上げないといけないんだろ?」
しかも、そのあとにはチョコを注ぐ作業が待っている。
大変な手間であるに違いない。
「べ・・・別に大変じゃないし」
ふい、とそっぽを向くカノン。
シェラがくすくす笑っているところを見ると、結構大変だったらしい。
何だか嬉しくなったキニアンだ。
「カノン」
「・・・なに」
「これ、結構いっぱいあるだろ?」
「だから? 食べれないとか言うわけ?」
「いや、そうじゃなくて──あとで、ポッキーゲームしようか」
カノンは菫の瞳を大きく瞠った。
「はぁ?! しないけど!!」
「なんで?」
「なんでじゃないよ! この恥知らず」
「いいじゃん────しよ?」
首を傾げる彼氏に、カノンは顔を真っ赤にしてわなわな震えている。
「そ、そんな顔したって可愛くないんだからねっ!」
「可愛くなくてもいいけど、しような」
「しないって言ってるでしょ?!」
「なんで?」
「なんでも!」
「いいじゃん。車の中ではあんなに──」
「うわぁぁぁ! 言うな、ばかっ!」
「なんで? 可愛かったのに」
「言うなったら!!」
赤い顔で必死に睨みつけている顔がたまらなく可愛くて、キニアンは『ちょっと可哀想かな』と思いつつもくすくすと笑っている。
「・・・天然こわー・・・」
ソナタがぼそっと呟く。
「アー君って、行くとこまで行ったら最強かもね」
ライアンも頷く。
「ヴァンツァー。車の中で、何があったんだ?」
シェラが訊ねると、ヴァンツァーは珈琲カップで隠した口許を僅かに綻ばせた。
「見なかったことになってるんでね」
「・・・なんだそれ」
むっとした顔になるシェラに、ヴァンツァーはちいさく笑った。
「そうしたら、チェロを教えてくれるって言うから」
それはキニアンが言い出したことではなく、ヴァンツァーが交換条件として提示したものだったが。
「やっぱりお前ばっかりアー君と仲良くなってずるい!」
「男と男の約束だからな。守らないといけない」
どの口がそれと言うんだ、と柳眉を吊り上げるシェラをのらりくらりとかわしながら、ヴァンツァーは楽しそうに笑っている。
「・・・ライアン。このチョコは、もちろんあとで美味しくいただくんだけど・・・」
リビングの様子を見守っていたソナタが、ぽつり、と呟いた。
「・・・ちょっと、今はお腹いっぱいかも・・・」
困ったように笑うソナタに、
「おれも」
と、ライアンも太陽のような笑みを返して頷いたのだった。
**********
俺の記憶力はすげー。
たぶんこんな話だったはずだ。
部活帰りに拉致られたキニアンは、ファロット邸のリビングで珈琲を振舞われていた。
彼が到着した頃には既にライアンも来ており、シェラとソナタと団欒の時を過ごしていたらしい。
「あ、アー君おかえり」
にっこりと微笑んだシェラに出迎えられたキニアンは、思わず緑の目を瞠った。
「え・・・?」
「おかえりなさい」
「・・・ただいま」
そう返してみて、自分がその言葉を久々に口にしたことに気づいた。
何だか、胸があたたかくなった気がする。
広いリビングは暖房だけの効果というわけではなく、とてもあたたかい。
「お兄ちゃんからチョコもらってると思うけど、おれからもあげるね」
そう言ってライアンが差し出してきた包みを思わず受け取ってしまい、キニアンは『どうすんだよ、これ』という顔になった。
ちらっと隣の女王様を見れば、こちらもライアンから包みを渡されている。
特別不機嫌そうではないし、ライアンには「ありがとう」と言っていた。
じっと包みを見下ろしたキニアンだったが、
「これすごいんだよー!」
というソナタの声に顔を上げた。
「開けてみて」とせっつく少女に、カノンの顔色を伺いつつも包みを開けるキニアン。
「──ぅ、わ・・・すげー・・・」
大学では彫刻を専攻しているライアンだったから、手先が器用なことは分かっている。
それでも、思わず感嘆のため息を零した。
それもそのはず、ライアンからもらった箱の中には、ちいさいとはいえチョコで出来た胸像が入っていたのだ。
「マーライオンみたいだよね!」
大興奮のソナタは、自分の分も見せてくれた。
カノンもさすがに目を瞠っている。
「これ、彫ったのか?」
「あはは、まさか。さすがにチョコは溶けちゃうからね。型を作ったんだよ」
「型?! それって、めちゃくちゃ手間かかるんじゃ・・・」
「んー、でも楽しかったし。みんな喜んでくれたから」
シェラとヴァンツァーの分もあるようで、どれも本人そっくりだ。
「型があるからまたいくらでも作れるし、チョコじゃなくて人形焼とか作っても楽しいかもね」
「あー、それいい! シェラ、今度作って」
「ふふ。楽しそうだね」
料理や手芸は大の苦手なソナタは、専ら食べるのが仕事だ。
「・・・そっか・・・ヴァレンタインって、男があげてもいいんだな」
「ぼくも男ですけど」
「え? あ、いや、そういうことじゃなくて」
「ぼくのはライアンのみたいにすごくないですけど、何か」
「いや、そうじゃなくてさ・・・」
大弱りのキニアンだ。
どうするかな、と困り果てた少年は、とりあえずもう一度「ありがとうな」と呟いてカノンからもらった包みを開けた。
「──プレッツェル?」
細長い箱の中には、こんがりとキツネ色に焼きあがった棒状のプレッツェル。
しかし、ココアパウダーを混ぜたようでもなく、普通のプレッツェルだ。
「はい、あーん」
プレッツェルを摘んだカノンは、それをキニアンの口に銜えさせた。
カリッ、と小気味良い音をさせて齧ったキニアンは、直後目を丸くした。
「あ・・・中、チョコだ」
しかも、あまり甘くない。
これは普通に食べられる。
「美味い」
「当たり前じゃん」
ぼくが作ったんだから、と得意気な顔をするカノンに、キニアンはしみじみと言った。
「俺、料理は全然しないから分からないけど、これ、作るの大変だったんじゃないか? チョコ入れる隙間作って焼き上げないといけないんだろ?」
しかも、そのあとにはチョコを注ぐ作業が待っている。
大変な手間であるに違いない。
「べ・・・別に大変じゃないし」
ふい、とそっぽを向くカノン。
シェラがくすくす笑っているところを見ると、結構大変だったらしい。
何だか嬉しくなったキニアンだ。
「カノン」
「・・・なに」
「これ、結構いっぱいあるだろ?」
「だから? 食べれないとか言うわけ?」
「いや、そうじゃなくて──あとで、ポッキーゲームしようか」
カノンは菫の瞳を大きく瞠った。
「はぁ?! しないけど!!」
「なんで?」
「なんでじゃないよ! この恥知らず」
「いいじゃん────しよ?」
首を傾げる彼氏に、カノンは顔を真っ赤にしてわなわな震えている。
「そ、そんな顔したって可愛くないんだからねっ!」
「可愛くなくてもいいけど、しような」
「しないって言ってるでしょ?!」
「なんで?」
「なんでも!」
「いいじゃん。車の中ではあんなに──」
「うわぁぁぁ! 言うな、ばかっ!」
「なんで? 可愛かったのに」
「言うなったら!!」
赤い顔で必死に睨みつけている顔がたまらなく可愛くて、キニアンは『ちょっと可哀想かな』と思いつつもくすくすと笑っている。
「・・・天然こわー・・・」
ソナタがぼそっと呟く。
「アー君って、行くとこまで行ったら最強かもね」
ライアンも頷く。
「ヴァンツァー。車の中で、何があったんだ?」
シェラが訊ねると、ヴァンツァーは珈琲カップで隠した口許を僅かに綻ばせた。
「見なかったことになってるんでね」
「・・・なんだそれ」
むっとした顔になるシェラに、ヴァンツァーはちいさく笑った。
「そうしたら、チェロを教えてくれるって言うから」
それはキニアンが言い出したことではなく、ヴァンツァーが交換条件として提示したものだったが。
「やっぱりお前ばっかりアー君と仲良くなってずるい!」
「男と男の約束だからな。守らないといけない」
どの口がそれと言うんだ、と柳眉を吊り上げるシェラをのらりくらりとかわしながら、ヴァンツァーは楽しそうに笑っている。
「・・・ライアン。このチョコは、もちろんあとで美味しくいただくんだけど・・・」
リビングの様子を見守っていたソナタが、ぽつり、と呟いた。
「・・・ちょっと、今はお腹いっぱいかも・・・」
困ったように笑うソナタに、
「おれも」
と、ライアンも太陽のような笑みを返して頷いたのだった。
**********
俺の記憶力はすげー。
たぶんこんな話だったはずだ。
PR
この記事にコメントする