小ネタや更新記録など。妄想の赴くままに・・・
なんつって。
いや、でもちょっと疲れたので、うちの癒し系キニアンに頑張ってもらおう。
小ネタ書くのも久々ですね・・・。
いや、でもちょっと疲れたので、うちの癒し系キニアンに頑張ってもらおう。
小ネタ書くのも久々ですね・・・。
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彼女の息子は、幼い頃からとても正直な子どもだった。
嘘を吐くのが苦手とか、嫌いとかいうよりは、そもそもそんな発想がないと言った方がいいくらいに真っ直ぐなのだ。
それは特に、彼の『音』に現れた。
「──あら」
長期休暇を利用して寮から自宅へ戻ってきた息子のチェロを聴いて、マリアは翡翠のように美しい色をした目を丸くした。
そうして、思わず訊ねたのだ。
「あなた、彼女でも出来たの?」
「──は?」
ちいさい頃は女の子のように可愛かったというのに──いや、今でも愛する息子ではあるのだが──成長期と呼ぶには些か極端なくらい身長が伸び、今は並ぶとゆうに頭ひとつ半は違う。
しかも、父親に似てきたのか、せっかく整っている顔はちょっとばかり愛想が悪い。
そんな息子の素っ気ない態度に、マリアは腰に手を当てて頬を膨らませた。
「彼女! 恋人!」
「・・・はぁ、まぁ」
何とも気のない返事であったが、マリアは自分の息子が正直な上に、極度の照れ屋であることもよく知っていた。
照れ屋なくせに、思春期の男の子にありがちな、かっこつけなのだ。
「今度はどんな子? また3日でフラれるの?」
「・・・さすがに3日でフラれたことはないぞ」
「あら、5日だったかしら?」
「どうでもいいだろ、そんなこと」
ふいっとそっぽを向くところを見ると、当たりだったらしい。
「ねぇ、どんな子? 可愛い?」
「・・・何でそんなこと訊くんだよ」
少し嫌そうな顔をしている愛息子に、マリアはにっこりと微笑んだ。
「──音が違うもの」
「・・・・・・」
100年にひとりと言われる天才ヴァイオリニストである母の耳は誤魔化せないことを知っている少年は、ため息を零しつつも質問に答えてやった。
「まぁ・・・可愛いです」
「写真は? ないの?」
「・・・あるけど」
「見せて!」
まるで女子高生のようなノリの母にもうひとつため息を零すと、彼はポケットから携帯端末を取り出した。
「──え、まさか待受にしてるの?」
「されたの」
まるで「俺の意思じゃない」とでも言いたそうな態度で息子が見せてきた画面に目を遣り、マリアは思わず呟いた。
「あら、天使ちゃんね」
ふわふわとした銀色の髪と菫色の瞳の──美しいけれど、どう見ても『彼女』ではない少年の姿にも、マリアはさして驚いていないようだった。
「喋らなければな」
「口が悪いの?」
「いや。育ちも品もいいし、性格もいい」
「じゃあ、どうして?」
「天使っていうより、小悪魔なんだよな。それか女王様」
ポリポリと頬を掻きながらそんなことを言う息子に、マリアは目をぱちくりさせた。
「アル」
「何ですか」
「それ、世間一般で『惚気』って言うの知ってる?」
「別に惚気けてないぞ」
「だってあなた、この天使ちゃんのことが可愛くて仕方ないんでしょう?」
「なっ──」
『なぜそれを知っている』という驚愕の表情を浮かべる息子に、マリアはほぅ、とため息を零した。
「あなたやっぱり、アルフレッドによく似ているわ」
「父さん?」
なぜここで父の名が出てくるのか分からない少年は、母と同じ緑の瞳に疑問の色を浮かべた。
「言ってることがまったく一緒だもの」
「・・・・・・マリアのことを、そう言っていたってことか?」
「本人無自覚なのよ。あの真面目くさった顔で、『ただの事実です』みたいに言うの。──もう、ほんとあの人わたしのこと大好きなんだから」
やだやだ、と肩をすくめる母の姿を見て、恋人からは鈍いだの鈍感だの言われ続けている少年も気づいたことがあった。
──・・・マリアも、何だかんだ言って父さんのこと大好きなんだよなぁ。
後日、恋人にこのときの話をした少年は、「うちのシェラもそうだよ」と天使が満面を笑みを浮かべるのを目の当たりにするのであった。
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それぞれの恋人や旦那さんの悪口を言っていいのは自分だけ! と思っているシェラとカノンとマリアさんは可愛いと思う。
うまく纏まらなくて申し訳ないですが、恋人や母親に振り回されるキニアンが見たいだけ(コラ)
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