小ネタや更新記録など。妄想の赴くままに・・・
簿記の話。なかなか過去問の点数が上がっていかない。いやー、久々に受験時の模試の気分を思い出しました(笑)苦手なのは、「為替手形」、「見越し・繰延」、「消耗品・消耗品費」、「資本金・引出金」、「伝票」、「総勘定元帳」、「8桁精算表」・・・まぁ、決算系全般ですわ(笑)「残高試算表」は得意なんですけどねぇ。ただ、時間がかかる(笑)そこに小1時間もかけてる余裕ねーっつーの。簿記3級は、決算系で6割くらい点数持っていかれるので、出来ないと話にならん・・・。ん~、次の日曜が試験なんですけど、どこまで追い込み掛けられるかなー。
ヴァンツァーなんて、きっと在学中に会計士の資格も取ってるんだろうなぁ・・・いや、あいつはああ見えて努力家ですが。
ちょっと頭を休めるために、ぽっと浮かんだ小話をば。カノキニです。
ヴァンツァーなんて、きっと在学中に会計士の資格も取ってるんだろうなぁ・・・いや、あいつはああ見えて努力家ですが。
ちょっと頭を休めるために、ぽっと浮かんだ小話をば。カノキニです。
**********
雲が低く垂れ込め、今にも雪が降り出しそうな日のこと。
「・・・マッチはいかがですかぁ?」
足早に家路を急ぐ人々に、声をかける少女の姿。
粗末な綿のワンピースに、ところどころ穴の空いたストールを身に着けているが、この寒空の下では何の役にも立たない。
細い身体はカタカタと震え、マッチ箱の入ったかごを持つ手は真っ赤になっている。
顔立ちは愛らしいのだが、栄養状態が良くないのだろう、顔は青白く、唇はカサカサに乾いている。
瞳は美しい菫色をしているが、肩に触れる程度に伸ばされた髪は灰色だ。
「マッチは」
「──ひとつ、下さい」
誰も気に留めなかった少女に、声がかけられた。
はっとして振り返った少女は、自分よりもずっと背の高い青年を驚いたように見上げ、──そうして、ふんわりと微笑んだ。
今にも倒れそうに青い顔をしていたというのに、少女の頬にぽっと朱が上った。
「いらっしゃいませ。またいらして下さったんですね」
「・・・はい」
少女の前で少し困ったように眉を下げているのは、簡素な身なりながら、冬物の厚手のコートを羽織った、端正な容貌の青年だった。
茶色の髪と緑の目はこの国ではありふれた色彩だったが、見るからに誠実そうな青年だ。
「煙草でも、お呑みになるんですか?」
「いえ・・・」
右に左に視線を揺らした青年は、元々低い声を更に低くして、ぼそっと呟いた。
「種火を・・・」
「──はい?」
「その・・・暖炉の種火を熾すんですが、どうも不器用で・・・」
1本や2本のマッチでは火をつけられないのだ、と言って頭を掻く青年に、少女は一瞬目を丸くし、弾けたように笑い出した。
「・・・あまり、笑わないで下さい」
「──あ、ごめんなさい!」
怯えたように身を硬くする少女に、青年は慌てて手を振った。
「──あ、いや、怒ってるとかじゃなくて! その、は、恥ずかしいから・・・」
長身をちいさくして辺りを窺う青年に、少女は今度はくすくすとちいさく笑った。
1箱だって売れない日もあるというのに、もう、片手がいっぱいになるくらい、この青年からはマッチを買ってもらった。
「あの、ありがとうございます」
そっと、青年の手を両手で包み込むようにして、少女はマッチ箱を渡した。
青年は驚いたように緑の目を瞠った。
「あ・・・ご、ごめんなさ」
青年の表情を見てまずいことをしたと思った少女は、慌てて手を引っ込めた。
けれど、今度は青年にその手を取られたのだった。
「──あ・・・」
思わず身体を硬くした少女だったけれど、恐怖など微塵も感じていない。
青年に触れられた手から全身に熱が伝わって、一瞬で身体が暖かくなった。
こんなにぽかぽかとして寒さを忘れられたのは、いつ以来だろう。
よく見れば、青年の手は大きく、指も長くて、とても綺麗だ。
「・・・冷たい・・・可哀想に」
痛ましげな表情を浮かべる青年に、少女は何だか居た堪れなくなった。
春の日だまりの中にいるような気分だったはずなのに、一瞬で冬空の下に戻されてしまった。
「あの・・・手・・・」
「──あ! す、すみません! 突然、こんな・・・」
「あ、いえ・・・ガサガサで、ご不快でしょうから・・・」
俯いてしまった少女に首を振った青年は、気にしていないことを証明するように、再度少女の手を取った。
「──あ、そうだ! うちにいらっしゃいませんか?」
「・・・え?」
青年からの申し出に、少女に目が丸くなる。
「友人が薬師なんです。とてもよく効く軟膏を作ってもらっていて」
「軟膏・・・?」
「えぇ。職業柄、手は大事にしないといけないんですが、自分のことにはどうも無頓着で・・・」
「手、を使う・・・お仕事・・・?」
あぁ、そうか、と青年は微笑した。
切れ長の瞳のおかげできつい印象を与える顔が、やわらかく解ける。
「自分は、チェロ弾きなんです」
「ちぇ、ろ・・・?」
「ご存じないですか? 音楽を奏でる大きな弦楽器で」
ふるふる、と首を振る少女に、「じゃあ」と青年はどこか嬉しそうに提案した。
「良ければ、聴いていって下さい」
「あ、でも・・・」
「何か、ご予定でも?」
訊ねる青年に、少女は慌てて首を振った。
「予定なんて何も・・・でも、お金・・・」
「お金?」
「お仕事、なんですよね・・・? お金、あまり持っていなくて・・・」
言いながら、どんどん俯いていってしまう少女に、青年は驚いてしまった。
「あ、いや・・・そんなつもりは・・・お金なんていりません。ただ、あなたに聴いて欲し」
言いかけて、はっとしたように口を噤む青年。
少女はゆっくりと顔を上げて、首を傾げた。
寒さのせいだろうか、青年の頬が僅かに紅く染まっている気がする。
「あの・・・?」
「い、いや、何でも・・・とにかく、行きましょう!」
「え──あっ」
少女の肩に自分のコートを掛け、しっかりと手を握ると、青年は足早に家路を急いだ。
**********
こういう話をだな。貸借の仕訳をしながら考えているわけだ。そりゃあ、頭に入っていかないだろうよ(コラ)
色んな場面を考えていて。
カノンたんが暴漢に襲われそうになるシーンとか。
「ぐっへへへ。マッチじゃなくて、お嬢ちゃんなら買ってやるぜぇ」
みたいな、いかにもな感じで絡んでくる男に、「やめろ!」って飛びかかっていって返り討ちに遭うキニアンとか(笑)
でも、どこからか小刀が飛んできて、暴漢の手に刺さってギャー! 逃げていったり。
現場から少し離れた路地裏で、
「物騒な神父だな」
と、小刀を投げた美少女にしか見えない銀髪の青年に声をかける妖艶な美貌の男がいたり。
「私に気安く話しかけるな──悪魔め」
「礼を言いに来た」
「礼・・・だと?」
「アレは、最近の気に入りでな」
「・・・」
「何を考えているか知らんが、背の高い男の方だ」
「・・・お前こそ、何を考えている」
「あの青年の奏でる音楽は美しい」
「はっ。悪魔が音楽を愛でるのか?」
「俺は、美しいものは美しいと評価する──お前もな」
「──触るな!!」
みたいな、何かそういう壮大な話(コラ) 『マッチ売りの少女 からの ファウスト?』みたいな。続けるととんでもない長さになる気がするので、ニュアンスだけお伝え。
雲が低く垂れ込め、今にも雪が降り出しそうな日のこと。
「・・・マッチはいかがですかぁ?」
足早に家路を急ぐ人々に、声をかける少女の姿。
粗末な綿のワンピースに、ところどころ穴の空いたストールを身に着けているが、この寒空の下では何の役にも立たない。
細い身体はカタカタと震え、マッチ箱の入ったかごを持つ手は真っ赤になっている。
顔立ちは愛らしいのだが、栄養状態が良くないのだろう、顔は青白く、唇はカサカサに乾いている。
瞳は美しい菫色をしているが、肩に触れる程度に伸ばされた髪は灰色だ。
「マッチは」
「──ひとつ、下さい」
誰も気に留めなかった少女に、声がかけられた。
はっとして振り返った少女は、自分よりもずっと背の高い青年を驚いたように見上げ、──そうして、ふんわりと微笑んだ。
今にも倒れそうに青い顔をしていたというのに、少女の頬にぽっと朱が上った。
「いらっしゃいませ。またいらして下さったんですね」
「・・・はい」
少女の前で少し困ったように眉を下げているのは、簡素な身なりながら、冬物の厚手のコートを羽織った、端正な容貌の青年だった。
茶色の髪と緑の目はこの国ではありふれた色彩だったが、見るからに誠実そうな青年だ。
「煙草でも、お呑みになるんですか?」
「いえ・・・」
右に左に視線を揺らした青年は、元々低い声を更に低くして、ぼそっと呟いた。
「種火を・・・」
「──はい?」
「その・・・暖炉の種火を熾すんですが、どうも不器用で・・・」
1本や2本のマッチでは火をつけられないのだ、と言って頭を掻く青年に、少女は一瞬目を丸くし、弾けたように笑い出した。
「・・・あまり、笑わないで下さい」
「──あ、ごめんなさい!」
怯えたように身を硬くする少女に、青年は慌てて手を振った。
「──あ、いや、怒ってるとかじゃなくて! その、は、恥ずかしいから・・・」
長身をちいさくして辺りを窺う青年に、少女は今度はくすくすとちいさく笑った。
1箱だって売れない日もあるというのに、もう、片手がいっぱいになるくらい、この青年からはマッチを買ってもらった。
「あの、ありがとうございます」
そっと、青年の手を両手で包み込むようにして、少女はマッチ箱を渡した。
青年は驚いたように緑の目を瞠った。
「あ・・・ご、ごめんなさ」
青年の表情を見てまずいことをしたと思った少女は、慌てて手を引っ込めた。
けれど、今度は青年にその手を取られたのだった。
「──あ・・・」
思わず身体を硬くした少女だったけれど、恐怖など微塵も感じていない。
青年に触れられた手から全身に熱が伝わって、一瞬で身体が暖かくなった。
こんなにぽかぽかとして寒さを忘れられたのは、いつ以来だろう。
よく見れば、青年の手は大きく、指も長くて、とても綺麗だ。
「・・・冷たい・・・可哀想に」
痛ましげな表情を浮かべる青年に、少女は何だか居た堪れなくなった。
春の日だまりの中にいるような気分だったはずなのに、一瞬で冬空の下に戻されてしまった。
「あの・・・手・・・」
「──あ! す、すみません! 突然、こんな・・・」
「あ、いえ・・・ガサガサで、ご不快でしょうから・・・」
俯いてしまった少女に首を振った青年は、気にしていないことを証明するように、再度少女の手を取った。
「──あ、そうだ! うちにいらっしゃいませんか?」
「・・・え?」
青年からの申し出に、少女に目が丸くなる。
「友人が薬師なんです。とてもよく効く軟膏を作ってもらっていて」
「軟膏・・・?」
「えぇ。職業柄、手は大事にしないといけないんですが、自分のことにはどうも無頓着で・・・」
「手、を使う・・・お仕事・・・?」
あぁ、そうか、と青年は微笑した。
切れ長の瞳のおかげできつい印象を与える顔が、やわらかく解ける。
「自分は、チェロ弾きなんです」
「ちぇ、ろ・・・?」
「ご存じないですか? 音楽を奏でる大きな弦楽器で」
ふるふる、と首を振る少女に、「じゃあ」と青年はどこか嬉しそうに提案した。
「良ければ、聴いていって下さい」
「あ、でも・・・」
「何か、ご予定でも?」
訊ねる青年に、少女は慌てて首を振った。
「予定なんて何も・・・でも、お金・・・」
「お金?」
「お仕事、なんですよね・・・? お金、あまり持っていなくて・・・」
言いながら、どんどん俯いていってしまう少女に、青年は驚いてしまった。
「あ、いや・・・そんなつもりは・・・お金なんていりません。ただ、あなたに聴いて欲し」
言いかけて、はっとしたように口を噤む青年。
少女はゆっくりと顔を上げて、首を傾げた。
寒さのせいだろうか、青年の頬が僅かに紅く染まっている気がする。
「あの・・・?」
「い、いや、何でも・・・とにかく、行きましょう!」
「え──あっ」
少女の肩に自分のコートを掛け、しっかりと手を握ると、青年は足早に家路を急いだ。
**********
こういう話をだな。貸借の仕訳をしながら考えているわけだ。そりゃあ、頭に入っていかないだろうよ(コラ)
色んな場面を考えていて。
カノンたんが暴漢に襲われそうになるシーンとか。
「ぐっへへへ。マッチじゃなくて、お嬢ちゃんなら買ってやるぜぇ」
みたいな、いかにもな感じで絡んでくる男に、「やめろ!」って飛びかかっていって返り討ちに遭うキニアンとか(笑)
でも、どこからか小刀が飛んできて、暴漢の手に刺さってギャー! 逃げていったり。
現場から少し離れた路地裏で、
「物騒な神父だな」
と、小刀を投げた美少女にしか見えない銀髪の青年に声をかける妖艶な美貌の男がいたり。
「私に気安く話しかけるな──悪魔め」
「礼を言いに来た」
「礼・・・だと?」
「アレは、最近の気に入りでな」
「・・・」
「何を考えているか知らんが、背の高い男の方だ」
「・・・お前こそ、何を考えている」
「あの青年の奏でる音楽は美しい」
「はっ。悪魔が音楽を愛でるのか?」
「俺は、美しいものは美しいと評価する──お前もな」
「──触るな!!」
みたいな、何かそういう壮大な話(コラ) 『マッチ売りの少女 からの ファウスト?』みたいな。続けるととんでもない長さになる気がするので、ニュアンスだけお伝え。
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