週末です。ねみぃなー、今日も。電車の中で寝ていても夢を見ます。眠りが浅いのでしょうが、それにしたって1時間程度の睡眠ですら夢を見るって・・・。夢を見ると、疲れることが多いんですよねぇ・・・あんまり腐った夢って見させてもらえないし(コラ)
さ。そんなわけで、今週もおしまい。明日は楽しみにしていた演劇の先生との飲み会だかお食事だかです。彼は三途の川をうっかり渡りそうになっているくらい忙しいらしいので、楽しくお話出来るといいな~。
そんなわけで、昨日の続き?
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経緯を聞いたライアンは顎が外れそうなほどあんぐりと口を開け、その碧眼は『ばーかーだーねー』と雄弁に物語っていた。
そんなことは百も承知のキニアンは、居心地悪そうにするどころか逆に開き直って腕組みしている。
「・・・お兄ちゃん、赦してあげたら?」
「やだ」
「そりゃあ、アー君いなくて寂しくて、帰ってきたらいっぱいえっちして可愛がってもらおうとしてたのに全部台無しにしちゃったのはアー君が全面的に悪いけどさ」
「~~~~~~~~っ!!」
ぽりぽり、と頭を書いて何でもないことのように爆弾発言をする、あえて空気を読まない青年に、カノンの白い顔は真っ赤になった。
他の面々は「「「「──は?!」」」」という顔をしている。
「『待っててくれたんだ、ありがとう』って言ってもらって、たくさんキスして、いい子いい子って頭撫でてもらって、いっぱい抱きしめて欲しかったのに、全部、全部ぶち壊したのは、そりゃあもう、救いようがないくらいアー君が悪いと思うんだけどさ」
「・・・・・・・・・・・・」
絶句してしまったキニアンである。
何だ、この男は。
一体何を言っているのだ。
よく分からないが、話を捏造しているにしては、カノンが怒り狂わないのが気になる。
ということは、それは事実だということか?
おいおい、ちょっと待て、何でこの男にそんなことが分かるんだ。
そんな風に考えていたキニアンに、ライアンが呆れたように言った。
「えー、見て分からない? 今お兄ちゃん、身体が開いた状態なんだけど」
こことか、ここの筋肉とか、と説明してくれるのだが、そんなもの一般人が見て分かるわけないだろうが、と額に青筋立てたキニアンであった。
「うそー。身体の状態分からなくても、これだけフェロモン出してれば、普通分かるよね?」
皆に同意を求めるが、両親と妹が家族のフェロモンなんぞに頓着するわけもなく、キニアンに至ってはフェロモンのなんたるかすら分かっていない。
ライアンは、だいぶカノンが気の毒になってきた。
「・・・可哀想に・・・」
呟き、そっとカノンの頬を指で撫でる。
それだけのことにびくっ、と反応する華奢な身体に、キニアンは思わず「触るな」と言っていた。
「だからさー、さっさと仲直りして、欲求不満解消してあげなよー」
女の子のような綺麗な顔で、骨格フェチで不思議発言連発のくせに、全部分かったような顔をしてそんなことを言ってくるのが気に食わない──もう、ほとんど八つ当たりだ。
「・・・やだ、知らない、帰らないっ」
うる、と瞳を潤ませたカノンは、またもやヴァンツァーに抱きついた。
キニアンの眼が据わる。
一触即発の雰囲気を感じ取ったライアンは「じゃあこうしよう」と提案した。
「──腕相撲で勝負だ」
『名案だ』とばかりににっこり笑っている青年に、一同『おいおい』という顔をしている。
「・・・分かった」
しかし、キニアンはいつもより酷い仏頂面で頷いた。
「えーっと、ソナタちゃんは女の子だから外れるとして、シェラさんとヴァンツァーさんとおれとお兄ちゃん、4人と勝負して、アー君が勝った数が多ければ、仲直りね」
「あれ? でも4人だと引き分けちゃうよ?」
ソナタの言葉に、ライアンは「大丈夫」と笑みを浮かべた。
「お兄ちゃんはラスボスだから、ポイント2つ。これなら大丈夫でしょう?」
「あー、うん。おっけー、おっけー。ソナタ審判するねー」
きゃっきゃ、と身内の夫婦喧嘩──らしきもの──に直面しているとは思えないほど楽しそうだ。
「じゃあ、まずはシェラさん」
あれよあれよ、という間に話が進んでしまったが、乗りかかった船だ。
何より、カノンたちに早く仲直りしてもらいたいという思いは、もしかしたら一番強いかも知れない。
「お手やわらかに」
にこり、と微笑んだシェラに、「よろしくお願いします」と頭を下げるキニアン。
少なくとも、シェラとライアンには勝たないと危ないかも知れない、と思うからこそ、力が入る。
リビングのテーブルが、さながら戦場と化す。
「はい、手を組んで~」
ソナタの声で、シェラとキニアンは茶器をどかしたテーブルの上で手を組んだ。
緊迫した雰囲気。
手を組んだだけで、少女のような顔をしたシェラが見た目以上の握力と腕力であろうことは分かったキニアンだ。
しかし、この勝負、負けるわけにはいかないのである。
「Ready──Go!」
ソナタの掛け声とともに、ぐっと腕に力を入れる。
現在はチェリストでも、中高と運動部で鍛えていた身体だ。
──タンッ。
静かな音とともに、シェラの右手の甲がテーブルに触れる。
「あー、負けた~」
眉を下げてそんな風に言うシェラに、ヴァンツァーがちらりと視線を向ける。
ぺろっ、と舌を出す様子に、軽く息を吐いた。
「じゃあ、次はおれかな~」
常に笑みを絶やさない青年は、「やるぞ~」と言って腕まくりをした。
本当に、顔の造作同様女の子のように細い腕だ。
さすがに綺麗に筋肉がついているが、シェラ同様折れそうに細い。
「どっちも頑張れ~」
ソナタの声援に、「は~い」と返事をするライアン。
キニアンは、黙ってこくり、と頷いた。
「Ready──Go!」
ぐっ、と腕に力を込める。
「あー、やっぱり結構強いね~」
にこにこと笑っている青年とは逆に、キニアンは内心ものすごく動揺していた。
──めちゃくちゃ強い!!
ちょっと待て、俺は全力だ! と煩く脈打つ心臓と焦る脳と、限界近くまで力を込めた腕とでいっぱいいっぱいのキニアンだ。
目の前にいる金髪碧眼の男は、全然まだまだ余裕といった感じ。
──・・・やばい。
思った次の瞬間には、手の甲がテーブルに触れていた。
「ライアンつよーい」
「あ、おれ握力50あるから」
──それを先に言え!!!!
勝てるかそんなもの!!!! と文句を言いたくなったが、負けたことは事実なのでそれに難癖つけるような真似は出来ない。
こうなると、ヴァンツァーに勝てるかどうかがポイントだ。
ここで負けると、後がない。
「・・・・・・」
悠然とソファに腰掛ける男を睨みつけるようにして、キニアンは気合を入れ直したのだった。
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まだ続く。
馬鹿ばっかりで可愛いなぁ(コラ)
愛すべきお馬鹿さんたちです(笑)