小ネタや更新記録など。妄想の赴くままに・・・
だからなんとなくだってば(ツン)。
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「──可愛いって言え」
朝、リビングで珈琲を飲んでいると、突然目の前に立ちはだかったかと思ったら、仁王立ちしたシェラがそう言った。
ものっそい上から見下ろす──否、もうそれは『見下す』といった方が正確なほどの視線で、妍麗な美貌を睥睨している。
「・・・可愛い」
カップを手にしたまま、半ばぽかんとした顔でそう答えたところ、柳眉が吊り上った。
「心がこもってない。──やり直し」
「・・・可愛い」
「お前には芝居心というものがないのか。せめてもう少しマシな演技をしろ、この大根!」
ふんっ、と鼻を鳴らしたシェラにため息を殺したヴァンツァーだったが、ずいっ、とシェラが詰め寄ってきたためにソファの上で身を引いた。
「──私を小悪魔にしろ」
「──・・・は?」
「小悪魔になりたいんだ」
またこの銀色はおかしなことを言い出した。
そんなもの、わざわざなる必要があると思っているのか。
いや、思っているに違いない、思っているからこそ『シェラ』なのだから。
しかし、何でまたそんなことを言い出したのか。
あれか? 毎月決まって訪れるというホルモンバランスのあれか? いやいや待てシェラは男だいやしかし子どもも産んでいるしこの銀色のことだから月の障りくらいあってもおかしくない、あ、シェラが月の障りって何か面白いなうん月繋がりだ。
「・・・・・・おいコラ。無反応とはいい度胸だな」
胸倉を掴まれて、はっと我に返る。
「・・・あー・・・・・・悪い」
素直に頭を下げたのに、一瞬にして怒気が膨れ上がった。
「──ド最悪男!!」
耳が痛くなるような大声で叫ぶと、シェラはリビングを出て行ってしまった。
残されたヴァンツァーはきょとんとした顔をしている。
そして思った。
──・・・やはり月のものだろうか・・・?
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人が来たから、続きはまた今度。
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