小ネタや更新記録など。妄想の赴くままに・・・
頑張れ、頑張れ俺・・・。
気分転換に。
気分転換に。
**********
「ただいま」
玄関のドアの開く音と帰宅の声に、シェラは夕飯の支度をしていた手を止めてそちらへ向かった。
──そして、固まった。
「・・・お前の目には何が見えているんだ・・・?」
玄関先でにっこりと微笑んだまま、少し屈んで両腕を広げている男に、呆れた声を掛けるしかない。
体勢はそのまま、ヴァンツァーはシェラに訝る視線を向けた。
「子どもたちは?」
いつもならば玄関のドアが開くか開かないかのところですっ飛んでくる四つ子たちが見当たらない。
「寝てる」
「──寝てる?!」
そんな馬鹿な、定時でこそ帰れなかったがまだ19時だ、夕飯を一緒に食べられるかどうかは微妙だが、少なくとも可愛い子どもたちに囲まれて、たくさんお喋りするのを聞きながら美味しいご飯を食べるという幸福な時間が自分には待っているはずだったのに・・・!
そんな顔をしている男に、「随分と顔に出るようになったものだ」と内心で呟きながらシェラは本日の出来事を報告した。
「今日はいちご狩りをしてきたんだ。だいぶはしゃいでたから、疲れたんだろう」
愕然としている男に、シェラは淡々と告げた。
けれど、ヴァンツァーは身体こそ起こしたものの、子どもたちを抱きしめるために広げた腕をどうしたらいいのか分からない、といった風に途方に暮れた表情をしている。
深々とため息を吐いたシェラは、仕方なく、本当に仕方なく、自分がその腕の中に入ってやった。
「──・・・シェラ?」
「ちょっと大きいし人数も足りないが、これで我慢しておけ」
私から抱きつくなんて、ちょーレアだぞ、と愛想の欠片もなく言うシェラを、ヴァンツァーはゆっくり、ぎゅーっと抱きしめた。
「落ち着いたか?」
ふぅ、と息が吐かれて、男の肩から力が抜けたのを見て、シェラはぽんぽん、とその広い背中を叩いてやった。
「・・・神経は落ち着いたが、心が落ち着かない」
「は?」
「自分でも言っていただろう。お前から抱きついてくるなんて、珍しすぎて」
失礼な、と眉間に皺を寄せそうになったシェラだったけれど、「嬉しすぎて」というやわらかい声に、毒気を抜かれたように表情を緩めた。
「私だってたまには飼い犬に餌くらいやる」
「俺が犬か?」
「じゃなきゃ、釣った魚だな」
つん、といつものように顎を反らすと、くすくす笑った男に唇を啄まれる。
「自分で言うのもなんだが、俺はなかなかの忠犬だし、お前にならいくらでも釣られるぞ」
「・・・昔はもっと手応えがあったのにな」
本当に残念な男め、とため息を零したシェラは、もう一度、今度は少し強めにヴァンツァーの背中を叩くと、あたたかい食事の用意された部屋へと男を誘ったのだった。
**********
・・・シェラのような嫁が欲しい・・・。まじで。
「ただいま」
玄関のドアの開く音と帰宅の声に、シェラは夕飯の支度をしていた手を止めてそちらへ向かった。
──そして、固まった。
「・・・お前の目には何が見えているんだ・・・?」
玄関先でにっこりと微笑んだまま、少し屈んで両腕を広げている男に、呆れた声を掛けるしかない。
体勢はそのまま、ヴァンツァーはシェラに訝る視線を向けた。
「子どもたちは?」
いつもならば玄関のドアが開くか開かないかのところですっ飛んでくる四つ子たちが見当たらない。
「寝てる」
「──寝てる?!」
そんな馬鹿な、定時でこそ帰れなかったがまだ19時だ、夕飯を一緒に食べられるかどうかは微妙だが、少なくとも可愛い子どもたちに囲まれて、たくさんお喋りするのを聞きながら美味しいご飯を食べるという幸福な時間が自分には待っているはずだったのに・・・!
そんな顔をしている男に、「随分と顔に出るようになったものだ」と内心で呟きながらシェラは本日の出来事を報告した。
「今日はいちご狩りをしてきたんだ。だいぶはしゃいでたから、疲れたんだろう」
愕然としている男に、シェラは淡々と告げた。
けれど、ヴァンツァーは身体こそ起こしたものの、子どもたちを抱きしめるために広げた腕をどうしたらいいのか分からない、といった風に途方に暮れた表情をしている。
深々とため息を吐いたシェラは、仕方なく、本当に仕方なく、自分がその腕の中に入ってやった。
「──・・・シェラ?」
「ちょっと大きいし人数も足りないが、これで我慢しておけ」
私から抱きつくなんて、ちょーレアだぞ、と愛想の欠片もなく言うシェラを、ヴァンツァーはゆっくり、ぎゅーっと抱きしめた。
「落ち着いたか?」
ふぅ、と息が吐かれて、男の肩から力が抜けたのを見て、シェラはぽんぽん、とその広い背中を叩いてやった。
「・・・神経は落ち着いたが、心が落ち着かない」
「は?」
「自分でも言っていただろう。お前から抱きついてくるなんて、珍しすぎて」
失礼な、と眉間に皺を寄せそうになったシェラだったけれど、「嬉しすぎて」というやわらかい声に、毒気を抜かれたように表情を緩めた。
「私だってたまには飼い犬に餌くらいやる」
「俺が犬か?」
「じゃなきゃ、釣った魚だな」
つん、といつものように顎を反らすと、くすくす笑った男に唇を啄まれる。
「自分で言うのもなんだが、俺はなかなかの忠犬だし、お前にならいくらでも釣られるぞ」
「・・・昔はもっと手応えがあったのにな」
本当に残念な男め、とため息を零したシェラは、もう一度、今度は少し強めにヴァンツァーの背中を叩くと、あたたかい食事の用意された部屋へと男を誘ったのだった。
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・・・シェラのような嫁が欲しい・・・。まじで。
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