小ネタや更新記録など。妄想の赴くままに・・・
ゲームをした。FEの『烈火の剣』。ニノとジャファルが仲間になる外伝の章を途中までやっておいて放置だったので。もちろんその章はクリアしましたよ。ニノの母親を騙っていたソーニャは、ジャファルの瞬殺で倒してな!
そんなことをしていたら、ちょっと書きたくなったので。ニノとジャファルじゃありません。ヴぁっくんとルセアたんとカレルの三角関係(コラ)です。
そんなことをしていたら、ちょっと書きたくなったので。ニノとジャファルじゃありません。ヴぁっくんとルセアたんとカレルの三角関係(コラ)です。
**********
レイヴァン(勇者)+ルセア(司祭)+カレル(ソードマスター/剣魔→剣聖)
+++++
「疲れていらっしゃるのですね」
ルセアの言葉に、カレルは困惑して眉を寄せた。
その様子を見て、ルセアは首を傾げた。
「違いましたか? 顔色が、良くないように思えましたから」
主人であるレイモンドよりも更に長身の美丈夫は、手にした剣同様、その表情すらも研ぎ澄まされた刃のようだった。
レイモンドの瞳も厳しいものではあったが、カレルのように静かではない。
激情を湛えた茜色。
カレルの黒い瞳は、普段はもの言わぬ骸のように生きているにおいをさせぬが、時折刃のような銀に輝く。
戦場で、敵を前にしたときのみ、その気分の高揚を表に出すのだ。
「そう・・・そうだな・・・疲れている」
まるで自分に問いかけるかのような言葉。
漆黒でも銀でもない、もう少しあたたかな何かをカレルの瞳に感じ、ルセアは青い瞳を丸くした。
「人を斬り渡ってゆく間、この身体すべてが衝動に湧き上がり、己でも制することは出来ん」
ルセアを見つめる瞳が、軽く眇められる。
「・・・疲れていると、気づく暇もなかった」
普段のカレルだったら、ルセアはその表情を『睨まれた』と感じただろう。
だが、今は違った。
まるで、微笑んだように見えたのだ。
何だか、幼い子どもを見ているような気持ちになったルセアだった。
『剣魔』と呼ばれ恐れられている男とはとても思えない──いや、剣に生き、己も刃たらんとしている彼は、ある意味子どものように純粋なのだろう。
その手は血に汚れながら、瞳は曇ることを知らない。
もしかすると、オスティアへの復讐にしか意識を向けないレイモンドよりも、ずっと澄んだ瞳かも知れない。
「人を斬るという、あなたの生き様をいさめる気はありません・・・わたしもあなたも、信じるものにしたがって生きています」
じっとこちらを見下ろしてくる黒い瞳に、ルセアはふんわりと微笑んだ。
「いつか本当に心安らぐときが来ることを、お祈り申し上げます」
そう言って手を組み、聖女へと祈りを捧げる。
ルセア、とちいさく名を呼ばれ、顔を上げる。
「少し、眠りたい・・・しばらく、傍に」
人を寄せ付けない雰囲気の男が、まるで生まれて初めて口にしたとでもいうように覚束ない様子で願いを告げた。
ルセアは何だか嬉しくなって、薄っすらと涙さえ浮かべて頷いた。
「はい・・・」
この人も、レイモンド同様、本当はとても純粋でやさしい人なのだろう、とルセアは思った。
どうして人を斬らずにおれぬ運命にあるのかは分からなかったが、自分がこの人の心の安寧を招くことが出来るのならば、こんなに嬉しいことはない。
世界よ平和であれ、人々よ心安らかであれ、と常にルセアは願っているが、こんなにも強く思ったのはレイモンド以外にはこの人が初めてであった。
今は近くに敵の気配もない。
手近な大樹の根元に腰掛けたカレルの眠りを妨げぬよう、ルセアは数歩離れたところに座ろうとした。
「──え?」
くっ、と強い力で手を引かれ、思わず倒れ込みそうになる。
「・・・カレル、さん?」
「傍に、と言った」
「・・・」
黒い瞳にじっと見つめられ、ルセアは瞬きも出来なくなった。
そうして、言葉なく命じられるままに、カレルの隣に腰を下ろしたのだった。
いつもは誰も近寄らせない人だから、こんなにも傍に人の気配があったのでは眠るどころではないのではないかと心配になったルセアだった。
しかし、カレルは木に背中を預け、愛用の剣を左手に持ったまま、瞳を閉じた。
右側に座るルセアに向けて、ほんの少しだけ頭を傾けて。
触れるか触れないかの距離にある体温に、ルセアは困惑した。
レイモンドはルセアよりもずっと体温が高い。
その手はあたたかく、とても安心する。
普段のカレルは血の通わぬ器物のような佇まいなのに、先ほど触れた身体は温かかった。
レイモンドもカレルも、同じ『人』なのだ、と感じた。
ふたりともとても強く、──あたたかい。
こんなにも出会う人々に恵まれている己の生に、ルセアは心から感謝した。
どれくらいそうしていただろう。
きっと、半刻も経っていない。
──ふ、とカレルの体温が離れたと感じ、ルセアは左を見た。
一瞬にして刃に戻ってしまった『剣魔』は、腰を下ろしたままながらも、じっと前を見据え、愛用の剣を手に周囲の気配を探っている。
しばらくして、カレルはその全身から緊張を解いた。
「行け」
「──え?」
何のことか分からぬルセアだったが、遠くから自分を呼ぶ声が聴こえて目を瞠った。
「え・・・レイ・・・ヴァン、さま?」
危うく本名を口にしてしまいそうになったルセアだったが、聞き間違いではなかったようで、すぐに主人の姿を目にすることとなった。
「ルセア!」
「レイヴァンさま・・・あの」
「探したぞ、何をしている」
言いながらも、レイヴァンの目は燃えるような色をして、カレルを睨みつけている。
カレルは素知らぬようすで木に背中を預けて目を閉じている。
「あ、あの・・・」
おろおろとふたりを見比べていたルセアにツカツカと近寄ったレイヴァンは、自分にとって最後の家族である青年の手をぐっと引いて立ち上がらせた。
「──きゃっ」
思わずレイヴァンにしがみつくような格好になってしまい、「申し訳ありません!」と謝罪した。
しかし、レイヴァンはそんなルセアには気付かないようで、カレルをじっと見ていた。
「あの・・・レイ、ヴァン様・・・?」
「カレル、と言ったか」
糾弾するようなレイヴァンの声に、カレルは薄く目を開けた。
しかし、その瞳はぼんやりと地面に向けられ、レイヴァンの方を見てはいない。
「もしこいつをお前の剣の錆にでもしようと考えているなら」
──叩き斬る。
「れ、レイヴァン様!!」
本気の声音に仰天してしまったルセアは、真っ青な顔で主人とカレルを交互に見遣っている。
「ち、違います、カレルさんは」
「──ふっ」
否定の言葉を口にしようとしたルセアの耳に、乾いた笑い声が届いた。
見れば、カレルの黒い瞳が僅かに銀色の光を帯びていた。
「お前は・・・それなりに、使えそうだな」
剣の腕を言っているのだろう。
いけない、と思ったルセアだった。
カレルは、強い相手を求めている。
強い人間を斬り続け、今まで生きてきたのだ。
そのカレルが、レイモンドをその相手にしようとしている。
「だ、ダメですカレルさん!」
ばっ! とレイヴァンの前に両腕を拡げて立ちはだかるルセア。
「ルセア!」
邪魔だ! と怒鳴りつけるレイヴァンに背を向けたまま首を振るルセア。
「レイヴァン様も! いけません!」
「どけ!」
「どきません! ふたりとも、今は一緒に戦う仲間ではありませんか!」
「俺はこいつらと馴れ合う気はない!」
「レイヴァン様っ!!」
悲鳴のような声を上げるルセアの耳に、くつくつと笑う声が聴こえた。
「・・・わたしにも、ない」
「なんだと・・・?」
レイヴァンのきつい視線など意に介さず、カレルは音もなく立ち上がった。
ひた、とレイヴァンの茜色の瞳を見つめる漆黒の瞳。
ほんの少しだけ、カレルの口端が持ち上げられる。
「・・・腕は悪くない──が、まだ若いな」
「なっ!」
嘲笑するかのようなカレルの態度に、レイヴァンはかっと血を上らせた。
「ルセア」
「は、はい・・・?」
「己が主を守りたくば、わたしには近づけぬことだな」
「カレルさん・・・」
「次に顔を見れば、斬りたくなるやも知れん」
それだけ言うと、カレルはふたりに背を向けて音もなく去って行った。
「カレルさん・・・」
その後姿を寂しそうに目で追っていたルセアだったが、名を呼ばれてはっとなり、背後を振り返った。
「れ、レイモンド様・・・」
「あいつには近づくな」
「で、ですが」
「俺の言葉が聞けないのか」
「・・・」
険しい瞳に見下され、ルセアは言葉を紡げなくなった。
「行くぞ」
カレルの去った方とは反対に背を向けて歩き出す主人のあとを追おうと一歩を踏み出し、ルセアは一瞬だけ後ろを向いた。
とうにカレルの姿はなく、気配すらも消え去っていたが、子どものような瞳がどうしても忘れられない。
「ルセア」
「は、はい!」
自分にとって一番大切なのはレイモンドだ。
しかし、もしも短い間でもカレルの心安らげる場所であれるなら、そうありたいとも思うのだ。
──・・・わたしは、愚かなのでしょうか・・・。
答えの出ぬ問いに、翻弄されるルセアであった。
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この三角関係大好きです(コラ)
レイヴァン(勇者)+ルセア(司祭)+カレル(ソードマスター/剣魔→剣聖)
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「疲れていらっしゃるのですね」
ルセアの言葉に、カレルは困惑して眉を寄せた。
その様子を見て、ルセアは首を傾げた。
「違いましたか? 顔色が、良くないように思えましたから」
主人であるレイモンドよりも更に長身の美丈夫は、手にした剣同様、その表情すらも研ぎ澄まされた刃のようだった。
レイモンドの瞳も厳しいものではあったが、カレルのように静かではない。
激情を湛えた茜色。
カレルの黒い瞳は、普段はもの言わぬ骸のように生きているにおいをさせぬが、時折刃のような銀に輝く。
戦場で、敵を前にしたときのみ、その気分の高揚を表に出すのだ。
「そう・・・そうだな・・・疲れている」
まるで自分に問いかけるかのような言葉。
漆黒でも銀でもない、もう少しあたたかな何かをカレルの瞳に感じ、ルセアは青い瞳を丸くした。
「人を斬り渡ってゆく間、この身体すべてが衝動に湧き上がり、己でも制することは出来ん」
ルセアを見つめる瞳が、軽く眇められる。
「・・・疲れていると、気づく暇もなかった」
普段のカレルだったら、ルセアはその表情を『睨まれた』と感じただろう。
だが、今は違った。
まるで、微笑んだように見えたのだ。
何だか、幼い子どもを見ているような気持ちになったルセアだった。
『剣魔』と呼ばれ恐れられている男とはとても思えない──いや、剣に生き、己も刃たらんとしている彼は、ある意味子どものように純粋なのだろう。
その手は血に汚れながら、瞳は曇ることを知らない。
もしかすると、オスティアへの復讐にしか意識を向けないレイモンドよりも、ずっと澄んだ瞳かも知れない。
「人を斬るという、あなたの生き様をいさめる気はありません・・・わたしもあなたも、信じるものにしたがって生きています」
じっとこちらを見下ろしてくる黒い瞳に、ルセアはふんわりと微笑んだ。
「いつか本当に心安らぐときが来ることを、お祈り申し上げます」
そう言って手を組み、聖女へと祈りを捧げる。
ルセア、とちいさく名を呼ばれ、顔を上げる。
「少し、眠りたい・・・しばらく、傍に」
人を寄せ付けない雰囲気の男が、まるで生まれて初めて口にしたとでもいうように覚束ない様子で願いを告げた。
ルセアは何だか嬉しくなって、薄っすらと涙さえ浮かべて頷いた。
「はい・・・」
この人も、レイモンド同様、本当はとても純粋でやさしい人なのだろう、とルセアは思った。
どうして人を斬らずにおれぬ運命にあるのかは分からなかったが、自分がこの人の心の安寧を招くことが出来るのならば、こんなに嬉しいことはない。
世界よ平和であれ、人々よ心安らかであれ、と常にルセアは願っているが、こんなにも強く思ったのはレイモンド以外にはこの人が初めてであった。
今は近くに敵の気配もない。
手近な大樹の根元に腰掛けたカレルの眠りを妨げぬよう、ルセアは数歩離れたところに座ろうとした。
「──え?」
くっ、と強い力で手を引かれ、思わず倒れ込みそうになる。
「・・・カレル、さん?」
「傍に、と言った」
「・・・」
黒い瞳にじっと見つめられ、ルセアは瞬きも出来なくなった。
そうして、言葉なく命じられるままに、カレルの隣に腰を下ろしたのだった。
いつもは誰も近寄らせない人だから、こんなにも傍に人の気配があったのでは眠るどころではないのではないかと心配になったルセアだった。
しかし、カレルは木に背中を預け、愛用の剣を左手に持ったまま、瞳を閉じた。
右側に座るルセアに向けて、ほんの少しだけ頭を傾けて。
触れるか触れないかの距離にある体温に、ルセアは困惑した。
レイモンドはルセアよりもずっと体温が高い。
その手はあたたかく、とても安心する。
普段のカレルは血の通わぬ器物のような佇まいなのに、先ほど触れた身体は温かかった。
レイモンドもカレルも、同じ『人』なのだ、と感じた。
ふたりともとても強く、──あたたかい。
こんなにも出会う人々に恵まれている己の生に、ルセアは心から感謝した。
どれくらいそうしていただろう。
きっと、半刻も経っていない。
──ふ、とカレルの体温が離れたと感じ、ルセアは左を見た。
一瞬にして刃に戻ってしまった『剣魔』は、腰を下ろしたままながらも、じっと前を見据え、愛用の剣を手に周囲の気配を探っている。
しばらくして、カレルはその全身から緊張を解いた。
「行け」
「──え?」
何のことか分からぬルセアだったが、遠くから自分を呼ぶ声が聴こえて目を瞠った。
「え・・・レイ・・・ヴァン、さま?」
危うく本名を口にしてしまいそうになったルセアだったが、聞き間違いではなかったようで、すぐに主人の姿を目にすることとなった。
「ルセア!」
「レイヴァンさま・・・あの」
「探したぞ、何をしている」
言いながらも、レイヴァンの目は燃えるような色をして、カレルを睨みつけている。
カレルは素知らぬようすで木に背中を預けて目を閉じている。
「あ、あの・・・」
おろおろとふたりを見比べていたルセアにツカツカと近寄ったレイヴァンは、自分にとって最後の家族である青年の手をぐっと引いて立ち上がらせた。
「──きゃっ」
思わずレイヴァンにしがみつくような格好になってしまい、「申し訳ありません!」と謝罪した。
しかし、レイヴァンはそんなルセアには気付かないようで、カレルをじっと見ていた。
「あの・・・レイ、ヴァン様・・・?」
「カレル、と言ったか」
糾弾するようなレイヴァンの声に、カレルは薄く目を開けた。
しかし、その瞳はぼんやりと地面に向けられ、レイヴァンの方を見てはいない。
「もしこいつをお前の剣の錆にでもしようと考えているなら」
──叩き斬る。
「れ、レイヴァン様!!」
本気の声音に仰天してしまったルセアは、真っ青な顔で主人とカレルを交互に見遣っている。
「ち、違います、カレルさんは」
「──ふっ」
否定の言葉を口にしようとしたルセアの耳に、乾いた笑い声が届いた。
見れば、カレルの黒い瞳が僅かに銀色の光を帯びていた。
「お前は・・・それなりに、使えそうだな」
剣の腕を言っているのだろう。
いけない、と思ったルセアだった。
カレルは、強い相手を求めている。
強い人間を斬り続け、今まで生きてきたのだ。
そのカレルが、レイモンドをその相手にしようとしている。
「だ、ダメですカレルさん!」
ばっ! とレイヴァンの前に両腕を拡げて立ちはだかるルセア。
「ルセア!」
邪魔だ! と怒鳴りつけるレイヴァンに背を向けたまま首を振るルセア。
「レイヴァン様も! いけません!」
「どけ!」
「どきません! ふたりとも、今は一緒に戦う仲間ではありませんか!」
「俺はこいつらと馴れ合う気はない!」
「レイヴァン様っ!!」
悲鳴のような声を上げるルセアの耳に、くつくつと笑う声が聴こえた。
「・・・わたしにも、ない」
「なんだと・・・?」
レイヴァンのきつい視線など意に介さず、カレルは音もなく立ち上がった。
ひた、とレイヴァンの茜色の瞳を見つめる漆黒の瞳。
ほんの少しだけ、カレルの口端が持ち上げられる。
「・・・腕は悪くない──が、まだ若いな」
「なっ!」
嘲笑するかのようなカレルの態度に、レイヴァンはかっと血を上らせた。
「ルセア」
「は、はい・・・?」
「己が主を守りたくば、わたしには近づけぬことだな」
「カレルさん・・・」
「次に顔を見れば、斬りたくなるやも知れん」
それだけ言うと、カレルはふたりに背を向けて音もなく去って行った。
「カレルさん・・・」
その後姿を寂しそうに目で追っていたルセアだったが、名を呼ばれてはっとなり、背後を振り返った。
「れ、レイモンド様・・・」
「あいつには近づくな」
「で、ですが」
「俺の言葉が聞けないのか」
「・・・」
険しい瞳に見下され、ルセアは言葉を紡げなくなった。
「行くぞ」
カレルの去った方とは反対に背を向けて歩き出す主人のあとを追おうと一歩を踏み出し、ルセアは一瞬だけ後ろを向いた。
とうにカレルの姿はなく、気配すらも消え去っていたが、子どものような瞳がどうしても忘れられない。
「ルセア」
「は、はい!」
自分にとって一番大切なのはレイモンドだ。
しかし、もしも短い間でもカレルの心安らげる場所であれるなら、そうありたいとも思うのだ。
──・・・わたしは、愚かなのでしょうか・・・。
答えの出ぬ問いに、翻弄されるルセアであった。
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この三角関係大好きです(コラ)
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