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小ネタや更新記録など。妄想の赴くままに・・・
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土日に外出すると、疲れが取れません。いや、土曜はマッサージに行ったので、多少は楽なんですがね。マッサージ師さんに、「全身張ってますね」って言われました(笑)「皆さん、ピークをちょっと越えてからいらっしゃるんですよね。もう少し前なら、幾分ほぐしやすいのに・・・」と。なかなか腕の良いおばさまで、値段も安かったので、また行こうかなぁ。

そんな感じで、元気になるための小ネタをば。



**********

ヴァンツァーは意外と、お子様味覚だったりする。
彼がどんな育ち方をしてきたのかは知らないシェラだったが、意外や意外、子どもたちが喜ぶようなメニューを彼も好んで食べるのを見て驚いたものだ。
何せ、学生時代はほとんど珈琲を飲んでいるところしか見たことがなかったのだから──。

今日のメニューは、生ピーマンと新玉ねぎ、キュウリにハムとゆで卵をマヨネーズで和えたサラダに、パプリカと人参、大根のピクルス、メインはピーマンの肉詰めに、ピーマンとナスの炒めもの、主食はピーマンとトマトたっぷりのナポリタンにしてみた。
成人した子どもたちは、幼い頃からピーマンが大好きだ。
子どもたちの恋人たちも、好き嫌いはない。
食卓に並んだ熱々いい匂いの料理たちに歓声が上がったが、キニアンがちょっと首を傾げた。

「──あれ。今日ピーマンばっかりですか?」
「うん。ヴァンツァーがピーマン嫌いだから」
「え・・・?」

にっこり聖母の笑みを浮かべるシェラを見て、キニアンは一瞬聞き間違いかと思った。

「嫌いじゃない。好んで食べたくないだけで、食べられる」
「──と、ちょっとムキになって言うから、ピーマン尽くしにしてみた」

やはりシェラはにこにこ笑っている。

「・・・喧嘩でもしたんですか?」
「「──シェラは通常運転です♪」」

声を揃える双子に、キニアンは「あぁ、そうなの・・・?」と呟き、ヴァンツァーの顔を盗み見た。
大丈夫かなぁ、と見遣った端麗な美貌はいつもと変わらないように見える。

「おい、ヴァンツァー。残さず食べるんだぞ」
「・・・分かっている」

──あ、結構ダメだ・・・。

表情の違いはあまり分からないキニアンだったが、明らかに声が違うことは分かった。
シェラの声はこの上もなく楽しそうで、何だかちょっぴりヴァンツァーが気の毒になったキニアンだった。

「シェラ・・・どうしてこんなにピーマンばっかり・・・」

可哀想ですよ、と言えば、ヴァンツァーが目を向けてくる。
その藍色の瞳が潤んでいる気がして、捨て犬を目の前にした気分になるキニアンだった。

「好き嫌いは良くない。私はヴァンツァーの健康を考えてだな」
「だから嫌いじゃない」

むっ、と顔を顰めたヴァンツァーの声は、確かにちょっとムキになっているように聞こえる。

「これは、パパさんのシェラさんへの愛が試されるなぁ~」

ライアンが朗らかに物騒なことを言えば、

「残したら離婚の危機かも~」

とカノンが便乗する。

「カノン・・・」と窘めるキニアンだったが、女王様な彼の恋人は聞く耳を持たない。

「ちょっぴり意地悪されて、百年の恋も冷めちゃったりして?」

くふふ、と含み笑いをしたソナタの言葉に、ヴァンツァーはふんっ、と鼻を鳴らした。

「──そんな中途半端な愛し方はしていない」

言い切って、ピーマンのサラダを口に入れた。
ほんの一瞬動きが止まったものの、もぐもぐ咀嚼して、ゴクンと飲み込む。
ピクルスも、揚げたてのピーマンの肉詰めも、炒めものもナポリタンも、淡々と胃袋に収めていく。
自棄になっているように見えなくもないが、食べ方そのものは決して粗野でも下品でもない。
ただちょっと、いつもの食事時よりも表情が硬いだけだ。

「・・・カノン、ごめん」

ヴァンツァーだけが食事をし、他の面々は固まったように動かない中で、ようやくキニアンはそれだけを呟いた。

「ごめん・・・俺・・・──ちょっとキュンときた・・・」

浮気じゃないんだ、と難しい顔をしている恋人を見て、カノンは「チッ」と舌打ちした。

「・・・いいよ、赦す」

渋面なのにほんのり頬が紅いという器用な真似をしているカノンも、どうやらキニアンと同じ気持ちらしい。

「ありがとう・・・でも、舌打ちはやめような」

俺の恋だって冷めたりはしないけど、とはこっそり心の中で思ったキニアンだ。

「・・・わたしピーマン大好きだし、シェラの料理をお腹いっぱい食べる以上の幸せってちょっと思いつかないんだけど・・・でも、今は何て言うか・・・」
「・・・ごちそうさましてもいいですか?」
「そんな感じ」

美人な旦那様の言葉に頷いたソナタは、チラッとシェラの顔を見た。

──まぁ、そうですよね・・・。

パプリカ並みに全身真っ赤に染めたシェラも可愛い。
父をからかった双子であったが、彼らはシェラがいかにピーマンを食べやすく調理するか悩んでいるのを知っていた。
ちいさい頃、「苦くない? 辛くない?」としきりに訊かれた覚えがあるが、それは自分たちのためでもあり、きっと父のためでもあったのだ。
だって、自分たちはピーマンが苦手だったことなど、一度もないのだから。

「シェラ」
「──な、何だっ!」

紅い顔で呆然としていたシェラだったが、ヴァンツァーに話しかけられてはっとする。

「ピクルスはとても美味しい」
「そ・・・そうか」
「サラダも悪くないが、この前作った胡桃と胡麻の和え物の方が食べやすかった」
「わ、分かった」
「ピーマンの肉詰めはおかわり」
「ま、任せろ」
「ナスとの炒めものは、もう少し甘い方が好きだ」
「次はそうする」
「ナポリタンは味が変わった」
「・・・トマトの種類を変えた」
「ふぅん」
「・・・不味いか?」
「いや。これくらい酸味が強い方が好みだ」
「うん・・・そうだと思った」

ヴァンツァーからの評価を、ぎくしゃくしながら受け取るシェラ。
それをじっと見守る子どもたちとその彼氏だったのだが。

「・・・残さず食べるんだぞ」

と、真剣な顔でヴァンツァーが言うので。

「「「「──・・・いただきます」」」」

笑いそうになるのをどうにか堪えて、彼らも食事を始めたのだった。


**********

かっこいいヴァンツァーが行方不明です。いや、でも、私は可愛いヴァンツァーも結構好みだ。むしろヴァンツァーは可愛い生き物だ!(コラ)
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