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小ネタや更新記録など。妄想の赴くままに・・・
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三千里・・・さすがに毎日のように21時過ぎまで働いていると、いろいろと限界(笑)
休日は飲み食いしているとき以外ほぼ寝ています。いやー、余裕で半日以上寝ているね!
睡眠は、精神安定させるのに一番お手軽ですだよ。

そんなわけで、また週末があっという間に終わってしまいました。いやー、きちーね。某シブで聖なるお星の闘士様たちを愛で、やっぱりカノンとサガが大好きだなー、と再認識しつつ。単品でもカプでも良いよね。そして、一輝瞬も好きだなー、と思いつつ。

お星様全然関係ないけど、ネットでちょっと見た設定が面白かったので。書けるかどうかわからんが・・・




**********

引退したとはいえ、彼らのかつての職業柄ゆえか、敵は少なくない。
精鋭揃いの一族の中でもその実力は群を抜いていた彼だ。
出し抜けるものがそうそういるとは思えないが、多少の油断もあったのだろう。

「「「「──シェラがさらわれた?」」」」

声を揃える四つ子の子どもたちに、ヴァンツァーは少し困ったような顔を見せた。

「・・・らしいな」

まさかあの銀色が大人しく攫われたとも思えないが、ひとり無事に戻ってこられる保証もない。
発信器となる魔道具が示すのは、魔の森の奥深く。

「じゃあ、おむかえにいかないとね!」

子どもたちを連れていくかどうか悩んでいたヴァンツァーに、四つ子の三番目・アリアがにっこりと微笑みを向けた。
ふわふわとした銀髪と、色違いの瞳の愛らしい少女は、四番目のリチェルカーレと手を繋ぎ、「「ねー」」と笑い合っている。
真っ直ぐな髪と左右対称の瞳の色を除けば、ふたりの容姿はそっくりだった。

「危険な旅になるかも知れないぞ」
「大丈夫だよ」

真剣な表情で告げる父に、一番上のロンドがふんわりと微笑んでみせた。
癖のある黒髪と藍色の瞳の少年も、天使のように愛らしい。

「ぼくたちも、少しは剣と魔法を使えるから」
「・・・じっと待ってるなんて、出来ない」

二番目のフーガは、きょうだいたちの中で唯一表情を強張らせている。
黒髪以外はシェラにそっくりな容姿を、ほんの少し青ざめさせ、それでもその菫色の瞳に宿る意志は堅い。

「分かった」

それじゃあ、みんなでシェラを迎えに行こう。
ヴァンツァーがそう言うと、元気の良い返事が返ってきた。


+++++


──魔の森・東。

人間の住む世界と魔物の棲む世界は隣接している。
人間の世界の西側が、魔物の世界の東端と繋がっている。
目的地である魔の森の最西に行くためのルートはいくつもあるが、比較的攻略が容易なのが森の東から入り、南から西へと回る迂回ルートだ。
森の中心部と北側には、ランクの高い魔物が多い。
ヴァンツァーひとりで抜けるのであれば中央突破もそう難しくはないが、今回の旅は子どもたちがいる。
先を急ぐ旅ではあるが、子どもたちをむやみに危険に晒すわけにもいかない。
魔物たちがシェラを殺すことはない──かといって、無事である保証もない。
使い慣れた剣やその他の武器を手に、一行は旅を続けていた。
ほとんどの魔物は、ヴァンツァーが一瞬のうちに仕留める。
人間世界で確認される魔物のランクはおおまかにAからEまでに分類されるが、その殆どが彼の敵ではない。

──ただし、一匹ずつであれば。

「・・・数が多いな」

眼の前には、ランクBクラスが二匹とCクラスが十匹ほど。
森の入り口付近である東地区で、これほどの数の魔物が一度に現れることはほとんどない。
ヴァンツァーがランクBの魔物の一匹にとどめを刺したとき。

──グゥルゥオォォォウアアァァァ!!

凄まじい魔物の咆哮に、はっとして振り返る。

「──アリア!!」

娘の前に、鋭い鉤爪を持った魔物が躍り出た瞬間だった。
気配を読み切れなかった魔物がいたのだ。
走っていては間に合わない。
舌打ちして腰の短剣を引き抜き、投げようとしたところ。

「こんにちは」

場違いなまでに穏やかな声と笑顔で、アリアは自分の倍近い身の丈の魔物に対峙した。
ピタリ、と振り上げた鉤爪が止まる。

「あなたのおなまえは?」
『・・・グルゥゥ』
「おなまえ。おしえて?」

数秒間見つめ合っていた少女と魔物だが、やがて魔物は『グルッ』と喉を鳴らすように声を漏らした。

「──クフト! クフトっていうのね!」

嬉しそうにアリアの表情が綻ぶ。

「わたしはアリアよ。よろしくね、クフト!」

アリアがちいさな手を差し出すと、魔物はしばし戸惑ったように己の手とアリアを交互に見遣り──そして、鋭い鉤爪でやわらかな手を傷つけないよう、そっとその手を握り返した。

──ピコーン。シャザール(ランクC)が、アリアの使い魔となりました。

気の抜けた音と機械的な声が、ヴァンツァーの脳裏に響く。

「・・・あいつ、魔物から真名を聞き出したのか」

娘の所業に、しばし呆然となるヴァンツァーだったが。

「──Step back!」

鋭い声と、ビシィィィッ! と空気を切り裂くような音に視線を巡らせれば、もうひとりの娘が巨大な獣と向き合っていた。
白く硬い体毛に覆われ、鋭い牙で獲物を噛み砕く──。

「──まずい」

この辺りには出現するはずのないランクA魔物、ザッファーナ。
炎系の魔法は吸収し、土、水、風系魔法は跳ね返す。
硬い体毛のおかげで物理攻撃も効きにくいザッファーナを倒すのは、容易ではない。
まずは両目を潰し、額で赤く輝く魔核を破壊するのが一番速い。
アリアを助けるために投げようとしていた短剣を構え直し、放とうとしたところ。

「──あるじは、わたしよ」

手にした鞭を魔物に突きつけ、幼い声が跪けと命じる。
リチェルカーレは動物に好かれる。
小鳥や犬、猫など、彼女の周囲に動物が集まる光景は何度も見てきたが。

「さすがに・・・」

無理だろう、と内心で呟いたヴァンツァーの目の前で、巨大な躰が傾いだ──いや、寝転んだのだ。

「ふふ、いいこね」

腹を見せて横になる魔獣の喉元を、ゴロゴロとくすぐる娘の姿に、「嘘だろう」と思わず呟きそうになったヴァンツァーだった。

「──うわっ!!」

戦場で気を抜きかけたヴァンツァーの耳に、今度はフーガの叫び声。
見れば、三匹のランクD魔物を相手にしていたらしい。
善戦していたが、さすがに力負けして背後の木に背中を打ち付けたところのようだ。
駆け寄ろうとしたヴァンツァーは、ゾクリ、と背筋を駆け抜ける悪寒に、思わず足を止めた。

「・・・お前たち」

耳に入ってきたのは、いつも朗らかで笑みを絶やさないロンドの声──のはず。
そのあまりの冷たさと重さに、ゴクリと喉が鳴る。

「お前たち・・・フーちゃんを、傷つけたな・・・?」
「ロン、俺はだいじょ・・・おい、ロン!」
「お前たち・・・──許さない!!」
「おい、ロン! 待て!!」

慌てて兄を止めようとしたフーガだったが、その前に周囲は眩い光に包まれた。
とっさに腕で視界を覆ったヴァンツァーの脳裏で、またもや『ピコーン』と音がした。

──半径1km以内が聖別されました。周囲に魔物は存在しません。

「あれれ。クフト、なんかかわいくなったね!」
「ザフィーってば、しろいトラさんみたい!」

きゃいきゃい言って、自分たちの使い魔となった魔物──聖別されて聖属性へと変化したが、便宜上──を撫でる娘たち。

「ロン・・・やりすぎだ」
「ごめん。でもフーちゃんが怪我したと思って・・・」
「シェラを助けるために、ある程度温存しておけ」
「うん・・・」
「でも、助かったよ。ありがとう」
「──うんっ!!」

四人の子どもたちを見て、ヴァンツァーは思った。


──この旅、楽勝かも知れない・・・。


**********

子連れ勇者的な。
たぶん、続かない。

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