小ネタや更新記録など。妄想の赴くままに・・・
お疲れまっくすなので、ヴァンシェラで何か書きましょうかね。
最近病気ネタしか書けないなぁ・・・。
最近病気ネタしか書けないなぁ・・・。
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「──馬鹿は風邪ひかないって言うのにな」
体温計に表示された数字を見て、シェラは大きくため息を零した。
間接照明だけが灯された寝室は静かで、少し苦しそうな、浅い呼吸だけが聞こえる。
「何か食べられるか?」
薬を飲むにしても、胃が空っぽの状態では拙い。
ベッドに横たわる男にシェラは訊ねた。
「・・・いらない」
「じゃあ、せめて水分を取ってから薬を飲め」
努めて静かな声で話しかけると、ベッドの男──ヴァンツァーは、億劫そうに瞼を持ち上げた。
薄暗い室内でも、その瞳が潤んでいるのが分かる。
白皙は紅く染まり、汗の滲んだ額には黒髪が張り付いている。
どことなく艷めいた様子の男を前にしても、シェラは呆れしか覚えなかった。
辛そうではあったが、少し身体を起こさせ、スポーツドリンクを飲ませた。
解熱剤を渡したときに触れた手は火が着いたように熱くて、シェラは僅かに眉を顰めた。
「過労じゃないのか?」
「・・・ちがう」
薬を飲んだヴァンツァーはまたベッドに横になった。
汗をかいているようだから、熱は上がりきったのだろう。
それでも辛そうな様子に変わりはなく、手にもあまり力が入らないようで、シェラは布団を肩までかけてやった。
「・・・そんなに、詰めてない」
仕事の話だろう。
確かに、最近ヴァンツァーの帰宅時間が遅くなることはあまりなかった。
それでも知らず知らずのうちに疲労が溜まってしまうことはあるものだ。
「だから・・・ダメだ」
「──え?」
喉を痛めているのかも知れない、ヴァンツァーの声は少し掠れていて聞き取りづらい。
シェラはヴァンツァーの顔に耳を寄せた。
「だから・・・りこん」
「──は? 離婚?」
「ダメ、だ・・・」
この馬鹿は高熱で脳みそがやられたのだろうか、と失礼なことを考え、シェラははた、と気づいた。
そうして、わざとらしくため息を零したのだった。
「『忙しくして体調崩したら離婚』ってヤツか?」
何年前の話だ、と呆れたシェラは、意外とやわらかい黒髪を撫でてやった。
「とりあえず治るまでは面倒みてやるよ」
私はやさしいからな、とちょっと意地の悪い笑みを浮かべるシェラに、ヴァンツァーは「やだ」と返した。
「ダメだ」
熱い手が、黒髪に触れていたシェラの手を握る。
泣きそうに潤んだ瞳は真剣で、シェラは病人をからかったことに些か罪悪感を覚えた。
「・・・嘘だよ」
悪かった、と軽く頭を下げ、掴まれているのとは反対の手で頭を撫でてやる。
「私はどこにもいかないから・・・早く元気になってくれ」
頼む、と淡い笑みをその美貌に載せるシェラを、ヴァンツァーはしばらく黙って見つめていたのだけれど。
やがて手を離し、布団をかけ直すと瞼を閉じた。
納得したらしい男に軽く安堵の息を吐いたシェラは、「氷枕作ってくるから」と言い置いて部屋を出た。
そうして、寝室へと続くドアを閉めたところで呟いたのだ。
「・・・あいつは、私なんかのどこがいいんだろうな」
分からん、と首を傾げたシェラは、氷枕を用意しながら、病人でも食べやすいメニューをいくつか考えたのだった。
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ヘタレヴァンツァー万歳(コラ)
シェラはいつまで経っても自分の存在価値に疎い子だと思います。
最近、ほんといつも以上に話が纏まらない。
ヴァンツァーはシェラが大好きで、シェラもヴァンツァーが大好きで、でもお互いそれに気づいてないんだぜ、って話?
一応、結婚してだいぶ経ったふたりという設定です。
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