小ネタや更新記録など。妄想の赴くままに・・・
わんこなしょーま君が、どうにもロンちゃんに見えて仕方なかったので。
フィギュア男子をうちの子たちに演じていただきましょうかね。
ファロット一家にするか、スケータにするかでタグ付け迷ったんですが、とりあえずスケーターにしときます。
**********
「ん~・・・」
リンクの上でジャンプの練習をしていた黒髪の少年は、脚を止めて首を捻った。
ふわふわとした頭を掻くと、右足を振り上げて踏切の動作を確認する。
深刻というよりは、その青い瞳は弱りきった印象があり、誰でも思わず手を伸ばしたくなるあどけなさだ。
「ロン、ロンド。どうかしたのか?」
案の定、困ったような顔をしている少年の元へ、音をさせずにもう一人の少年が近寄っていく。
こちらも黒髪だが髪質は真っ直ぐで、彼の気性をそのまま表しているようでもある。
神秘的な菫色の瞳の、硬質な美貌の少年だ。
「──フーちゃん!」
今の今まで暗い顔をしていた少年だが、菫色の瞳の少年を視界に入れると、途端に笑顔になった。
パタパタと勢いよく振られる尻尾すら見えそうなくらい、その表情は嬉しそうだ。
喜色満面で迎えられたフーちゃん──フーガは、思わずといった感じでふわふわの黒髪を撫でた。
えへへ、と嬉しそうな顔になるロンドは、仔犬のような可愛らしさがある。
「大丈夫か?」
「んー。アクセルが、どうにも跳べなくて・・・」
トリプルアクセル。
4回転ジャンプを除けば、最高難度に位置する高得点ジャンプだ。
ショートプログラムでもフリースケーティングでも、必ずアクセルジャンプを組み込まなければならないし、それは大きな得点源でもある。
「フーちゃんのアクセル、すごいよね! すごく綺麗!」
フーガのジャンプはどんなものでも美しいランディングが持ち味だ。
特にカウンターやイーグルからのトリプルアクセルは、GOEで3点満点がつくこともある超得意ジャンプでもある。
「ありがとう」
苦笑気味ではあるが、フーガはふわりと微笑んだ。
演技をしているときの真剣な表情はどこまでも男らしいのに、時折見せる笑顔は女の子のように可愛らしい。
そのギャップが堪らないというファンが多く、それはロンドも同じだった。
「ロンドのスケーティングは、加速がすごいからな・・・スピードに乗らないと跳べないけど、乗りすぎると今度は回りすぎるし・・・」
ふむ、と顎に指を当てたフーガは、半分冗談のつもりで言った。
「──4回転、跳んでみたら?」
「──4回転?」
きょとん、と青い瞳を丸くするロンドに、フーガはこくりと頷いた。
「まずは4T。アクセルを決めることももちろん大事だけど、もっと大事なのは全体の流れだ。3Aがうまくいかなくても、4回転が決まれば点数で挽回出来るし」
逆もまた然り。
武器は多い方が良い。
このときは、煮詰まっていそうなロンドの肩の力が抜ければ、と思っての言だった。
スピンとステップに関しては天才的と言っても良いロンドだから、ジャンプが安定して決まれば世界のトップを狙える。
特にこれからの時代は、4回転をコンスタントに跳べなければ勝負にならない。
4回転ルッツすら試合で決める選手が出てくるくらいだ。
「んー・・・うん! やってみる!」
少し考える表情になったロンドだったが、大きく頷くと氷を蹴って再び動き出した。
天使のような見た目に反して体幹の強さは異常とも言えるロンドだから、きっと4回転だって跳べるようになる。
──頑張れ。
見守るような気持ちでそう胸中呟いたフーガだったのだけれど。
「──・・・は?」
「──うわっ、と、ととと・・・」
着氷こそ乱れたものの、ロンドはフーガの目の前で4回転のトゥループを跳んだ。
──・・・嘘だろ・・・?
言われたからと言って跳べるジャンプではない。
もちろん、いつかは跳べるだろうと思っていたが、今の今だとは想像もしていなかった。
「んー・・・? うん、よし!」
軽く首を傾げたロンドは、再度助走を始めると、トップスピードからほんの少し速度を落としたところで力強く氷を蹴った。
強い体幹に支えられた真っ直ぐな軸のジャンプ。
──あ、決まる。
目を離すことが出来なくなっているフーガの視線の先で、完全に回りきった4回転ジャンプが決まる。
今度は着氷後の流れも申し分ない。
試合であれば、おそらく加点がつくであろうジャンプだ。
「・・・──ふっ」
フーガは思わず笑った。
これは、自分もうかうかしていられない。
今自分は世界の頂点にいる──けれど、それは決して堅牢な城塞ではない。
「フーちゃーーーーーんっ! 出来たぁぁぁぁぁ!!」
嬉しそうに笑い、ぴょんぴょん飛び跳ねて手を振っていたロンドは、フーガに向かってぐんぐん近づいてくる。
「出来たよ!」
褒めて、褒めて、と目をキラキラさせている少年は、フーガに頭を撫でられるとより一層笑顔になった。
「あぁ、見てたよ」
「まだフーちゃんみたいに綺麗には跳べないけど」
「すぐに跳べるようになる。出来れば、空中で回りきって降りて来られるといいな」
「フーちゃんのジャンプって、軸が細くて綺麗だよね」
「ロンは、もう少し身体を絞ろうか」
「うー・・・」
つい自分を甘やかしてしまうロンドは、軽く唇を尖らせた。
「・・・上手に跳べたら、ご褒美くれる?」
この表情が本当におやつをねだってくる仔犬のようで、フーガは思わず笑みを零した。
「試合で4回転とトリプルアクセル、両方決めたらな」
「うわぁ~。フーちゃん鬼だぁ!」
「ロンなら出来るよ」
確信を持ってそう告げたフーガではあったが──まさか、そこからいくらも経たないうちに4回転フリップまで会得してしまうとは、思いもよらなかった。
**********
フーちゃんはゆづポジ。努力型の天才。ロンちゃんはしょーま君。自覚のない天才で、チタン製強心臓の大物。ハビはライアンでもいいかなぁ? ヴァンツァーはプル様で、レティはヤグ様だろうか? やればデキる子キニアンはデー輔っぽいか? 彼は音さえ流れていれば無敵(笑)
そんな感じの、スケータ小ネタ男子編でした。
PR
この記事にコメントする