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小ネタや更新記録など。妄想の赴くままに・・・
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インフルです・・・昨日から会社を休み、まぁ、今週いっぱいダメでしょう。年末にも熱出したばっかりなのに・・・。
今は熱下がったので楽ですが、皆様もどうぞお気をつけ下さい。

しかし、熱が下ると、頭は元気なのにインフルのおかげで外出禁止というのが切ないですな・・・。

病人のくせに、小ネタなど書いてみる。この世界には米があるものとして下さい。






**********

「熱計ったか?」

ベッドに横たわるカノンに、キニアンはそう声をかけた。

「んー・・・39℃・・・」
「あちゃー・・・薬使っても、すぐには下がらないもんなんだな」

コトリ、とベッドサイドのテーブルに小鍋と食器類の乗ったお盆を置き、ベッドの端に腰掛けた。

「身体、起こせるか?」
「・・・あのね」
「うん?」
「うつっちゃうから、シェラたちのところに行ってたほうがいいよ・・・」

高熱のためか、いつもより更に舌っ足らずな口調で喋るのを聞いて、キニアンは呆れたように眉を上げた。

「ばーか。病人は余計なこと考えるな。それに俺は予防接種受けてるから、たぶん平気だよ」

お前は受けなかったのか? と訊ねたキニアンに、カノンはむぅ、と唇を尖らせた。

「ちゅーしゃきらい・・・」
「──ぷっ」

思わず吹き出してしまったキニアンを、カノンは睨んだようだったけれど、その瞳は潤んでいてまったく力がなかった。

「じゃあ、注射しなかったお前が悪いんだから、大人しく看病されてろ」

小鍋から器にお粥を盛り、スプーンですくって息を吹きかけ、少し冷ます。

「食べられるか?」
「・・・うん」

ぱくり、とお粥を口に入れ、もぐもぐごくん、と呑み込んだカノンは軽く眉を顰めた。

「熱かったか? それとも不味かった?」
「・・・味わかんない」

せっかく作ってくれたのに、ともごもご喋るカノンに、キニアンは目元を緩めた。

「味分からないと食べづらいかも知れないけど、早く治すためだから、出来るだけ食べような?」
「ん・・・」

こくん、と頷いたカノンの口許に、また冷ました粥を運ぶ。
何度かそれを繰り返し、小鍋の中が空になると、キニアンはカノンの頭を撫でてやった。

「偉い、偉い。全部食べたな」
「・・・ごちそうさまでした」
「水飲むか?」
「・・・んーん」
「そうか。一応置いておくから」
「・・・ん」

ゆっくり寝てな、とベッドに横たわったカノンに布団をかけてやると、キニアンは食器の乗ったお盆を手に立ち上がった。
──と、その服をカノンの手が軽く引っ張った。

「どうした?」
「・・・」
「カノン?」
「・・・あのね」
「うん」
「・・・なんか弾いて」
「──へ?」
「おんがく」

あぁ、と合点がいったキニアンは、「いいよ」と言ってお盆を片手に持ち、銀色の頭を撫でてやった。

「ただ、頭も痛いだろうから、煩かったら言うんだぞ?」
「・・・うるさくない」

『アリスの音は煩くない』という意味なのだろう、と受け取ったキニアンは、嬉しそうに微笑むと、「ちょっと待ってな」と言って部屋を出た。
すぐに戻ってきた彼の手には、相棒であるチェロの姿があった。

「何でもいいか?」
「・・・ん」

頷いたカノンは、耳を澄ますように目を閉じた。
さらりと調弦を済ませたキニアンは、彼の大好きな作曲家の曲を奏で始めた。
ヴァイオリンの4本ある弦の中で、一番低いG線1本で奏でられる曲。
チェロではC線が一番低い音を出すが、キニアンはG線で演奏をした。
高音は耳に障るだろうとの配慮で選んだ曲ではあったが、この曲は彼自身が好きな曲でもあったし、聴いていると不思議と心が落ち着く曲でもあった。
1曲演奏を終えると、ベッドから手を伸ばしてきたカノンが、またキニアンの服を引いた。

「ん?」
「・・・A線」
「──え?」
「それ、A線で弾いて」
「・・・」

弾けるか弾けないか、で言われれば弾ける──『普通の』弾き手には少し難しいかも知れないが。
けれど、A線はチェロでもっとも高い音を出す弦だ。
キニアンほどではないけれど、カノンも耳が良い。
それに、高熱のせいで頭痛も訴えているのだから、高い音は耳に障るだろう。

「ちょっと高いぞ?」
「え、値段?」
「いやいや・・・音だよ、音」
「別にいいけど・・・じゃあC線」
「はいはい」

異なる弦でもさらっと演奏しきったキニアンは、その後結局すべて弦で演奏することになったのだった。


**********

バッハは偉大だ。一番好きな作曲家です。彼の作る音楽は、優雅で荘厳で、シンプルだけれど徹底的に美しい。

それではおやすみなさい。
皆様もどうぞお気をつけて・・・。
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